2話 立ち向かう勇気
出雲ダンジョン。ちょうど3年前の春に誕生したこのダンジョンは、日本で一番新しいダンジョンだ。新設されたばかりに加え、立地も出雲市駅からバスで25分と離れていることから、観光地ではあるがダンジョン特需はまだ大きく見られていない。
出雲市駅前にホテルがいくつかできたり、飲食店が増えた程度だろうか。八王子のように一気に開発された感じはなく最低限整えられたという印象を受ける。ダンジョンももう日本で20個目。いちいち観光のために訪れる人間はおらず、ダンジョン関係者のみとなるとそこまで大きく発展しないのかもしれない。
それでも、ダンジョン資源は貴重な国内資源なので、企業が多くこの地に参入している。シーカーズショップも出雲市駅の近くに建っており、ダンジョン探索に必要なものはそこで買いそろえることができる。探索者が活動する分には十分な設備は整えられていた。
そんな出雲市に鈴鹿は降り立った。
「ん~~~、長かった! でも面白かったなサンライズ。また帰りも乗ろ」
サンライズ出雲は乗車時間が長いが、お気に召したようだ。
身体のコリをほぐしながら、鈴鹿は歩き出す。行先は出雲ダンジョン行きのバスだ。今日は出雲大社にお参りし、周囲をぶらぶら観光する予定である。一応明日はダンジョンに行く予定なので、探索者協会とダンジョンの位置は把握しておこうと思っている。
ちょうど来た出雲大社行きのバスに乗り、鈴鹿は人生初となる出雲観光を楽しむのであった。
◇
「あれ、おかしいな。ないぞ」
出雲ダンジョンに併設されている探索者協会の資料室で、鈴鹿は首をかしげていた。
今日はすこぶる順調だった。出雲大社を参拝し、出雲そばを食べ、出雲ぜんざいまで食べて満喫していた。その後、出雲大社のすぐ近くにある、もともと大きな駐車場だった場所に現れた出雲ダンジョンへ向かった。
出雲ダンジョンもドームで覆われ、探索者協会が併設されている。八王子ほど大きくなく、東京ダンジョンの探索者協会よりもこじんまりしているくらいだ。東京ダンジョンは皇居外苑ということもあり、探索者協会は多くの機能をすぐ近くのビルに集約し、探索者が利用する施設に留めた最低限の協会となっている。恐らく出雲ダンジョンも似たようなもので、協会で働く事務員などは別の場所に勤務しているのではないだろうか。
そんな協会に足を踏み入れた鈴鹿は、探索情報を記入する端末や売店、ロッカーなどチェックしていく。これはとても大事なことだ。売店のラインナップがしょぼければ別のお店で調達する必要があるし、ロッカーエリアが汚ければ利用できない。鈴鹿は綺麗好きなのだ。
しかし、最近できたこともあって、どこもすこぶる綺麗であった。そこまで大きくないが大浴場も完備されていたし、満足である。
じゃあ後は明日からの探索のために1層と2層のマップでも覚えておこう。そう思い資料室に来た。ダンジョンのマップは公共の資産とされ、秘匿はされず探索者協会で確認することができる。東京ダンジョンに行けば攻略最深部のマップまで見ることができるのだ。
まぁ、最深部のマップなど見れても行ける者がほとんどいないからあまり意味はない。それに、見ても大雑把なエリア区分とどこに次の層への出入り口があるかというシンプルなマップだけだ。詳細な地図は各ギルドが資産として持っているので、知りたければ自分たちで探索するほかない。
ただ、出入り口が分かれば探索は容易に進む。拠点を変えても、自分たちが活動しているエリアまではこのおかげでサクサク進めることができるのだ。鈴鹿もその恩恵に与れば、明日の探索時には1層2層は寄り道せず突っ切ることができるだろう。マップのスキルがあれば、道に迷うこともない。
