設定など③
探索者のランクや鈴鹿の性格について記載しました。
読まなくても本編には影響ございません。
■始めに
ここまでお付き合いいただきありがとうございます!! 感想やブクマ、評価やレビューなどいつも感謝しております!! 日々のモチベに繋がっております!!
そして、誤字脱字報告!!いつも本当にありがとうございます!!多くてすみません!!いつも助かっております!!
さて、掲示板②を持ちまして6章が終わりました。6章では鈴鹿がダンジョン外にも目を向け始め、ダンチューブなどを始めたことで賛否両論のコメントをいただきました。それだけ多くの方に見てもらえているのだなと感じる次第です。ありがとうございます。
設定については2章おきくらいに投稿しようと思っていたのですが、質問も多くございましたのでこちらにて回答と補足をさせていただきます。
■ギルドとパーティの違い
今章では鈴鹿がzooたちの勧誘を受け、将来的に立ち上げられるギルドに所属することを決めた。まず、ギルドとは、パーティとは、その違いは?について触れていなかったため、それについて説明する。
ギルド=事務所、パーティ=所属グループと思っていただけるとその関係性がわかりやすい。事務所に所属しているグループは、グループ間でコラボしたり協力し合ったりするが、基本はグループで活動をしている。それと同じで、同じギルドに所属する=今後一緒にパーティを組んでダンジョン探索する、ということではない。
もちろん、パーティ間での協力はあるだろう。例えば火魔法が弱点のエリアボスが相手であれば、パーティに火魔法が使える者がいなければ臨時でパーティを組むことだってあるかもしれない。だが、基本的にはパーティは別々で活動する。
例えば不撓不屈の場合、スカウトの永田には永田のパーティメンバーがいて、一級探索者のケイカにはケイカのパーティメンバーがいる。基本的にギルドには探索者高校時代のパーティごと所属するため、そのままギルドでも活動し続けるイメージだ。もちろん、偏っているパーティがいれば、ギルドの指示でシャッフルすることはあるかもしれないが。
そのため、鈴鹿はzooたちが立ちあげるギルドに所属はするものの、一緒に探索するかと言われればこの時点ではまだわからない。zooたちに指導して欲しい依頼を受けてする可能性もあれば、zooたちが飛躍して一緒に活動する可能性もあるため、完全否定はできない。
あくまで希凛が言っていたように、鈴鹿という探索者の事例を使わせてほしいということが一番の目的である。広告塔ではあるが、顔出しなどをするかどうかメディア露出については希凛も鈴鹿に任せていたように、あくまで最低でも事例を公表させてほしいという内容にとどめている。その程度しか依頼していないのは、希凛の鈴鹿という友人に対する配慮であり、探索者として先を進む鈴鹿への敬意のためである。
なので、ギルドハウスなどを立ち上げて一緒にラブラブ共同生活みたいなハーレム展開にはならないと思うのであしからず。期待していたらごめんなさい。鈴鹿とzooたちの間にあるのは、友情とリスペクトである。
■探索者のランクについて。
探索者は五級から始まり、四級、三級、二級、準一級、一級、特級の7段階にランク分けされている。
五級(~40):日本国民なら誰でも申請すれば取得できる。
四級(40~):2層1区のモンスターを問題なく倒せれば昇級可能。
三級(70~):3層1区のモンスターを問題なく倒せれば昇級可能。
二級(100~):存在進化を経れば昇級可能。
準一級(125~):5層1区のモンスターを問題なく倒せること、または4層1区のエリアボス(レベル132)を倒すことで昇級可能。
一級(150~):6層1区のモンスターを問題なく倒せること、または4層3区のエリアボス(レベル156)を倒すことで昇級可能。
特級(200~):2回目の存在進化を経ることで昇級可能。7層3区のモンスターを問題なく倒せること、または6層1区のエリアボス(レベル204)を倒すことで昇級可能。
準一級クラスとなると基本的にエリアボスと戦ってきた探索者が含まれるため、昇級項目にエリアボスの討伐が含まれるようになる。
今章では鈴鹿が四級探索者となった。なぜ存在進化したのに二級にならなかったのか、探索者のトップを目指すと言っていたのになぜ上のランクを取らなかったのか、コメントにあったので回答する。
