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狂鬼の鈴鹿~タイムリープしたらダンジョンがある世界だった~  作者: とらざぶろー
第七章 天をも狂わす鬼

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11話 情報共有

 東京の皇居近く。深層ダンジョンである東京ダンジョンがある近くに、鈴鹿は訪れていた。一時は毎週末通っていた懐かしいダンジョンの方を見ながら、少し離れたビル群へ向かってゆく。


 相変わらず人でごった返している東京だが、人の多さは八王子もそう変わらないかと思いなおす。もともと八王子は学生の多い町だったが、今ではダンジョンもあるため以前よりも多くの人が行きかっているのだ。人混みが苦手な鈴鹿にとっては嬉しくない変化であった。


 そんなビルの中から、ひと際大きく威厳溢れるおもむきのあるビルへと足を踏み入れる。元の世界でもこんな大企業へ行く用事は無かったが、ちゃんと用件があっての訪問のため堂々と中へ入った。用件のある人物を受付で取次いでもらおうとしたとき、声をかけられた。


「定禅寺君! ごめんなさい! わざわざギルドまで来てもらって!」


 振り向けば、ふさふさお耳がチャームポイントの永田ながたが手を合わせて鈴鹿へと近づいてきた。その後ろには以前八王子で会った日比谷ひびや京香(けいか)もいる。


 そう、ここは不撓不屈の本部だ。永田にまたお茶しようと約束していたのだが、どうもごたごたがあって八王子まで行くことができないと言うので、鈴鹿が出向く形となった。ギルド近くにご飯もデザートもすこぶる美味しいカフェがあると言うので、ここまで遠出するのもやぶさかではなかった。


「あ! 今日はケイカさんもいます! 電話で話した通り、ちょっとごたごたしてまして、ケイカさんは護衛のため付き添ってくれます!」


「一級探索者の方ですよね。この前は失礼してしまいすみませんでした」


 なんで急に魔法を展開されたのかあの時はよくわからなかったが、ケイカを見てギルドに入る必要が無いと判断するのは、ケイカを軽んじる行為でもあった。あの時は事実だと思って正論ぶちかましたくらいの気持ちだったが、あれは良くなかったと後で反省していたのだ。


「あ、いや! こちらこそ狂鬼さんの実力もわからず、大それた口を利いてしまいました。すみません」


「ケイカさんは定禅寺君のダンチューブのファンなんですよ! 今日は仲良く三人でご飯に行きましょう~!」


 楽しそうに先導する永田と鈴鹿をチラチラ見ながら付いてくるケイカ、そして友達の友達がいると話せなくなる鈴鹿が無言で後を付いて行くカオスな一行で、永田おススメのカフェへと向かった。




 ◇




 そこはオシャレな隠れ家的なお店だった。このクオリティのお店は八王子にないな。そう思わされる素敵な店内。観葉植物や木製の家具たちが温かみを演出し、鈴鹿も好きな内装だった。


 3人でランチメニューを注文する。ケイカはパスタ、鈴鹿と永田はピザだ。食後に選べるデザートは、鈴鹿はティラミスにすることにした。ピザやパスタをシェアしながら食べているうちに、鈴鹿もケイカもお互い徐々に打ち解け、普通に話せるようになっていた。


「相変わらず定禅寺君の配信凄いですね。この前戦った夢遊猫むゆうびょうなんて、うちでも対策わかってなくて戦闘禁止指定のエリアボスですよ?」


「え、そうなの? 不撓不屈ふとうふくつでもわかってないんですか?」


「はい。精神干渉系ってことは記録に残っているんですが、それも定かではないです。うちも含めて過去に何度か挑んだようですが毎回全滅という結果を受け、何十年も前に全てのギルドで挑むことが非推奨にされてます。うちでは禁止されているので、他所も同じだと思いますよ」


 対策できなければ初見で死ぬエリアボス。何度か挑んで他のパーティが全滅してしまったのなら、挑まない方が賢明だろう。何が対策になるのか確証が持てたら別だが、これが『対策かも』くらいの気持ちでは挑むことはできない。


