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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山スバル
第九幕 我らの祖国、ロスト・エンジェルスを守れ

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撤退戦へ(*)

 長めの金髪、どこか他人の考えを見透かすような赤い目、女性にしては高い身長、整った顔立ち。意識が薄れつつあるジョンが彼女に抱いた印象はそれだけだった。


「つかよ、死にかけの攻撃で情けない声あげるなよ。ディー」

「悪いが……コイツは友だちだったんだ。無自覚のうちに手加減してたのかもしれない。だが……もう殺すよ。コイツが死ねば、ロスト・エンジェルスの戦意は一気に下がるしな」


 D-スペックは仰向けに倒れ呼吸もまばらになっているジョン・プレイヤーに向け、拳銃を取り出した。いくらジョン・プレイヤーが化け物じみた強さを持っていても、死に損ないのいまならば銃弾一発で片がつく。

 だが、もはやここまでだろう、というD-スペックやスオミの考えは的中しなかった。


「ディーさん……アンタひとつ忘れてねェか? カイザ・マギアは魔力を抜き取るためだけのモンじゃねェって」


 ゲルマニア北海沿岸部分には、数千人に及ぶ兵士が展開されていた。その兵隊たちは元々、ロスト・エンジェルスを構成する島々を占領するために集められたものだ。一人ひとりの実力も決して弱いわけではない。

 けれども、彼らのほとんどはジョンのカイザ・マギアによって魔力をすべて奪われていた。この世界の人間は魔力が枯渇すると身体も満足に動かせなくなり、皮膚が青色に変色するほど血液や酸素に支障が出る。


「そこの人殺しも分かってるよな? カイザ・マギアは帝王や皇帝みたいな“王を統べる王”の素質を持つ者が使える一流の証。そして魔力を根こそぎ奪われた相手は……操り人形と変わりない!! さぁーて、行くぞ!!」


 そして、ごく一部の手慣れがカイザ・マギアを使えば、術中にはまった者は魂すらも奪われる。魂を持たない人間は人形のごとく、帝王の魔術を使った者の思い通りに動かせるのだ。


「……ふん。おれたちが展開した兵士、およそ3,000人を服従させてぶつけさせる魂胆か」


 手慣れの兵士3,000人はそう簡単に潰せないはずだ。ジョンの撤退戦が始まった。


 *


「それにしても、オマエの戦術ってゴリ押しばかりだよな」

「不満か? ポール」

「そりゃ魔力のほとんど使ってゲルマニアの首都ゲルマニカに軍艦ワープさせろ、って命令くだされりゃ不満くらい言いたくなる」

「でも、こうなると思って改良版の“シア・ハート・アタック”作ったんだろ? 4時間程度魔力が復する代わりに次の日まったく動けなくなる。まあ、興奮剤の副作用だと思えば安いよな」

「前つくったヤツは腕力しか強化できなかったしなぁ。よくあんな出来損ないを市場に回そうと思ったモンだよ」

「反省しているよ」


 ゲルマニアの帝都ゲルマニカに、ルーシたちはテレポートしていた。空間移動系の魔術の精通者であるポールモールがいなければできなかった芸当だろう。


「ま、過去を振り返っている暇はない。あと5時間以内にスオミの帝都を焼き払う必要があるしな……!!」


 軍艦がゲルマニカ中央天空に現れた。

1時間しか眠れなかったので更新です。

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