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神鳥使いと呼ばれた男  作者: TUN
第七章 悠久の想い ~忘れられた者への鎮魂歌~
423/531

421話 仮面の客人④

 

「「っ~~!」」

「あ、あれ……? 違いました?」


 はい、尽く。ある意味白旗振ってもええわもう。


 アスカさんと一緒に頭を抱えていると仮面の男は困惑しながらそう言った。困惑したいのはこちらだというのに、大真面目に間違ったことを平然と言ってくるから混乱は必至だった。




「――ねぇお兄ちゃん、ちょっといい?」

「ん?」


 そんな折、コートの裾をクイクイと引っ張られた気がしたかと思うとセシリィの呼ぶ声がした。後ろを向けば俺らと同じく困惑した顔が覗いているが、少し様子が変だった。


「今、その人疑ってて困ってるよね……?」

「あ、ああ。別の要因もあるけどそれで大方間違いないかな……」

「やっぱりそうだよね」


 どうやらセシリィが声を掛けて来たのは停滞気味な現状の確認をするためであったようだ。俺に確認を取るや否や少しホッとした顔になり、俺をジッと見つめると小声で話してくるのだった。


 わー、相変わらず綺麗なおめめですこと。


「話しても平気じゃないかな……。嘘ついてないみたいだけど?」

「……え、マジ?」


 思わず耳を疑った。セシリィの言葉を信じていないわけじゃなく、空かされる真実が予想外すぎて。


「待て待て待て!? セシリィそれ本気で言ってる!? 本気で言ってらっしゃいますか!?」

「う、うん。なんで敬語?」


 そんなことが本当にあっていいのかという気持ち。目の前にいる仮面に対し俺は嘘をつかないような人じゃないと思い込んでいたのだ。こればっかりは失礼を働いたと叱責はされたくない。


「あんな怪しいのに?」

「あんなに怪しいのに」

「頭のネジぶっ飛んでるのに?」

「うん。ぶ、ぶっ飛んでるのに」

「見てて可哀想だなとかって思っちゃったわけでもなく?」

「……お兄ちゃん、流石にそれは言い過ぎだと思うんだけど」

「あの~、なんで私のことゴミを見るような目で見てるんですかねぇ? 結構辛いんですが……」


 うるせー。自分に聞け。


 セシリィに確認をこれでもかと取ってみるもセシリィは苦笑いで反応に困っているだけだった。というか呆れられていた。


 でも当たり前だろこんなもん! あんな公然わいせつそのものな見た目をした奴に警戒度Maxで対処しないわけないだろ! 

 セシリィよ、これはお巡りさんごっこなんかじゃないのだよ? 

 それに――!


「だって怖くないのか? 一応アレでも連合軍の人なんだぞ!?」


 非常に現実味に欠けるのはともかく、セシリィにとっては親を殺した組織の一人が今目の前にいる。俺はともかくそれでいてセシリィが怯えていないのが少し心配に感じるのだ。


 落ち着いてるのは紛い物でもなく本当に全部視えてるからだってことは分かるんだけどさ。

 それでももう少し緊張感を持ってて欲しいってのは余計なお世話か……。


「知ってるよ。やっぱり分かってても怖いけど……それでもあの人が悪いわけじゃないから」

「……無理してないか?」

「ううん、してないから安心して。あの人達とも本質的に違うみたいだし……ね?」


 ねって……。今はそんな可愛い甘言に揺れたりはしないぞ。

 まだ天使に対する豹変ぶりのトリガーも分かってないのにそれは無理がある。

 やっぱりここは俺がコイツを……!


