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狂鬼の鈴鹿~タイムリープしたらダンジョンがある世界だった~  作者: とらざぶろー
第七章 天をも狂わす鬼

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設定など④

東西戦争における説明が主になります。

他にも少し宝珠についてなども記載しております。

■始めに

 ここまで読んでいただきありがとうございます! また、いつも誤字報告や感想などありがとうございます! 日本語の誤用だったり、単純な誤字脱字など本当にありがとうございます! 毎回チェックして投稿はしているのですが、抜けが多く……助かります!


 いろいろありましたが七章も無事完結いたしました!! 狂天童子きょうてんどうじという強敵を倒し、勢い止まらず2層5区のエリアボスを蹴散らしたここで、七章は終わりとなります!!


 七章ではいろいろと多くのご指摘をいただきまして、今回の設定ではそのご指摘やご質問に関する内容が主になります。



■川崎、および西日本に対する謝罪

 今回作中で不名誉と取れる扱いをしており、大変申し訳ございません。筆者個人が各地域を悪意を持って選定しているのでは決してなく、物語上必要性に応じて場所を選ばせていただいております。ご不快になられた方には、謝罪申し上げます。申し訳ございません。



■東西戦争について

 はい。全く鈴鹿絡みませんでした。勝手にやってるな感ですね。永田からの報告を受けても対岸の火事といいますか、鈴鹿自身が自分事として全く考えていないことがわかるかと思います。鈴鹿は狂鬼を倒しハイパー強化されたので、このままそっとダンジョンだけを探索させておくのが良さそうですね。


 それはさておき。想像以上に否定的なコメントが多かったですね。申し訳ないです。色んな意見もあるよねと強がりつつも、なかなかにショックでした。それもこれも、ダンジョン以外は我々の住む世界と同様の世界だから起きたのかなと考えております。ダンジョンについては、『ステータスがある』、『スキルがある』と言ってもそういう世界なのかと素直に受け入れられます。ですが、ダンジョン外の世界ですとこの世界の常識と皆様の常識に乖離かいりが発生し、『いやいやそれはおかしくないですかい』とツッコミを入れやすかったのかなと思いました。


 というわけで、説明という名の言い訳タイムです。


 まず、東西戦争。そもそも必要だったのかってことですね。私は必要だと感じました。探索者という力を生業なりわいにする職業を書くのであれば、それを悪用した事例も一緒に論議するべきではないか、そう思ったのです。もちろん、話の流れ的にも必要でした。何故西がこんなテロまがいのことまで実施したのか。理解しがたいかと思いますが、彼らには彼らの行動原理があります。これについては本編で語るため、ここでは説明しません。


 そんな探索者の力が悪用された場合を考える前に、私たちがいる世界で均衡が成り立っているのは、①個人の力がどんぐりの背比べ程度でしかない点、②性善説に基づく隣人への期待、この二つが大きいのかなと思いました。


 一時期上級国民なんて言葉が多く出回っていたように、この世界でも権力という力を多く持てれば特権を得られるケースがございます。それが、ダンジョンによって巨大な後付けの力を多くの者が得られれば、制御ってできないんじゃない?と。そう思ったわけですね。でも、制御はしないと国家が成り立たない。そこで、この世界ではどんな風にその問題を解決したのか、または表面上だけでも国家が保てるようにできたのか、それを考えました。


 私たちの世界も、暴徒や大規模なデモなど法で制御できない事案が世界には多くあります。最近の日本でも昔はしなくてもよかった心配事が増えていると思います。人の善意ありきのシステムが崩壊しつつあるのかなと感じる次第です。テロ事件がまさにそうですが、法が守られると言う前提が破綻した場合、社会って破綻するよなと。それを我々の世界で抑え込めているは①のどんぐりの背比べの力しかなく、銃器を持てば①を上回ることができるからだと思います。


