12話 内定
希凛から呼び出しを受けた鈴鹿は、探索者協会に来ていた。
探索者協会に入れば、すぐに希凛は見つかった。白の長い髪にピンクのメッシュが入った髪はすぐに見つかる。今日もいつも通り多くのピアスを着け、パンクロックな服装をしていた。
希凛の周りにはzooのメンバーもいる。彼女たちは髪の色もさることながら、容姿も抜群に整っているため目立つ。何となくオーラが出ている気がする。
「おまたせ~」
「鈴鹿ちゃん。来てくれてありがとう」
「都ま〇じゅう買ってきたよ。これ食べながら話そう~」
「いいね。都まん〇ゅうはみんな好きなんだ。お茶でも買っていこうか」
他のメンバーとも挨拶を済ませると、会議室を予約しているとのことなので売店で飲み物を買って移動した。
探索者ならば誰でも利用できる探索者協会の会議室は防音が施されているため、周りを気にせず会話することができる。探索者のスキル構成やレベル、アイテムの商談から各階層の情報まで多くの探索者がこの場を利用していた。
「鈴鹿ちゃんは探索順調そうだね」
「うん。にゃあ子に毒魔法教えてもらったおかげで」
にゃあ子から毒魔法についてやダンチューバーである蠱毒の翁を紹介してもらったから、毒手を完成させる期間をぐっと短縮することができた。あれがなければもしかしたら今も猿猴と戦っていたかもしれない。
「それは教えた甲斐があるねにゃあ子」
「うん」
ん? なんか希凛以外のメンバーが緊張しているような。
鈴鹿が気づいたことに希凛も気づいたのだろう。やれやれと言った様子で、話を進める。
「いつも通りでと言ったのに……。まぁ、みんなの様子は鈴鹿ちゃんの変化のせいもあるか」
「変化?」
「その話をする前に、聞きたいことがあるんだ。いきなりだけど、鈴鹿ちゃんは不撓不屈に入ることにしたのかい?」
希凛たちが真剣に鈴鹿を見てくる。
「え、もう知ってんの? なんで?」
「卒業生の間で話題になってたからね。ということは、噂通り不撓不屈に入ったんだね」
卒業生というワードで、鈴鹿はピンとくる人物たちがいる。一緒に四級昇格試験を受けた、Riversのみんなだ。鈴鹿が不撓不屈の話を聞くように勧めてきたのもRiversだし、彼らはあの後クラスメイトと打ち上げするとも言っていた。その場で不撓不屈についても話したのだろう。
「いや、入ってないよ」
「え、そうなの?」
「うん。どんな噂か知らないけど、不撓不屈のスカウトの人と話したのは事実。で、話を聞いた結果、入らないって伝えたよ」
一応名刺は貰っているので気が変わったら連絡してみるのもありだけど、当面の予定も立ててしまったしダンチューバーもやる予定なので連絡することは無い。特に、この予定に追われない解放された気分は何物にも代えがたく、当分手放すことはできそうにない。
「あ、もしかして、俺が不撓不屈入ったと思ってギルド紹介してもらおうとか思ってた? 一応スカウトの人の名刺は貰ってるから、連絡してみよっか?」
「いや、そういうわけじゃないんだ。連絡はしなくていい」
「ねぇねぇ、鈴鹿ちゃんはなんで不撓不屈の話断ったの?」
ワン子こと犬落瀬が、鈴鹿に問う。今日はいつものように亜麻色の髪を結んでいないため、印象が全く違って見える。切れ長の一重の眼がなんでなんでと疑問でいっぱいだ。
「大した理由じゃないよ。一人でダンジョン探索していて困ってないから、ギルドに入る必要ないかなって」
「え、ええ……。あ、相変わらず鈴鹿ちゃんはぶ、ぶっ飛んでますね」
おどおどと話しながらも身体ごと引くようなリアクションを見せるのは小鳥だ。オレンジ色の髪の毛を三つ編みにした小柄な女性で、高校生には見えないが立派な探索者高校の生徒だ。
