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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山スバル
第九幕 我らの祖国、ロスト・エンジェルスを守れ

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強さこそ美徳MIH学園へようこそ

 ふたりの巨漢は顔を近づけ、にらみ合う。

 その隙にアークはふたりから離れる。少年は青黒く腫れた右手に魔力を入れることで、無理やり再生させた。


「……」


 鉄火場みたいな状況の最中、アークの仕事用携帯が鳴った。


「もしもし」

『よう。()()()()()()()()に詰められたみたいだな』

「……なんでそれを知ってるんですか? クールくん」

『国防省にいるおめェらの動きなんて筒抜けだからな。ただまあ、右手まるごとへし折られても相手を睨むあたり、やっぱりおめェ根性あるよ』

「ありがとうございます。……じゃなくて、MIH学園の件はどうなったんですか?」

『ああ。たまたまおれの娘が登校しててな。10億メニーの幼女がなんとかするだろ』


 *


「そもそも魔術の使い方を思い出せないな」


 いよいよ学園内に無数の者が侵入してきた。警察や国防軍が出張ってこないと踏んだのであろう。

 そのため、これから有志で総攻撃を仕掛けようというときである。

 10億メニーの幼女ルーシ・レイノルズは、ここに来てとんでもない事実を暴露しやがった。


「……。アンタ、自己中過ぎ」


 メリットは呆れ返った。というか、この幼女の首を差し出す代わりにMIH学園を救おうと本気で思うくらい苛ついた。


「しゃーないだろ。パーラやホープをビビらせたくなかったんだよ。愛と平和の守護神として」

「だったら最前線まで降りる意味ってなに? ショック療法ってわけ?」

「近いかもな」


 そもそも歩く速度が遅ければ走るのも苦手なメリットと、現在杖がないと歩くこともできないルーシはダラダラと階段を降りていく。


 そんな中。


「うおッ」


 なんらかの魔術によって壁が崩壊し、ルーシが廊下の彼方まで吹き飛ばされてしまった。

 ただまあ、この程度の攻撃で死ぬようなタマでもないのも事実。メリットは首を曲げて音を鳴らし、ただ黙って静止する。


「こりゃ上玉だァ!! 3,200万メニーが息吸って吐いてるぞ!! てめェら、このクソガキをぶっ潰そうぜ──ぎゃあッ!?」


 瓦礫が音を超える速度で飛び立ち悲鳴が響き渡る中、メリットは怪訝な面持ちになった。確かに狙った通りの場所へ攻撃が通じたことは喜ばしいのだが、まさかこの程度の反撃でやられるような連中が、『強さこそ美徳』であるMIH学園へ挑んだのか? と。


「くっだらない……」


 メリットは大量の瓦礫に磁力を吹き込む。これだけあれば有象無象どもと恐るべき存在の選別ができるだろう。


「チクショウ!! 腕が!! 腕がァ──」


 間抜けな悲鳴が聞こえる頃、メリットの眼は厄介な敵を捉えていた。

 銀髪の髪に碧い目。美を極めし容姿。身長は150センチほど。


「あのクソガキ、あとで絶対シメる」


 何度も自分たちの世界を救ってきた外道幼女の魂を持つ、しかしあの幼女とはなにもかもが違う存在。オリジナルという王位を簒奪しようとするクローンたち。


「オリジナルの情婦か……」


 瞬発的にメリットの目の前に現れた『レイノルズちゃん』は、不遜に笑った。

吹き飛ぶか吹き飛ばされてばかりの幼女

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