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狂鬼の鈴鹿~タイムリープしたらダンジョンがある世界だった~  作者: とらざぶろー
第三章 混成の1層3区

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21話 水刃鼬2

 1層3区最後のエリアボスラッシュだったというのに、メインディッシュである水刃鼬すいじんいたちと戦えず肩を落として帰路についていた鈴鹿は、大爆笑していた。


「あっはっはっはっは!! た、球月蛇たまつきへびって移動も転がるのかよ!!」


 目の前では球月蛇がどこかに向かうために懸命に転がっている姿があった。球月蛇は自身の身体をボール状に巻き付けている蛇のモンスターで、攻撃する時にはボール状のまま転がって体当たりをしてくる。


 当然鈴鹿も戦ったことがあるため転がることは知っていたが、移動するときも転がっているとは思わなかった。


 一生懸命転がる姿が鈴鹿のツボに入ったらしく、目じりに涙を浮かべるほどの爆笑だ。先ほどまで水刃鼬と戦えなかったことでひどく落胆していたというのにこの爆笑。きっと情緒が不安定になっているのだろう。


「た、タマちゃん球になってどこに行くんですか?ww お家帰るんですか?www」


 爆笑しながら、球月蛇の後を追う鈴鹿。水刃鼬と戦えなかったため帰るには少し時間が早く、寄り道するくらいの余裕はあった。


「ねぇねぇ、目回らないの? 三半規管強いんだねぇ。おじさんすぐおえってしちゃうよ」


 球月蛇と並走しながら話しかけるが、当然答えは返ってこない。『擬態のマント』によって向上している気配遮断のスキルのおかげで、近くにいても球月蛇は鈴鹿を認識できていない。


 もう少し近づいたり危害を加えようとすれば気づくだろうが、ただ話しているだけでは大丈夫なようだ。移動する球月蛇についていけば喧騒が聞こえてきた。


「ん? 他の探索者が戦ってるのかな? もしかしてタマちゃん増援に行こうとしてるの?」


 土手のような小高い丘を越えれば、喧騒の正体が分かった。


「うわっすげぇ大所帯……って、水刃鼬!?」


 そこは探索者とモンスターが入り混じる混沌とした戦場だった。探索者も10名以上と数も多ければ、モンスターも20以上はいる。


 その中で目を引くのは当然エリアボスである水刃鼬。鈴鹿が狙っていた獲物が、別の探索者たちと戦っていた。


「うっわ。まじかよ。他の人が倒すの指くわえて見てろって言うの?」


 多数の探索者に多くのモンスターが入り混じる戦場を見て、鈴鹿は思い当たる節があった。


「これってレイドってやつだろ。1層3区でもレイドなんてあるんだ」


 レイドとは複数の探索者パーティ合同による大規模討伐だ。エリアボスと戦う時や特殊なモンスターと戦う場合、所属ギルド総出の合同パーティや、各ギルドのエースを集めた混成パーティで挑むことが多いと調べたら出てきた。


「あれって探索者高校だろ。体育祭かよ。せめて夏休み終わってからやってくれよ……」


 1層3区で活動する探索者は鈴鹿のような例外を除けば、探索者高校の生徒がほとんどだ。同じ高校の仲間であれば、合同パーティも募りやすいのだろう。


「夏休みの思い出作りか? くっそぉ、陽キャの青春のために俺の水刃鼬がもてあそばれるなんて……」


 戦っている探索者高校の生徒は、男の方が比率は高いが女性の数も多い。ワイワイ楽しく戦っている姿を見ると、一人でダンジョン探索を行っている自分への当てつけのように見えてしまう。鈴鹿は男に囲まれた青春時代を過ごしていたため、男女で盛り上がっている集団を見ると嫉妬してしまうのだ。


