設定など
周囲の環境やステータスについて記載しました。
読まなくても本編には影響ございません。
3章までの設定資料と補足になります。
■世界のダンジョンについて
ダンジョンは世界で10か国のみ出現する。国内でダンジョンの数は増えるが、決して国境をまたぐことは無い。例えば、アメリカのワシントンにはダンジョンがあるが、すぐ近くのカナダのバンクーバーには出現しない。一方、他国を侵略し、自分たちの領土とした場合、ダンジョンが出現するようになる。
出現国は、日本、アメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランス、ドイツ、アルゼンチン、サウジアラビア、ケニア。
出現しないというだけで、他の国の国民がダンジョンに入れない訳ではない。カナダの国民がアメリカのダンジョンに入ることは可能。日本は九州のダンジョンを世界的に開放しており、毎年ダンジョンを所有しない各国の精鋭が利用している。
■日本のダンジョン
日本には20個のダンジョンが出現している。この数は中国、アメリカに続いて3位。
ダンジョンの内訳は、深層2個、中層5個、低層13個である。低層は1~3層まで、中層は1~6層まで、深層は1~どこまで続いているかは未確認。
■世界情勢について
探索者が暴れている国が多発。特に、ダンジョンを保有していない国では探索者への対抗手段がないため、探索者に乗っ取られた国も存在する。
それらを踏まえ、日本は治安維持のために他国の軍人がダンジョン利用することを許可している。一方で、許可しているダンジョンは低層であり、存在進化を迎えるためにはかなり厳しい審査を突破しなければ中層ダンジョンを利用できない制限はされている。
つまり、日本に逆らった場合は特級探索者がお相手しますねと圧力はかけている。
■国内情勢について
探索者に対し、有効な手立てがないのが一番の問題。これは各国共通。
警察学校や自衛隊などはダンジョンでレベル上げを行っているが、プロの探索者と比較すると数段落ちる。彼らは国を守るためにその道を選んだのであり、命懸けでモンスターと戦うダンジョンへはそこまで力を入れられず、そもそもダンジョンに通い続けるわけにはいかないため、レベルも上げられない。一部生え抜きの部隊はそうした訓練を受ける者もいるが、絶対数は少ない。また、外国の人間が探索拠点としている九州のダンジョンの治安維持などに駆り出され、常に人不足。
そのため、ダンジョンが無い都道府県では、警察も探索者たちに対し対応できず、元探索者による犯罪行為が横行されるケースも多い。度が過ぎれば粛清されるが、ヤクザや半グレが行っているレベルの犯罪であれば地元の警察が対応せざるを得なく、無法地帯となることも。
これらの探索者・元探索者による犯罪が増加し、探索者の厳罰化や締め上げを求める声も上がっている。
■探索者の犯罪が横行する背景
探索者が好きにできるのは、探索者を取り締まる者がいないからである。警察では一定以上の探索者にはレベル的に手が出ず、存在進化を済ませたようなレベルの警察や自衛隊は軽微な犯罪で駆り出されることは無い。
他の探索者が取り締まればよいのではとなるが、これが難しい。モンスター相手であれば、対策することで命の危険を減らすことができる。例えば、炎の魔法を使うモンスターが相手であれば、炎耐性の防具や装飾品を身にまとえばよい。水魔法が弱点のモンスターであれば、水魔法の効果がある『水刃鼬の尾』のような武器や水魔法使いをパーティに入れればよい。
しかし、探索者が相手では何を使ってくるかわからないのだ。スキル構成も、レベルも、所持しているアイテムも、多くの不確定情報がある。これでは、取り締まる側が殺されるリスクが高すぎる。レベルも上がらないダンジョン外で犯罪探索者と戦おうと思う現役探索者は滅多にいない。リスクが高すぎる割に、リターンが全然ないからだ。
動物を狩猟するマタギに、凶悪犯を射殺してくれと頼むようなものだ。注意書きとして、凶悪犯が爆弾や銃器を所持しているかもしれないとあれば、誰が引き受けるというのか。
更に、犯罪探索者は対人戦闘に慣れている者も多いため、余計他の探索者の協力が得られなくなる。
結果、レベルを上げた探索者に対して取り締まりが難しく、各地で元探索者を筆頭とした犯罪組織などもできてしまっているのが現状である。
■レベルアップ時のステータスについて
