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第2話

シャワーを浴びた後、テレビを付けると有名人が結婚した、政治の話、ご当地グルメの話。世の中は何かと話題に満ちている。

 そう思いながら、遠目でテレビを見つつ、少し焦げた食パンを食べ、コーヒーを飲む。

「今日は、お昼から夜までシフト入っていたはず……」

 デザイナーだけで飯を食える程、私は有名ではないため、スーパー店員で生計を補っている。

 他のパートのおばちゃんは良くしてくれるし、客からはイケメン店員として知られており、自分目当てに来店する人もいる。老いた店長も店の自慢として褒めてくれるし、デザイナーの仕事をしていることも知っているため、コンペ前はシフトの調整をしてくれる。また、品出し以外にも、売り場作りやポップ作りを任せてくれるし、はたまた新しい服のデザインを考えてほしいとお願いされたこともあった。給料は良いとは言えないが、良くしてくれる御恩で働き続けている。

「OP五分クッキング♪」

 テレビから流れて来た、長寿番組のオープニング曲が流れて来た。

「そろそろ、出発するか」

 先ほどまでパンが載っていた皿とマグカップを流しに置き、家を出た。



「いらっしゃいませ~」

夜になり、夕食の買い出しに来た主婦や帰宅途中に寄り道をするサラリーマン、部活帰りの高校生など、店は大賑わいをしていた。

「三番レジ、応援お願いします」

「合計で三四一七円になります」

「ありがとうございました」

「三番レジにお並びのお客様、四番レジへどうぞ」

 レジから聞こえてくる声。それを遠目に見つつ、トイレットペーパーの入った箱から棚へ補充する自分。

 タイムセールや特売になると、レジや品出しはとにかく忙しくなる。補充しても、すぐに無くなる。夏は飲み物の動きが激しいため、冷蔵棚に置いても冷えてないため、時に苦情がくる。

 単純作業に見えて、割と忙しいし、クレームも多い。

「うん、バッチリ♪」

 先ほどまで空だった棚を商品で満たしたという誇らしく感じる。

「でっ、次はレトルトコーナーか……」

 一か所が終わっても、次の補充が待ち受けている。

「あの~すみません」

「はい」

 バックヤードへ戻ろうとした時、後ろから女性の声がした。振り向くと若い女性。それも白くふわふわとした滑らで肩まで届く髪、グレーの防寒コートを着ていた。

「チラシに載っていた食器洗剤ですが、品切れでしょうか?」

「確認してきますので、お待ちください」

 早歩きで棚を確認し、棚に商品が無い事を確認した自分は急いでバックヤードへ向かい、在庫を確認した。自分の記憶通り、在庫はあったので、補充も兼ねて箱ごと持っていき、女性のもとへ向かった。

「こちらの商品でよろしかったでしょうか」

「はい、大丈夫です。ありがとうございます」

 女性は優しい笑顔でお礼を言い、レジの方へ向かった。呆然と立ち尽くす自分。なぜか女性の笑顔が印象に残った。今まで、同じ言葉を数えきれないほど聞いてきたが、あの女性の言葉は冷えた心を温めるかのように母性を感じさせる優しい声をしていた。

 なぜか言葉に表しきれない気持ちに悩んだ。持ってきた残りの商品を補充しようとした時、足元に何かが当たった。鍵のようで、先ほどは無かったので、多分、女性のものだろう。鍵を広い女性の行ったレジの方向へ向かおうとした。

「店員さん、ちょっといいかな。この商品なのだが、見当たらないのじゃが」

 杖をついたおじいさんが商品のことを聞いてきた。鍵をズボンの中に入れた。

「この商品はパッケージが変わりまして……」

 対応した後、レジに向かったが既に女性の姿は無かった。

 もう一度、会えるなら……。



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