27話
男を縄で縛り付けると、師匠がすこし呆れたような顔をしていた。
「どうかしましたか?師匠」
「ん?あぁ…いやぁ、相変わらずお前の『気剣』はすげえなって思っただけさ」
「『気剣』?なんですかそれ?」
と言うと師匠は驚いた顔をしているが、その理由が分からない。
気剣を知らないということが問題なのだろうが、それを俺は初めて聞いた。
「おまえ…今まで知らなかったのか?ロベルトに教わったんじゃないのか?…もしかして、自然と出来たやつか…?」
「えぇ…まぁ」
と言うと師匠は大きくため息をついた。
「はぁ…これだから、天才ってやつは…いいか?『気剣』ってのは剣に気を流すんだ。すると剣は赤く輝き切れ味も倍増する。だけどな…この技は一朝一夕で出来るもんじゃねーんだよ。それこそ何年もかけて習得する業だ、それでも誰かからの教えがあってこそだけどな」
と師匠はめんどくさそうに頭をかいた。
「まぁ『気剣』ってのは危険だから扱いには気をつけろ…」
と、言うと辺りが急激に寒くなり、師匠はすこしづつ顔が赤くなっている。
「あれ?師匠…氷魔法でも使いました?」
「う、うるせええ!さっきのことは忘れろおおお!」
師匠は失態から焦っている。そういう姿はなかなか見れないので、すこしにやっとしてしまう。
「て、てめえ!笑いやがったな!あぁ、いいさ!手抜いてやんねーからな!」
「ちょ!師匠!それは大人げないですよ!」
と今度は俺が焦ってしまう。
そしてお互いに顔を見合わせて、盛大に笑った。
翌日、師匠は捕らえた魔物使いを連れてちょっと遠くにある街に連れて行った。
その間、俺は一通りの訓練を終えると、気剣を使った練習をする。一度剣を振ると地面に亀裂が入り、もう一度振ると木の葉が散る。
そしてその舞い散る木の葉を剣で斬ろうとしたが、案外うまくいかなかった。
(む…どうしたものか…)
そして考えると、ひとつ案が思いついたので実行してみる。
目にかなりの魔力を込める。すると今まで以上にものを良く捉えることができ、木の葉もいともたやすく斬ることができた。
その結果に少々満足していると、近くをなにかが通り過ぎる。
俺はそれを見ると、ツバメに似た鳥だった。
そして剣を振ったがうまくすべてを避けられた。
(くっ!あたらない…!ふふふ…ロマンに燃えてきたぞ!)
俺は氷の剣の形状を変化させ、刀の形にする。
そして、少し待つとツバメは旋回して再度こちらに向ってくる。
(さぁ!こい!)
そしてツバメが近づいてきたところで刀を構えて、目に大量の魔力を込める。
そして、間合いに入ったところで刀を振るう。
「秘剣!”燕返し”」
そして刀は動きを確実に捉えていた。避けようとするツバメの兆候を読み取り、刀はそのツバメを両断した。
(よっしゃあ!ふふふ!刀はやはりロマンだな!)
俺はその結果に大満足だった。
そして、その後は魔力の増加訓練である魔法石を食べるが、未だに限界があるようには思えない。
(それにしても大分増えたけど、大丈夫だよね?生まれ時の100倍以上も増えてるわけだけど…)
と限界を知らない俺の魔力の増加量に我ながら恐怖を抱いてしまうフリードであった。
誤字脱字等ありましたら、お願いします。
最近地元ではインフルエンザが大流行して自分もそれにかかったかとおもえばただの体調不良というオチでした。
みなさんも寒いので健康にはお気をつけて




