これがお姉ちゃんの善意で、正気である
「ルーちゃん、その水着やばくね……?」
集合。まずは全員の水着を確認していこう。
パーラとメント。普通だ。両者とも胸元は隠れるようひらひらしたフリルをつけている。
理由はシンプル。ふたりは貧乳だからだ。
メントに至っては半分男性だ。素晴らしい筋肉美である。骨格が女性らしいのと、ヒップのスタイルだけで女性感を醸し出している。
パーラも同様だが、彼女の場合は胸以外がしっかり女性らしいフォルムを描いているため、あまり気にならない。
リヒト。語ることもない。そういえばコイツ、タトゥー入れるとき日和って彫らなかったな、という感想しか出てこない。仕事的に腹筋は割れていて、傷跡がおびただしい数残っている。
タイペイ。どこから用意したのか知らないが、ルーシに合わせてマイクロビキニだ。気を使ったのだろう。ただ彼女の場合巨乳よりなので、ルーシのように異質には見えない。
「……だろうな」
表情は豊かだ。
頭をかしげて怪訝そうな顔するメント。
笑い転げて立ち上がれないほどのリヒトとタイペイ。
こんな姿になったことを心配しているようなパーラ。
「知っていたさ。どこかで思ったんだ。10歳児は10歳用の水着を着るべきだって。だが、私は負けた。まともな格好したいと思ってしまったのさ。私はキャメルお姉ちゃんを責めない。これは彼女の善意であり、正気だ」
最後に凄まじい嫌味を言い放ったが、今回ばかりはキャメルに文句を言える立場ではない。
「そんなわけで身体を焼くことにした。物事ポジティブに考えたい」
ふて寝と違いがあるのかは知らないが、ルーシはビーチベッドに寝転がる。サングラスをかけて、決して海へは出ないという意志を固めた。
「うん、とりあえず私ら海行ってくるよ。心の傷は時間が癒やしてくれるさ」
タイペイの一声で、連中は海へ行ってくれた。
ルーシはイヤホンをつけて、ロスト・エンジェルスのロックバンドの曲を聴こうとする。
「ん?」
ただ、残留者がいたらしい。パーラだ。
「私泳げないもん……だから身体焼くよ!」
「泳げねェのに来たのか。まあ私も泳げねェが」
「じゃあなんで海なのさ!」パーラは楽しそうに突っ込む。
「リヒトに言われたんだ。ちょうど良いんじゃねェかって」
「リヒトくんと仲良さそうだもんね! 私が知らないこと知ってそう!」
「アイツはおもしれェぞ。タイペイもな」
「タイペイちゃん、ルーちゃんがふたりに増えたみたいで不思議!」
傍から見れば性格は似ているらしい。ルーシは、「たしかにな」と返事した。
「でも、心配だよ」
「なにが?」
「急にルーちゃんがどっか行っちゃうような気がして……」
「補習しているヤツを連れていけねェだろう」
「そういえば、きょう学校始まるんだよね! メリットちゃんに会いたいな!」
「アイツこの前たまたま会ったが、全身工事完了したみてーだぞ。あんなのと関わっていたら、馬鹿だと思われそうだ」
「ルーちゃんだって刺青だらけじゃん!!」パーラは肩を叩く。