そもそも、ダンジョンを探索するうえで探索者のランクは意味をなさない。ただの人間側が決めただけのランクであり、張りぼての称号である。レベル1なのにありとあらゆる権力によって特級探索者になろうが、ダンジョンにとってだからどうしたというだけである。
逆に、五級探索者のままでも6層だろうが7層だろうが探索することは可能である。ダンジョン内では人間が持ち込んだランク付けは通用しないためだ。ただただ、適正な強さを持っているか。それだけが問われ続けるのがダンジョンである。
ではこのランクは何を意味するのか。それはあらゆる制度の優遇措置である。税制優遇、ギルド内での待遇の差、はたまたギルド自体の恩恵。例えば、三級ギルドでは受けられない優遇制度を、二級ギルドでは受けれたり、二級ギルドを維持するためにはギルド員に〇人以上の二級探索者が所属していることというノルマを達成するためや、探索者がギルドを変更したり引退後の再就職先として肩書を利用したりなど、社会の仕組みとして管理するためのランク分けが、探索者ランクである。
その観点で言えば、別に鈴鹿は五級のままでもよかったのだ。別に税金を安くしたいという思いがあったわけでもなければ、取ろうと思えば二級をすぐさま取れるのだから。それなのに四級に昇級したのは、ひとえに世間体である。
『定禅寺さんのお子さん、聞きました?』
『ええ、探索者のまねごとするって言って高校すら通わなかったのよね』
『そうなのよ。それなのにまだ五級なんですって!』
そんな評価を両親が受けるのはちょっと……そう思ったので、四級に昇級した。あとはプロの探索者という響きに惹かれたくらいである。
一足飛びに二級に昇級しなかったのは、本編でも記述したように目立つことを避けてである。ダンチューバーやるのと矛盾してね。そう思われるだろうが、そこのあたりは後述の『鈴鹿の性格』についてで述べる。
■ヤスたちに実施したレベル上げ
ヤスたちに実践したレベル上げなんて、他のギルドや探高でもやってるんじゃないか。とのコメントがあったが、その通りである。やっています。
芸能人や特権階級の人間は、べらぼうに高い金額を払って似たようなことをしています。高い理由は、それを引き受けたがる探索者が滅多にいないため。ステータスは不可逆なので、ミスったら戻せない。それに相手は大金を払うお客様なので、大怪我をさせられない。それでいて、ステータスを上げるにはモンスター相手に自分から突っ込んで倒すような気概が必要。そんな金持ちたちの相手をしたがる探索者は皆無なので、高額な報酬が必要になる。
じゃあ探高の生徒はと言うと、似たことはしている。教員が引率し、目の前でモンスター相手に戦う実践指導も行っている。だが、基本は付きっ切りではない。それは鈴鹿の理由と同じで、高レベル帯の人間が常に近くにいるとステータスに影響を与えるからである。また、常に付きっ切りは教員の数と生徒の数的にも難しいという背景もある。
そんな中、鈴鹿が実践したようにさらに高ステータスをゲットさせるやり方はしてないのかというと、難しい。理由は、大怪我を負わせるリスクが高いからである。鈴鹿がチームヤスの面倒を見た際、防具を弱めて挑ませた。酩酊羊の突進の当たり所が悪ければ、致命傷を負うリスクを取らせるためだ。ちなみに、鈴鹿は三人が酩酊羊に攻撃される直前に手を出すつもりは無かった。たまたま三人が上手くやっただけで、普通に大事故を起こした可能性もある程、すっかすかな考えの元実践されたのがあのレベル上げである。
鈴鹿が余裕ぶっこいていたのは、相手が酩酊羊だからというのもある。致命傷になろうとも、即死でなければヤスの回復魔法もあれば鈴鹿の聖魔法による回復やポーションもある。死にはしないだろ。その程度の軽い考えである。ただ、これが先を進んでゆき、一角兎などが相手になった場合はどうなるか。下手したら角に貫かれて即死もあり得る。
たった一組のパーティに、ポーションや回復要因を引き連れてそんな手塩にかけて育て上げるかと言えば、高校レベルでは無理である。それに、常に上位者がいることでステータスにも影響は必ずあり、スキル発現などにも影響を与える恐れがある。その方法では、レベル10程度が現実的だろう。
探索者高校はあくまで職業探索者を育成する機関であり、その中から時折現れる外れ値とされるzooのようなメンバーが、探索者の上澄みとなっていくのだ。