「鈴鹿は4区や5区探索してるでしょ? 不撓不屈なら普通手に入らないような4区5区の情報も揃ってるし、エリアボスがどんな攻撃してくるかとか資料あるはずじゃん。もしかして鈴鹿、毒魔法でバフかけようとして頭パーになっちゃった?」
にゃあ子こと猫屋敷は毒魔法を使うからか鈴鹿に毒を吐く。猫屋敷も希凛のようにピアスをバチバチ着けているが、希凛とは違い地雷系のようなファッションに身を包んでいる。黒紫色の髪をツインテールに結んだ猫屋敷は、信じられないと言ったように鈴鹿を見ている。
「わかってないね、にゃあ子。その情報欲しさにギルドに入っちゃったら、ギルドが決めた探索スケジュールでギルドに言われたことをしなくちゃいけなくなるんだよ? そんな強制された探索なんてしたくないよ」
本音はこの何者にも縛られていない無職という名の自由を謳歌するために、ギルドという鈴鹿を縛り付ける会社になど入るものか、だ。
まぁ、話した内容も本音ではある。言われたままにタスクをこなすだけの探索は魅力を感じないし、急遽スキル上げしたいから夜通し戦いたいとか思っても、スケジュールから外れちゃうとそんな無理もできない。自分の成長を考えても、ギルドは選択肢に入ってこないのだ。
「ほらね、にゃあ子。鈴鹿ちゃんは例え不撓不屈であろうとも入っていないと言っただろ?」
「はぁーー、強さ求めるなら不撓不屈入ると思うでしょ普通」
事前に鈴鹿が不撓不屈に入ったかどうか予想し合っていたのか、にゃあ子がハズレたと肩を落とす。
「まぁ、にゃあ子が言うことも一理あるよね。効率よく強くなりたいなら不撓不屈入った方がいいと思う。けど、効率だけを求めた強さって脆いイメージがあるんだよね。大変でも手探りで身に付けた方が力になると思うよ」
テスト前の一夜漬けと、常に予習復習した勉強では、後者の方が圧倒的に身につく。ダンジョンもきっと同じで、自分たちで考えて探索した方が、指示されたことだけをこなしている連中よりも強いのは当たり前だろう。
「さて、不撓不屈を断ったということは、鈴鹿ちゃんはどこのギルドにも所属していないで合ってるね?」
「うん」
希凛に返答すると、zooのメンバーが居住まいを正した。
「今日鈴鹿ちゃんを呼んだ本題に入ろう。私たちzooは1層を攻略後ギルドを創設する。鈴鹿ちゃんには私たちのギルドに入ってほしいんだ」
「希凛たちの?」
「そう。私たちは探索者高校を卒業する前に存在進化を済ませて、新しいギルドを創設する。理由は今の探索者の在り方に不満を持っているから」
ああ、そう言えば昔、希凛とそんな話をしたっけ。
希凛と初めて会ったとき、職業探索者の違和感について話をしたことがあった。鈴鹿はダンジョン探索が楽しいからしているのに対し、この世界の探索者は仕事だからダンジョン探索を仕方なく行っているように感じることについてだ。
探索者を職業たらしめることを助長しているのが、ギルドでもあり探索者高校でもある。探索者とはこうあるべしとレールを敷き、言われたことをただこなすだけの探索者。仕事だからダンジョンに行くし、ダンジョンは仕事だから休日には入らないし、仕事だから冒険はせずに安定・安全第一の探索を行う。探索者だというのに、雇われサラリーマン感が強いのだ。
もちろんそんな探索者がいてくれるからこそ、資源の安定供給につながっているのでとても重要な存在であることは理解している。しかし、そんな人たちばかりというのもつまらなくないだろうか。
安定は停滞であり、発展につながることは無い。せっかくダンジョンでは頑張れば頑張った分だけ強くなれるのに、画一的に安全ばかりを優先させる探索者高校の教育は、挑戦の芽を摘んでいるように感じられた。