しかし、資料室に来てみたが出雲ダンジョンのマップが見当たらない。昨日今日できたダンジョンならしょうがないが、出雲ダンジョンはできて3年目だ。さすがにマップができていないなんてことはないだろう。
そう思い、鈴鹿は資料室にいる協会職員に尋ねることにした。
「すみません、出雲ダンジョンのマップを教えてほしいんですけど」
「はいはい、えっと、ん? んん!? んんん!!??」
パソコンで作業をしていた協会職員は、鈴鹿の顔を見るや三度見した。この程度ならよくあることである。
鈴鹿はダンジョン外でも気配遮断を使用している。しかし、使用しているのは顔の認識を阻害する程度のもの。そこにいることは認識されるし、何となくの背格好もわかる。だが、鈴鹿が声をかけたり鈴鹿に話しかけようとしたりすれば気配遮断も解除される。その程度のレベルだ。
がっつりと街中で気配遮断を使用すると、何か買う時など突如その空間に出現したように見られるので、大変注目を浴びる。それにバスに乗ったときや参拝に並ぶときなども、そこに人がいると認識されていた方が楽なのだ。
「あ、ああ、ごめんね。それで、用件は?」
「出雲ダンジョンの各階層の地図を見たいんですが、どこにありますか?」
そう言うと、協会職員はバツが悪そうな顔を浮かべながら無いと答える。
「無い?」
「そうなんだよ。出雲ダンジョンは地元の探索者を優遇するということで、彼らの地盤が固まるまではマップの無料閲覧が廃止されているんだ」
はぁ、そんなことがあるのか。東京ダンジョンは言わずもがな、八王子ダンジョンも誕生して数十年は経っているので、そんな取り組みはされていなかった。
地元に近い探索者とか、ここで活動することを決めたギルドを支援する一環なのだろうか。出雲ダンジョンはできて日も浅いし、都心からは外れているので活動する探索者の数が少ないのかもしれない。そのため、彼らを囲う必要があるとかそんなところだろうか。
「はぁ、知らなかったです。わかりました、ありがとうございます」
無いならしょうがない。そう思って引き下がろうとしたら、協会職員が声を潜めて話しかける。
「君は元々他のダンジョンで活動していたのかな?」
「そうですね」
「そうか。関西出身者でもなさそうだよね」
ああ、また西とか東とかの話か? いい加減鬱陶しいな。いつまでそんな同じ日本で足引っ張り合ってるんだ? いっそ喧嘩両成敗って言って仲介でもしようかしら。
狂鬼を倒したことで特級探索者相手にも力は劣らないんじゃないかと思い始めた鈴鹿は、特級ギルドとかそんな枠組みを飛び越えて不毛な争いを続けるギルドたちにお灸を据えた方がいいのではと思う。しかし、人がよさそうな職員は殊更周囲を警戒しながら、鈴鹿に助言する。
「ここはね、地図が置いてないこともそうなんだけど、ちょっと他のダンジョンと違っててね。悪いことは言わないから、ここじゃなくて別のダンジョンに行った方がいいよ」
「え? 他とどう違うんですか? 東京ダンジョンみたいに試練が発生しやすいとか?」
「いや、ダンジョン内は至って普通の低層ダンジョンだよ。そうじゃなくて、ここを利用している人たちというか……詳しくは話せないけど、拠点を移せるなら移した方がいいよ」
「はぁ、なるほど? 検討してみます」
おじさんとの約束だよ。そう言いながら、協会職員はパソコン作業に戻ってしまった。
他と違うってなんだろ? まぁ、そんな長居する気もないし、変えるつもりはないけど。
このダンジョンを利用している探索者に問題があるのだろうか。ガラが悪いとか? 低層ダンジョンで活動している探索者など、存在進化も経ていない者たちだ。そんな探索者が絡んできたところで痛くも痒くもないので、気にすることもないだろ。
しかし、困った。地図がないとなると、上に進む入口をいちいち探す必要がある。