ちなみにだが、不撓不屈でも似たようなことはしている。鈴鹿が初めて剣神天童と遭遇した時、天童はケイカたちと共にダンジョンに入っていた。ケイカたちが探索していたエリアの詳細説明や、戦闘指南のための同行である。ステータスを上げるためや危険な探索をさせて剣神が後ろで控えてるということではない。常に付き添っているわけでもないことは記述しておく。
■探索者の形
1950年にダンジョンが誕生してから60年が経過した。その過程で、探索者は社会構造の枠組みに落とし込まれ、職業としての探索者が主流となった。要はサラリーマンと同じである。
会社に所属し、ノルマをこなし、安定したダンジョン産アイテムを持ち帰ってくる。命の危険をなるべく排し、安全に安定した探索をおくる。それが今日の職業探索者である。
探索者という強すぎる力を持った、いや持ってしまう人間を管理するうえで、職業探索者という方向性は代えがたい。自由という名の無秩序を与えることはせず、探索者としてのプライドをもたせ管理するのが今の日本社会である。
無論、一級や特級クラスになれば強くなることに固執し、深く深くダンジョンを潜り続けようとする言葉通りの探索者も存在している。
その二つの間には決定的な考え方の違いが存在し、多くの探索者が探高時代にそれらの憧れを捨て、職業としての探索者を目指すようになる。
■宝箱について
エリアボスと一緒で、適正エリアでしか出現しない。出現しないとあるように、宝箱を見つけることができなくなるのだ。
つまり、1層5区を探索中に剣神がオブザーバーとして付いてきてたら宝箱は一つも出現しない。適正の探索者が通りがかるとき、あたかも何年も前からありましたみたいな雰囲気で宝箱が出現するのだ。逆に、1~3区では多くの適正外探索者が行き来するわけだが、そのエリアで宝箱が出現しない訳では当然ない。適正エリアを適正なパーティメンバーで探索していれば、出現する。
宝箱はエリア内に出現する個数が決まっているため、探索者の数が多い2層や3層の1~3区では見つけることは難しく、活動する者が皆無な4区や5区では気軽に見つけることができる。これもまた、リスクを取った者への恩恵と呼ばれている。
そのため、鈴鹿がレベル上げを断念し宝箱ハンターに転身することも可能ではある。しかし、そんな者にダンジョンが恩恵を与え続けるとは思えないが。
■鈴鹿のダンチューブが早々に発見された訳
ダンチューブとは探索者のみが配信しているコンテンツである。つまり、ダンチューバーの絶対数は、ユーチュー〇ーと比較するのも烏滸がましいほど少ない。それに時代は2010年。そもそもコンテンツ自体が成熟しているとは言えない時期である。
もちろん、こちらの世界の2010年よりはダンチューバーに対する認知度はかなり高い。それは探索者の戦いを見ることができるコンテンツだからこそ、人気が高いのだ。それでも、配信しているのは全体の探索者のうちの限られた人数だけである。生配信をしているなんて、それこそダンチューバーくらいだ。
そのため、今日のユー〇ューブと比較すると投稿数も圧倒的に少ない。つまり、生配信している人を探せば、新人だろうと割と簡単にヒットする。そういった背景もあり、狂鬼チャンネルは早い段階で日の目を浴びることができたのだ。
■気配遮断とは
気配を消し、相手に認識できなくするスキルである。身近な例で言えば、あなたが集中して漫画を読んでいたりスマホをいじっている時に、友人が来て声をかけたとしよう。集中してるので気づかなかった。これが気配遮断を受けている者の感覚だ。友人が気配遮断を使ったのと同義である。そして、あなたに対して大声で呼びかけたり肩を叩くなど接触したら気づくだろう。これで気配遮断が解除された。
つまるところ、相手に危害を加える意思を働かせたり接触することで気配遮断は解除される。
スマカメは鈴鹿の所有物でありアイテムとして認識されるため、スマカメに気配遮断をかけることは可能である。武器と一緒だ。声もモンスターに向けて危害を加えることをしていないため、認識できない。鈴鹿が近くで焚火をしていても、危害が無いので認識できないように。
もちろん、低レベルの気配遮断ならば気づかれないように息を潜めたり隠れ潜むことが必要になる。鈴鹿があんなに優雅に配信しているのは、高レベルの気配遮断に隠匿の心得があってのことであることは付け加えておく。