 では、そんな薄氷のような世界に①を簡単に上回ってしまう銃器すら無視できる力を国民が持ち出したらどうなってしまうのか。先制攻撃は未然に防ぐ事が困難なこの世界でなら、どんな悪行が行われるのか。そういう考えの元、西側が東をどんな手を使ってでも力を削ぎに行ったらどうするか。考えてみた結果があれでした。


 ただ、あそこまで悲惨な内容を書く必要があったのかについては、確かにと反省しております。蜥蜴という組織に同情の余地なし。そう思ってもらえるようにとは言え、ここは考えものでした。それと、政府とかの話もほぼしてないのにあれは読者側で補完するにも限度があるよというお声は尤もです。すみません。政府とか国の探索者部隊とか、そういったところを今回深堀するとより蛇足になりそうだな(3話じゃ済まなそうだな)と思い端折はしょりに端折りました。


 編集者などがいらっしゃれば指摘され事前に修正などもあり得ますが、一馬力の趣味の投稿ではそれも難しく、皆様のコメントを編集者と見立て、『あ、こんな反応になるんだ』と驚いたほどでした。私が表現したかった内容に、文章が追い付いていませんでした。素直に力量不足を反省する次第です。私個人が認識できている、調べられる範囲の世界の見え方から物語を構成している都合上、見落としや穴が出てしまっているかと思います。考えが浅くすみません。


 そんな東西戦争ですが、これは東のギルドと西のギルドで足を引っ張り合っている縮図ですね。というよりは、西のギルドが東を引きずり降ろそうとしていると表現した方が正しいですが。


 東は政府との結びつきが強く、二人三脚でやってきた。それに対抗するように、西はヤクザとの結びつきを強めた形ですね。ここで注意が必要なのが、猛虎伏草≠蜥蜴ということです。猛虎伏草はあくまで特級ギルド。猛虎伏草を調査したところで、横浜の猛虎伏草系列のランドタイガー同様に特に致命的な証拠は出てこないでしょう。猛虎伏草はあくまで『あ~東が邪魔だなぁ! 誰か東かき乱してくれないかなぁ!』と声高に喋っていたら、蜥蜴が勝手に『猛虎伏草さんは東が邪魔みたいだから俺たちでやったりますか!』と動いたような構図です。暴力団の組長ってなんで捕まんないの?これと同じ理論だと思っていただけるとわかりやすいかと。


 じゃ、西成の殺人は?と言うと、西成は猛虎伏草ですが呪言というスキルを持っているため蜥蜴との連絡要員となります。半ヤクザみたいなもんですね。会社で横領してたり部下に暴行するような犯罪者がいるケースがあるかと思いますが、それが西成です。東のギルドも、人殺しまではしていなくとも恐喝じみたことや、お金欲しさに収納からアイテムを取り出さないでちょろまかす奴もいます。


 なので、西の探索者ギルドは西成のような例外はいますが普通に探索者ギルドです。ただ、ヤクザに声を届けやすいという違いがありますが。それを踏まえ、各話について解説します。



■『東の動き』

 この話で猛虎伏草≠蜥蜴であると伝えたかったのですが、うまく伝わらずすみません。


 ここで修正しておきたいのは、藤原への評価です。雨道うどうとの禍根がありそれを放置したのは悪いですが、実行に移している西側が100%非があるかと思います。喧嘩別れした友人が逆恨みで嫌がらせしてきているようなイメージでしょうか。実際に雨道が指示しているかはわかりませんが、東側は別に西にちょっかいをかけてはいません。さらに、藤原は西の考えを受け入れ、自分たちは自分たちが正しいと思う方針を示そうと言っているので、西の主張を真っ向から否定するほど頭が固くありません。


 ただ、周りに被害を出すのはいただけないので、西の暗部である蜥蜴はぶっ潰そう。そう言ったんですね。なので、大阪を潰そうとか、大阪の思想に染まった若い探索者殺そうとか、大阪を火の海に変えようとか、そんなことは思っていません。今回の首謀者をきっちり制裁しようと言っております。