「ん? あれってたしか希凛きりん、だったかな?」


 水刃鼬と戦っている中に、見覚えのある顔の探索者がいた。白く長い髪にピンクのメッシュが目を引く女性だ。遠目からでも容姿が整っているのがわかる。


 その女性―――希凛と会ったのは、2区の探索が終わったときなので20日ほど前になるだろうか。新しい防具を新調するために訪れたシーカーズショップで出会った。話を聞きたいとのことでお茶をしただけだが、鈴鹿にとっては唯一の知り合いと言っていい探索者のため印象に残っている。


 探索者は魔力の影響を受けて髪色が派手な人が多いが、あれだけ派手な髪形が似合う容姿が整った人間は少ない。人違いということは無いだろう。


兎鬼鉄皮ときてっぴとも戦うって言ってたし、水刃鼬とも戦うか。話したのも結構前だしね。もう3区に来てるよな~」


 前に話した時は鈴鹿が3区に挑むのに対し、希凛は2区の探索を行っているところだった。いつ3区に来たかは知らないが、20日もあればいても不思議ではない。


「まぁ、希凛が戦ってるならしょうがないか。うん、諦めよう」


 どこぞの探索者が戦っているなら悔いも残るが、知り合いが頑張っているなら応援するのが筋だろう。合同パーティの様だが、希凛が水刃鼬とメインで戦っているみたいだし応援するとしよう。


「それにしても、大丈夫かなこれ。結構危なっかしいんだけど」


 希凛達は頑張っているようだが、ステータスが足りていないのか水刃鼬の攻撃を避けるだけでもギリギリでヒヤッとする。鈴鹿のような見切りを使っているようには見えず、何とか攻撃を凌いでいる感じだ。大きな盾を持った女性はタンク役に見えるが、水刃鼬の強力な尾っぽの攻撃を受け止めるのにギリギリな様子である。


 それに水刃鼬と戦っている探索者以外がひどい。お世辞にも強いとは言えない探索者たちだ。


 狂乱蛇擬と戦うのも手いっぱいという様子だし、二人で幕下蛙と戦っているのに全然倒せていない者もいる。こちらにいる女性はキリンたちとは別のパーティなのか強くはなく、精神的にも不安定そうで半べそをかいてる始末だ。


 こうやって見てみると、探索者とはかくも残酷なものなのだなと思わされる。水刃鼬と戦っている希凛の仲間だろうメンバーは、全員が全員めちゃくちゃ美人だ。可愛いだったり綺麗だったりカッコいいだったり方向性は違うが、全員が整った容姿をしていた。


 一方その他の探索者たちの容姿は整ってはいるものの、希凛やヤスと比べると数歩劣る。特にこの中で最も実力がなさそうな探索者たちは最も平凡な顔をしていた。イキった格好をしているので二流ホストの様に見えてくる。


 もちろん、彼らでも探索者としてステータスを上げているのでかっこよくはある。だが、希凛たちと比べるとクラスのイケメンと顔面国宝級アイドルくらいの差があった。


 そして容姿の差がそのままステータスの差であり、強さの差であった。元の世界では、見た目で強さを見分けるとすればガタイの良さくらいだろうか。ゴリゴリのマッチョは強く見え、ひょろがりは弱く見える。


 だが、この世界ではガタイの良し悪しは関係ない。容姿が整っている者が強く、不細工ほど弱い。ルッキズムの極みのような世界であった。


「それにしてもモンスター多いな。まぁこんなもんか?」


 水刃鼬は鈴鹿が戦う時は岩石土竜(もぐら)2匹と種砲栗鼠(しゅほう りす)3匹しか周りにいなかったが、大勢で挑むとそれだけ他のモンスターも増えるのだろう。鈴鹿一人に対し5匹現れるなら、探索者が10人以上いるこの場なら50匹はいてもおかしくない。それを考えると、こんな中途半端な実力の人間を連れてエリアボスと挑むのは悪手ではないだろうか。


