クズの悪党で感情的なおれらの社長(*)
「アンタも後輩じゃないの?」
「もともと陰謀が云々ってのに興味がないからね~。私はただ、目障りで調子乗ってる同級生がくたばるように仕向けただけだよ~」
その妖精のような雰囲気と赤髪が特徴的な少女は、平然とした態度で答える。
「とりあえず、先輩たち全員限界だよね。私が出張るしかないか~」
校舎が盛り上がって生まれた生物らしき無機物、『ヒューマノイド』の対策が、いま最大の懸念材料だ。全長は20メートルを超え、すでに制御不能状態。顔だけが存在しない不気味な見た目は、なんの遠慮も持たずノース・ロスト・エンジェルス市──NLA市を焼き払おうとするのであろう。
「とはいえ~私ひとりじゃキビいな~……」
「安心して。ふたりがかりでも無理」
「それをキビいって言うんだけどね~?」
「だいたい、国防軍はなにしてるの? こんな大騒ぎ起こされて戦闘機ひとつ出さないなんて──」
途端、曇った天候すら引き裂くように、7機の戦闘機が現れた。
しかし、これはLTAS連邦国防軍の戦闘機ではない。いつだかスターリング工業の傘下に加わっていた傭兵企業の代物だ。
「……相変わらずあのクソガキは見透かしてくる」
「見透かす?」
「おそらく破壊せずに拿捕することを目的にするはず。『クーアノン』に一切の反撃手段を与えないために」
メリットはそんな『クソガキ』の態度に腹を立て、ストレス解消のためタバコを咥えたのだった。
*
「攻撃命令が出ました!! これよりピースキーパーは攻撃行動に移ります!!」
慌ただしく揺れる双翼のティルトローター機には、いつの間にかメントから離脱していたリヒトとパーラが乗っていた。
「リヒトくん……これなに?」
「かっけェだろ。ゲームみてーに爆撃もできるんだぜ?」
「いや、答えになってないからねっ!?」
「おれのホーミー、ルーシの考えが当たってたってことだよ」
「ルーちゃんの……?」
「このかっけェティルトローター機で、メントちゃんを始めとするみんなを回収する。まあ……おれも働くかね」
スターリング工業の幹部たちは全員出張っている。当然ルーシも。ならばリヒトが動かざるを得ない。この瞬間、自分で考えて行動できなければ、ルーシの盟友なんて名乗れない。
「んじゃ、おれは行ってくるわ」
パーラがリヒトの言葉を処理している間、赤髪の少年はパラシュートをつけて着陸地点を睨んでいた。
「えっ!? どこに!?」
「最終手段の息の根を止めにさ」
パラシューティングが始まった。パーラは最初から最後まで怪訝を隠せなかった。
「おれだ」
『リヒト社長ォ! 神経ガス乗っけた車は追跡済みだぜェ!! 社長が降りる場所の20メートル先だ!!』
「了解ッ! なあ、社長褒めてくれるかな?」
『社長の社長厳しいからなあ……』
「おれはあのヒトが大好きだ。クズの悪党のくせして、誰よりも感情的で、それでもかっけェヒトだからな!! そんなヒトに褒められたら嬉しいだろ!?」
『違いねェ!!』
ティルトローター機の見た目は『オスプレイ』でお願いします