希凛とは以前同じような話をしていて、その内容に希凛もひどく共感していた。自分も常々そう思っており、いずれどうにかしたいと。
「強くなりたい、そう在りたいと思う者を蔑ろにするのはもったいない。だからこそ、私たちはそんな日本の探索者に一石を投じたいんだよ」
探索者高校の内容が絶対ではない。強くなりたいのなら、自分で考えて道を切り開け。さすればzooのように力を得ることができる。
それは探索者に夢見る少年少女からしたら、とても輝いて見えることだろう。
「ギルドの目的は、探索者の自主自立を促すこと。今の探索者になるためには探索者高校に入らなければならない、探索者高校に入ったなら学校のやり方に従わなければならない、卒業したらギルドに入らなければならない。これらの強制に疑問を呈させる」
わかる。ギルドに入らないと一人前じゃないみたいな風潮マジでどうにかしてほしい。せっかく四級探索者になったのに無職なんて言われたら、四級探索者取り損だよ。
希凛は熱を帯びた眼で、挑戦的に笑いながら続ける。
「ダンジョンはかくも自由なんだから、縛られず、各々がやりたいように進めることもまた、尊重されるべきじゃないか。だから、私たちはギルドを作る。探索者高校に従わなくても存在進化はできるし、大手ギルドに所属しなくても特級探索者に至れると世間に知らしめるために」
現行のやり方に従っていても、存在進化できるかどうかは半々だ。そんな中、自分たちのやり方で存在進化を遂げてギルドを創設し、特級探索者にまで至れれば大きな話題となることだろう。
「私たちに賛同する探索者が出てきても、よほどの者じゃなければギルドに受け入れることはしない。ギルドを大きくしたいわけじゃないんだ。同じ思いを持つ探索者が出てきたら、各々でギルドを興してもらいたい。そうやって、様々な探索者が増えていってほしいんだよ」
要はベンチャー企業の応援ということだろうか。多くのチャレンジングな探索者を増やすことで、これまでとは違った探索者の在り方に繋げる。zooが率先することで、後に続きやすい土壌を作るのが目的。
いいね。せっかくのダンジョンなのに、みんな同じやり方ばかりじゃつまらないよな。どんなゲームでも同じ武器や同じキャラ、同じデッキばかり使われていたら変わり映えが無い。俺は環境キャラを選択せずマイナーで成り上がる方が俄然楽しめる。
「いいね。俺も賛成。それで、俺はギルドに入ったら何をするの?」
「一番は広告塔。探索者高校にも入らず15歳の内からダンジョンに一人で入りその強さ。探索者の間に激震が走るよ」
希凛のギルドの目的に鈴鹿ほど合致している人間はいないだろう。今のやり方とは全く違うアプローチでここまで強くなったのだ。広告塔の役割は十二分に果たせるはずだ。
「メディア露出するかどうかは任せる。ただ、鈴鹿ちゃんの事例は使わせてもらいたい。こんな探索者も我がギルドには所属しているってね」
「メディアに出るかどうかは決めかねるけど、事例は好きに使ってくれて構わないよ」
それこそ、ギルドに入らなくても好きなように使ってくれて構わない。友人であるzoo達が頑張るのなら、その程度喜んで協力しよう。
「他には?」
「それだけかな」
「え、それだけ?」
「うん。鈴鹿ちゃんが所属してくれるだけで大きなインパクトがあるからね。あとは強いて言えば鈴鹿ちゃんの探索の話とかを聞かせてくれると嬉しいかな。鈴鹿ちゃんの話はいい刺激になるからね」
話なんて会えばしているから今更感がある。つまり、本当に所属するだけでいいのだろうか。
「まぁ、それだけって思う気持ちはわかるよ。ギルドって言うのは、今ではいろいろな役割を担っているからね。探索者に最適な育成プランを検討したり、所属する探索者が集めた武器や防具、アイテムの管理、探索者協会や企業からの依頼の受理やアイテムの売買まで。当然、見返りとして探索者にはノルマが課され、ギルドの指示に従って探索してもらう」