 藤原、もとい東が探索者を職業化することで限りなく一般人の思考に近づけているのは、①の力の強さがどんぐりの背比べになるように、探索者の数を増やすことで探索者自身が相互監視できる環境を構築するため、そして、一般人の思考として②の善意あっての社会の成立を促すためです。


 自衛隊が訓練でマシンガンを持ったとして、周囲を無差別に殺せば他の銃を持った隊員に殺されると想像できます。これは①が働いているからです。そして、そもそもそんなことしちゃだめだよねと倫理的にストッパーがかかります。それが②の善意あっての倫理観による規制です。


 法を犯したら自分が罰せられてしまうからダメだという①の効力と、そもそも法は破っちゃダメと言う②の効力が作用する枠組み造り。それを藤原は行い、今日こんにちの日本の基礎を築きました。それは薄氷の上に築かれた人の善意で成り立つ社会かもしれませんが、それでも藤原は探索者を社会に組み込んだ。それは凄いことだと私は思います。



■『西の動き』

 これ。問題作。これはここまでグロい必要があったか。すみません。反省しております。


 言い訳となりますが、筆者的にはこの回は『はぁ、西成はあくどい奴だったかぁ』くらいのリアクションだと思っておりました。私自身が創作物内で人を殺すということに対する倫理観が少しずれているのかもしれない。そう感じた次第でした。ただ、少し落ち着いて考えてみたところ、ダンジョン探索ものを読んでたら急に闇金君の話になったらそりゃあ嫌だなと思いました。すみません。ぐうの音もでません。


 どちらかというとこの世界の暗い部分も書きたいなぁとはずっと思っていたのですが、鈴鹿が一切外と絡まないため全然書けず、急にぽんっと前置きもなく出たら驚きますよね。すみません。


 ただ、このシーンだけで西は終わったと判断されるのは少し待っていただきたいです。西も東もヤクザは似たり寄ったりと私は考えております。残虐な殺人など、ニュースを見ていれば年に何回かは見られます。その一つが、この話でした。


 日本で流れる殺人事件を見て、『八王子で残虐な殺人がありました』⇒八王子終わったわ。修羅の国。とはならないかと思います。その程度の認識であの話を書きました。これについては不必要に探索者における犯罪が増しているなど、世界観を不安定化させる書き方をしていたのも原因かと思います。すみません。



■『川崎の乱』

 はい、問題作二つ目。ここもいろいろとご指摘を受けました。これについては私の説明不足、および世界観の作りこみが不足していた次第です。すみません。この話をだらだらと続けたくないため言葉少なく書いたために説明不足となり、ダンジョンの内容ばかり注力して地上のことはふわっと考えていたダメな面がモロにでました。すみません。


 ただ、私なりに理論立ててあの話は書いておりますので、『そうはならんだろ』と思われるかもしれませんが一読いただければと思います。


 まず、川崎の現状が日本全国で起きているかと言えば、起きてません。大規模テロ組織の実行場所にされてしまったのが、川崎でした。八王子や東京で鈴鹿が普通に過ごしていたように、あんな世界が当たり前の日本ではないです。


 では、なぜああなったのか。それは蜥蜴によって関東に散っていた探索者崩れという名の半グレが川崎に集められ、暴れろと指示を受けたからです。そして、探索者崩れが暴れて民間人を見せしめに殺せば、捜査の手が止まった、あれ、案外うまくいくのか?そう思ってのブレーキが壊れた状態が川崎の惨状でした。


 ああなっただけで国家が崩壊するかと言えば、そうではないと思っています。思っているよりも人間はタフであり、あの惨状も我々の世界のどこかの地域を参考にしながら書いたものでもあります。特に日本人は正常性バイアス(この日常は延々と続く考え)は強いと思っているため、川崎市の隣の横浜や蒲田の住民はきっと対岸の火事と思っている人も多いと考えます。


