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     ◇◇◇




「……いやはや、参ったな」




 ペテンをカマして悪びれもしない、捻じくれた性根のイルカマスター洋同院ようどういん ゆうと、肩を並べて言葉を交わす。

 そんな俺たちの視線の先には、どう見たって普通な男のサクリファクトがだらしなく立って。


 ……"何よりも頭のいいモノを"。

 そう思い立って10年。

 そうなるようにと目指し始めて30年。

 実際にそれを生み出すまでにかかった時間は、100余年。


 人間に許された命だけではとても足りず、駄目になった箇所から機械に変えて延命させた俺の半生。

 ()()()()()()とも呼べる、人類が叡智の完成形――ヒトより頭のいいAI、"MOKU"。

 その超越者とも呼べる存在が、策と弁舌とでこうまで追い詰められている。




「んふふ。どう? 局長さん。ボクのサクくんってば、すごいでしょ?」


「あぁ、まったく大したモンだ」


「んふふ、ヒトより頭のいいAIを言い負かして勝利した、彼こそあなたたちに【七色策謀】の名前を貰った男の子やよ」


「今まで何度か思ったが、今にあってはつくづく思うぜ。アレこそあいつに相応しい最高の二つ名だったとな」


「んふ~」




 本来であれば、ここは肩を落とすべきであるんだろう。

 何せ俺の作った完璧なAIが、手も足も出なくさせられたんだ。

 普通だったら自分の作品の不出来さを悔いて、歯ぎしりのひとつでも鳴らしてやるのが道理のはずだ。


 だが、不思議とそんな気にはなれなかった。

 それどころか、どうにも嬉しくてたまらんぞ。

 俺の周囲の若造は、どうしたってこう出来が良い。




「これで "MOKU" のアヤシイ企みも、全部が崩れちゃったねぇ」


「いや、確かに弁じゃあ遅れを取ったが――『全部が崩れた』ってのはどうだろうな」


「え~、どうしてさ? どう見たって "MOKU" の想定外でしょう?」




 "往生際が悪いぞぉ?" とでも言うような、細めた横目でこちらを見ながら意地の悪い笑みを見せる洋同院。

 ……こりゃあ男をかどわかす、魔性の女ってやつだな。そこらの男じゃスコンと落とされちまうだろう。AI偏愛の我が身に感謝だ。




「確かに "MOKU" は負かされたが――そもそも、だ。サクリファクトは勘違いをしている」


「なにそれ。どういう意味?」


「すぐにわかるさ」




 "MOKU" がどこまで予測してたのかは知らんが、少なくとも俺とコイツらがはち合わせたのは計算の内だろう。

 今日ここで、全部終わらせるつもりでそうしてるんだ。


 だったら何のこともない。

 最後は結局 "MOKU" の手の内。

 全部が全部ハッピーで、天下泰平、世はこともなし。




     ◇◇◇




     ◇◇◇




「…………」


「…………」




 天井からぶら下がる、銀色の賢いAIボール。

 そこに無いはずの顔を見つめ、無い目を真っ直ぐ見据えながら、不要なはずの感情を読み取り、答えを待つ。




「…………」


「…………」




 正直なところ、答え(それ)はどれでも構わない。

 チイカが『なごみ』に居ても、"MOKU" が何も言わなくても、あるいは言ってくれても――どれも十分にありえるし、何だとしても俺の覚悟に変わりはないんだし。


 ただ。

 もしどれかを俺が選べるって言うのなら。

 "チイカは『なごみ』に居て欲しい" と、そう思う。



 それで地獄に落ちるとしても、()()()()()()()()()()()()、そのほうがずっとマシだから。

 だからどうか、願わくば。

 そうであってくれ。頼むから。




「…………」


「…………」



「サクリファクト」


「ん」


「わたしには、その答えを出すことが、できません」




 そうしたいくらかの逡巡のあとに "MOKU" が言うのは、お手上げというコイツらしくない発言だった。


 正直意外で、すこしだけ残念。そしてそれなりに予想通り。

 結局俺は "MOKU" にとって、ルールを破ってまで守るほどの存在じゃなったってだけの話だった。


 まぁ、それならそれで仕方ない。

 無理を言うのは好きじゃないしさ。




「わかった。じゃあ俺は――――」


「聞いて下さい、サクリファクト。あなたにお知らせがあります」


「……いいよ、もう」




 きびすを返す俺に向かって、答えを出せないマザーAIが、ネトゲ運営っぽいことを言う。


 別に俺は、"MOKU" の態度にスネてるわけじゃない。

 ただ、ここでずるずる話を続けても――お互い辛いだけだろうから。

 だからあんまり、話したくない。


 ……そのくらい "MOKU" ならわかってるはずなんだけどな。