組織として各々の仕事が分業化されたことで、探索者は煩雑な仕事をする必要がなくなった。企業や協会は探索者への窓口ができたことで円滑に依頼をすることができ、ギルドを介して探索者は社会の枠組みに組み込まれているのだ。
ギルドが探索者に求めることは多岐にわたる。本業であるダンジョン探索では、現在のステータス値とスキル構成を基に組まれた育成プランを遵守する必要があるし、探索中に得られたアイテムは出来高制とはいえギルドに所有権が渡る。レアアイテムなどもギルドと探索者で話し合って使い道を決めるため、ゲットした探索者が好きにできるわけではない。
もちろん、探索者にも相応のボーナスは支払われる。収納という他人からは見えない空間に格納されることで、探索者側はいつでもアイテムをちょろまかせるためだ。ギルド側はギルド側で、アイテムを報告せず個人取引して売却などした場合のペナルティも設定しているが、自発的に報告してくれた方がお互い健全な関係と言えるだろう。
そんな育成プランを辿り成長限界を迎えたら、後はひたすらアイテムを採取する生活だ。宝箱を探し、モンスターを倒し、課されたノルマをこなす。それは与えられた業務を淡々と捌くサラリーマンと何も違いは無い。
ダンジョン以外の仕事としては広報活動や採用活動などもあるが、基本はダンジョンでアイテムを集めるのがメインだ。
そんな中、希凛が鈴鹿に求めるのは広告塔。ただ所属するだけでいいというのだ。
「一応ギルドとして探索者協会や企業から受けた依頼は共有するけど、鈴鹿ちゃんに無理強いするつもりはない。できそうならやってもいいし、面倒であれば断ってくれて構わない。そもそも私たちは依頼をこなすことが目的じゃないから、緊急性が高いものでもない限りは依頼を受けるつもりはないけどね」
ギルドとして利益を求めるならば、探索者協会や企業からの依頼を受けることは重要だ。そういった活動によって人脈が繋がり、大きな仕事を受けることに繋がる。それらが評価されれば社会的な評価も受け、世間に取り残されることがなくなる。
ただ、zooや鈴鹿のように探索するだけで高額な売却金を得られるのであれば、わざわざ雑多な依頼をこなす必要はない。
「じゃあ、俺は変わらずにダンジョン探索してればいいってこと?」
「そうだね。必要なタイミングで声はかけるから、その時に都度返事をもらえればいいかな。名前を借りるのが目的だからね」
鈴鹿は派手に動いていないため知名度は低いが、経歴は異常だ。あの不撓不屈が直々にスカウトに来たのが何よりの証拠。鈴鹿という存在が世間に知られれば、否が応でも注目を浴びる。そんな鈴鹿が所属するギルドであれば、新興のギルドであろうとも同様に注目されるだろう。
そうなれば、希凛が目的としている探索者の独立という声も、広く知れ渡ることになる。
「まじ? そんなんでいいの? 俺は今まで通り探索して、呼ばれたら対応するだけで?」
「もちろん。というか、そうして欲しい。鈴鹿ちゃんは自由に探索した方が、圧倒的に成長するからね。私たちじゃ鈴鹿ちゃんに最適な探索プランを提供できないし、それなのに取得するアイテムのノルマなんて課すつもりはないよ」
「というか、鈴鹿の探索プランとか逆に教えてほしいくらいだよね」
「で、ですです。わ、私たちが参考にしたいです」
「鈴鹿ちゃんの探索プラン聞くのは、ちょっと怖くもあるけどね」
zooのメンバーも、希凛と同じ意見である。ギルドに所属してもらうが、別に鈴鹿に求めることはなさそうだ。
おいおいおい。これはかなり美味しい話じゃないか?
