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神鳥使いと呼ばれた男  作者: TUN
序章 旅立ち
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12話 力の証明

 ガァァンッ!!




 俺は迫ってくる大剣を…左腕で防いだ。


 もちろんジャンパー部分でだが。…じゃないと腕が切り落とされるかもしれんし。

【衝撃耐性(特大)】のおかげか微動だにしない。


 内心本当に大丈夫か不安な気持ちもあったが…特に怪我もないようでなによりだ。




 シン…。




 さっきまでの喧騒はいったい何処にいったのか、一瞬でギルド内は静まりかえった。

 俺が視線だけ動かすと、ポポとナナ、そして目の前のオッサンを除き全員が呆然としており、口をポカンと開けている。


 …なんですか皆さん、ビームでも発射するんですか? ○ンピースの○シフィスタですか?


 とある漫画のキャラクターを思いだしつつ、俺は視線をオッサンに戻す。


 オッサンはというと、何が起こったのかわからないという表情をしていた。

 どうやら思考が停止している様子。だが大剣にはまだ力を込めており、腕がプルプルしているのが確認できた。


 まぁそうなるよね。生身で剣を受けられるとは思わないだろうし。


 そんな状態のオッサンに、俺は声をかける。


「どうした? こんなもんか?」


 ちょっとカッコよく言ってみた。

 そして後悔。めっちゃハズい。


 だが、オッサンの意識を戻すのには充分だったみたいだ。


「っ!? テッ、テメェ…いったい何をしやがったっ!?」

「…普通に左腕で防いだだけですけど?」

「バカなっ!? そんなことができるハズが!? おいお前r「うるさい」ぐふぅっ!?」


 仲間を呼ぼうとしてたので腹パンをかます。


 呼ばれたら面倒だからな。どうせ話聞かなそうだし。


 素早さ1000以上の神速の拳は腹にめり込み、オッサンの意識を呆気なく刈り取った。


 オッサンの大剣が手から落ち、オッサンが床に崩れる。


 死んではいない…と思う。

 一応軽く殴ったつもりなんだが…やり過ぎたか?




 ……(ピクピク)


 あ、生きてる。良かった~。流石に殺人はしたくない。

 未遂に近いかもしれんが…、まぁ問題ないだろ。


 さて…


「やるっていうなら、アンタらも相手になるが?」


 残った取り巻きに威圧感を込めて言う。

 コイツらは今の一部始終を見て腰を抜かしてしまったらしく、全員尻もちを付いていた。


「「「「ヒッ!?」」」」


 …大丈夫そうだな。

 この様子なら抵抗してこないだろう。ほっとくか…。


 ちなみにギャラリーはまだ静かだ。どーでもいいけど。


 取り巻きを放置し、俺は筋肉さんの受付で当初の目的を果たす。

 が、筋肉さんも呆然としており全く動かない。


「あの、大丈夫ですか?」

「ハッ!? ツカサさん!? 大丈夫ですかっ!?」


 声をかけるとどうやら意識を取り戻したようだ。

 心配した表情で聞いてくる。


「ええ、この通りですよ」


 左手をぷらぷらと振って大丈夫アピールをする。


「本当に…大丈夫なんですね…。最初はどうなるかと思いましたよ」

「できれば穏便に済ませたかったんですけどね…。ご迷惑をおかけしました」

「いえ、この人たち、新人の冒険者には手を出すし住民には迷惑をかけるで問題になっていたんですよ。だから迷惑などではありませんよ、これで良いお灸になったかと思います。むしろこちらからお礼を言わせてください、ありがとうございました」


 逆に感謝されてしまった。

 どうやらアイツらは色々と問題行動が目立っていたようだ。


 自業自得ってやつだな。天誅を下したのは俺だが。

 あと筋肉さん切り替え早いな…。


「それなら良かったです。それで、薬草とスライムの魔石を持ってきたのですが、換金をお願いできますかね?」

「あ、今日はそれでいらしたんですね? ハイ、大丈夫ですよ。それでその品はどちらに? 見たところ持っていないようですが…」

「『アイテムボックス』に全部収納してあります。大量に…」

「え? 『アイテムボックス』?」


 筋肉さんは疑問を浮かべている。


 まぁそうだよなぁ。昨日魔法の適性を調べてるような奴が使えるようになってるなんて普通は信じられないよな。

 ここにいるんだけどさ…。


「実際に見せた方が早いですね。この床を使っても良いですか?」

「えっと、はい。どうぞ」


 困惑してたが許可を貰ったので、『アイテムボックス』で薬草と魔石を取り出す。


 ドサッ!!


 先程見た山が再度出現する。


「んなっ!?」


 また驚かれたようだ。


 もうそれはいいよ…。


「あの、換金をお願いします。…どれくらいで完了しますかね?」


 できるだけ笑顔で答えたんだが、どうやら特に効果はなかったらしい。

 皆口をパクパクさせているだけだ。




 俺はもう、それ以上の言葉が出てこなかった。

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