 希凛と話していた時はそんな選択を取るような奴には見えなかったが、学校という縛りでパーティを組まざるを得ないとかそんなところだろうか。やっぱり何かに所属するということは、そういったデメリットも出てくるため鈴鹿的には無しだなという結論に至る。


 権利を享受きょうじゅするなら、まずは義務を遂行すいこうすること。探索者高校から数多くの支援をもらえる代わりに、学校側の提案を無下にすることはできないのだろう。


 とにもかくにも、水刃鼬にやられるどころか、こちらの探索者たちは通常モンスターたちにやられそうであった。


「こいつらは別に知らんから助ける必要はないんだけど、希凛の知り合いとかなら助けてあげた方がいいのかなぁ」


 ヤスの塾の女の子を強引にナンパしていた奴らのせいで、探索者高校にあまりいい印象がない鈴鹿。彼らが死んでも、その程度の実力で俺から水刃鼬を取り上げたのが悪いとしか思わない。


 どうしようかなぁと思いながらも、鈴鹿は希凛達の方へ向かう。このまま何事もなければそのまま帰るが、どうにも鈴鹿から見て希凛達はまだ水刃鼬に挑むには早いのではと思える実力だったからだ。


 鈴鹿も初めて挑むエリアボスにはいつもボロボロにされるため人のことは言えないのだが、自分の行動はよくても他人の危ない行動はひやひやして危なっかしく感じるものだ。気配遮断のスキルもあるため、水刃鼬に気取られない程度の距離で見守ることにした。


「お! 毒魔法じゃん! もう双毒大蛇も倒したのかな? 麻痺の霧使えるってことは俺よりスキルレベル上なのか。やるな」


 黒紫色の髪の毛をツインテールにまとめている女性が麻痺の霧を発生させたり、他の探索者の武器に麻痺をエンチャントしていた。鈴鹿も双毒大蛇からのドロップアイテムである『双毒の指輪』のおかげで毒魔法を扱えるが、まだ武器に毒や麻痺を付与するだけで毒や麻痺の霧は使えない。


 つまりこの黒紫ツインテは鈴鹿よりも毒魔法のスキルレベルが高いということだ。


「やっぱ魔法の才能があるやつはすごいな。俺はまだ指輪なしじゃ魔法も発動できないからなぁ」


 回復魔法が使えるヤスの顔がちらつくが、あいつの才能を認めるのは癪だったので考えないことにする。


「希凛は水魔法を使えるのか、いいなぁ。こっちの小さい子は高校生か?」


 鈴鹿は遠目で探索者高校のパーティが戦っている様子を見たことがあるが、やはりエリアボス相手にちゃんと各々の役割をもって戦っているzooは他のパーティとは一線を画していた。強力な尾っぽの攻撃を盾持ちがしっかり受け止め、黒紫ツインテと小さい子が水刃鼬の両手の鎌を避けながら攻撃の機会をうかがい、希凛が周囲のモンスターの攻撃を水魔法を使ってけん制し近寄らせないようにしている。


 ちゃんとしたパーティでの戦いをしていた。


「おお! なんだあれ。麻痺の霧ってあんな使い方あるのか!」


 黒紫ツインテが放った麻痺の弾が、水刃鼬に切り裂かれるとはじけて麻痺の霧となって水刃鼬を包みこんだ。完全な不意をつく攻撃に、鈴鹿も歓声を上げる。


「おお!! すげー! 麻痺になったぞ!! これは一気に形勢がぁ……って、あれ?」


 せっかく水刃鼬を麻痺にしたというのに、希凛達は即座に後ろを向き逃げ出してしまった。今こそ攻め時だと思うのだが、何か他に策でもあるのだろうか。


 黒紫ツインテも先ほどまでの動きが嘘の様にふらついている。大丈夫かなぁと一応追いかける鈴鹿だが、その心配は的中した。


 水刃鼬が麻痺から復活、といっても痺れて動けなくなるような事態にはもともとなっておらず、動きが少し鈍くなっていた程度だ。そんな水刃鼬は他の探索者には目もくれず、逃げ出す希凛達の後をモンスターの陰に隠れながら追いかける。