鈴鹿は真剣に考える。そもそも、友人である希凛達がギルド作るから一緒にやろうと言われたら、協力したいと思うのが鈴鹿だ。それなのに、希凛達は鈴鹿は今まで通りでいいと言うではないか。
希凛達は鈴鹿という名前を使いたいみたいだが、それは鈴鹿も同じだ。希凛達のギルドに所属すれば、名実ともに鈴鹿はプロの探索者と言えるだろう。ギルドに所属していないから無職なんて言われなくなる。
そもそも、鈴鹿はギルドに所属してあーだこーだ言われるのが嫌だから拒んでいたのだ。何も言われないのなら所属するのは構わないし、ギルドの運営費用が欲しいと言うならアイテムだって協会ではなくギルドに渡したっていい。
「まだギルドは出来ていないから、今すぐ答えが欲しいわけじゃない。ただ、私たちは鈴鹿ちゃんにギルドに入ってほしいと思っていることは、知っておいてもらいたい」
希凛達がギルドを作るのは、1層を攻略してからと言っていた。zooは今年に入ってから4区を探索しているため、1層の攻略は1年以上かかるだろう。それだけ4区5区はモンスターが強く、レベルを上げるのに時間がかかるのだ。
だが、鈴鹿の答えは決まっている。
「ぜひギルドに入れてほしい。何かサインした方がいいか? 必要な提出物があれば言ってくれ」
「いいの? 正直、私たちが鈴鹿ちゃんに渡せるものは全然ないよ。契約金は渡すつもりだけど、広報とかで迷惑かけることの方が多いと思うけど」
「そんなことはないし、契約金もいらないよ。広報はその時考えるけど、協力できる範囲なら頑張るつもり」
鈴鹿が欲しいのはギルド所属という肩書だ。そのためだけに知らないギルドに入るつもりはないが、知り合いがやるギルドならば喜んで入らせてもらう。
「ありがとう。まだ時間はあるから、気持ちが変わったら教えてくれ。契約云々は、ギルド創設時に取り交わそう」
「オッケー。まだギルドは出来てないけど、俺たちは同じギルド員ってことでいいの?」
「ああ、そういうことになるね。よろしくね鈴鹿ちゃん」
希凛が差し出した手を握り返す。仮の契約ならばこれで十分だろう。
「あ、そうだ。俺ダンチューバーやってみようかなって思ってるんだけど、大丈夫?」
好きに動いていいとは言ってくれたが、それはダンジョン探索についての話だ。ダンチューバーなんてやってもいいか、確認は必要だろう。
「え、鈴鹿ダンチューバーやるの?」
反応したのは猫屋敷だ。以前蠱毒の翁を紹介してくれたし、猫屋敷はダンチューブをよく見るのかもしれない。
「ダンチューバーは別に構わないけど、何を配信する予定なの?」
「4区とか5区の景色とかモンスターの様子とか! 探索者って4区5区スルーするじゃん? せっかく綺麗なのにもったいないから、配信してみんなに見せてあげようかと思って」
その言葉に一同は顔を見合わせる。
「アッハッハッハ! ぜひやってくれ! 私も見てみたいw」
「さすが鈴鹿ちゃん。私はダンジョン探索中にそんな余裕ないよぉ」
「わ、ワンちゃんの言う通りです。景色なんてい、意識してませんでした」
「さすがだよね。それに4区5区の様子なんて、ギルドの秘蔵情報じゃない? ダンチューブで配信するとか、鈴鹿だなぁって感じ」
呆れや期待の声をかけられる。
4区5区の配信なんて普通じゃないみたいだ。だからこそ、絶対人気が出ると鈴鹿は確信を深める。
「ってことはさ、鈴鹿ちゃんの戦闘シーンとかもあるの?」
「そのつもり。まぁ、最初は1層を撮影するから戦うつもりはないけど、2層の配信したら戦う予定」
「え、めっちゃ興味ある。なんてチャンネル名? 始めたら絶対教えてね」
にゃあ子が鈴鹿の戦闘と聞いて食いつく。やはりダンチューブが好きなのかもしれない。
「わ、私も見たいです! に、にゃあちゃん後でパソコンのやり方教えてください」
小鳥はPCの使い方がわからないようだ。この時代はまだスマホが普及していないから、動画を見るにもパソコンで見る必要があった。
「もちろん。チャンネル登録よろしくな」
こうして鈴鹿は将来所属するギルドが決まり、プロ探索者(ギルド未所属)から、プロ探索者(ギルド所属予定)と着実に前へと進んでゆくのであった。