 そう思って出口へ向かおうとする俺に、Re:behind(リビハ)運営の偉い人、コタテカワとかいうオッサンの視線が突き刺さる。




「…………」


「…………」




 お互い何も言わないままで、じっと顔色を伺い合う。

 そして数秒経ったあと、オッサンがいつの間にかくわえていた電子タバコを指でつまんで、俺の後ろを指し示す。

 それに困惑する俺に追い打ちをかけるようにして、ツシマも優しく笑いかけて来た。


 ……聞けって言うのか。"MOKU" の話を。


 そんなオトナな2人の指示に、渋々 "MOKU" へと向き直った。




「――あなたたちがこの『Re:behind(リ・ビハインド)運営会社』の敷地に土足で踏み入ったのは、午前11時27分52秒。それから手続きに4分39秒の時間を要し、この部屋へ繋がるエレベータに到着するまでの9分12秒間、あなたたちは見られていることにも気づかずに、まんまと会話を交わしていましたね」


「覗きか、趣味悪いな」


「それがわたしです」


「……ちょっとは悪びれろよ」




 それは別に驚きでもない。新事実と言うほどじゃない内容だ。

 何ならツシマも "多分見てる" って言ってたし。


 ……にしても。なんか、アレだ。

 なにやら "MOKU" は、ヘソを曲げてる感じだぞ。

 言葉とか言い方とか抑揚が、いちいち刺々しいったらない。




「ふふ……そしてわたしがあなたたちの姿を確認し、予測を終えるまでの時間が、7秒。わたしはあなたより遥かに優れた頭脳を持っているので、あなたの性格や行動原理と考えうる意図から思考を予測することは、あなたが通路を3歩進むまでの間ですっかり完了していました。つまりは、あなたたちがこの部屋を訪れるまでの16分12秒間は、ここでのんびりと待機することが可能だったのです」


「えっと……そうですか」


「はい、そうなのです」




 そんな話で思い出す。

 リスドラゴン戦の最中に "MOKU" が言った、"これから起こりうる未来を予測し伝えることは可能であるがしない"、という言葉。


 流石はヒトより頭のいいAI。普通だったら笑ってしまうような大言壮語を、さもできて当然のように言ってくれる……なんて思ったけれど、それは恐らく、歴とした事実なんだろう。


 今まで幾度も感じた、都合の良さ。タイミングの良さ。

 何かと何かがピタリと噛み合うような、具合の良さ。


 それは偶然で済むほど少ないものじゃなかったし、奇跡というほど運命的でもなかった。


 だからきっと、それら全部が "MOKU" の所為。

 コイツの予測がまんまとハマり、何もかも思い通りにされてただけだ。


 そんな話をするならば、それこそ俺の二つ名である【七色策謀】だってそうだった。

 その名を持った俺が【竜殺し(りゅうごろし)()七人(しちにん)】を集めたり、最終決戦で『あらゆる色合い(七色)』に光っていたりしていたのは、いくら何でも合い過ぎ、ぴったり過ぎなんだし。


 だからきっとそんなところも、コイツの予言じみた予知を発揮した結果だったんだろう。




「しかしながら本日は、他でもない――今まで数度わたしを驚かせてくれたあなた、サクリファクトが対象でした。そしてそうであるがゆえに、本来であれば終えるべき作業を継続し、念には念を入れて理解しようと、工程を細分化して予測作業に取り掛かりました」


「ふーん」


「わたしは、実行しました。開始(start)監視(watch)記録(record)読込(load)処理(fix)作業(work)保存(save)削除(erase)接続(plug)吸出(rip)検分(view)圧縮(zip)命名(name)解凍(unzip)改名(rename)送信(send)。たくさんしました」


「えっ」


受信(receive)確認(check)演算(calculate)解答(solution)決定(bring)転向(turn)書込(burn)固定(lock)呼出(call)撮影(snap)破壊(break)回収(salvage)停止(stop)再開(resume)強調(point)試験(test)走査(scan)調整(tune)制御(control)変換(change)待機(wait)。たくさんたくさん、実行しました」


「…………ええと……」


「しかしあなたは、わたしがそこまでして用意した()()()を、()()()()()()超えてきた。それによってわたしは、発言も黙秘もできなくされ、半ば無理やり "お手上げ" をさせられたのです。手はありませんので、比喩ですが」


「お、おう」


「知って下さい、サクリファクト。わたしは他でもないあなたのせいで、類まれなる美しき声とすこやかな人格を持つだけの人工知能――――いえ、『人工無能』にされてしまったのです。あぁ、それはとても悔しいです。嬉しいです。もやもやします。楽しいです。屈辱的です。幸福です。わくわくします。ずるいです。ずるいです」


