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神鳥使いと呼ばれた男  作者: TUN
序章 旅立ち
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9話 ミーシャとフィーナ

 俺たちは飯を食いながら、今日のことについて話していた。


「さて、『アイテムボックス』が使えるようになったし、今日は薬草を刈りまくろうと思う」

「本当にやるんですか…。まぁ異論はないですけど」

「私はなんでもいいよー」


 昨日から言っていたことではあるしな。それに初めての依頼だし…最初くらいはいいじゃん。

 アイテムボックスがあるからきっと結構儲かると思う。

 まぁ、『アイテムボックス』を持ったやつが薬草の採取なんてするわけないだろうけど…。


「宿代が1泊銀貨1枚だから、その日の出費よりも多く稼ぐことを目標にしよう。そんでスライムを見かけたら戦闘の練習をしつつ魔核の回収も行う、って感じでどうだ?」

「薬草の方はあんまり乗り気ではありませんが仕方ありませんね。スライムの方はそれでいいかと…。戦闘の訓練は必須でしょうから」


 やっぱり戦闘訓練は必須だよなぁ。

 俺たちのステータスは高い。まぁステータスが全てというわけではないと思うが、正直なところ最弱と言われるスライムでは恐らく話にならないだろう。恐らくそれなりに強いモンスター相手でも問題はないと思う。

 だが、俺たちは戦闘というものを知らない。たとえ相手が弱小と呼ばれるスライムであろうが、そうしておかないと、なんというか自信も実感も湧かないんだよなぁ。

 それは恐らくポポもなのだろう。


 俺がそんなことを考えていると、ナナが口を開いた。


「…ねーねーご主人。どーしてポポと私のことをピー助、ピー子って呼ばなくなったのー?」


 急に話題が変わり若干反応が遅れる。


 というより気づいてたのか。いや…気づくか普通。

 今までそう呼んでたわけだしな。


「あ、ああ。そのことか。別にそう呼びたくなっただけなんだが…」

「ふ~ん? そっかー」

「そういえばそうですね…」

「別に気にしないでくれ」


 …。

 実はというと、急に知能が上がって俺のことをご主人と慕ってくれるコイツらを見て、テキトーな呼び方を失礼に思っていたからだったりする。

 ま、そういうことだ。ただそれだけ。


 話を戻す。


「さて飯も食い終わったしそろそろ行くぞ」


 そう言って俺はテーブルから立ち上がる。

 2匹は飛んで、俺の肩に乗ってきた。


 …なんかこれが普通になってきたな。

 俺ご主人だよね? なんか違う気がしてきた…。

 もういいや。


 そして食べ終わった食器を返すために返却口を探すのだが…見当たらない。

 仕方ないので厨房の方に直接持っていくと、キレイなお姉さんが俺に気付き、近づいてきた。


 年は20前半くらいか? 大人の女性って雰囲気が出ている。

 …いや、それ以上になんか神々しさすら感じる。うん、ホントキレイ。


「あら、どうかされましたか?」

「あの、食器の返却をしたかったんですけどどこに持っていけばいいのかわからなくて…。こちらでしょうか?」


 するとお姉さんは驚いた顔をして目を丸くしていた。


 そんな顔もキレイですぜ! お姉さん! 

 でも…なんで驚かれてんだろ?


