絶対必要
「なんだここは、ゴリラの楽園か!」とミラー。
「全然凶暴さがないじゃないか」とマック。
「麻酔銃は持ってきた?」とリンサ。
「ああ」
「調べてみましょう!」
バァン!一匹のゴリラが麻酔銃に倒れ、すやすやと眠り込んだ。
「右耳にライトをあててみて!」
「よし・・どうだ?」
「やっぱりだわ!マイクロチップが切り取られてる」
「何だって!」
「どうりでゴリラの楽園なわけだ・・」
「カエリコのやつらの仕業か?」
「それは考えにくいわ」
「じゃあ、いったい誰が?!」
「私達以外にも、この星を狙ってる者がいる?」
「あり得ないことでもないが・・」
「だけど不思議だな!」とミラー。
「なにがだ?」
「監視カメラには、そんな行動をするやつなんか映ってなかったぞ!」
「言われてみれば不思議ね」
「とりあえずのこのままではまずい!次の手を考えないと。急いでグレンに報告だ・・」
「なに、我々の邪魔をするやつが現れただと!」
「はい、ゴリラたちに埋め込んだマイクロチップが、すべて切り取られています」
「くそー、こんな回りくどいことをせずに、一気にやってしまった方が良かったか!少しばかり情をかけすぎたか・・」
「どうしますかグレン」とミラー。
「話し合いという選択肢はもうないのかしら?」
「そんなの無理さ!だから今回の作戦をとったんだ」とマック。
「それに時間もない!」グレンは言った。
進とジャンは、魔法の腕をぐんぐんと上げていた!
「あそこに大きな岩が見えるだろう」
「うん」
「二人の魔法の力を合わせて、あの岩を持ち上げるんだ!出来るか」
「デカっ!」
「進、チャレンジしてみよう!」
「よーし、ジャン準備はいいかい!?」
「いつでも!」
「プリプリ・パラパラ・エイ・・」
「動けー・・」
・・ギシギシ、ぐらぐら。
「いけー!」二人は声を合わせた。
・・バキバキバキ!
大きな岩は不思議な音をたてながら、静かに浮上していった!
「よーし、それを思いきり放り投げるんだ!」シンジは叫んだ。
「えーい!」
二人の掛け声とともに、浮かんだ大きな岩は遥か彼方へと飛んでいった!
「フウフウフウ・・くたびれたー」
「僕もだ・・」
「二人ともここまでよく頑張ったな!空も自由自在に飛べる。えらかったぞ」
「うん」
「もう私が教えることは何もない。あとは自分達でその腕を磨くんだ!」
「はい!」
「それと進、さっきのは何なんだ?プリプリとかパラパラとか」
「呪文だよ!魔法の・・」
「それって必要か?」
「絶対必要!」
「うん絶対必要です!」
「そうか・・?」
『見事だったぞ!進、ジャン』
「へへぇ~」
「何照れてんだよ!」
「進、ジャン、魔法は誰かの幸せのために使うものだ!自分の都合 だけでは決して使っては駄目だぞ」
「うん、わかってるよ」
「忘れるな!」
「兄さん、今日までありがとう」
「あなた、お疲れさま!」
「うん、あとはあの子達自身で、もっと大きな魔法を身に付けていくだろう!正義の魔法をな」
「一度カエリコの様子を見に帰ってくるよ」とラルフ。
「ああ」
「兄さん、一緒に行かないか?」
「俺は遠慮しとくよ」
「そうか・・」




