新生MIH学園へ
意味があるのか、ないのか。そんなこと、セリフにしたルーシにも興味はない。
そういう時間が流れれば、タクシーはすぐ新生MIH学園へたどり着いた。
「全然違うよね~!」
性格が故か、パーラはルーシのそういったセリフを交わすのがうまい。ルーシも無言になられても困るので、「近未来的で良い感じだよな」と返事する。
「メリットちゃん元気かな?」
「身体にすら糸貼っているだろうな」
「ん? どういう意味?」
「ほら」
会計を済ませているルーシが指差す先には、気温8度だというのにブレザーも着ないで、ワイシャツにリボンだけつけて、袖をまくっている変人がいた。
「メリットちゃんってちょっとずれてるよね……」
「今更だろう。イタイ年頃なんだよ」
現金で決済し、「ありがとうございました」という声とともにふたりは外に出る。
「ところで、ホープとは会っていたのかい?」
「うん! 結構遊んだ!」
「どうやら私たちは友人になってしまったらしい」
「良いことじゃん! 危ないヒトたちもすっかり大人しくなったし、学校始まるの楽しみだったよ!」
パーラは笑顔でルーシの手を引っ張り、新生MIH学園の門をくぐる。
「学校の中にレストランがあるのかよ。カフェもあるし……ゲームセンター?」
「そうそう! ゲームセンターできたんだよ! アークくんが頼んだんだって!」
「そういえばアイツ、ゲーム好きだったな。ちょっと行ってみる?」
「行こ!」
パーラもゲーム好きだ。ただうまくはない。普段ゲームなんてしないルーシに負ける程度である。
「裏側には喫煙所と……ガン・ショップ? これは誰の頼み事だよ?」
「え? ルーちゃんじゃないの?」
「学校に銃があったらダメだろう」
どうせ小学校も出ていない身分だが、ルーシはそれが故、学校を神格化している節がある。
「だったら誰だろ? 学校の設備に口出しできるのって、ランクAかランクSくらいだし」
「後輩が怪しいな。学内公示見れば分かるだろ」
学校内のインターネット回線と携帯電話をつなげば分かる話だ。
『MIH学園公示:生徒ランキング』というURLをタップして、ルーシは目を細める。
「やはりお姉ちゃんが主席なんだな。全体1位だ」
「キャメルちゃんこの前の壮麗祭で優勝したんでしょ!? だったら当然だよ!」
「あれを優勝と言って良いのかね」
「なにかあったの?」
「もう噂もされていないから、たいしたことではないさ」
MIH学園最大の行事、『壮麗祭』。トーナメント方式で生徒たちが魔術を使って闘う大会だが、あの出来事が反映されているのならば、確かにキャメル・レイノルズが主席なのも頷ける。
「……次席が私なのかよ?」
「え? マジ?」
パーラはルーシの巻取り式の携帯電話を見て、その情報を確認した。彼女は自分のことのように喜び始め、「やっぱりルーちゃんはすごいんだ!! いえーい!!」とルーシへ抱きつく。
「ああ、私はすごいさ」