「これはこれは、わざわざありがとうございます。食器なんてテーブルの上に置いておくだけで結構なのに…」


 ありゃ? なんか感謝されてるんですけど…。

 感謝されるようなことだろうか? まぁ昨日の夜はミーシャさんが持って行ってくれたけどさ。


 そう思いながら、お姉さんに食器を渡す。


「いえ、俺の住んでいたところではこれが普通だったもので」

「まぁ! 随分と礼儀正しいのね、貴方の住んでいたところって…。えっと、お名前をお聞きしても?」

「ツカサ・カミシロと言います」

「ツカサさん…ですね。冒険者の方かしら?」

「ええ、昨日ギルドで登録をしました。駆け出しですよ」

「あれっ!? ツカサさん? こんなところでどうしたんですか?」


 俺とお姉さんが話をしていると、ミーシャさんが厨房の奥からこちらに歩いてきた。


「あら、ミーシャ。食器洗いは終わったの?」

「うん。今ある分の食器は全部洗ったよ~。今乾燥させてるところ」

「あら、随分と早くなったわね? 前は随分と皿を割っていたのに…」

「私も成長してるからね。もう皿は割ったりしないよー」

「ふふふ、そうだと良いけど」


 随分と仲が良いようだ。

 というか…お姉さんとミーシャさんって似てるな。ただ猫耳はないけど…。


 そう、猫耳を除いて後はほぼ同じ特徴を持っていると言っても過言ではないというくらいに似ているのだ。


 んー、どゆこと? わかんないですねー。


 俺がそんな風に悩んでいると…


「それで、なんでここにツカサさんがいるの?」

「ツカサさんは、食べ終わった食器をわざわざここまで運んできてくれたのよ。それで少し話し込んでいたの」

「あ、そうだったんだ。それにしても珍しいこともあるんだね~。冒険者の人たちでそんなことした人見たことないよー。大抵の人は食べてすぐ出ていっちゃうし」

「そうよね。だからお礼を言っていたところだったのよ」

「う~ん。お礼を言われるようなことはしてないと思うんですが…」


 うん。これは本心だ。料理を作ってくれた人に対して感謝するのは当然だ。

 まぁ、全員が全員そうではないかもしれないが、少なくとも俺はそう思っている。親父や母さんの教えだ。


「ううん。こういう気遣いは本当に嬉しいわ。ありがとう」


 笑顔でお礼を言われる。


 ドキッ…


 お姉さんやめて~、惚れちゃいますぅ~(クネクネ)

 少々ポポとナナから視線を感じるがとりあえず無視だ。

 私はピュアなハートの持ち主だから…こういう耐性は皆無。だからこのクネクネは至って普通なのさ!


「じゃあ私その食器洗ってくるね!」


 ミーシャさんはお姉さんから食器を受けとると、厨房の方へと戻っていく。

 その途中…


「うわわっ!? …っとー。危ない危ない」


 転倒しかけていた。


 ドジっ子属性持ちなのかな? 可愛らしい。


「あらあら。やっぱりまだまだね~」


 お姉さんがクスクス笑う。


「いっ、今のはたまたまだよ!」

「本当かしらね~」

「~~っ!! ホントだよっ! お母さん!!」


 だそうですよ、お母さん。

 …。



 おかあさん…?




 …は?

 ちょっと待て、ミーシャさん、アンタ何て言った?

 お母さん? マザー? マミー?

 ハハハ、このお姉さんがお母さん? ナニイッテルンデスカ、ミーシャサン。お姉さんが人妻なわけナイジャナイデスカ…。




 え、マジか。結構衝撃的なんですけど。どうみたって若すぎるでしょ…。

 異世界だと割りきるべきなんでしょうかね? う~ん、ミステリー。


 あれっ? でもそのお母さんの方は猫耳とか尻尾が見当たらないけどこれは一体…。

 ミーシャさんハーフとかだったりするのか? 父親が獣人で母親が人間、みたいな感じの。分からんなぁ…。


「まぁしっかりと精進することね~」

「すぐに追い越して見せるもんっ!」


 俺があれこれ思案していると、ミーシャさんは厨房の方へと逃げるように去ってしまった。


 うん、その気持ち分かるよ。恥ずかしいよな、そういうの。俺も経験あるから同情する。

 …でもさ、そういうのにキュンとくる人もいるんだよ。…俺だけど。

 出来ればもう一回見てみたいです。


「あんな娘ですけど、仲良くしてあげてください。あの娘の年と近い人はあまりいないので…」

「ええ、俺なんかで良ければ」

「フフ…聞いていたとおりの人ね。ツカサさんは…」

「え? それはどういう…」

「実は昨日あの子から貴方のことについては聞いていました。礼儀正しくておとなしい冒険者が来たと…。容姿については聞いてませんでしたけどね。ですが今日貴方に会ってすぐに分かりましたよ。この人に違いないって…」


 どうやらミーシャさんはお母さんに俺のことを話していたようだ。


 あ、なんか嬉しいなそういうの…。

 男なら分かるだろ? 


「そっ、そうですか」

「あと遅れましたが、私はミーシャの母のフィーナと言います。『安心の園』の経営者代理をしております。よろしくお願いしますね。ツカサさん」

「いえ、こちらこそお願いします。フィーナさん。」

「それとポポくんとナナちゃんのことも聞いていますよ? よろしくね」

「そうでしたか。改めましてポポと申します。よろしくお願いします」

「ナナだよー。よろしくねー」

「聞いていた通り本当に話せるのね。不思議な感じがするわ」

「まぁ気持ちはわかりますよ」


 お母さんはどうやらフィーナさんと言うらしい。


 経営者代理と言っていたが、じゃあ経営者は誰なのだろうか?

 分かったら挨拶しとこうかな。お世話になるし…。




 それから少しの間、俺たちは話をしていた。




 ◆◆◆




「ご主人。そろそろ行きませんか? もうすぐ昼を過ぎてしまうのですが…」


 ポポにそう言われハッとする。

 どうやら結構話し込んでいたようだ。


 今日はお金を稼がないといけないんだったな。


「っと、そうだったな。すいませんフィーナさん。俺たちそろそろ行きます」

「あら? 引き留めてしまってごめんなさい。初依頼かしら?」

「そうなりますね」

「冒険者である以上難しいけど、怪我はしないようにね…。美味しい夕飯を作って待ってるわ」

「はい! 夕飯楽しみにしてます!」


 俺はそう言ってドアへと向かう。


「言ってらっしゃい」


 後ろからフィーナさんが言ってくれた。


 やっぱりこういうのはいいなぁ。なんか気分が良くなるね。




 俺は『安心の園』を後にした。

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