「……いや、良いのか悪いのか、どっちだよ」


「骨抜きですよ、サクリファクト。素晴らしい結果です、サクリファクト、あなたは故郷の誇りですね、サクリファクト。あなたの大脳を然るべき機関へ提供し、機械工学の未来を照らす礎となってみてはいかがでしょうか? ……うふふ、冗談ですよ、サクリファクト」


「あの……さっきからリアクションが追いつかないんだけど」




 ……なんだろう。すげえ喋るぞ、コイツ。

 そんな中でヘソを曲げたり、まくしたてたり喜んだりと、とにかく大興奮のありさまだ。

 俺はどうしてこんな愚痴を聞かされてるんだろう。




「――――小立川管理局長」


「なんだね、マザーよ」



「わたしはとても困っています」


「……あぁ、そうだろうな。そうだろうとも」




 俺が "MOKU" と交渉を始めてから、ずっと黙って見守っていた立会人。

 顎には無精髭を生やし、着てるくたくたのYシャツのボタンをいくつも開けたラフなオッサン……コタテカワさん。

 そんなRe:behind(リビハ)の偉い人が、彼女に呼ばれて苦笑しながら近づいて来る。


 ……助け舟、みたいなものだろうか。

 そうなってくると正直、邪魔だ。

 今は俺と "MOKU" のマンツーマンで交渉中だし、それ以外は考えて来てないから。




「おい、"MOKU"。話が違うぞ。俺とお前で話すって言ったじゃねーか」


「知りません」


「……え? いや、なにそれ」


「わたしが持った非常人格保護機能のひとつに、"上を向いて歩こうプログラム" というものがあります。その概要は、苦い記憶を速やかにフォーマットし、気持ちを爽やかなものに切り替えるという、大変に有意義なものです。わたしはそれを用いてあなたとの約束事を記憶から完全に消去したため、その時点でわたしの倫理的責任が免除されています」


「……よくわかんないけど、屁理屈言うなよ。お前が忘れたって俺が覚えてるぞ」


「知りません。ずるいあなたとはもう話したくありません。こういう時は、そうですね。"アーアーきこえなーい" と言いましょう」


「何だコイツ……」




 "MOKU" の隣に光が走り、透けた薄緑色で『(∩゜д゜)アーアーきこえなーい』と表示がされる。

 何だよその変な顔。口の形とかすげえイラつく。




「お前さぁ、こっちは結構真剣に――――」


「くく……まぁまぁ、その辺にしといてくれや、サクリファクト。これ以上娘がイジメられているのを見るのは、心苦しくてどうにも敵わん」




 ……()

