第80話 ペット可
「ありがとうございました」
リリスとヴィオラのタブレットとスマホを無事に購入し、DOASOをあとにしていったん駐車場にある車の中に戻ってきた。
まずは2人のことを不審に思われずに購入できてなによりだ。最近は日本へやってくる外国人がかなり増えたから、若干怪しいメンバーだったけれど問題ない行動をしていれば大丈夫そうだな。
「本当に前と同じアプリが戻っている!」
「ちゃんとデータを復元できてよかったよ。タブレットの性能自体は前よりも上がっているから操作性もよくなっていると思う」
「ケンタ、ありがとう!」
最近では店でログインすればデータの復元や移行もやってくれるみたいで、購入と同時にバックアップデータによってリリスのタブレットが元に戻ってくれた。俺もデータの復元は初めてだったから不安だったが、無事に戻ってくれてなによりだ。
しかもタブレット自体のスペックも上がり、カバーやタッチペンなどのアクセサリーも購入したので、前よりもだいぶパワーアップしたと言ってもいいだろう。
「すげえ機能が揃っているのはわかんだけれど、文字が読めねえのはきちいなあ……」
「アルファベットという文字や数字だけ覚えるのはありかもしれないね。この国の識字率はかなり高いから文字を覚えておくとだいぶ違うよ」
ヴィオラも初めて手にした自分のスマホをいろいろといじっている。
こっちの世界だと買い物をする時にも数字が読めるだけでだいぶ違うからな。リリスの師匠ということだし、数字だけならすぐに覚えられるだろう。
「あとこの連絡用のアプリだけは絶対に覚えておいてね。もしもはぐれてしまったら、これで連絡が取れるから」
「ああ、わかっているって。それにしても、どこにいても連絡が取れるなんてすげえよなあ。いったいどんな仕組みなんだ?」
「それについては俺も詳しくはわからないな。それこそネットで調べてみるか。それとどこにいても連絡が取れるわけじゃなくて、電波のある範囲内だけだから、もしも電波がないところだったら、こういった街へ行けばたぶん繋がるよ」
ヴィオラのスマホにはすでに連絡用のアプリをダウンロードし、俺とリリスの連絡先を登録しておいた。ちゃんと通話が可能なこともすでに確認済みである。これでなにか緊急事態が起こったとしても、すぐに2人と連絡を取ることが可能だ。
ひとまずこれで緊急連絡を取ることが可能になったのは大きい。文明の利器に感謝だな。
「キュキュウ……」
「ハリーの手だとタブレットが反応しないからなあ。まあ、俺のタブレットはハリーにあげるよ」
「キュキュウ♪」
リリスとヴィオラのタブレットとスマホを羨ましそうに見ていたハリー。言葉はわからなくても思っていることはわかる。ただ、ハリーの場合はタブレットのタッチパネルが触っても反応しないから操作ができないんだよなあ。
とはいえ俺が操作してアニメとかを流すと喜んで見ているし、俺はサブスクの動画を見たり、漫画を読むのに使っているだけだからハリーにあげるとしよう。
「それじゃあ遅くなったけれど、お昼にしようか」
「キュ!」
タブレットとスマホを新調していたら時刻はすでに14時くらいになってしまった。またリリスのお腹がなってしまう前にご飯にしよう。
「昨日の飯みたいにうめえ料理を頼むぜ!」
「前にケンタが言っていたお店のラーメンがいい!」
「店のラーメンかあ……。昨日の夜はカップラーメンだったし、さすがに別のにしようか?」
「わかった。ケンタに任せる……」
少し残念そうにしているリリス。前にカップラーメンを食べた時においしいお店で食べるラーメンはカップラーメンとはひと味違うと言ったことを覚えていたらしい。確かに店で食べるラーメンはとてもおいしいのだが、さすがに昨日の夜に食べたばかりだから別の店にするとしよう。
う~ん、いろんな料理を食べられるとしたらホテルのビュッフェ形式みたいな場所がいいかもしれないけれど、さすがに人が多そうだから2人は不安だし、ハリーがいると入れないかもしれない。
そうか、お店で食べるとしたらペット可の場所にしないと駄目なのか。まあ、最近は持ち帰り可能な店が大半だし、買って家で食べるのが基本でいいかもな。
おっ、近くにあるこの店はテラス席ならペット同伴でオッケーだ。ペット用の食事を与えてもいいみたいだし、今日はここへ行ってみるとするか。