時刻は14時前。今からダンジョンに入れば、2層への階段を見つける程度なら17時までに帰ってこれるだろう。
「面倒だけど、どうせ今日はもうやることないし1層だけでも階段探しとくか」
そうと決まれば話は早い。新しく清潔なロッカーに荷物を入れ、早速ダンジョンへと向かう。一式防具があるのでダンジョンに入ればすぐさま動きやすい服装に変えられるし、1層3区までなら警戒する必要もないので気楽に入れる。
探索スケジュールを記録する端末も共通のため、迷うことなく設定できた。
周囲にはそれなりに人もいた。出雲ダンジョンはできて日も浅いが、ガラガラというわけではないのだろう。まぁ鈴鹿は5区で活動しているので1~3区が混雑していようが関係ないのだが。
へぇ、探索者高校ももうあるんだ。
これからダンジョンに行くのか、鈴鹿が端末を操作していると別の端末を操作している若者たちがいた。探索者高校のジャージを着ているから、探索者高校の生徒だろう。
出雲ダンジョンは3年前の春に出現した。一年かけて探索者協会の建設、ダンジョンを覆うドームの建設、それから探索者高校の建設が急ピッチで進められた。探索者高校卒業生はそのまま同じダンジョンで活動しているギルドに所属する者も多いため、安定してダンジョンで活動する探索者を育成する必要がある。
また、未だにダンジョンブレイクについての発動条件が解明されていないため、各層で活動する探索者はいた方が良いというふわっとした経験則がある。1層で活動する者は探索者高校の生徒や育成所くらいのため、そんな背景もあって探索者高校は早い段階で併設されるのだ。
そんな新設されたばかりの探索者高校の生徒がチラチラ鈴鹿を見ているが、気配遮断のせいで上手く顔を認識できていないだろう。それでも、普段見慣れない探索者というくらいはわかるはずだ。
やはり出雲ダンジョンは探索する人間がほとんど固定なのかもしれない。八王子ダンジョンは東京という立地もあって、そもそも探索している母数も多いし色んな探索者がいる。しかし、出雲ダンジョンはできて間もないし活動している探索者の数も少なそうだ。であれば、よそ者がいれば目立つ。
排他的な考えの土地なのだろうか。あの職員もそういう背景があるから、別のダンジョンをすすめたのかもしれない。
嫌だねぇと思いながら、鈴鹿はセキュリティドアを潜り出雲ダンジョンへと入ってゆく。出雲ダンジョンの入り口は出雲大社のような大きなしめ縄が奉られていたのがカッコよくていいなと思った。
八王子から遠く離れた出雲の地であるが、ダンジョンの中は何も変わらない。永遠に続く草原と、過ごしやすい気候が鈴鹿を迎えてくれる。
「平和だねぇ」
そう呟き、鈴鹿は歩き出す。1層3区を爆走すれば、2層への階段はすぐに見つかるだろう。
だが、気になることがある。それを確かめるために、鈴鹿は一式防具も使わず気配遮断を強めることも走ることもせずに、歩いていた。
残念ながら予想は当たってしまったようだ。探索スケジュールを登録していた時に横にいた探索者高校の生徒が、鈴鹿の後を追う様に近づいてくる。たまたま狩り場が同じ方面だったとしても、探索者同士はトラブル厳禁のため距離を縮めてくるようなことはしない。迂回するなり歩調を合わせるなり、私たちはあなたたちに接触するつもりはありませんよとアピールするものだ。
それに、彼らは探索者高校の生徒だというのにドローンすら飛ばしていない。希凛に聞いているが、探索者高校の生徒はダンジョン探索時には必ずドローンを飛ばすことが義務付けられているはずだ。新設された探索者高校のためそんなルールもまだないという訳ではないだろう。
「おい、チビ。一人でダンジョンなんか来て何すんだ?」
振り返れば、探索者高校の生徒が5人。全員オラついてそうな見た目をした男だ。真ん中の奴の発言に、周囲の生徒はニヤニヤ笑っている。