 さて、それはそうと、これについて国の動きについての指摘が多いため、私なりの考えも含めて解説します。



Q.何故こんな惨状が起きているのに探索者を取り締まれる組織がいないのか。


A.それが探索者協会でありギルドの役割だから。


 本文でも記載していますが、川崎で問題が起きた際、警察と横浜のギルドは初動でしっかりと連携して行動しています。ですが、こちらの内情が漏れており隠れられてしまい検挙できず、代わりに報復措置として住民が殺されました。つまるところ、街の住民全てが人質化されているとも取れます。


 この状況で、私は警察や自衛隊が的確な動きができるとは思えませんでした。彼らを馬鹿にしていると言う訳ではなく、私の頭ではこれを打開できる最適な方法が思いつきませんでした。掲示板回でも書きましたが、人質立てこもり事件中に、『人質の安否は全然確保されてないけど、時間かけてもあれだし突撃ーーー!!』なんて絶対言えないのかなと。そんな状況だと考えます。となると何が最善でしょうか。きっと何をしても正解であり不正解となります。


 もちろん、住民を逃がそうとすればその動きは探索者崩れにも伝わりますので、本格的な立てこもりが発生する恐れがあるためできません。かといって、放置すれば探索者崩れの好き放題。では検挙しようにも、取り逃がせば報復措置が取られるため、住民から来るなと言われる始末。


 それを出血覚悟で動いたのが不屈の会であります。永田が『協会から強制力のある招集が下された』と話していましたが、それを後押ししたのが不屈の会です。自分たちが動き、出血は最小限に止めて見せると特級探索者が動いたのです。


 川崎が多数のテロリストによって占拠されたとして、日本の何の組織だったらそれを鎮圧できるのでしょうか。私にはわかりません。『おふくろさんが泣いてるぞー!』、そう声をかけるだけなのか、はたまた多少の住民の被害は無視して特殊部隊が突っ込むのか。


 不屈の会が取った行動は正解ではないかもしれないが、私はその動きを真っ向から否定はできないと思っております。



Q.そもそも探索者崩れが野放しにされているのがダメだろ。テロリストの卵だぜ。


A.取り締まれないんじゃないか、それが私の考えです。


 なぜオウム真理教が活動できていたのか。その疑問は全ての事件が明るみになった今だからこそ思えるものです。テロリストの集団。それがわかっていたとしても、実行に移す、ないし準備をしていないのであればその思想を持ち合わせていても検挙などできません。そして、あのような想定外の事件を起こすような出来事に、人類は備えるのではなく再発防止をすることで対策してきました。


 まさに、今回の川崎の件は国家の想定外でありました。国家が想定していた探索者への対策は、単体、無いし少数における犯罪行為、または無差別殺人。これらのマニュアルは完備していました。ですが、『大規模組織による一つの街の占拠』までマニュアルはありませんでした。


 探索者崩れはセキュリティやヤクザのボディガードなど、力を生業としたシノギをしております。いきなり将来テロリストの恐れあるからさ、殺すね。では、それこそ秘密警察の登場で私が思う世界から外れてしまいます。


 探索者ライセンスがはく奪されたとして、その理由が一般人への危害(治癒魔法で治せるレベル)であれば、果たして探索者は殺されるべきなのでしょうか。人一人殺しても懲役で済む世界が日本ですよ。無理じゃないでしょうか。更生するかもしれないという理想論があるのだから。


 故に、探索者崩れは発生します。そして、その犯罪の度合いから、殺害が見逃されるケースも、またあると考えます。


 では探索者そのものに強い規制をかけるか。探索者ライセンス剥奪者は問答無用で死刑、ないしアメリカの様にGPS付きの足輪を付ける。それは日本では無理かなぁと思いました。理由は、そんなリスクの高い職業を選ぶ人間がどれほどいるかということです。


 日本はダンジョンの恵みに支えられているため、探索者の数は一定数は必須です。その中で、一つのあやまちで一生監視対象になるリスクがある職業。これを高校受験で選ぶ中学生がどれだけいるのかなぁと。それこそ、『絡んできたのは相手なのに振りほどいたら打ちどころが悪く傷害罪成立』で一生GPS付きの生活が待っている。う~ん、嫌だなそんな厳しい不自由な探索者。そう思った次第です。