「それにね、お兄ちゃんがいてくれるから怖くないんだよ?」

「え――」


 意気込んで飛び出そう――その行動に踏み切ろうとした刹那。被せるようなタイミングの言葉による牽制と、穏やかに微笑む表情による身体の硬直が俺の動きを封じた。


「おや?」

「お、おいセシリィ!?」


 ひょいっと俺の背中を離れて前へと躍り出るセシリィ。その足取りは軽快で怖気づいた様子もなく、自分をお披露目しにいったかのようだ。無邪気に振る舞っているようでもあった。


「仮面のお兄さん、疑ってごめんなさい。私はお兄さんの言ってたことに嘘がないって信じるよ」


 セシリィがペコリと頭を下げて謝った。

 仮面の男も仮面越しに目を丸くしているのかセシリィの姿に釘付けとなっており、非常に変わった構図だが俺とアスカさんの代わりに話す様子はある意味保護者、そして代弁者とも言える。


 自分からだなんて何のつもりだ……?

 てかセシリィ、そこからどうするつもりだよ……?


「へぇ? まぁ私は自分でもかなり不真面目な部類に入ると思いますけどねぇ。でも信用してもらえるなら嬉しいですよお嬢さん。有難うございます」

「うん。その変な恰好の意味はよく分からないけど……言ってることに嘘はなかった。――でも優しい嘘は一回ついてたみたいだけどね?」

「……」


 え……? おいおい、この流れだとまさか……。


 一拍置いてからセシリィが投げ掛けた言葉から何を感じ取ったのだろうか? 仮面の男がセシリィに向ける雰囲気が変わった気がした。

 さっき俺が何かを視られていた時みたいな状態。察するに俺の危惧する内容に近い、新たな不安の種が今芽を開こうとしてしまっているのはすぐに分かった。


「大ごとにする気なんて最初からないんでしょ? こっちが本気で断ったらそのまま見なかったことにするつもりだったんだよね?」

「お嬢さん……貴女……!」


 やめろってセシリィ……!? それ以上はマズイ!


 俺達に与えた驚きを今自分でも体験していることだろう。語られずとも暴かれるその真実に。

 仮面の男はここで初めて単純な驚きではなく驚愕を見せていた。


「私ね、その人が嘘ついてるかどうか分かるの。多分、お兄さん風に言うなら視えるって言うんだと思う」

「っ!? それは……」


 セシリィ……!

 うわぁ……言っちゃったよこの娘。しかもなんでそんな言い方しちゃうんだよ……!


「ふ、ふふふ……! いいです、今日は良い日ですよ全く! 成程、まさかそちらもときましたか。ええこれは実に予想外です。そちらのお嬢さんもとても興味深い異能をお持ちとはねぇ。これは一杯食わされましたよ……!」

「……」


 身体を振るわせた歓喜の産声がセシリィの目の前で巻き起こる。これでも十分抑えているつもりなのだろうがそれでもオーバーな程だ。大声を出さなかっただけマシかもしれない。


 ほらぁ……完全にセシリィに興味持っちゃったじゃないのよーこの変態仮面。こうなったらもう取り消しは無理だぞ……。


「幼いながら勇気のあるお嬢さんですねぇ。――ええ、私に貴方達のことを誰かに言いふらす気はサラサラありません。そんなことをしても意味がないですからねぇ」


 昂った気持ちはまだ冷め止まぬまま……。仮面の男はなんとか自分を保ったまま俺とセシリィの両方を交互に見る。これは仮面の男からしたら選り取り見取りというやつなのだろうと思う。


 にしても勇気のある行動か……全くだよ。連合軍かつ変態を前に悠然と立ってるしな。セシリィの背中が今大きく見えてるッス。


「恐喝したところで私の欲しい真実が手に入るとは限りません。未知の事実を知りたいのに嘘を伝えられては迷宮入りもいいところだ。ならばせめて信用を得て素直な事実を獲得する確率の高い方を取るのが得策でしょうからねぇ」


 仮面の男の語りを聞きつつ俺は構えを解き、緊張感ある場の雰囲気を少しだけ落ち着かせる。それに合わせてアスカさんも刀を収めたのを確認し、一先ずは誰も仮面の男に敵意をぶつけることはなくなった。