 体力や防御が低い代わりに敏捷が高いだけあって、希凛達がモンスターの輪から抜け出す前に追いついた。殿しんがりつとめていた盾持ちの子が態勢が整わない状態で勢いが乗った水刃鼬の攻撃を受けたために、盾ごと吹き飛ばされてしまう。


「あっ」


 鈴鹿が割って入る間もなく、黒紫ツインテが水刃鼬の攻撃を受けて転がってゆく。希凛達はなんとか水刃鼬の気を引こうとするが、水魔法による水刃が降り注ぎ水刃鼬の尾っぽが一つの生き物みたいに荒れ狂っているため容易に近づけないようだ。


「にゃあ子!! 立て! 立ってくれ!! 逃げろッ!!」


 終始余裕そうな顔を浮かべていた希凛が、血相を変えて叫んでいる。そこに演技の様子はなく、本気で焦っていることが伝わってきた。


 あ、これはまずいやつだ。多分策も何もなくて、本当にやばいやつ。


 ダンジョンで他の探索者を見かけたときは、どんな状況であれスルーすること。これは探索者について少し調べればいくらでも出てくる教訓だった。素直に助けられたありがとうと感謝されるなら積極的に助けるべきだが、劣勢なのかどうなのかは本人たちのお心次第というのが問題だった。明らかに劣勢でも、助けた後に自分たちだけで十分倒せたと揉めるケースが多いのだ。


 さらに、劣勢でもないのに加勢すると言ってとどめだけを悪質に奪い取るケースもあれば、劣勢を演じて探索者を誘い出し、その背中を攻撃して身ぐるみを剥ぐなんて事件も起きている。


 そんな助けた側が損する悲しい世界がダンジョンのため、書籍であってもネットであっても探索者高校であっても、同じ学校やギルドの仲間でもないなら、基本は無視することと教えられる。一時の正義感で仲間を殺すことになると脅されるくらいだ。だから、このままじゃ水刃鼬倒せそうにないよなぁと思いながらも、鈴鹿は黙って気配を消して見ていた。


 黒紫ツインテが麻痺の弾を霧に変えて水刃鼬を麻痺にしたように、ピンチに見えて策を張り巡らしているかもしれないからだ。下手に横入りして邪魔をしてしまえば、それこそ揉める火種になる。


 しかし、このままでは黒紫ツインテは殺されてしまいそうだ。どう見ても黒紫ツインテは希凛の仲間だし、唯一の探索者の知り合いである希凛の仲間であれば助けるべきだろう。


「最悪、横やりだ何だとめんどくさく騒いだらぶん殴ればいいだろ。探索者は力こそパワーだからな」


 揉めたら殴る。この戦いを見ていて、彼女たちより鈴鹿の方が強いと確信しているため、揉めても男女平等パンチで切り抜けられるだろう。多分。最終手段だが。そう思ったからこそ、鈴鹿は前に出た。


 収納から魔鉄でできた鉄パイプの様な武器、『舎弟狐の誇り』を取り出し魔力を込める。『凪の小太刀』は使わない。あれは通常ドロップ品と見た目が違いすぎる。探索者が大勢いるこの場で使って、ユニークスキルの存在がばれるわけにはいかないからだ。


 水刃鼬がぶん回している尾を掻い潜り、振り下ろした鎌を魔力を込めた魔鉄パイプでぶん殴る。


 ガギィィイン


 甲高い音が鳴り響く。力比べは鈴鹿に軍配が上がったようだ。水刃鼬の両手の鎌ははじかれて万歳のような状態になっていた。水刃鼬は鈴鹿の接近に気づいただろうが、攻撃が防がれるどころか弾き返されるとは思っていなかったようで怒りの顔に驚きが混じる。


