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第79話 タブレットとスマホ


「おおっ、これがケンタの世界の街か! 高い建物がいっぱいあるな!」


「師匠、あれはマンションやビルと言う。でも映像で見るよりも迫力がある」


 人気のない山を抜けてようやく街へとやってきた。うちの家やその近くにはぽつぽつとしか家が建っていなかったが、街へ来るとたくさんのマンションやビルが見えてきた。


 あちらの異世界と比べると圧倒的に高い建物が多いから、そりゃ驚くよなあ。


「はい、それじゃあ確認。2人がどこから来たと言われたら、どう答える?」


「アメリカから日本の言葉と文化を学ぶために来ただろ。もう覚えたっての」


「一応だからね。リリス、もしも迷子になったらどうする?」


「待ち合わせ場所が分からなくなったら、誰かにお願いしてケンタのスマホに電話してもらう」


「うん、それで大丈夫だよ。ハリーもないとは思うけれど、迷子になったら俺の連絡先が書いてある紙を誰かに見せるんだよ」


「キュキュ!」


 街まで移動している間にみんなと打ち合わせをした。


 今日は初めてなので人通りの多いところには行かないつもりだが、それでも迷子になったり、警察官に話を聞かれた時のために設定を2人に覚えてもらった。2人はアメリカから日本語と文化を学ぶためにホームステイでやってきたことにする。一番困るのはパスポートについて聞かれることだが、俺の家に忘れてきたことにするしかないか。


 他にもいろんなことを教えたつもりなのだが、不安で仕方がない……。あとはなるようになると信じるしかないな。




「でっけー店だな! これは何の店なんだ?」


「店の名前はDOASO?」


「ここはスマホやタブレットを販売しているお店だよ」


「タブレット!?」


 リリスの反応が早い。まずはヴィオラが壊したリリスのタブレットを新たに購入する。


 今回はいつも俺が電化製品を購入しているモールの大型店ではなく、小さめのショップへとやってきた。2人を連れていきなり人が多いモールへ行くのは少し怖いから、こういった小さなお店から回っていくつもりだ。


「それじゃあお店に入るよ。できる限り目立たないようにね」


「おう」


「わかった」


「キュキュ」


 ……まあ美人と美少女の外国人2人とキャリーケースに入れたハリネズミを連れている時点である程度目立ってしまうのは諦めるとしよう。




「いらっしゃいませ!」


「お、おう。邪魔するぜ」


「お邪魔します」


「キュキュ」


 店員さんの挨拶に律儀に反応するみんな。


 店員さんもそこは接客業のプロ根性を見せてくれて平静を装っているが、内心では不思議な客だと思っているだろう。とはいえ、通報をされるような不審者には思われていないはずだ。ひとまず第一関門はクリアといったところか。


 そして前にハリーが雄二の日本語理解していたのと同じように、ヴィオラとリリスも俺以外の人の言葉を理解できているようだな。


「おいおい、タブレットってやつは高価な物なんだろ? 武装した護衛もいねえのに、こんな風に商品を広げていて大丈夫なのかよ!?」


「この日本という国はとても治安がいいから、盗賊なんかもほとんどいないんだ。もちろんお金を払わずに商品を持ち逃げしたら警察に捕まるから気を付けてね」


 一応俺のいった通り、俺たち以外がいる時に何かを聞く時は小声で聞いてくれているけれど、ヴィオラは美人だからいちいちドキッとしてしまう。早く慣れないと。


「ケンタが私にくれたタブレットがこの店にはない……」


 店内を見回って、リリスが残念そうな顔をしている。


「あれは少し古いタイプだったからね。ちゃんと対価も貰ったから今回は新しいタブレットを購入しよう。リリスが使っていたタブレットのデータは残っているから、どの機種でもデータを引き継げるはずだよ」


「本当!」


 念のため店員さんにも確認したところ、データの移行は可能らしい。最近はキャリアとかに関係なくデータ移行が可能らしいから便利になったものだ。初期設定の費用を払えば店でも設定してくれるらしいから助かる。


 金貨も貰ったことだし、今度は最新式のタブレットを購入しよう。


 それにしても最新のタブレットはだいぶ高い。まあその分カメラ性能などの機能はいいのだろうけれど。


「これにする!」


「うん、いいんじゃないかな」


「キュキュウ」


 俺もそこまで詳しくないが、スペック的にも問題なさそうだな。


「なあケンタ、俺の分もいいんだよな!」


「うん、リリスと同じタブレットと俺が持っているスマホとどっちがいい?」


 もちろんヴィオラの分も購入するつもりだ。


 ……というかもしも駄目と言ったら、キレるかもしれない。


 リリスはタブレットにするようだったけれど、スマホもありだ。俺は持ち運びに便利なスマホにしている。


「……う~ん、迷うところだが、スマホってやつにしておくか。金は払うから欲しくなったらタブレットの方も頼む」


「了解だよ」


 ヴィオラはスマホの方にするようだ。確かに欲しくなったらどっちも購入すればいいと思うが、ヴィオラの場合はまだ文字が読めないからなあ。


 もしかするとリリスみたいに数日でマスターしてしまうかもしれないが、それからの話だ。


 それと今回はSIMも契約して常にネットへ接続できる状態にする。チャットや位置確認のアプリを使えば万一迷子になってもすぐに連絡を取れるようになるからな。


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