 完全に警戒していないわけではないが残っているのは個人的な感情だけだ。理解とは別ですぐにどうにかなる部分でもないし……むぅ。


「それに……貴方方みたいに優しい方々は無条件に優しくしてあげたいですから」


 この見た目のくせにお天道様もニッコリな嘘くせぇ台詞を堂々とよく言えるなコイツ。

 でも実際はこれが――。


「あ、今の嘘」

「ってオイ!?」


 嘘なんかい!? よくこの状況で嘘つけたなコイツ! 心臓に毛でも生えてんのかよ。

 もういっぺん敵意向けたろか? 殺意も込みで。


「アハハ! お嬢さんのその異能の精度凄いですねぇ! いやはや、良いモノを見せてもらいましたよ」

「「……」」

「えっと……嘘は今のだけでそれまでのは大丈夫だから二人共。仮面のお兄さん、あんまり変なこと言わないでくれる?」

「善処しまーす」


 不安だ。激しく不安ですよワタクシは。

 あと『します』じゃなくて命令だ。しろよ。


 俺とアスカさんの表面的な疑いが再び出そうになる。鋼の意思で辛うじてそれらを制することはできたものの、ストレスは一方的に上昇し続ける羽目になったが。


「セシリィちゃんがこう言ってるわけだし……どうしようか?」

「どうしようもなにも、セシリィがそう言うなら信じるしかないでしょう? とてもそうは見えませんけど」


 今はセシリィが中間にいるため仮面相手に感情任せな即行動を移すという真似は起こりえない。アスカさんと共通認識のすり合わせを行い、一度それが完了するまで待つ。


 本音は認めたくなんてない。だが他ならぬセシリィの言葉を認めない程意地を張るつもりはないさ。

 セシリィが自分の意思でここまで勇気を出して証明しようとしてくれたんだ。信用するっきゃないわなぁ――。


「フフ、素直じゃない人だ」

「誰が原因だ! 誰が!」

「ハハハ」


 なにわろてんねん。

 ちょこちょこやかましいわ、これが俺の素直な気持ちだっつの! 

 理性と感情は常に一体じゃないんですぅ! 馬鹿にしおって。


 仮面の男の余計な一言には苛つかせられる。もうコイツはそういう星の下に生まれたと思うしかないに違いない。




「えっと……それじゃあ私のことは信用してもらえるってことでいいんですかねぇ?」

「ハァ……もうそれで構いませんよ」


 ハイ。非常に理解し難いですが。素直に認めてやるとしますよハイハイ。


 短い言葉で肯定し、後はジェスチャーで鬱憤もある旨だけは示しておく。これくらいが俺らにできる無意味な反発の意思だと思いながら。

 また不安という大きな気がかりがなくなって少々呆ける時間が必要だった。流石に身体機能は壊れていても心のつっかえが取れていきなり平常心に戻れるような壊れ具合まではしていない。




「あの、お兄ちゃん……その……」

「ん、どした?」


 俺らの中間に立ったはいいが互いに何も言わなくなってしまった状況に困惑したらしい。セシリィが振り返るとオロオロとしながら俺に声を掛けてくる。


「ごめんなさい。余計なこと言って……」

「は?」

「その……見てられなくて。あの人の言ってることが本当か分からなかったから困ってたんだよね?」


 ――と思ったのは少々違ったようだ。セシリィは困惑しているというより、勝手な真似をしたことに対して迷惑を掛けたと思っているようであった。


「……セシリィがそうしたいって思ったんならいいさ。俺の行動がいつも正しいわけないからな。それにいつも俺の決定に付き合わせちゃってるし、俺に遠慮するなって言ったろ?  ――よく話を収めてくれたよ。助かった」