容姿の変化が行われるのはレベル10までである。そのため、レベル10で不細工だった者は、その後頑張ってレベル100までレベルを上げても不細工である。レベルに応じてオーラのような凄みは増すものの、見た目への変化はない。そのため、育成所では見た目への変化があり1層1区だけで済む、レベル10まで育てているのだ。
ダンジョンではレベルアップ時に、4段階の成績がつけられる。その成績に応じて、配布されるステータス量が決められている。
成績1ではステータス量は1~2の上昇量しかない。育成所などがこれに該当する。リスクがほぼない状態での探索を行うと、成績1とされる。探索者高校の生徒でも、成績が下位の者はレベルアップ時に成績1に該当する者もいる。
成績2ではステータス量は3~5の上昇量が得られる。成績2の上位だったとしても、全て5がもらえるというわけではなく、3~5のステータスはランダム配布される。つまり、成績2を引き続ければ、ステータスの平均は自ずと4となる。
成績3ではステータス量が6~8の上昇量となる。探索者高校の生徒の成績優秀者がこの成績を取れる。大体は2と3を行ったり来たりする。
成績4ではステータス量が9~10の上昇量である。かなりのリスクを取った者のみこのステータス量を得られ、一級や特級探索者を目指すなら成績4の取得割合が5以上は欲しいところである。
これを踏まえ、現在の登場人物たちのおおよその取得割合を説明する。
鈴鹿はほぼ成績4のみの超優秀成績者である。一度だけヤスと探索していた時に成績3となったが、それ以降は成績4である。鈴鹿のステータス上昇量は平均9.5であり、高水準を維持している。
ヤスはレベル10までに成績3が3回、成績4が6回出ている。ヤスの場合、酩酊羊をはめ殺ししたり、安全よりの戦いをしたことがあったため、成績3が3回ある。それでも、ステータス上昇量は平均8.5であり、優秀な成績を収めている。
zooのメンバーの平均上昇量は8.5。成績4が6割、成績3が4割といった程度。今回水刃鼬に押し負けたが、そもそもzooはあの日初めて1層3区に踏み入れたため、そのレベルで水刃鼬相手に生き延びていたというだけで十分凄いことである。鈴鹿も1層3区でレベル上げを行ってから、エリアボスに挑んでいる。
zooの上昇量であれば、一級探索者は確実、スキル次第では特級探索者に至れるレベルである。
Parksのメンバーの平均上昇量は5.8。1層1区での貯金があるため少し高い。成績2と成績3が五分五分くらいの上昇量。このままいけばレベル100は超えられるが、レベル150へは至れない。
Urbanのメンバーの平均上昇量は4.6。探索者高校の平均程度。レベル100に至れるかどうかの瀬戸際。弱いわけではないが、強くもない。
■鈴鹿について
各種ステータス上昇量を見ると、ソロで探索している鈴鹿の平均上昇量と、4人で探索しているzooの平均上昇量が近いことに違和感をもたれたかもしれない。そんなにzooはリスクを負っているのかと。
これについては、鈴鹿が異常であり、システム上限があるからこうなっていると説明せざるを得ない。つまり、どれだけリスクを取っても成績の上限が4であるため、成績4しかもらえないのである。
例えば、80点以上を取れば成績4という条件の場合、zooたちは80点前後を取得するため成績4と3の間を行ったり来たりしている。一方、鈴鹿は追加課題まで仕上げて200点取っているようなものである。80点以上は成績4だから、それ以上点数を重ねてもステータス的には意味が無いのだが、鈴鹿は頑張ってリスクを毎回積み上げているのだ。
そのため、ソロ探索者である鈴鹿と4人パーティのzooのメンバーのステータス差は、レベル差を除けば大きくは無い。
では無駄なリスクなのかというと、そういうわけではない。リスクを積み上げればその分ダンジョンは応えてくれる。それはスキルだったりアイテムだったり、恩恵は様々だ。兎鬼鉄皮でリスクを積み上げたことで魔力感知というスキルが発現したように、ステータス以外のモノで恩恵を受けられる。
レベル差やステータス差に大きな差が生まれなければ、物を言うのはスキルやアイテムである。ある程度まではステータスは重要になってくるが、より先に進むのならば、それ以外も考慮する必要があるのだ。
その最たるものが四章では訪れるので、ぜひ四章もお付き合いいただけると、鈴鹿のリスクを積み重ねた結果を知ることができる。




