24話 映画
「あれ、鈴鹿出かけるの? ダンジョンは休みにするって言ってなかった?」
支度をしてリビングに降りると、洗濯物を畳みながらテレビを見ていた母親に声をかけられた。
「うん。映画見に行く。夕方には帰るよ」
「あらいいわね。ヤス君と?」
「いや、あいつは裏切った」
ヤスは映画に誘ったが、塾の女の子と観に行ったとのたまった裏切り者だ。羨まけしからん奴なのだ。
「立川行くの?」
「そうそう、立川」
「電車気を付けなさいね。青梅行き乗らないように」
「はーい、気を付けるよ。行ってきます」
「はい、行ってらっしゃい」
母に見送られ、鈴鹿は目的地である立川まで向かった。
◇
この世界に来て初めて訪れた立川の駅は、昔と変わらず活気があり栄えていた。映画館は八王子にもあるが、立川の映画館の方が大きくて有名だ。音響がいいらしいのだが、鈴鹿はあまり理解できていない。
映画のチケット売り場に着くと、今日共に映画を観るメンバーの一人がいた。
「あ、え、えっと、おはよう」
鈴鹿のたどたどしい挨拶で気づいたのか、眼があった。今日も今日とて黒紫色の長い髪をツインテールにまとめている。地雷系のようなメイクをばっちり決めた彼女の耳には、多くのピアスがされていた。恰好は昨日見た疾風兎の防具ではなく、今日はV系っぽい装飾品の多い服装をしていた。
美しく整った顔で黙って立っていると、本当にお人形のように見える。
「あ、おはよう。早いね」
「あ、ああ、うん。そうでもないよ」
鈴鹿がおどおどしているのは、相手が知り合いの知り合いだからだ。他人であればむしろ話しやすい。だが、知り合いの知り合いってのがダメなのだ。何もしゃべれなくなる。
どうしてこうなったのかと言えば、昨日にさかのぼる。
昨日は1層3区の探索最後の日だった。3区にいるエリアボスを順番に倒していくエリアボスラッシュをしていると、最後の一匹である水刃鼬の姿が無かった。
誰かに倒されたのかとがっかりしながら帰る途中、鈴鹿にとって探索者の唯一の知り合いである希凛が水刃鼬と戦っているのを見つけた。近くで様子を見ていたらピンチそうだったので助けに入ると、なんと希凛が水刃鼬を譲ってくれて最後に戦うことができたのだ。
水刃鼬は問題なく倒したが、残念ながら剣術のスキルレベルは上がらなかった。水刃鼬は手数の多いモンスターであり、剣術のスキルレベル上げにはもってこいだと思っていたのだが、ままならないものだ。
そんなこんなで水刃鼬を倒したはいいものの、周囲を見てみれば疲労困憊で屍のようになっている探索者が転がっていた。あの様子なら『勝手に得物を横取りしやがって!!』とはならなそうで安心したものだ。
水刃鼬も倒したし、希凛に挨拶だけでもと思って話しかけた。ついでに探索者高校ってこうやって何人も集まってレイド戦でエリアボスと戦うの?と、疑問に思っていたことを聞いてみると、希凛に笑って否定された。
昨日のはモンスタートレインによるもので、エリアボスはそれに引き寄せられただけだという。だからエリアボスと戦う準備もできていなかったので、代わりに倒してくれて助かったよと。
鈴鹿も一度巨大なモンスタートレインを作って、3匹のエリアボスを集める効率の極みを実践してみようかと模索したことがあったが、周囲の探索者にも迷惑がかかるため断念したことがあった。まさかそれを実践する探索者が探索者高校にいるとは、なかなか気合の入ったやつである。
それだけの規模のモンスタートレインであったが、鈴鹿が加勢したあの場には重傷者はいなかった。水刃鼬に斬られた子もポーションで回復したそうなので、死ぬようなことは無い。