 色々と思う部分はある。でも結果的に場が収まっていること……そしてセシリィなりに考えたうえでの行動となれば俺は何も強く言えない。


「ただ――」

「あたっ!?」


 ちっとばかしのお仕置きはするけどな。危険な行為だったことに違いはないのだから。


 セシリィのおでこに向かって軽くデコピンを当てる。不意をつかれたセシリィが一瞬だけ両目をバツマークにしたのが少しだけ可愛いと思ったのは内緒だ。


「あんまりヒヤヒヤさせないでくれ。セシリィに何かあったら俺はどうしたらいいか分かんねーからさ」

「あ、アハハ……気を付けるね?」


 あ、確信犯ですかお嬢様よ。こんにゃろ。


「頼むぞ? まったくあざとくなっちゃってまぁ……。俺じゃなかったらもっと怒ってるからな?」

「うん。えへへ……」


 セシリィは俺が怒っていると思ったようだが、そうでないと知って安心してくれたようだ。キョトンとした顔から一転、はにかみながらおでこを摩る様子には反省の色が見え隠れしていた。俺が頭をわしゃわしゃと撫でると無抵抗に為すがままだった。


 怒れるわけないんだよなぁ……だって良い娘なんだもの。

 だから怒れない代わりに後で満足するまで愛でよう。今は我慢我慢。

 それより最近セシリィは俺が何に弱いか理解してきてる気がする。――なにソレ、最高かよ。


 セシリィの変化には驚き、そして当然ある俺得な要素はなんとか表情には出さず隠し通す。セシリィにこれ以上悟られまいと取り繕い肩を竦める中、急に他の二人がやけに静かなことに俺は気が付いた。


「「……」」

「な、なんですか黙って……?」


 急な変化には一瞬たじろいでしまった。あれだけ口の多かった仮面の男が一切口を挟まずに、アスカさんと一緒に俺達を挟撃するようにジッと見ていたのだから。


「やっぱり二人共仲良いなぁと思って……」

「ああ……そりゃ「ですよねぇ。お互いに信頼しあってる雰囲気が半端ないというか。……羨ましいですよお兄ちゃん♪」……」


 ピキッ――!


 アスカさんになんだそんなことかと思ったのも束の間。仮面の言葉の最後に添えられた一言にストレスが刺激され殺意が湧いた。


 オイ仮面、いい加減その口閉じろ? さもなくば首ごと仮面を剥いじゃうぞ♪




「――え、えっと~? は、話がまとまったのなら場所を移しましょうか。ここじゃゆっくり話してはいられないでしょうからね、そうしましょうか」


 深く息を吐いて無言のまま殺意だけを向けると、鈍感な仮面の男も肌で危機を感じ取ったようだ。そそくさと話題を変えたつもりなのか一人先へと進んでいく。


 まぁ良い判断だ。これ以上はお兄さんの堪忍袋の緒が切れるってもんですよ。

 それよりなんで主導権がアンタに移ってんですかね? しかも了承してないのにお互いに合意が為されてるみたいになってるのは何故に? 面倒だからもうどうでもいいっちゃいいけどさ。


「ええ、そうしますか。俺らもこんな場所で不審者と一緒にいたんじゃ怪しまれますし」

「……貴方に言われたくn「何か?(・・・)」――んでもありません」


 んー? なにー?


「余計なことは言わない方がいいですよー?」

「……そういう貴方も余計な真似はしない方が今後いいと思いますよ? だってさっきの貴方紛れもなくロリk「ほぉ? どうやら死にたいようだ」――じゃないですねハイ。そのままの貴方でどうぞ」


 油断も隙も無い。セシリィが変な言葉覚えたらどうするつもりだよ全く。


 目力で殺意を、肩を鳴らす態度で衝動を前面に出し、仮面の掌をクルクルと返させながら収束へと無理矢理進ませる。


 これぞゴリ押しってやつだな。

 なんだ、最初からこうしてりゃよかったのか。




 それにしてもツッコミどころ満載なキャラが濃すぎる人物だよな……コイツ。


 身体能力は極めて低い。でもその代わりか『眼』に善悪と力量を見抜くという変わった異能を持っている。更には恐らく術式? で俺同様に姿を消すことも可能。

 あとこれは単なる偶然だろうけど、こんな広い街で早々に俺らに遭遇するっていう運まで持っている。

 性格は好奇心旺盛、自己の欲求に従うのが最優先かつお調子者で悪戯が大好きで仕方ない厄介者。身なりは割とまともでも特徴とも言うべき仮面が全て台無しにして怪しさで覆いこみ、実際時折見せる嫌な寒気は酷く狂気的でもある。

