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兄との再会⑮

(な、なんだ!? 体が勝手に!?)


 ルベックは自分の身に何がおこったか分からず困惑していた。自分の意思とは関係なくいきなり仲間のはずであるイーブス達に襲いかかったのだ。


「がぁ!!」


 叫び声があがるとイーブスの連れてきた部下の一人の首が斬り裂かれ崩れ落ちた。すでに絶命したであろう仲間の死に関心を示すことなく次の相手に襲いかかる。


「止めろ!! 何のつもりだ!!」

「てめぇ裏切りやがったな!!」

「ぶっ殺してやる!!」


 イーブスの連れてきた部下達は激高してルベックの部下を迎え撃つ。突如始まった悪食(イベルジスト)同士の殺し合いにシオン以外は困惑していた。


「ルベック、何のつもりだ?」


 イーブスが襲いかかってきたルベックの攻撃を避けながら言う。その声からは別に怒りの感情は受け取れない。冷静にルベック達に何が起こったかを確認しようという意図である。

 しかし、ルベックはイーブスの問いには答えずにそのまま拳を振るった。拳を振るう際に文様が光を放ったことから本気の攻撃である事が窺える。

 ちなみにエルリアの治療のおかげでシオンに抉られたルベックの右目は再生していた。


(イーブス!! 逃げろ!! こいつらは手を出しちゃいけない奴等だ!!)


 ルベックは心の中で叫ぶがそれが表面上に現れる事はない。ルベックは自分と部下達がイーブス達に襲いかかっているのをシオン達の「スキル」であることはわかっている。

 しかしルベックがシオンに対して“手を出してはいけない”という思いを持ったのはスキルの内容が凶悪だからではない。シオンが躊躇いもなく(・・・・・・)そのスキルを使用しているという事実である。

 どのようなスキルを持っていてもそれを使用できるかどうかは別問題なのだ。シオンはそのスキルを使用すれば人死にが出るのを承知で使用している。この事はシオンは敵を斃すために一切の容赦はしないという事を示しているのだ。


 ルベックは確かにシオンに敗れた。その時に自分を殺さなかった事に“とんだ甘ちゃんだ”と評価していたのだが、それは間違いだった。シオンが自分達を殺さなかったのは単に自分を殺さない事が利益になる(・・・・・)ためである。それに気づいた以上、ルベックにとってシオンは恐ろしすぎる存在となったのだ。


「ふん……答えないか」


 イーブスはルベックの攻撃を躱しながら返答がないことに失望した様子であった。


 イーブスはルベックの拳を躱し、掌に発生させた風の塊をルベックへと放つ。風の塊はルベックに触れた瞬間に弾けるとルベックを斬り刻んだ。


「が……」


 ルベックの口から苦痛の声が発せられたが倒れ込むようなことはなく、そのままイーブスへの攻撃を続ける。ルベックは魔力による身体強化を行っていたために浅手で済んだのだ。


「やはりこの程度では止まらないか」


 イーブスは静かに言う。しかしその時イーブスの背中に衝撃が走った。その衝撃にイーブスの体勢は崩れる。


「な……」


 突如発した衝撃の正体を確かめるために後ろを振り向くとそこにはルフィーナが片足を上げた状況で立っているのが見えた。ルフィーナが後ろから蹴りつけたのは明らかである。

 ルフィーナは気殺(けさつ)のスキルを使いイーブスの背後に回り込んでから攻撃を行ったのだ。イーブスはルベックに意識を向けていた事と気殺によってルフィーナを完全に意識から外してしまったことで完全に無防備で受けてしまったのだ。


「何余裕ぶってるの? あんたは今追い詰められてるのに鈍い男よね」


 ルフィーナの言葉にイーブスは不快気な表情を浮かべた。年端もいかない少女に挑発されそれを聞き流すほどイーブスの器は大きくないのだ。


「貴様!! ……がっ!!」


 イーブスがルフィーナに殺意を向けた瞬間に今度は後頭部に衝撃が走った。今度はシオンがイーブスの後頭部を蹴りつけたのである。


「いやいや、鈍いなんてもんじゃないな。俺もいることを忘れるなよ」


 シオンの言葉がイーブスの怒りをさらに煽る。イーブスが怒りの表情を向けたところにルベックの部下が倒れ込むイーブスに襲いかかってきた。


「く……」


 イーブスはその攻撃を転がって躱しつつそのまま立ち上がった。そこにルベックがイーブスに強烈な打撃を放つ。


 ドゴォォ!!


 イーブスは何とかルベックの攻撃をガードする事に成功するがその衝撃は凄まじものであったらしくそのまま吹き飛んでしまう。


 ズザザザッ!!


 イーブスは地面を転がった所にシオンの命令が発せられる。


「よし、やれ」


 シオンの命令を受けたルベック達全員がイーブスへと殺到する。ルベックの部下達の中には目の前の相手を無視してイーブスへと向かう者もおり、相手は一瞬虚を衝かれた形になる。


 その虚を衝かれた所をルフィーナが襲う。


「え?」

「は?」


 ルフィーナの双剣がイーブスの部下の腕を容赦なく斬り飛ばした。腕を斬り飛ばされた部下達は呆然とした表情を浮かべ、それからすぐに痛みが襲ったのだろう絶叫を上げた。


「ぎゃあああああああああ!!」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!! お、俺の腕がぁぁぁぁあ!!」

「うっさい!!」


 ガギィィィ!!

 ギキィィィ!!


 絶叫を放つ男達にルフィーナは何ら同情することなく。剣の柄で男達を殴りつけた。しかも殴りつけた箇所は人中という鼻と口の間の急所である。容赦なく急所を打たれた男達はそのまま昏倒する。


「くそが!!」


 一方でイーブスは襲いかかる部下の攻撃を転がって躱し立ち上がると先程ルベックを斬り刻んだ風の塊を追撃を行ってきた部下に放つ。


 シュバババッババッバババッバババババ!!


 風の塊が弾け直撃を受けた部下の二人は細切れとなり周辺に飛び散った。ルベックは肉体を強化していたために死なずに済んだのだが、ルベックのような防御力を持たない者ならば肉片となるほどの威力だったのだ。


(へぇ……中々の威力だ。使えそうな能力だな)


 シオンはイーブスの作り出す風の塊について興味を示すと即座に行動に移す。シオンは「魔拳」の木札を割りスキルを発動する。シオンはこの時、「瞬神」ともう一つのスキルを解除することはしなかった。

 普段なら一つ残しておくのだがここで決めるつもりであったので、三つの枠を使っても問題無いという判断なのだ。


 シオンはイーブスの間合いに入り込むとそのまま肝臓の位置に重い一撃を入れる。肝臓に痛撃を受けたイーブスは動きが止まる。


「いくぞ……」


 シオンが口を開くのと右拳がイーブスの顎を打ち砕くのはほぼ同時だった。


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