■zooについて
『設定など』で記載したが、zooは一級を超える実力がある。今後の本編でも語るが、一級や特級に辿り着くためにはステータスだけでは足らない。ステータスが高いことは前提条件になるからだ。上に進むには突出したアイテムかスキルが必要になる。その観点で見てみると、zooはかなり優秀と言えるのだ。
小鳥は『曲芸師』という見切りの上位スキルのようなユニークスキルが発現しており、猫屋敷も毒魔法のスキルレベルが1層4区探索時点で5もある。スキルレベル5というのは、鈴鹿が1層4区探索時の最大スキルレベルと同等のスキルレベルということだ。それはつまり、スキルが強化されてしかるべきリスクを負った探索をしているということである。
彼女たちが幸運だったのは、早々に鈴鹿と出会えたことである。3章23話でこう述べさせていただいた。
『今のzooはまだレベル25、6。まだまだ、探索者のレベルからしたら序盤も序盤だ。これから先、少しでも鈴鹿に近づけるように、いや超えていけるようにステータスを伸ばしスキルを強化していく必要がある』
彼女たちは当時の時点でステータス上昇量が8.5と、リスクを十分とった探索を行っていた。四人という少ない人数でエリアボスに挑んでいることからもそれがわかる。そのうえで、1層3区を探索した初日に鈴鹿の戦闘を眼にし、彼女たちの意識が一段階上に進んだ。よりリスクを取った探索をするために、鈴鹿が彼女たちの背中を押したのだ。
その結果が猫屋敷の毒魔法レベル5である。当然成長は猫屋敷だけでなく、zooのメンバーも同様だ。
毎回鈴鹿と会ったときにzooたちは鈴鹿の探索方法に驚き、自分たちの探索に反映しようと活かしている。あの頭のおかしい探索に定評がある鈴鹿の真似を、出来る範囲で取り入れようとしているのだ。それも不死などないというのに。
鈴鹿は不死があるからこそあの探索スタイルができている。一方zooは猫屋敷の回復魔法があるモノの、不死ではない。その違いがあるのに、鈴鹿に合わせていく。いったいどれほどのリスクを負うことになるのか。
何が言いたいかというと、zoo達がどこまで成長し、どこで成長限界を迎えるかはまだ分からないということである。レベル25の当時のステータス上昇量だけで見れば、一級か、ギリギリ特級だったかもしれない。逆に言えば、あの時点でステータスは特級に至るに足るとされていたのだ。あの時点から今の彼女たちはリスクを更に負ってステータスも増やしている。そして、特級へ至るにもその先に行くにも、あとはスキル次第である。そのスキルが発現するかどうかは、彼女たちがどれほどリスクを積み重ね、死線を乗り越えられるかにかかっている。
本編で全然触れていないのでいろいろとzooに対して誤解させており大変申し訳なく思っているが、彼女たちは彼女たちでリスクを背負いダンジョンで死に物狂いで戦っている。これについてはいずれ本編で触れる……かもしれないので、その時は見ていただけると嬉しいです。
■鈴鹿の性格
最後に、鈴鹿の性格について。本編で上手く伝えられず申し訳ないです。
鈴鹿は基本的に軽い考えの持ち主です。全ての視座を持てるわけではないため、本作を読んでいる方々と、鈴鹿が持ち得る情報には差があり、それ故に不合理と思われる選択も取るかもしれません。
例えば、本人は目立ちたくないから探索者ランクを四級に留めたのに、なんでダンチューバーなんて始めるの?と多くの人が疑問に思ったかもしれません。すみません。
鈴鹿の考え的には、『二級探索者というのは公的なランクのため、広く知れ渡ってしまう』⇒『15歳という若さで通常考えられないランクのため、メディアやギルドが押し寄せるかも』と考えた。それは鈴鹿の本意ではない。なぜなら、その対処に時間を取られ、ダンジョンの探索に影響が出そうだから。それに、空港から現れる有名人の出待ちの如く、ダンジョンから帰ってきたところを囲まれるのは嫌だという強い思いがある(気配遮断があるので問題なさそうではあるが)。特に鈴鹿はメディアについてあまりいい印象を持っておらず、実家に直撃取材とかされそうで嫌だったのだ。
ではダンチューバーは良いのかと言えば、良い。理由は顔出ししなければ身バレしないだろという考えがあるからだ。それに、鈴鹿はもともと ダンチューバーについては興味を持っていた。ただ、そのせいでギルドとかの勧誘とかあったら嫌だなとも思っていたし、レベル100までは無しだなとも思っていた。