 ただ、力には責任が伴うのだからしょうがないとも思えるので、ここは私の感性が大いに反映されているかと思います。



Q.それにしても、探索者の犯罪問題があるのに警察や自衛隊がレベル上げしてないのは無理があるだろ。


A.警察組織内にもレベルが上がっている者もいるが、先のアンサーでも述べた様にいたとしてあの場で動ける判断ができる部隊があったかは判断できかねます。


 そもそも論ですが、私は日本を守りたいと思って警察になろうとした人たちが、命を賭してモンスターと戦うことに非常に強い違和感を覚えます。え、なんで?と。身体をイジメ抜く訓練も、チームワークのために寮生活を強いられるのも、わかります。厳しい訓練で命を落としてしまうこともあるでしょう。ですが、死ぬリスクを捧げないと強くなれないダンジョンに警察が突撃しに行くのは、何をする人たちなのかなと思ってしまいます。


 理由としては、そもそもレベル上げに時間がかかる点。一体何年警察はダンジョンでレベル上げを行ってから配備されるのかと。警察学校での履修内容に加え、5年以上のダンジョン探索を強いる。これは無理じゃないかなぁと思っています。


 そして二つ目の理由。そもそもは入れるダンジョン数に限りがある。日本には20か所のダンジョンがあります。探索者高校や探索者ギルドの人たちが活動している中、自衛隊や警察までダンジョンでがっつり活動しだしたら過密状態になります。それは探索者協会としても防ぎたいと思うでしょう。


 故に、探索者の困りごとは探索者協会に一任し、探索者協会が各ギルドを派遣するのです。


 そして、警察のレベルがそこまで高くない理由は、育成所が原因でもあります。育成所はレベル10まで最低評価でステータスが上昇します。そうなると、探索者の平均が5だった場合、レベル10時点で以下の差が生まれます。


育成所:全ステータス 18.5(平均上昇1.5)

探索者:全ステータス 50(平均上昇5)

※レベル1を5とする


 つまり、育成所上がりがさらにレベル上げをしようとした場合、探索者と比較すると半分以下のステータスから始めなければならないのです。それも一角兎や緑黄狼と殺傷力の高いモンスターもいる2区からそのハンデを背負って探索が始まるのです。探索者を目指している者たちとは、スタートラインから違います。


 当然、ステータスを向上させるアイテムの着用が考えられますが、それではさらにステータスが盛れず、結果早々に成長限界を迎えてしまいます。


 これらの理由から、警察は育成所卒業生に毛が生えた程度のレベルが大多数を占めます。



Q.それでも警察や自衛隊に強い探索者がいないのはおかしいだろ。


A.います。出てないだけです。ですが、特級はいません。


 彼らは九州に配備されているため、今回出ませんでした。理由は東京の特級ギルドが動くからです。自分たちよりも上位の存在が動くため、彼らは彼らに任された任務を全うしています。


 住民が犠牲になっている中、熊の対応に猟友会が出てくるイメージでしょうか。餅は餅屋に。化け物には化け物をあてがう。そういう考えです。


 この点も、探索者問題は探索者協会が対応するという背景に繋がります。結局より強い探索者が出てきたら、警察や自衛隊の精鋭も勝てないです。延々とダンジョン探索して鍛えてくれているギルドの方が、特級に至れる確率が高いですし。