 きっと鈴鹿を止めようとした一級ギルドニキもそれを知って止めに来てくれたのだろう。


「でも狂鬼さんには効果が無かったみたいですね!」


「ケイカさん、身バレしちゃうんで定禅寺君にしましょう」


「あ、す、すみません定禅寺さん」


 わたわたと謝るケイカ。その様子に永田は新鮮な驚きを覚える。深い青色のロングヘアーにエルフの様な長い耳。素晴らしいプロポーションの持ち主で、顔も美人な綺麗系。クールビューティなケイカに憧れる女性は数多く、ケイカ目当てで不撓不屈を目指す探索者高校の生徒も多いくらいだ。


 そんなケイカが鈴鹿にはたじたじだ。今日も護衛のためとして誘ったのだが、腰が引けていたくらいだし。


 なぜこんなにケイカが緊張しているのかというと、ケイカは自分よりも強いと思える相手に強い憧れを抱くタイプだからだ。天童や藤原クラスになるともはや天上の人くらいの感覚でここまでひどくないのだが、レベルも低いギルドにも所属してない鈴鹿が実は自分よりも遥かに強いのではという結論に至り、ケイカの嗜好にぶっ刺さった形となる。


 狂鬼の配信が始まり1層5区のエリアボスと戦っているシーンからすでにファンと化していたが、雷鳥戦で心を射止められた。あそこまで強くなるためにガムシャラに進める人間は滅多にいない。少なくとも、ケイカでは無理だ。その強さにケイカは憧れ、ファンとなったのだ。


 探索者は力が物を言う世界のため、強い者に憧れる傾向がある。特に、探索者が強くなるためには危険をおかす必要があり、その死線をくぐり抜けてようやく強さを手に入れることができる。それを知っているからこそ、圧倒的な強さを持つ鈴鹿の凄まじさを理解でき、尊敬の念が湧き上がるのだ。


 狂鬼チャンネルの視聴者の中には、そんな強さに憧れた探索者の数は少なくない。それ故、尊敬を込めて狂鬼にさん付けをしているのだ。


「夢遊猫のあの仮面の攻撃はどんな攻撃だったんですか?」


「わかんないですね。けど、魔力の波が全周囲に拡散されてたから、精神干渉系ってのは合ってると思いますよ」


「定禅寺君はなんで効果なかったんですかね。教えられる範囲でいいので心当たりありますか?」


「う~ん。状態異常耐性と精神耐性、それから魔法耐性のスキルがあるから、どれかが効果的だったのかも?」


 精神干渉系の魔法なら精神耐性が防いでくれたのかもしれないが、魔法耐性や状態異常耐性も作用していそうな気がする。


「どれもスキルレベルは変わらない感じですか?」


「そうですね。どれも似たり寄ったりですね」


「なるほど。貴重な情報ありがとうございます」


 鈴鹿としては美味しいご飯屋さんに連れて行ってくれるし、お金も払ってもらえるので全然構わない。配信では不特定多数に知られてしまうためぼかすことが多いが、永田は信頼できそうなのでそこまでガードも硬くなかった。


「この前の夢遊猫むゆうびょう戦は定禅寺さんの近接戦闘が見れて、滅茶苦茶カッコよかったです!」


「それは良かったです。なんかあんまりピンチにもならなかったし、起伏の無い戦闘だと思ってたんですよね」


「そんなことないです!! 分身した夢遊猫の攻撃を紙一重で躱す様子も、同時に攻撃されないように分身が重なるように立ち回る体さばきも俯瞰して戦場が見えている視野の広さも、突如出現する夢遊猫の魔法も的確に全て拳で粉砕されている雄姿も、何もかもが素晴らしかったです!」


 狂鬼の配信について熱く語るケイカ。鈴鹿的には淡々とした戦いだったなという感想だったが、視聴者からしたらエリアボスを単騎で撃破する戦闘は見ごたえしかない。かつての雷鳥戦がインパクトが大きすぎただけで、夢遊猫戦も依然として評価は高かった。


