表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神鳥使いと呼ばれた男  作者: TUN
第一章 グランドルの新米冒険者
42/531

40話 可愛い生き物

「キミ…20歳なの…?」

「ええ、そうですけど、何か変でしたか…?」


 別に不思議がることでもないと思うが、俺は正真正銘20歳だ。もうちょっとしたら21歳になる。


「そんな…お姉さん面してたのに…。まさかお兄さんだなんて…」


 …ああ、そういうことですか。

 つまり俺のことを自分より年下だと思っていたと…。俺はあなたのことを年上だと思ってましたけどね。

 それでお姉さん面してみたけど俺が年上だと分かってショックということですね? 

 あらまぁ、それは恥ずかしい。あ~ら恥ずかしい。

 その気持ちは分からなくもないが、俺は特にそういうことは気にしませんよ?




 なぜなら…お兄さん!! ですからね!!(笑)




 口には出さないが、盛大に俺は調子に乗ってみた。

 中々こういうのは面白い展開だ。毎日こんなんばっかりだったら、さぞかし面白くて幸せな人生だろう。


 さっきまでの俺の憂鬱な気持ちはもう吹っ飛んだわ。

 ま、職場に年齢は関係ないですって。

 元気出してくださいよ…ウルルちゃんや。


「あんまり女性に対して年齢は聞きたくないんですけど、ウルルさんは何歳なんですか?」


 ニヤニヤをなんとか抑えて俺は言う。


「…19歳…です…」


 ウルルさん、なんか敬語になってる…。

 というよりそんなに歳違わないじゃん! 気にすることでもないだろうに…。

 さっきまでの方が全然いいと思いますよ? 

 無邪気な話し方…それが貴女のいいところじゃないですか!


「1つ違いじゃないですか。そんなの特に気にする必要ありませんよ? 敬語はいらないですし」

「う~。ならそうするけど、それでも自分の勘違いが恥ずかしい…」


 やっぱりすぐに帰ることは無理みたいだ。俺も同じ立場だったらそうだと思う。

 ウルルさんは顔を赤くして本気で恥ずかしがっている様子をやめない。少し俯いてなんだかプルプル震えている。


 …何この可愛い生きもの。リアルで本当にこんな人いるんだな…初めて見た。

 正直抱きしめたいんですけど…。いや、純粋な意味で。他意はないですよ?


「ハハハ、まぁさっきまでと同じ感じの方が俺も話しやすいんで、本当に気にしなくていいですよ」

「…うん」


 ズキューン!!


 俺のハートが撃ち抜かれた音がする。 ※自分だけです


 やめろぉぉぉぉぉっーーーーー!!! それ以上そんな姿を見せないでくれぇぇーー!!!

 俺の理性がオーバーヒートしますんでマジ勘弁してくださいぃぃーーー!!

 その潤んだ瞳と表情が俺は嬉しくて辛いんですぅーーーー!!


「じゃ、じゃあ…俺はそろそろ失礼しますね。他の場所も回ってみたいですし…」


 これ以上ここにいたら俺自身が壊れそうなので、退却するために別れを言う。


「あ、待っt」


 待ちません。

 俺は耐え切れずにここを後にした。




 ◆◆◆




「…ふぅ。危なかったぁ~」


 あの場所から少し離れたところで俺は息をつく。


 まさかウルルさんがあんな隠し玉を持っているとは…。恐れ入ったぜ…。

 見た目通りの人物だったということか。なんて油断ならない人なんだ。

 というより、俺は朝っぱらから何やってるの? 

 こんな時間にこんなことしてるやつあんまりいないぞ? バカなのか?  


 自虐をすることでなんとか頭を落ち着かせる。


「…次、行くか」


 気を引き締めて俺はまた散策を始めるのだった。




 ◆◆◆




 散策を再度始めた俺だが、今度は古風な建物を見つけることができた。

 どうせこれも何かの施設だろ? とか思いながらその建物を凝視する。


 建物はオレンジのレンガでできており、非常に頑丈な印象を持っているように思える佇まいをしているせいか、どことなく安心感を感じさせる。

 地球だったら何かの世界遺産に登録されてるんじゃないかと思ってしまっても無理はない…。そんな感じの建物だ。


 気になって近づいてみると、何やら入口付近に看板のようなものが置いてある。

 それを読んでみたが、どうやらここは図書館であることが分かった。


 随分と立派な図書館だなぁ。


 俺が通っていた大学の図書館がちゃっちく見える。…と地球にいた頃のことを思い出す。

 開いてはいないだろうなとは思いつつ扉に手を掛けてみたが、やはり開かない。

 24時間開いているわけではないようだ。ちと残念。


 しょうがないので別の場所に向かおうと思ったその時、突然大きな声が学院に響く。




『いやっほーーーーーうっ!!! 良い子の皆~…ME☆ZA☆ME☆YO!!』




 な、なんだ!?


 無駄に高いテンションで女性の声が辺りに響く。

 声は…どうやらところどころ設置されているスピーカーから出ているようだ。もちろん魔道具でできているんだろうが…。




『また1日がは~じ~ま~り~ま~し~た~よ~ん♪ 勉強なんて糞くらえだけど! 今日も1日頑張って行こうぜぃっ! 頑張った子には~…私がイイコトしてア・ゲ・rにゅあっ!!!?』




 女性が何かを言い切る前に、言葉は途中で中断された。

 何か鈍い音もした気がするが…。


 …というより今の何? 

 いや、恐らく朝の放送だっていうことは分かるんだけど、随分と過激な内容じゃないか?

 日本じゃ即アウトだぞ…。PTAが黙っちゃいないだろうし。


 俺があれこれ考えていると



『え~コホンッ。今のは皆忘れるように』



 今度は別の女性の言葉が聞こえる。

 やっぱりさっきの発言はNGだったらしい。当然だろうが…。


 恐らく鈍い音…多分殴ったんだろうな…。それもこの人だろう。違いない。




『さて今日も新たな1日が始まった。自分のために、各々努力をして有意義な時間を過ごしてくれ』




 その言葉を最後に放送は止まってしまった。




 ナニコレ…。

 朝の放送って毎回こんなノリなの!? だとしたらなんも言えねぇ…。

 とりあえず、一度寮に戻ってみるか? これが本当に朝の放送なら、生徒の人達も起きて来てるだろうし。




 そう考え、俺は寮へと引き返した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