 今回は蜥蜴という組織が背後で動いていました。特級がいると言われている組織です。であれば、特級ギルドが対処するのが最善と判断されております。



Q.こんな事件が発生してるなら、復讐するためにダンジョンで鈴鹿みたいになる奴いるだろ。


A.育成所が阻害します。先ほどの警察のレベルが低い問題と同様です。


 この理屈は、今回の川崎の被害者しかり、事件の被害者から復讐者が誕生しにくい理由でもあります。そもそも、子供が殺された、親が殺されたという被害者で、身体を滅茶苦茶鍛えて犯人に復讐するケースってリアルでは滅多にないんじゃないかなと思っています。そんな中、ただでさえ最初からハンデを負った状態で、ダンジョン探索なんてできるのか? そう思うため、野良の最強復讐者みたいな存在はあまり考慮しておりません。



Q.治安悪すぎやしないかい。


A.悪いところをクローズアップした結果という感じです。


 探索者の力の悪用した結果どうなるか。これを書きたかったので、治安最悪の部分をフォーカスしました。そのため、日本全体があのような治安の悪さなのでは!?と誤認識させてしまう結果となってしまったのかもしれません。すみません。


 また地方の探索者事情ですが、これについてもやりすぎると探索者協会に粛清されるので好き放題というわけにはいきません。それでも悪い奴はいるだろと思われるかと思いますが、実際ご近所トラブル誘発しまくる迷惑な人間や周囲を威圧して過ごすやんちゃな方々などもいますので、それに暴力性が加わった最悪の人種がいると想像していただけると、まぁいるけどそんないないかと思っていただけるかと……。


 ただ、2010年当時の我々が過ごしていた日本よりは治安が悪いです。こちらの世界で言えば闇バイトが流行っていたくらいの治安でしょうか。世界から見るとそう悪くはないのですが、こちらの日本と比較すると結構悪く映ってしまうかもしれません。



Q.国の防衛措置にもつながる探索者が民間なのおかしいだろ。


A.日本は軍隊を持てないからです。


 彼らは民間人であり、勝手にダンジョンに行って強くなりました。軍人?そんな訳w それが今の日本です。自衛隊や警察が育成できない背景もありますが、核兵器のような扱いを受ける彼らは民間人の方がいろいろ都合がいいと言うのも背景にあります。


 特に、東は政府の意向を汲んでくれる。そして、探索者協会は国の機関。探索者法によって強制力のある指示を出すことができる。ならば民間でも何ら問題ないのかな、と考えました。この辺は考えが浅いかもしれません。すみません。



Q.藤原が横浜のギルドの身内殺されて戦慄してたけど、想像できてなかったんかい。


A.できてませんが、私としてはできないのでは……と思っております。


 もしも運転なんて言葉がありますが、そんなの想定する方が無理だろと思うケースもありませんか。今回の事件はそれだと思っています。ある意味②の善意の隣人効果でしょうか。これはしないよねと自分たちで引いた最低限のライン、暗黙の了解、それを超えられた形となります。


 自分たちは蜥蜴を殺すと息巻いて、何故身内が狙われないと思うのか。それは、それをしたら蜥蜴側も身内を狙われるリスクを負うからです。それをしたら行きつく先は泥沼の戦いであり、身動きも取れない監視社会に突入です。国家崩壊を招きかねません。それで有利を取れたとして、そんな刹那的なものを求めているのか?その衝撃が強いです。


 何故、西がこんな強引な手段を使ってまで事を進めたのか。いや、事を急いたのか。それはまだ、この段階ではわかりません。ただ、あの段階で予見して動いた天童が異常者であり、それ故に剣神なだけです。



 と、長々と顔真っ赤長文言い訳しましたが、まとめると以下の3つです。


①川崎の惨状はテロの結果であり、日本全国がああなってはいない。

②探索者も警察も動いていたが、テロの規模がひどすぎて動きあぐねていた。

③蜥蜴という探索者のヤクザ組織が想定外のルール無視をし続けている。


 これらを作中に盛り込むと、私の技量では非常に鈴鹿蚊帳の外の展開が長くなってしまい没としました。これらの内容は8章や9章でも触れていきますが、あまりにもコメントが多く、説明責任があるかなと思い書かせていただいた次第です。


 一介のサラリーマンが無い知恵絞ってみましたが、政府や警察組織、犯罪者集団に対する造詣ぞうけいの浅さが露見される形となりました。読んでいて違和感が出ると読み心地が悪いので、矛盾や疑問点はできるだけ消したいと思っていながらも、上手く伝えられず、また穴多き結果となってしまいました。すみません。



■蜥蜴って?

