第532話 私のレベルは……(ヴォルガロンデ、セシルステータス)
これやりたかったんですよ笑
コミカライズもよろしくお願いします!
お盆期間連続投稿!本日で終了です!
次回はまたいつも通りの日時で投稿します。
ガラガラと音を立てて崩れる水晶で出来た壁。
つい今しがた私が全力で殴ったヴォルガロンデが突っ込んだせい。
殴る瞬間まで笑顔だったのが余計に腹立たしいけれど、少しだけスッキリした。
「セシル! 何してるのだっ!」
「カッとなってやった。反省はしていない」
「若者の供述みたいに言っても駄目なのだ!」
「じゃあムカついたから殴った。もっと殴りたい」
「余計に駄目なのだ!」
うるさいなぁ、もう……。
どうせこのくらいじゃ怪我の一つもさせられないよ。
全力って言ったって出力制限を解除しただけだし、他のスキルは何一つ使ってない。
あのゼレディールが部下だか配下だったんだから、ヴォルガロンデはそれより強いはずでしょ?
「いたたた……もう、最近の若者は気が短いんだから……」
水晶の欠片をどかしながら起き上がってきたヴォルガロンデはやっぱり怪我らしい怪我をしていなかった。
服についた小さな欠片を払い落とすと、コキコキと首を鳴らしながら元の玉座へと歩いてくる。
「痛いって言う割には怪我一つないんだね」
「僕に怪我を負わせられると思ってた?」
思ってないよ。思ってないけど、平気な顔されているとまた腹立たしい気持ちが再燃してくる。
「セシルのレベルは約八万くらい。べ◯ータが最初にフ◯ーザと戦った時より低いよね」
「……前世ネタをいきなりぶっ込んでこられても……っていうか、貴方は六千年も生きてるのになんで知ってるの?」
よく考えたら普通におかしい。
前世で六千年前は縄文時代。鹿児島の鬼界カルデラが大爆発を起こした頃と言われ、当時の縄文文化を壊滅的なほど破壊した。
彼はその時代の人ということだろうか。
いやそれならド◯ゴンボールを知っているのはおかしい。
「管理者によって転生する時はね。時代はバラバラなんだよ。神による転生は時代がそのままなんだけど、管理者は割とそのあたりが適当だから」
「適当、で済ますには六千年って長過ぎると思うけど」
「実際そうだからそういうものと思ってもらう他ないよ。だって僕が前世で死んだのは二千飛んで十年だったんだよ?」
私が前世で死んだ九年前?
確かに時代が目茶苦茶だ。だけどその話は今関係あるの?
確かに彼の頑丈さには驚いたけど想定内ではある。何せ管理者代理代行。普通に怪我したりするのは不味い拙いだろうし。
「セシルはきっと今『その話関係ないよね』って思ってるでしょ?」
ヴォルガロンデは笑顔のまま両手を前に出した。
宴会の締めみたいな、所謂『お手を拝借』のポーズだ。
「関係あるようで、関係ない。でもきっと転生者なら驚いてくれると思って僕も意味無く頑張ったってだけの話だから」
「だからっ、何の話のしてるのよ!」
「君にわかりやすく言えば、僕と戦って管理者足り得る証を立ててくれたら僕はセシルに今の立場を容易く引き継げる。そういうことだよ」
「わかりやすくていいけど、そうじゃなくてっ……!」
彼の遠回しな話し方にイライラしてきた。
このままもう一回殴ってみようかと思った矢先、ヴォルガロンデの顔から笑みが消える。
「僕のステータスを鑑定出来るようにしてあげたよ」
きっとそれには意味がある、ということだろう。
彼にいいようにされてる現状が気に入らないけど、見ろというなら見てやろうじゃない。
ヴォルガロンデ・レガルディ
年齢:6189歳
種族:英人種/男・管理者代理代行
LV:532,077
HP:113,678M
MP:810,809G
スキル
出力制限 MAX
執筆 MAX
変身 MAX
ユニークスキル
感覚共有 MAX
殺意 MAX
吸収攻撃無効 MAX
異常無効 MAX
眷属強化 MAX
レジェンドスキル
解析 MAX
神技 MAX
並列存在 2
根源魔法 2
絶剣 2
絶槍 1
絶弓 1
絶闘 6
新奇錬金術 MAX
神速調合 MAX
神具創造 MAX
スキル生成 MAX
擬似生命創造 MAX
極限破綻 -
心絆ス者 -
神ノ指先 -
オリジンスキル
ヴォルガロンデ -
神の祝福
製造者<ロック解除>
タレント
管理者代理代行
転移者
転生者
武闘マスタリー
根源ニ至ル者
錬金神
薬神
魔工神
勇者
魔王
「見えたかな? そう、僕の戦闘力……じゃなくてレベルは『530000です』」
馬鹿げてる。
私は自分をチートの塊だと思っていたけれど、彼も同じだし長く生きてる分さらに手に負えないくらいの能力を持っているみたいだ。
しかもオリジンスキルが自分の名前って……何なの?