しかし、モンスタートレインを起こしたパーティのメンバーは一人モンスターにやられてしまったらしく、口を濁していたが恐らく死んでしまったのだろう。疲れてるだろうに、希凛達以外の探索者は鈴鹿にお礼を言うとそのはぐれたメンバーを探しに行ってしまった。遺品でも拾いに行ったのだろうか。
残された鈴鹿と希凛たち。鈴鹿も門限があるため帰ろうとしたときに、希凛に声をかけられたのだ。
『何かお礼をしたいんだけど、何がいいかな? 用意できるアイテムは兎鬼鉄皮や新緑大狼のアイテムぐらいだけど』
エリアボスのアイテムはかなり貴重で、1個100万円はくだらない。それに、レベルが上がればもう二度と戦うことができないモンスターでもあり、アイテムは使わなくても記念にとっておく探索者も多いという。
そんなアイテムをくれるというのはありがたいが、別に鈴鹿は欲していなかった。むしろ、最後に水刃鼬と戦えてお礼を言いたいくらいだった。
『いや、別にいいよそんなの。大したことしてないし』
『それはダメだよ鈴鹿ちゃん。探索者はこの手のことはきっちりしないとね』
探索者として鈴鹿よりも知識が豊富な希凛がそう言うならば、そうなのだろう。彼女としても、貸し借りを無しにしておきたいのかもしれない。
だが、鈴鹿は別に何か欲しいものがあるわけではない。何と言おうかと数秒悩み、鈴鹿は閃いたのだ。
『それならさ、明日映画行かない? サマー〇ォーズ』
ヤスと行こうと思っていた映画だ。サマー〇ォーズは観たことあるし、元の世界でも劇場で観に行っていた。だが、いいものは何回観てもいいのだ。この世界の鈴鹿の身体に、銀幕でサマー〇ォーズを見せる必要があるのだ。
一人で行こうと思ってたけど、希凛が来られるなら一緒に観た方が楽しめるだろう。映画も観たいけど、メインは情報交換だ。
先ほどのモンスタートレインをレイドだと勘違いした件といい、やっぱり俺は探索者についてあまり詳しくない。いずれ大きなミスを起こすかもしれないし、詳しそうな希凛に話を聞いておきたい。映画を見終わった後、ご飯でも食べながら情報収集できれば万々歳だ。
『映画? それは構わないけど、本当にそれでいいのかい?』
『もちろん。明日行く予定なんだけど、大丈夫?』
『大丈夫だよ。みんなも大丈夫だよね?』
そこで鈴鹿は希凛と食い違っていることに気づいた。鈴鹿が誘ったのは希凛のみだ。当然だ。他の3人は知らないのだから。だが、希凛はパーティとして誘われたと受け取ったらしい。
この場で他の人は大丈夫!と言える強靭な精神は持ち合わせていなく、他の面々の承諾を得て希凛のパーティも参加が決まったのだった。
「あれ、そういえば腕大丈夫なの?」
ポーションを使ったと言っていたが、昨日見た限りでは骨折しているように見えた。けれど、今はギブスも何もしていない。
「うん。探索者協会所属の人に回復魔法で治してもらった。探索者高校だと無料で治してくれるんだよね」
下級ポーションでは骨折は治らないため、治すには中級ポーションかスキルレベル4以上の回復魔法が必要になる。逆に言えば、骨折したというのに回復魔法を使えばすぐに動けるようになるということだ。
回復魔法が一番チートな気がする。
「そういえばまだ自己紹介もしてなかったね。僕は猫屋敷。皆はにゃあ子って呼ぶから、にゃあ子って呼んで」
「ああ、こちらこそ失礼しました。定禅寺鈴鹿です。定禅寺でも鈴鹿でも大丈夫です」
自己紹介をしていなかったという痛恨のミスに、思わず前の世界のサラリーマンが顔を出した。希凛が鈴鹿ちゃんと呼んでいるので、鈴鹿呼びでも構わないと伝えておく。
「なんで敬語? それはそうと、昨日は助けてくれてありがとうございました」
深々と頭を下げる猫屋敷。