 猛虎伏草とは別の組織です。探索者版のヤクザ組織と言ったところでしょうか。


 なので、猛虎伏草という大企業が蜥蜴というヤクザに依頼してあくどいことさせてることになります。一般人からすれば、『猛虎伏草と蜥蜴が繋がってる? 陰謀論者乙』となります。しかし、東のギルドからすれば、証拠がないだけで繋がっているのは確実という認識です。これらはアクセスできる情報に差があるために起こります。また、確たる証拠を握れていない点もダメなところですね。


 ちなみに、ランドタイガーは猛虎伏草の下部組織です。グループ会社と思っていただければわかりやすいかと。



■雷鳥戦では魔力が尽きないで配信できていたのはなんで?

 高レベルの魔力操作によって、魔法で消費される魔力が常に最低限で済んでいるからです。これに加え、魔法以外に魔力を割いていなかったので鈴鹿の持っている魔力だけで事足りた結果です。


 全力の練習の時に魔力が無くなるのは聖魔法を使っているからです。ただの聖魔法ならそこまで消費はないですが、使用しているのは聖神ルノアが開発した魔法です。幾重にも複雑に重ねられた魔法のため、魔力の消費が凄まじい代物です。聖神ルノアのように魔力特化型で滅茶苦茶レベル高いからこそ気軽に乱発できるわけであって、レベル100ちょっとの鈴鹿では使う魔法を制限しながらでないとすぐにガス欠となってしまいます。



■宝珠について

 宝珠は各層の5区のエリアボスでしかドロップいたしません。そのため、4区ではドロップしないです。


 また、宝珠はエリアボスを倒した初回だけゲットできます。例えば1層5区の猿猴えんこうを初めて倒したら宝珠が得られます。この宝珠は、『ダンジョンができて初めて猿猴を倒した人限定』というわけではなく、『初めて猿猴を倒す人全員』にドロップいたします。パーティで挑めばパーティメンバー全員にドロップします。


 宝珠がドロップするのは初回だけなので、何回も猿猴を倒しても得られる宝珠は一つだけです。そのため、宝珠ガチャをリセマラすることはできない仕様になっています。


 ちなみに、宝珠から得られるスキルは積み上げたリスクによって得られるスキルの確率が変動します。リスクを積めば積む程良いスキルが得やすくなりますが、結局は運なので頑張ってもコモンスキルかもしれませんし、安全に倒しても超有能スキルをゲットする可能性はあります。


 このあたりがトップギルドが4区5区の探索を止めだした所以ゆえんでもあります。そもそも5区のエリアボスを倒すというだけでリスクがかなり高いので、それでゲットできるスキルがほとんど低レアの微妙スキルだと非推奨になるのも頷けます。



■狂天童子について

 これはすみません、触れたらネタバレになりそう気がするので、説明が全然できません。申し訳ないです……。


 ただ、レベルという概念が狂鬼にはないため、煙を吸収しても鈴鹿のレベルは上がりませんでした。ですが、煙を吸収できるためアイテムは得られます。鈴鹿からしたらアイテムはゲットできるしレベルは上がらないしで、最高の狂敵と言えますね。


 鈴鹿のためにダンジョンが狂鬼を用意したのかというと、それだけではありません。狂鬼は狂鬼で願っていました。血沸き肉踊る死と隣り合わせの戦いを。両者が望み、それが叶えられた結果があの狂鬼の出現となります。


 狂鬼は弱体化した状態だろうがモンスターとなろうが気にせず、ただただ己が満たされる戦いを求めておりました。鈴鹿という小さな鬼が相手でしたが、彼は満足できたようです。また、願えばこんな風に叶えられるのかと言えば、そうでもありません。あれは狂鬼が為した結果に対する恩賞おんしょうです。