 雷鳥戦は魔法で圧倒する派手な戦いだったが、夢遊猫戦では複数に分身した夢遊猫を拳のみで倒した。見えざる手を使ったド迫力なカメラワークによる近接戦闘の極意の様な戦い方は多くの者を魅了し、各ギルドでは夢遊猫の解析や鈴鹿の戦闘の様子を教材にギルドメンバーへ指導するなど、多くのことに使われていた。


「でも今スキル成長しなくて悩んでるんですよねぇ」


「配信でも言ってましたね。十分スキルレベル高そうですけど」


「そうなんですけど、やっぱり上げたいと思うのが探索者じゃないですかぁ」


「さすが定禅寺さんです! 高みを目指し続けてこそ探索者ですから!」


「ケイカさんは一番レベルの高いスキルでスキルレベルなんです?」


「私は水魔法で8ですね。なので定禅寺さんの雷魔法と一緒です!」


「ちょっ」


 永田が一瞬声を上げたが、おおやけにしていない情報だったようだ。聞いたところで言いふらすことも無いので安心してほしい。


 トップクラスのギルドに所属している一級探索者でもスキルレベル8がマックスか。ケイカは若いためこれからまだ成長するのだろうが、それでも一級まででレベル8。鈴鹿のレベル10は求め過ぎなのだろうか。


「そ、それよりも、定禅寺君に注意事項があったんです!」


 何でも答えてしまいそうなケイカを牽制するためか、永田が話題を変える。


「私が八王子までいけなかった理由の説明でもあるんですが、ついこの間関西のギルドと大きく揉めまして、情勢が不安定になっているんです」


 永田はこれについて話したかったようで、鈴鹿とのお茶会も早めに開こうとしたようだ。


「ニュースでも見られたかもしれませんが、神奈川の川崎に元探索者の犯罪者が集結しておりました。治安は最悪。警察の介入や治安維持に探索者が動員されましたが、一般市民に報復措置を取られどうしようもない状況でした」


 ニュースで探索者の犯罪について取り上げられているのを鈴鹿も見ていた。それに、ヤスからも横浜は治安が良くないと聞いていたな。横浜に行く用事もなかったのでなんか事件が起きてるんだくらいにしか見ていなかった。


「それをどうにかするために、横浜や東京のギルドが主導になって川崎に巣くう探索者崩れの一斉検挙が行われました」


「おお、珍しい。探索者崩れってそんな強くないんですか?」


 探索者は他の探索者と戦いたがらない。モンスターであれば対策することもできるし、安全を重視すれば安定した探索を行える。しかし、相手が探索者になると安全も何もなく、スキル構成やレベル、ステータスの盛り方やアイテムによって強さが大きく変わるため実力を測ることが難しいのだ。


 せっかく探索者として安定しているのに、命がけで人殺しをしなければならないなんて割に合わない。そのため、探索者は探索者同士で揉めることを嫌うし、警察の要望にもあまり協力的ではない。


 そんな背景もあるため、一斉検挙なんて大事をするなら相手の実力がある程度見積もれていないと難しいだろう。相手が存在進化前の探索者であれば、永田は怪しいがケイカのような一級探索者であれば容易に対処できるはずだ。しかし、一級探索者が相手にいたら剣神クラスが出る必要があるだろう。


「基本は探索者高校からの中退者やギルドに所属してすぐに解雇された者たちですので、レベルはそこまで高くありません。ですが、今回は存在進化すら経た探索者もいましたし、危険なレベルでした。ただ、ここまで大規模なテロ行為でしたから、警察や協会からも強制効力のある要請がだされましたので、拒むことはできません」