真意を探るために、強めに気配遮断をかけて振り返る。鈴鹿は気配遮断のスキルレベルが上がったことで、扱える幅が増えた。狂鬼と戦った時のような認識を歪ませることを利用し、鈴鹿の顔を認識できているが認識できないようにさせる。
レベルが高ければ違和感に気づけるだろうが、探索者高校の生徒程度であれば気づくことはできないだろう。単に印象に残りづらい顔くらいにしか思われないはずだ。
「何って探索者だからね。探索するんだよ」
やだなぁと思いながらも、これも教育かと探索者の先達として向き合うことを決意する。これで一人でダンジョン探索なんて危ないぞと心配してくれるのなら万々歳だが、ちょっかいかけてくるならいただけない。馬鹿にする程度ならまぁいいが、危害を加えてきたら指導が必要だ。
別にこの絡んできた連中がどうなろうと鈴鹿はどうでもいい。八王子探索者高校のUrbanのように調子に乗ってモンスタートレインを起こそうが、犯罪に手を染めて探索者高校や就職したギルドを追放されようが、鈴鹿にとっては心底どうでもいい。
しかし、彼らはレベルを上げてしまった。一般人からしたら脅威のパワーを秘めてしまった。ここで鈴鹿がめんどくさいと気配遮断で姿をくらませたら、彼らはきっと同じことを繰り返すことだろう。そうなると他に被害者が出てしまう。
今回起きた探索者崩れが占拠した川崎のように、一般人に迷惑をかけてしまうだろう。ならば、同じ探索者として、その先を進む者として、お灸を据える必要がある。
これでも四級探索者。ダンジョンを利用し、探索者協会を利用し、金を得て生計を立てているのだ。ならばこれも職務の一環だろう。
「おいおいw 聞いたかお前ら? 一人でダンジョン入って何が探索だよww」
「どこのいじめられっ子だ?w 武器も持たないでダンジョン入るなんて死んじまうぞ?w」
「いじめっ子にも勝てないのに怖い怖いモンスターに勝てるんでちゅかぁ?www」
「「ギャッハッハッハ!!」」
うん。絡まれている。見事なまでに。
中身が存在進化すら終えている鈴鹿だと知れば態度も変わるのだろうが、はてさて、どうしたものか。
「おいおいおいww ビビって固まっちゃったぞwww」
「僕ちんにはまだダンジョンは早かったでちねぇww」
こいつらの目的は何だろうか。煽って終わりか? そうであれば性格が終わってるだけで無視してもいいけど。
「それで何の用?」
「『それで、何の用?』キリッ」
「ぶはっはっはっは!! そっくりじゃんwww」
うざいな。話が進まない。こう言うだるいノリは撲滅してほしい。滅却の魔眼でこのノリ消せないだろうか。
「用って……なぁ?」
「なぁ? こんなソロでダンジョン入ろうなんて馬鹿はお灸を据えねぇとな?」
「そうそう。狂鬼の真似なんてするようなやつが出てきたら困るからな」
ほう、俺のことを知っているのか。確かに、狂鬼チャンネルに影響を受けてソロ探索した結果怪我人が多発しています、なんてニュースになったら目覚めが悪い。
こいつらは善意でダメなんだぞと注意するパターンがまだ残ってるか? 望み薄そうだけど。
「あ~、心配してくれるのはありがたいけど、大丈夫だよ。ダンジョンは自己責任だからね。一人で頑張るよ」
「お前馬鹿かよww 心配してるわけねぇだろwww」
「お灸を据えるって言ってんだよww 二度とダンジョンなんて入ろうと思わないようになww」
そう言って、収納から小鬼からドロップする木製の剣を取り出す一同。ここで剣を抜いていたらまた対応も違ったが、木剣ならほんとに憂さ晴らしでシメようとしているのだろう。
なかなか気合いの入った地域だな。場違いの人間は問答無用で排斥しようとするとは。よろしい。その気合いに応えようじゃないか。