 あ、確認するの忘れてた。これ絶対十両蛙の時に身体強化と魔力操作のレベル上がったよな。ちょっとこれだと水刃鼬じゃ物足りないかも。


 水刃鼬が鈴鹿にターゲットを変え鎌を振り下ろすが、鈴鹿がそんなこと許すはずもない。今度はこちらの攻撃なのだ。ターン制という言葉を教えてやらねばならない。


 水刃鼬の攻撃を防ぐこともせず、鈴鹿は踏み込む。両手を上げて無防備な胴体めがけて魔鉄パイプを振り下ろすために。


 さすがと言うべきか。水刃鼬は攻撃のモーションの途中であったが、鈴鹿の狙いを読み避けに転じた。尾っぽの刃を地面に刺し、無理やり身体を動かし他のモンスターの後ろへ隠れる様に引いてゆく。


 ひとまずの休息。


 水刃鼬の陰に隠れて様子がわからなかった希凛達は、水刃鼬が引いたことで黒紫ツインテ―――猫屋敷ねこやしきと鈴鹿の存在を見つけた。


「鈴鹿ちゃん!?」


「いや、違うんだ。違うっていうのもまた違うんだけど、そうじゃない。希凛たちの邪魔をしに来た訳じゃないんだよ。本当に。なんかピンチそうだなぁって思ったから割って入ったんだけど、邪魔ならすぐ帰ります。もう帰った方がいいですかね? お邪魔でした?」


 騒いだら殴るなんて息巻いていたものの、いざその場に立ってしまうと尻込みしてしまう鈴鹿。水刃鼬が引いたことで大勢の探索者から注目されているのもてんぱってしまった要因だろう。もう放っておいて帰ればよかったと思えてきた。


 鈴鹿は探索者をしているが探索者の暗黙のルールを全く知らないため、未だに助けたのが正解なのかどうか判断がついていなかった。ここで邪魔だと言われたら帰れば許してくれるだろ、多分。まだ間に合うはずだ。


「いや、助かったよ。率直に聞くけど、鈴鹿ちゃんは水刃鼬と戦える?」


「え、もちろん」


「さすがだね。無理を承知でお願いしたいんだけど、加勢してくれないかな?」


「え! 戦っていいの!? まじ? まさか譲ってくれるなんて、希凛いい奴だな! いやぁ、ラッキーラッキー!!」


 まさか邪魔どころか鈴鹿に戦ってほしいなんて言われるとは思わなかった。戦えないと思っていた水刃鼬と最後に戦えるなんて棚ぼたもいいところだ。


 取り上げられたメインディッシュが再び目の前に現れたのだ。喜ばずにはいられない。


 本当であれば『凪の小太刀』を使って尾っぽを刈り取り『凪の小太刀』の予備をゲットしておきたいところだし、手数の多い水刃鼬を相手に小太刀を使った戦い方の練習をしたかった。


 だが、戦えないと思っていた相手と最後に戦えるのだ。わがままばかり言ってはいられない。


 戦えるとわかった鈴鹿は『擬態のマント』を収納にしまう。付けたままでも戦えるが、マントをつけたまま戦うのは慣れていない。今日で戦うのが最後の相手なのだから、全力で楽しみたい。


 魔鉄パイプから魔力による光が漏れるが、これまでのように波打つような魔力ではなく均一な仄かな光を帯びている。魔力操作のレベルが上がったことで、流す魔力のムラが減った証拠だ。身体強化のレベルも上がったおかげで、いつもより動きやすい。


「ほら、水刃鼬。選手交代だよ」


 そう言った鈴鹿の顔は、獰猛な肉食獣のような笑みを浮かべていた。

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― 新着の感想 ―
>二人で十両蛙と戦っているのに全然倒せていない者もいる。 幕下蛙の間違い?
面白い!!
キタキタキタァー!待ってましたよ鈴鹿ちゃん!
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