 有事の際に探索者を強制動員することが出来ると探索者法で謳われている。拒めば探索者ライセンスが剥奪されるので、出ざるを得ないだろう。


「川崎に集まっていた関東近辺の探索者崩れは前回の一斉検挙でほとんど一網打尽にできました。ケイカさんも活躍されてましたよ」


「おお! それは凄い」


「いえ、取るに足らない強さの者たちです。定禅寺さんなら目をつぶっていても倒せますよ」


 前に藤原が西の連中が水面下で蠢動しゅんどうしていると話していたはずだ。関東近辺の犯罪者共が集まっていたということは、西はテロかなんかしようとしてたのだろうか。


「それで、その探索者崩れ達を先導していたのが西だったってことですか?」


「はい、私たちはそう考えてます」


「でも探索者崩れを一網打尽にできたなら大勝利じゃないですか」


 そう言った時、二人は少しばつが悪そうな顔をした。どうやら大勝利とはいかなかったようだ。


「ここからは他言無用でお願いします。川崎に集まっていた関東一帯の探索者崩れは一網打尽にしましたが、首謀者と思われる西の人間は捕らえることができませんでした」


 一人天童が仕留めており、死体の身元も割れている。所属していたギルドから西の人間だと思われるが、それだけでは証拠としても弱く大手を振って捕まえたとは言えない。


「それだけならばまだよかったのですが、問題は根深いものがあります。今回の川崎掃討戦に参加した横浜を拠点とするギルドの代表や幹部のご家族が、殺される事件が発生しました。加害者は同じギルドメンバーやパーティメンバーです。加害者は例外なくご家族を殺害した後に自殺しており、詳しいことは判明しておりませんが、恐らく脅されて凶行に及んだのだろうと推測されています」


 いきなり重い話がぶちこまれてきた。つまり、探索者崩れは一網打尽にできたが、関わったギルドの何名かは自殺してるし、さらに一般人の家族まで巻き込まれて殺害されている。それでいて元凶っぽい西の人間は捕まえられずか。なんというか東のボロ負けのように感じる。ニュースでは川崎に平和が訪れました!みたいな内容になりそうだが、知ってる者が見れば犠牲が大きすぎるだろう。


 これには多くのギルドが衝撃を受けた。特に、同じギルドのメンバーやパーティメンバーが凶行に及んだというのが、彼らには受け止められないほどの衝撃をもたらした。探索者は高潔であり力も併せ持っているというのが東の考えだ。たとえ脅されたとしても、脅しをはねのけてこそ強い探索者である。


 しかし、今回凶行に及んだ探索者の多くは高レベルの探索者であり、本来であれば脅しに来た人間を逆に捕えてしかるべき探索者たちだった。それが、有力ギルド全てでこの騒動が起きた。たまたま一つのギルドであればそんなこともあるかと飲み込めたが、これだけ多くのギルドで同時に起きてしまえば東のギルドも認めなければならなくなる。次は自分たちの番なのではないかと。


 結果、本来であれば川崎で蜥蜴を叩きその勢いのまま西の蜥蜴の本陣を潰す予定であったが、蜥蜴には逃げられ西へ打って出るはずだったギルドたちは躊躇ためらいを見せている。特に横浜を拠点とするギルドは軒並み機能不全に陥っており、しばらくは建て直しで手一杯だそうだ。


 これには不撓不屈もどうしようもなく、明確な対策が取れなければ各ギルドを動員することもできない。


「そんな状況ですので、ギルド員も基本は固まって行動することになってるんです。そのせいで八王子へ赴くことも難しく、ケイカさんに護衛をしていただく必要があるんですよ」


 情報収集という面で言えばこの会も仕事のようなものでもあるが、実際はただのお茶会だ。なのでギルドの、それも一級探索者を連れ出して八王子まではいけない。スカウトなら別だが、鈴鹿がスカウト対象から外れているのだからそれも通らない。かといって一人での行動は慎む必要があるので、鈴鹿に東京まで来てもらったのだ。


 さらに、これは鈴鹿には共有されない情報だが、ここに来て政府からも行動を慎むよう不撓不屈は打診を受けている。横浜のギルドが揺らいだという情報を受け、中国がなにやら動きを見せていると情報が得られたそうだ。


 東南アジアでは日本と中国にダンジョンが出現しているが、日本は例え他国の国民であろうともダンジョンの門戸もんこを開いている。九州にあるダンジョンは他国でも入れるように整備されており、東南アジア各国が毎年日本のダンジョンを利用してレベル上げを行っているのだ。