それが、レベル100になるや否や不撓不屈がやってきた。何もしなくてもギルドが来るなら、興味があったことでもやってみようかなと思ったのだ。
それに何より、新しいことにチャレンジしてみたいと言う思いが強い。1層を攻略し、学校も辞めてフリーになり、目標だったレベル100は達成した状態。いつも通り2層へ進むのもいいのだが、新しいことを始めようと思うのも、また必然ともいえる。
メディアに四六時中付きまとわれ各ギルドに勧誘されまくるが、チヤホヤしてもらえるのはつまらない。逆に、みんなが見たことないだろう景色やモンスターを紹介するのは面白そう。その違いで、鈴鹿はダンチューバーを始めた。
では、ギルドに入りたくないから勧誘されたくないのに、なんでzooのギルドには二つ返事で入ることを告げたのか。簡単だ。zooは友人だからである。
友人が新しいことに挑戦すると言い、そこで手を貸してほしいと言うのだ。ならば鈴鹿は手を貸す。無条件だろうとも。喜んで。
ヤスが鈴鹿に相談し、元々友人だった陣馬もいたことで武器だろうと防具だろうと与えた様に。鈴鹿は友人に対しては自分ができることならば基本何でもしたいと思っている。
義は命よりも重い。それが鈴鹿の価値観だ。だからこそ、zooがギルドを立ち上げるなら協力するし、メディアにも出てほしいと言われれば悩むかもしれないが出るだろう。鈴鹿とはそういう人間だ。
さて、そんな中始めたダンチューブであるが、いろいろと波紋が広がっている。鈴鹿はダンチューブを始めたものの、後でコメントを読み返すこともしなければ視聴者数を確認することも、ましてや自分の登録者数をみることも特にしていない。どれくらいの人数が登録してたら凄いのかもよくわかっていない始末だ。
鈴鹿がしたいのはあくまで配信であり、人気ダンチューバーになることではない。だから動画の編集なんてしないし、数字に踊らされることもない。生配信をして、コメントと会話しながらダンジョンを散策する。これで鈴鹿は満足しており、これ以上何かしたいとかは無いのである。
だからいつも視聴者いるしそこそこ人気あるのかな程度しか考えてない。大分軽く考えている。
そうなのだ。鈴鹿は基本的に物事を軽く考えているのである。
鈴鹿自身、自分のことを凡人だと思っている。それは5章13話の山鯨戦でも言っているとおり、鈴鹿は毎度最適な判断を下せるわけではない。下せるのは、溢れ出る謎の自信に裏打ちされた短慮な選択ばかりである。
思い出してほしいのだが、鈴鹿は元々FXに全財産とかすほど突き進んだ過去がある。タイムリープした後ではろくに調べもせずに金属バット片手に一人でダンジョンに突き進み、ヤスとパーティを解散した直後に一人で親分狐に突っ込んでいった。その動きは止まることは無く、1層4区で正体不明と遭遇するや後先考えず追いかけまわし、その結果何度も死んでいる。そう。鈴鹿はすでにダンジョンで選択を誤りまくり、死にまくってるのだ。
そのことを覚えておいてほしい。鈴鹿は完璧超人でもなんでもなく、ダンジョンで引き際を誤り死にまくっている、頭の緩い選択ばかりを選ぶ男であることを。たまたま不死というスキルを得たから今も生きているだけの、考え足らずで抜けている性格であることを。
鈴鹿の短絡的で緩い考えだからこそ不死を得られたのか、それは定かではない。だが、鈴鹿はダンジョンでも選択を間違えてすでに死んでいるというのが事実である。そんな鈴鹿が地上に戻り各ギルドたちとの対応を最適に進めていけるかなんて、端から期待する方が無理なことなのである。
狂鬼として表に出てきた鈴鹿。その衝撃はきっと鈴鹿の想定とは異なる流れを呼び寄せることだろう。その時に鈴鹿がどのような判断を下すのか。きっとその判断は皆が納得できる合理性に沿った決断ではないかもしれないが、それが鈴鹿の強みなのかもしれないと暖かく見ていただけると嬉しいです。
さてさて、今回も大分長くなってしまいましたが、ここらへんで終わりとさせていただきます。3つの閑話を挟んだのち、7章が始まります。
7章では今回露になった東西の話なども出てきますので、鈴鹿が今後どのような道を進むのか、一緒にお付き合いいただければと思います。それではまた!