 聞かず話さず見ちゃならぬを三推奨、めげないしょげない懲りないで三拍子の双頭(そうとう)なキチガイときた。


 うん。コイツこの短い間でヤベーくらい見せつけてきてるわ。完全にアカンのレッテルを張らないとマズい。

 こんなのが連合軍の、それも特殊部隊所属の開発者とか言ってたっけ? まぁある意味属性過多って点を考えたらスペック的には申し分なさそうだけど……これはねぇ? 人としてどうなのよ。


 術式には色々と詳しそうだし連合軍の情報などを逆に搾り取れるかもという期待はあるのでチャンスではある。――でも一番率直な本音を言わせて欲しい。




 なんでこんなキチガイが作戦初日から現れるんだっつーの! 物語だったら序盤に何章も先の奴が急に出てくるようなもんだろ!

 昨日この街に来たばっかりの俺達の前に何処からともなく現れるか普通? 犬みたいな嗅覚で嗅ぎつけてるんじゃあるまいし――ハッ!?


「~~♪ それじゃさっさと落ち着いた場所行きましょっか。ついてきてくださーい?」

「「「……」」」


 え……? 有り得るのか……? そんな偶然……。


 仮面の男はこれから話ができることに現を抜かしているようだ。嬉しさをこれでもかと露わにして俺らを先導する。軽やかに跳ねながら移動する気持ち悪いくらいにテンションが上がっているその背中を見て、俺はふと昨夜のアスカさんの話を思い出していた。


 脳裏の片隅にあった重要すぎる情報は早々に目の前に現れるようなものじゃない。こちらから積極的に避けようとしていたし、だからいきなり来るだなんて状況は考えもしなかった。仮にもしあるのだとしてもまだまだ先のことだと思い込んでいた。


 仮面の男は最初、こんな場所で俺を見つけたことは予想もしていなかったと言っていた。当然俺もこんな奴に会うとは思いもしなかった。

 ただの思い込み……。それは俺の儚い理想を描いた妄想にすぎないのだ。現実は来るものでも待つものでもなく、その時訪れるものである。


 まさか……? もしかしてそのまさかだったりすんのか……?

 コイツって――。


「フリード君、彼について行くってことでいいのかい……?」


 いつの間にか話が纏まっていたことに困惑するアスカさんがどう動くかを聞いてくる。思考に没頭していた俺だがお蔭で身体がまた言うことをきくようになる。


「……取りあえずは。でもあの……アスカさん? こんな偶然考えるのは可笑しいと思うかもしれないので、もしかしたらなんですけど……」

「――彼の素性のことかい?」

「っ!? ええ。もしかしてアスカさんも?」

「うん」


 みなまでいうことはなかった。それでも伝わり同じことを考えているという確信が俺達にはあった。

 昨夜に同じ情報を共有していたからこそ必要なかったことなのだと思う。


「多分僕も同じことを考えてるかもしれない。これはひょっとすると……ひょっとするのかもしれないね」

「同じ……? あ」


 セシリィも話に遅れて加わり、首を傾げたままアスカさんをジッと見るや否やすぐに目を丸くした。


「昨日の話の人……?」

「ああ。恐らく彼は連合軍特殊部隊所属、アイズ・マーロックだ……!」


 情報を基にすれば絶対会いたくないと思っていた人物の一人、アイズ・マーロックその人の可能性が極めて高い……!


「皆さん何してるんですかー? 早く行きますよー」


 裏路地の曲がり角ではついてこない俺達に待ちぼうけを食らった仮面の男が手招きしている。相手が誰なのかが分かった今だとこの呼び声が死神の声の様に聞こえてくるのは気のせいではないはずだ。

 生きるか死ぬか。俺らの場合は成か否かが懸かっている。この選択がある意味俺達の今後を……この街を出た後にも左右すると言っても過言ではない。


 最後に後ろ髪を引かれる要素を抱えたまま、その手招きに従って俺達は後を追うことに決めた。


※12/23追記

次回更新は本日です。

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