「大丈夫大丈夫! 大事にならなくてよかったよ」
「昨日は慌ただしくてろくにお礼も言えなかったから、ごめんなさい」
「昨日は怪我してたしょうがないよ。俺も門限あったから忙しなかったし」
映画行くことが決まった後は、希凛から連絡先を受け取ると一人で急いで帰ったのだ。危うく門限を過ぎるところだった。
「おや、待たせてしまったかな」
その声に振り返れば、希凛がいた。その後ろには後のメンバーの二人もいる。
「にゃあ子は自己紹介済ませたみたいだね。鈴鹿ちゃんも昨日は紹介できなくてごめんね」
「いや、大丈夫だよ。あ、僕は定禅寺鈴鹿です」
「犬落瀬優梨愛です。昨日はありがとうございました」
犬落瀬は鈴鹿よりも大きい高身長な女性だった。すらりと長い手足に、服装は白シャツにジーンズとシンプルでまるでモデルみたいだ。亜麻色の髪を低めでまとめており、切れ長な瞳が仕事ができそうなバリキャリ感があった。
「に、新田小鳥です。き、昨日はにゃあちゃんを助けてくれてありがとうございました」
こちらは犬落瀬と真逆で、小柄な可愛らしい女性だ。オレンジ色の髪を三つ編みにし、ゆったりめの民族衣装のような装飾が入った服を着ている。小柄な容姿に整った顔立ちのため、まるで天使のような子だ。
「私からも改めてお礼を言わせてくれ。昨日はありがとうございました」
そう言うと、3人は猫屋敷同様深々と鈴鹿に頭を下げる。ただでさえzooのメンバーや鈴鹿は容姿端麗で目立っているのに、3人も深く頭を下げていれば目立ってしょうがない。
「ど、どういたしまして? なんかすごい見られてるし顔上げてくれ」
「ああ、鈴鹿ちゃんを困らせたいわけじゃないからね」
そう言って、希凛は頭を上げる。今日は青色のレンズをした丸いサングラスをつけており、私服もセンス溢れている。パンク系のカッコいい見た目だ。
時間があれば服でも見繕ってもらおうかな。
「続きはチケットを購入してからにしようか」
そう言って、みんなで発券カウンターへと向かった。
◇
映画を見終わった一同は、昼食をいただくために路地裏にあるフランス料理店を訪れていた。カジュアルなお店でありながら、どこかフランスのパリを感じられるようなおしゃれなお店だ。
いただくのはガレット。ここのお店はガレットコースがあり、メインのガレットとデザートのガレット二つをいただける。甘いガレットがおいしくて、鈴鹿は立川で映画を見た帰りはよく利用していたお店だ。
「が、ガレット初めて食べました。お、美味しいです!」
「ね! 鈴鹿ちゃんおしゃれなお店知ってるんだね~!」
「知ってるのはここくらいだよ。気に入ってもらえてよかった」
小鳥と犬落瀬の言葉に気を良くする鈴鹿。久しぶりにここのガレットが食べたかったから、今日来れてよかった。
ちなみに、鈴鹿ちゃんと呼ばれているが、鈴鹿が男であるということはzooのメンバーは認識している。猫屋敷と小鳥については最初から男だと認識していて、希凛と犬落瀬が勘違いしていた。誤解は解けたものの、呼び方は変わらず鈴鹿ちゃんであるが。
希凛と猫屋敷も美味しそうにナイフで切り分けガレットを食べている。
一通り食べ終えると、希凛が昨日の続きを話しだす。店員さんが鈴鹿たちを探索者だと察し、奥の個室に通してくれたことでこういった話も周りを気にせず話すことができた。
「モンスタートレインの原因を作ったUrbanというパーティは、厳重注意と謹慎くらいで済みそうだよ」
食後のコーヒーを飲みながら説明してくれる。
今回のモンスタートレインで被害を被ったのは、希凛達zooと、Parksというもう一つの探索者パーティだ。どちらも怪我はしているが死者はおらず、被害届も出すつもりがなかったために処罰が軽く済んだという。