 これはダンジョンに挑戦する者はすべからく尊重されるべしという、日本の考えに基づいている。一方、中国では他国の者がダンジョンを利用することを厳しく制限している。ダンジョンでレベルを上げれば、強大な力が得られるためだ。せっかく自分たちの国にしか出現しないというのに、わざわざ他国の人間を招いて強化してあげる道理はない。その考えが中国の根底にある。


 そんなダンジョンが出現した10か国のみの特権ともいえるダンジョン強化を、広く開放して多くの国に恩恵をもたらしている日本は中国にとってはひどく邪魔であった。特に、探索者を使った東南アジア各国への圧力に対して日本が逐一抗議するため、中国にとっては非常に鬱陶しい存在と言える。


 そんな背景もあるため、他国への抑止力となる探索者たち同士が揉めることを日本政府は阻止したく、今回のように多くのギルドで被害が起きてしまったため矛を収めてくれと打診を受けたのだ。


 当然はい自粛しますとはならないが、各ギルドも衝撃から立ち直れていないこともあり、西への制裁は見送られることとなった。


「そんなバチバチの状態ですが、西で定禅寺さんを勧誘する動きもみられてます。つい最近西側の手口として身内に圧をかけるなんてことがありましたので、万が一を考えて情報共有いたしました」


「なるほどね。教えてくれてありがとうございます。思ったよりも大分ヤクザな感じですね」


「そうですね。恐らく西の暗部である蜥蜴と呼ばれている組織が絡んでいるのですが、彼らは日本全国に下部組織を持つ巨大な暴力団と繋がりがありますから、ヤクザというのは間違っていません」


 探索者の力と、ヤクザとしての狡猾さ。それらが合わさった結果が、今回の残忍な手口なのだろう。正直内容が内容だけに鈴鹿は上手く想像できておらず、どこか遠い話としか受け取れていなかった。


「あ、そういえばこの前猛虎伏草(もうこふくそう)の人から勧誘受けましたね」


「さすが、早いですね。定禅寺君はその話受けられるんですか?」


「いや、断りましたよ。友達のギルド入るつもりですし、今すぐ入る必要性無いですし」


 特に、そんな東西戦争しているようなギルドに入りたいなんて一切思わない。強い探索者と戦うとかはちょっと興味あるが、家族を狙い合うような、つまらない上になんの矜持もないような戦いにはそそられない。安易に入りますなんて言わなくて心底よかった。


「それは本当によかったです。定禅寺君が西に付いたら目も当てられませんでした」


「ですね。定禅寺さん相手だと多くのギルドに動揺が出たと思います」


 狂鬼チャンネルは大手ギルドもこぞって注目している。4区5区という貴重な情報を無料で見ることができ、戦闘シーンは見えざる手による大迫力な戦闘で、動きを参考にするにはもってこいの資料だ。


 どのギルドも狂鬼の強さを認めており、規格外の狂鬼が敵に回るとなると余計および腰になってしまうだろう。


「そんな訳でして、また西から接触があるかもしれませんのでお気を付けください。西も当分はこちらに入ってはこないと思いますが、定禅寺さんに接触するくらいならやれなくはないはずですから」


「わざわざありがとうございます永田さん。気を付けます」


 永田と繋がりを持っていてよかった。これで何度も勧誘を断ったら脅しにきたりする可能性もあることが分かった。もしそうしたらこの世から猛虎伏草を消し去るだけだが、相手は老舗の特級ギルド。まだまだ存在進化を経たばかりの鈴鹿では荷が重い。


 やはり早急なレベル上げが必要だ。たとえ特級ギルドだろうと、鈴鹿に手を出したら痛い目を見るとわからせられるくらいに。


 鈴鹿はレベル上げとスキル強化を軸に、更なる高みを目指すことを決めるのだった。

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― 新着の感想 ―
 本来なら正体を隠し、仕事人的に影で始末して行くだけで良かったはず。相手が多ければ暗殺部隊を増やせば済む。  表だって動く必要が有ったのだろうけど。
やられるだけやられて何も返せないの東クソ雑魚すぎて可哀想
〉この世から猛虎伏草を消し去るだけだが 主人公のこの何のためらいのない思考好き。
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