とは言うものの、自己防衛を成立させるためには相手から殴らせた方がいいだろう。そう思い、鈴鹿はまだ手を出さない。
「学校で習わなかったのか? 探索者同士は適切な距離を取ること。武器を出したら後戻りできないぞ?」
「だからw お前みたいなチビは探索者じゃないだろうがw ほら、もうだるいしやっちまうぞ」
そう言って、鈴鹿を囲むように展開する。まるで親分狐になった気分だ。舎弟狐の向きが逆だけど。
「一つ聞きたいんだけど、なんでこんなことすんの?」
「あぁ? そんなもん、力もねぇガキが夢見てダンジョンに来てるのがうぜぇからだよ!!」
そう言って、鈴鹿を押し倒すようにヤクザキックをかましてくる。
だが、鈴鹿が動くことは無い。まるで岩でも蹴りつけたかのように、鈴鹿は微動だにしない。
「は?」
「何ぽかんとしてんだ? 開戦の狼煙は上がったぞ? ボケッとしてる暇なんてあるのか?」
そう言って、鈴鹿は少し力を開放する。威圧するように、圧だけをかける。
気分は教師だ。レベルが上がったことで何か勘違いしてしまった哀れな探索者高校の生徒たちに、所詮お前たちは十把一絡げの有象無象だと教えてあげる授業である。
「な! 何なんだコイツ!!」
「おい! やべぇだろこれ!」
「なんだよコイツ!! ただの陰キャじゃねぇのかよ!?」
「喧嘩吹っ掛けておいて、その慌て様はいただけない。マイナス10点だ」
そう言って、近くに落雷を落とす。威力よりも派手さと音を重視した、ただの脅しだ。だが、効果は絶大である。
「っひ、ひぃい!!」
「か、雷魔法!!??」
「れ、レベル1じゃねぇのかよ!?」
「腰が引けてるなぁ、覚悟が固まってないじゃないか。マイナス10点だな」
そう言って、鈴鹿は収納から一本の戦斧を取り出す。鋼纏山鯨からドロップした、柄の短い両刃の斧。黒地に朱色が差し込まれた戦斧は、見るからに巨大な力が内包されていることがわかる。
当然鈴鹿はこんなものを取り出しても使えない。振るうことすらできないだろう。だが、別に手に持つことは問題ない。武器として使用しようと思わなければ、問題ないのだ。
見るからに重量がありそうな戦斧を、軽々しく片手で持ち上げて肩に担ぐ鈴鹿。それだけで、彼我のステータス差をわからせられる。
「だ、騙したのかてめぇ!?」
「何が? 被害妄想は止めろ。ダンジョンにおいて他の探索者とは適切な距離を取るべし。こんな簡単なルールすら守れないお前たちの低能さが悪いだろ。自分の行動を顧みれない、マイナス10点だ」
巨大な戦斧を肩に担ぎ、鈴鹿は一歩彼らに近づく。それだけで探索者高校の生徒は数歩後退った。
「さて、お前たちが取れる選択肢は二つだ。泣きながら自分たちの愚かさを悔い改めて俺に許しを請うか、蛮勇にも俺に挑むかだ。ああ、逃げたければそれもいいぞ。あまりお勧めはしないが」
そう言って、彼らの背後に雷を降らす。逃げ場はない。暗にそう教えてあげた。
「だ、誰が逃げるかよ!!」
「お?」
「俺たちは出雲探高の頭張ってんだぞ!? 引く訳ねぇだろうが!!」
「おお!!」
「何が雷魔法だ!! 行くぞお前ら!!!」
「素晴らしい!! 100点だ!! 全裸土下座撮影会で許してやるよ!!!」
なんと鈴鹿の予想と反し、気合十分鈴鹿に挑む選択肢を取った。リーダーらしき人物以外も、涙を目じりに浮かべながらも鈴鹿に向かってくる。せっかく度胸があるならダンジョンだけに活かせばよいものを。
彼らの気概に免じて、例え回復魔法を使ったとしても1か月は痛みが消えないように念じてボコし、全裸土下座と学生証写真会をしながら懇々と説教を垂れる地獄の会で済ませてあげるのだった。
もし、もし仮に、彼らがこびへつらい命乞いをしてきたら、彼らの探索者人生は幕を閉じていたかもしれない。