また、全員探索者高校の生徒だったことも大きいだろう。これが2層、3層で起きていれば、巻き込まれたのは別のギルドに所属する探索者となり、賠償金など事が大きくなっていたそうだ。
「ただ、件のUrbanのメンバーは一人死んでしまったようだがね」
鈴鹿が来た時にはみんなで固まって戦っていたが、もともとはUrbanがダンジョン内を逃げ惑っていたからモンスタートレインが発生したのだ。逃げ惑うきっかけになったのが仲間がやられたことの様で、あの後捜索に行ったがすでに亡くなった状態で見つかったらしい。
人が一人、それも同じ高校に通う生徒が亡くなったというのに、鈴鹿はおろかzooのメンバーに悲嘆に暮れる者はいない。探索者なのだから弱ければ死ぬだけ。それは中学生であろうと高校生であろうと大人であろうと変わらない。ダンジョンに入るということはそういうことなのだ。
「それにしても、パーティメンバーが死んでも特に罰せられないんだな。本当は死んだ奴がハメられただけかもしれないのに」
「それは大丈夫だよ鈴鹿ちゃん。ドローンの映像が証拠としてあるからね。それを見たうえで、今回は事故という判決になったのさ」
ああ、そういえば飛んでたなドローン。
ドローンは魔石の力で動き、ダンジョン探索を録画してくれる。ダンジョンの中では監視カメラはおろか人の目もないため、犯罪が起きたときに泣き寝入りするケースが非常に多い。そのため、ドローンによって探索の様子を常に記録することで、何かトラブルがあったとしてもそれを証拠にすることができるのだ。車のドラレコと同じ機能と言える。
「鈴鹿ちゃんはドローン飛ばしてなかったけど、使わないの?」
「うん。高かったからまだ買ってない。にゃあ子たちはよく買えたね」
「僕たち探索者高校の生徒は、1パーティに1台のドローンが配布されてるんだ。2層1区まではドローンでレコードしないと探索しちゃいけないんだよ」
1台100万円もするというのに、さすが探索者協会が支援している学校なだけはある。ドローンの有用性は、今回のモンスタートレインでも明らかだしな。
「そ、そういえば、す、鈴鹿ちゃんに渡さなきゃいけないものがあるのです」
そう言って小鳥が収納から取り出したのは、『水刃鼬の尾』であった。鈴鹿も持っている、水刃鼬からドロップする小太刀だ。強奪のスキルで強化された『凪の小太刀』と比べると、刀身も白い部分が多く骨感が強い小太刀である。
「ん? なんで俺に?」
小鳥が席を立ちトテトテ鈴鹿の前に来て『水刃鼬の尾』を渡してきた。別に鈴鹿が持っている『水刃鼬の尾』を貸した記憶もない。
「昨日の水刃鼬だけど、私たちにもドロップアイテムの抽選があったみたいでね。小鳥がそれを当てたみたいなんだよ。だから倒した本人である鈴鹿ちゃんに渡すのさ」
「す、すぐ渡すべきだったんですが、さ、さすがに人目があるところではと思って遅くなっちゃいました」
エリアボスのアイテムは高額かつとても希少性が高い。希凛もzooも強いとはいえ、1層3区レベルの探索者だ。中堅探索者に目をつけられれば、勝てない程度の強さでしかない。
だからこそこういった希少なアイテムのやり取りは、探索者協会内の会議室や探索者御用達の完全個室のお店で行われる。ここは普通のお店の個室のため、やり取りするにはいささか無防備であるが、しょうがないだろう。
「いや、だからなんで俺に? 小鳥がドロップしたんでしょ?」
「ああ、そこからか。私が説明するよ」
昨日鈴鹿が水刃鼬を倒す前に、zooのメンバーも水刃鼬と戦っていた。そのおかげもあり、水刃鼬を倒した際のドロップアイテム抽選に与れたのだ。