■鈴鹿が狂鬼に嫉妬した理由

 作中で鈴鹿が狂鬼に嫉妬していましたが、スキルという恩恵に対して鈴鹿はそれを与えられたおもちゃと認識しているからです。この世界の人間からすれば、スキルというのは自分で掴みとった実力という認識が強いですが、鈴鹿からすると与えられた力という認識になります。こういった認識の違いも、タイムリープによる影響を受けていると言えます。


 例えば、自分でチートツールを作ってゲーム内で俺つえぇ!してる横で、トッププロゲーマーが自力で同じことしてたら、うわぁ俺もああなってみてぇって思う感じでしょうか。チートツールを作れる時点で良くないことですがそれはそれで才能があると思うのですが、純然たる才能を見たことで、鈴鹿は自分の手札を見て自分の力がまがい物なのではとショックを受け、それに喜びイキっていたことに羞恥し、自分が持っていない才能を持つ狂鬼に嫉妬いたしました。


 鈴鹿自身、ああも全てを投げ出して戦い抜けることが才能であると思いますが、鈴鹿は自分を凡人だと思っているため、自分ができることは大したことないと低く見積もる癖があります。それでいて、周りの人の才能や自分ではできないことができる人に対して純粋に羨むことができ、自分も負けてられないと邁進していくことができる性格でもあります。


 今回鈴鹿はスキルと中身の実力の乖離かいりを問題視するようになりました。『覚醒』の話ではそんなの関係ねぇ!とばかりに暴れましたが、きっと次からは実力を高める方向で特訓することでしょう。多分。大丈夫だよね鈴鹿君。不安しかありませんが、きっと大丈夫です。



■終わりに

 さて、ほとんど東西戦争の言い訳ばかりですし、長文すぎるだろとツッコミも多いかと思いますが、これで今回の設定については終わりとさせていただきます。


 七章では強い敵と戦ってちょっと鈴鹿が強くなればいいかなぁと思っていたら、おもっくそ強い狂天童子が出現し、作者の想定以上に強くなってしまった鈴鹿。これから先、彼はいったいどんな探索を行うのか。私にもわかりません。


 猿猴えんこう戦のように手札が無い中で自分を強化しての戦いも好きですが、手札ありすぎて全力で戦うことなんてもうないんじゃないみたいな状態の人が、持てる全てを出し切り、何なら搾りカスまで利用してようやく倒せる戦いっていいですよね。個人的に一番好きな戦いです。そしてごめんね剣術。お前は活躍できんかった。供養。


 八章では今回触れた東西のお話に鈴鹿がどう関わるのか書いております。脳みそを強化しすぎて廃人一歩手前となってしまった鈴鹿です。合理的な判断を求めるのはこくでしょう。ああ、なんでそんな選択をするんだいと思われるかもしれませんが、鈴鹿……お前、脳が……と温かく見守っていただけると嬉しいです。


 閑話を3話挟み、八章が投稿されます。なんとか八章も執筆が間に合いましたので、毎日投稿は継続いたします。ぜひ、お付き合いいただけると嬉しいです。それではまた八章の最後でお会いしましょう!

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― 新着の感想 ―
とても面白い作品で、ここまで一気読みしてしまいました。普段の文章からも、作者さんが色々と試行錯誤して書いていることが伝わってきているので、これからも楽しみに読んでいきたいと思います。
とても分かりやすくかったです。補足ありがとうございます。正直、ダンジョンがある世界なら暴力沙汰が増えるのはリアルがあると思います。今後も作者様の思う通りで書いてほしいです。※現在の暴力団が2万人で警察…
いつもめちゃくちゃ楽しみに読ませてもらってます。大好きな作品です。 どのようにストーリーを紡ぐかの選択権は、作者だけが持つ究極の権利だと思っています。 賛否両論あった箇所について、言い訳のように説明を…
感想一覧
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