いや、何よりもこのセリフを言いたいがためだけにレベルをそこまで上げたことが何よりも彼の拘りと馬鹿さ加減を加速させていると言っても過言じゃない。
最高に馬鹿馬鹿しいけど、最強であることも間違いないのだから。
けどその最たるは彼のレベルだろう。
「まさかとは思うけど……それが言いたいがためだけにそこまでレベルを?」
「もちろん」
駄目だ。
この人凄いけど、その方向性も凄い……馬鹿っぽい。
「この世界じゃせいぜいレベルなんて十万もあれば敵なんていないしね。まぁ転移者とか、おかしな能力を持ってやってくる奴もいるけどさ。彼等はこの世界の神や管理者とは別の意思で呼ばれることもあるから」
転移者。
転生をしていない人達か。そういえば私は転移者にはまだ会ったことがない。転生もしている人は多いし、そういう人達はなるべく保護しているのだけど。
「ま、そのことはいいじゃないか。それより僕達にはやるべきことがあるだろう?」
「……そうね」
さすがに勝てる気がしない。
セシル
年齢:23歳
種族:英人種・亜神/女(管理者の資格・神の資格)
LV:80,722
HP:4,016M
MP:59,620G
転生ポイント:252,401k
スキル
言語理解 8
出力制限 MAX
魔力譲渡 MAX
補助魔法 MAX
付与魔法 MAX
人物鑑定 9
眷属鑑定 MAX
道具鑑定 9
スキル鑑定 MAX
宮廷作法 9
執筆 8
料理 6
変身 MAX
ユニークスキル
並列思考 MAX
感覚共有 MAX
炎魔法 MAX
氷魔法 MAX
天魔法 MAX
地魔法 MAX
殺意 MAX
超槍技 4
吸収攻撃無効 MAX
異常無効 MAX
戦闘解析 MAX
捕獲 2
眷属強化 MAX
錬金術 7
魔道具作成 MAX
レジェンドスキル
神技 9
生命魔法 8
暗黒魔法 9
時空理術 MAX
絶剣 MAX
四則魔法(上級) MAX
新奇魔法作成 MAX
スキル生成 MAX
擬似生命創造 MAX
暴君 -
限界突破 -
絆紡グ者 -
egg -
オリジンスキル
メルクリウス -
ガイア -
アフロディーテ -
セミラミス -
セクメト -
アスタルテ -
ウルカグアリー -
イシュタル -
ニュクス -
イザナミ -
神の祝福
経験値1000倍<ロック解除>
_%~#
タレント
転移者
転生者
亜神
武闘マスタリー
支配者
錬金術士
魔工技師
勇者
暴君
憤怒
滅ボス者
まさかレベル差七倍以上とか、ね。
オリジンスキルの検証はちゃんと時間を見てユアちゃんのところでしてきたけど、それでどうこうなる話じゃ無さそうだし。
「それじゃ、早速始めようか」
ヴォルガロンデが腕を振るうと空間がぐにゃりと歪んで真っ暗な場所へと強制的に転移させられた。
よく見てみると真っ暗なところではなく、この場所が夜なのかと思いきや足下の方は明るさを感じられたため下を見てみると、そこには青い大地が広がっている。
これって、まさか?
「ここなら遠慮することないよ。こういう時のために作っておいた場所だからね。相応しい者には相応の場所とイベントを用意しなきゃ」
---超特殊条件を満たしました---
---管理者代理代行による継承儀式の開催---
---起点となる者の管理者の資格を確認---
---これより継承儀式を行います---
---超高レベル者同士の戦闘を確認しました---
---空間隔離。世界への破壊行為阻止解除。決闘システム起動。オリジンスキル選択権獲得戦闘へと移行します---
---継承成功時に特典が付与されます---
イベント、ね。
「ねぇ、ヴォルガロンデ」
「なんだい?」
「悪趣味とか意地が悪いとか、言われたことない?」
こめかみを流れる汗を拭いもせずに両手に短剣を取り出してゆっくりと構える。
「セシルが理不尽だと言われたのと同じくらい、あるよ」
ヴォルガロンデは楽しそうに笑い、右手に剣を取り出して握った。
直後、私はスキルによるステータス上昇効果を全て有効にすると、神気を纏って亢閃剣を彼に向ける。
手加減無しの一撃。
しかし私が持つスキルは彼もだいたい持っているので、まともに効果があるとは思えない。
「いい攻撃だね。思い切りも良い」
「暢気に喋ってんじゃない、よっ!」
続けてヴォルガロンデの周りに光の壁を作り出し、最後に自分の足下にも一枚作ると全力でそれを踏み込んだ。
「金閃迅!」
パンッと乾いた音が響いて自分の体が瞬時に音速の世界へ突入する。
「来いっ!」
至近距離で繰り返される音速の刃を全てヴォルガロンデに叩き込むけれど、その全てを自分の剣で受け止めていった。
ガキィィィィン
最後の一撃も彼の剣で受け止められると、私は一度距離を取る。
まさか全部防がれるとは思わなかった。
「凄まじい攻撃だったよ。セシルのレベルは八万くらいだけど、攻撃だけに限って言えば僕とほとんど変わらないんじゃないかな?」
「その割には全部防がれちゃったんだけど?」
「そうでもない。実際結構ギリギリだったんだから」
レベルが全てじゃないことは私でもわかってることだけど、それにしたって私とヴォルガロンデとでは桁が違う。
「その証拠に」
続く彼の「ホラ」という言葉が聞こえるのと同じタイミングで私はヴォルガロンデの剣から放たれた突きの一撃を何とか受け止めた。
この近距離で、音が届くのと同時に攻撃を当ててくるとかどういう速度なのよ。
「ね、セシルと同じくらいでしょ?」
ね、じゃないよ。
五十メテルくらいしか離れてないから、彼の声が聞こえるまでにかかる時間はコンマ一秒ちょっと。
私にも出来るか出来ないかで言えば出来るけれど、あそこまで余裕のある表情はしていられないと思う。
そしてそれを可能にするのは私自身のレベルやステータスじゃない。
「何となく掴めてきたかい?」
「えぇ、何となくね」
「それは重畳。では、続きといこうよ」
笑顔の彼は再び剣を瞬かせた。
気に入っていただけましたら評価、いいね、ブックマーク、お気に入り、レビューどれでもいただけましたら幸いです。