だが、貢献度が低い場合適正な抽選が行われず、本来よりも低いドロップ率での抽選となるようだ。水刃鼬の確定ドロップアイテムである『水刃鼬の毛皮』がドロップしなかったことがその証拠だろう。
共闘したなら得られたアイテムはドロップした探索者の物だが、今回の様に手に負えず逃げ出したモンスターからのドロップ品は倒した探索者の物、というのが一般的な考え方だそうだ。
「けど、収納の中身は誰にも見られないからね。誰もドロップしなかったと言えばそれまで。あくまでマナーみたいなものかな」
「で、小鳥はマナーがいいから俺にアイテムをくれる、ってこと?」
「そ、そういうことです」
なるほど。話は理解できた。だからこそ、これは受け取れない。
「そういうことなら、俺はいらないよ。小鳥がドロップしたんだし、小鳥なりzooの誰かが使えばいいんじゃない?」
「鈴鹿ちゃん。これは遠慮する必要のないものだよ」
「遠慮も何もないよ」
そう言って、一度受け取った『水刃鼬の尾』を小鳥に渡す。
「少しの間だけど、みんなが水刃鼬と戦っているところは見ていた。まさか水刃鼬を麻痺にかけるとは思わなかったよ。それだけのことをしたんだから、そのアイテムは厳正に抽選されて得たアイテムってことだ」
連携の取れたパーティとしての戦いを間近で見られたいい経験だったし、毒魔法の使い方を猫屋敷から学ぶこともできた。今もこうして探索者の常識まで教えてくれている。
あれだけの命を張った戦いで得られたドロップアイテムを、俺が横からいただくというのはどうにも自分で納得ができなかった。なんか違うよなぁと。
「そ、それならありがたくいただきます。ありがとうなのです」
嬉しそうに笑顔でお礼を言う小鳥。小鳥は双剣を使っていたし、小太刀なら片手でも振りやすいので使える武器ではないだろうか。
「君にはいろいろと借りができてしまうね」
「借りとか難しく考えなくていいけどね」
「そのあたりはきっちりしたい性分なのさ。何かあれば頼ってほしい」
zooのメンバーも希凛に同意の様で、鈴鹿の頼みなら快く受けてくれるだろう。
「あ~、じゃあさ、またこうやってご飯にでも行かない? 探索者の知り合いいなくてさ。あんまり探索者の勝手とかマナーとか詳しくないから教えてほしいんだよね」
貴重な探索者の知り合いはこのまま確保しておきたい。特にzooのみんなはいい子たちで、それを抜きにしても仲良くしておきたいところだ。
「え~、私たちもう友達じゃないの? ご飯なんていつでも行くよ」
「ワン子の言う通り。僕は鈴鹿ちゃんと毒魔法について話したいことがまだまだあるんだよ」
「わ、私も! す、鈴鹿ちゃんに攻撃のコツとか聞きたいです!」
犬落瀬も猫屋敷も小鳥も賛成してくれる。すでに彼女たちの中で鈴鹿は友達の様だ。
社会人になってから友達を作ることがなかった鈴鹿。できたのは会社での同期や仲のいい先輩後輩で、友達というよりかは同僚であった。いつの間にか友達という者の作り方がわからなくなっていたし、自分だけが友達と思っているのではと怖くなり作ってこなかった。
そんな不器用な鈴鹿だが、彼女たちは簡単に受け入れてくれる。そのことに、鈴鹿は若さを感じ、むずがゆく温かい世界にいるような気持になった。
「私からお願いしたいくらいだ。鈴鹿ちゃんの話はとても刺激的だからね。これからは友達として仲良くしよう」
最後に、希凛も笑顔でそう言ってくれた。
この夏休み。1層2区と3区を探索し、多くのアイテムをゲットし、レベルをあげ、大金を稼いだ。そして最後に、この世界に来て初めての友達を作ることができた。
こうして、鈴鹿の15歳の夏休みは大成功を収めることができたのであった。