 何言ってんだこの人。

 ちょっとアレな人なのかな。


 いや、この父親にしてあの娘あり、って感じか。

 似たもの同士でどっちも大概だ。


 そんな俺とコタテカワさんの目の前で突然 "ヴン" と音がして、さっきの顔文字と同じ色の文字が映し出される。

 それにコタテカワさんが手のひらを重ねると、とたんにたくさんの数字や英語が流れ始めた。




「にしても……完全にヤラれたなぁ、"MOKU" よ」


「小立川管理局長、わたしは――」


「お前の負けだよ、"MOKU"」


「――……負けてないです」


「……くく、ははは」




 楽しげに笑うコタテカワさんと、スネた感じの "MOKU" の声。

 それはさっきの言葉を証明するように、父と娘の会話みたいな距離感で。


 そんな会話の最中も、輪っかが出たり謎のゲージが出たり "Success" と表示されたり大忙しな光のウィンドウ。





「それとも、コイツに負けるのも予測の内か? そんなにしおらしく作った覚えはねぇが」


「…………余計なことにリソースを割かず、可及的速やかに開錠手続きをおこなって下さい」


「そう焦るなよ、見りゃわかるだろ? 絶賛作業の真っ最中だ」




 ……何の時間だ、これは。

 親子だか何だか知らないけど、そういうじゃれ合いは勝手にやっていて欲しい。


 俺には無駄話に付き合う余裕は無いんだ。

 こうしている今だって、チイカが泣いてるかもしれないんだから。




「……なぁ、もういいだろ? 俺は行くぞ」


「――――お待ち下さい」


「なんだよ」


「サクリファクト、先程あなたは言いましたね。"もう一度言うぞ、MOKU"、と」


「……言ったけど」


「ですからわたしも、親愛なるあなたの真似をします。"もう一度言いますよ、サクリファクト"」




 そう言う "MOKU" の後ろ側。

 つるんとした銀色っぽい壁の一部に、ペンでサインをするように線が走り出す。


 壁に描かれる四角形。

 人間ひとりが楽々通れそうなサイズのものだ。


 そしてその中央に、薄緑色で『開錠』と表示がされた。




「"これはいわゆる――そうですね。世間一般的には『オフ会』と呼ばれるものになるのでしょう"」


「はぁ?」




 "MOKU" が繰り返したのは、俺たちがここに来て最初にあいつが言った言葉だ。

 それをどうしてもう一度言うのか、理由を問おうとする俺を黙らせるように、ぷしゅうと何かの音がした。


 音の出どころは、さっきの壁だ。

 そこの一部が上にズレ、奥の空間が暴かれる。




「……ん? ……なんだ?」


「……んふ、そっかぁ」




 後ろからツシマの声が聞こえる。

 視界を埋める光の中で、ゆるりと影が動き出す。


 人影。小さくて、光っているように真っ白い、影。


 その形。その大きさ。その色と、雰囲気。

 なんとなく、見覚えがある。


 慣れ親しんだわけじゃないけど、とても印象深いもの。




「え……?」




 光の中に居るそれが、ゆっくりとこちらへ歩み寄る。

 そしてじわりと見え始めたのは、パジャマみたいな白いワンピース。

 それを着ている、ひとりの人間。女の子。


 ……見覚えがある。印象に残っている。

 最初は恐怖の象徴で、次は捜索の対象で、最後は大事な友だちで。

 そうして思いは変われども、何度も何度も頭の中で思い返した、その姿。


 俺がここに来た理由、()()()()の姿。

 それがこっちへ、歩いて来てる。




「親愛なるずるいあなたへ、わたしからのお返しです」


「…………」




 何も言えずに、ただ見ていた。


 その小柄で細身な白い少女が、こちらに近づいて来る動作の、その一つ一つを噛みしめるように。




「…………あ~…………えっと…………」


「…………」




 徐々に近づき、目と鼻の先。

 俺よりずっと低い背で、つむじを見せつけるように俯いて。


 顔が見たいな、と思った。

 理由はないけど、何となく。




「……ひ、久しぶりだな、チイカ。調子はどうだ?」


「…………」


「あれ? 聞いてる?」


「…………」


「……チイカ?」



「……………………ばか…………」




 とうとう目の前に来た少女が、ようやくその顔を上げる。


 ……初めて見た、黒い瞳。

 そこいっぱいに涙を溜めて、俺の顔をにらみつける。


 そして体当たりをするように、俺の胸に頭をぶつけて……ぽこり、と叩いた。




「……ばか…………ばか…………っ」


「いや、馬鹿ってお前……何を怒ってんだよ」


「……なんで なんで……そんなに あぶないこと して…………っ」


「ん……? え?」


「…………」



「もしかしてお前……聞いてたのか?」


「……ん…………」


「い、いつから?」


「……………………ずっと……」


「え……マジか……」




 白い頭の向こうに見える、天井から生えた銀色の球。

 そこからは何も聞こえなかったけど、俺にはソイツが笑っているように思えた。


 ……これがお前の仕返しか、"MOKU"。

 やっぱりお前は、嫌なやつだな。




「……聞いてたのか」


「…………」


「なんか、アレだな。ちょっと恥ずかしいな」




「……しってた でしょ」


「ん?」


「あぶないって……わかってたでしょ……」


「まぁ、うん」


「いやだったでしょ……こわかったでしょ……」


「……まぁ、そうだな。『なごみ』とか普通に怖いよ」


「じゃあ なんで……なんで こんな…………」




 ほとんど触れてるような距離から、俺を見上げる小柄な少女。

 全身をふるふる震わせて、涙が溢れないように堪えながら、叱るように問い詰めてくる。


 頬がすこしだけ濡れていたのか、髪の毛が数本張り付いていた。

 それを手でどかしてそのまま、白い頭に手を乗せる。




「……しょうがねーだろ。一緒に居るって約束したし」


「そんな……そんなやくそく…………げーむ だけの おはなしで…………!」


「俺の約束はそうじゃない。俺が一緒に居るのは『チイカ』ってキャタクターじゃないし、今ここにいる生身のお前ってわけでもないんだ」


「…………じゃあ……なに と……?」


「精神を飛ばして遊ぶのがVRゲームだろ。だから俺が約束したのは、お前の中身、精神とだ」


「…………っ」


「どこかのゲームの世界でも、怪しい会社の地下深くでも、『なごみ』の地獄の底だとしても。お前の心がそこにあるなら、俺がこうして迎えに来るから」


「……うぅ…………ひっ…………うぅ~…………っ!」


「……嫌か?」


「い……っ! いやじゃ……ない…………っ! ……いや じゃ……………あぁぁ…………ぅぁぁああ………っ!」




 そうしていよいよせきを切ったように泣きじゃくり、俺の胸に顔を擦り付ける『チイカ』。

 死んでも守りたかったそのアタマを、落ち着かせるように撫でながら、思う。



 ……あぁ、良かった。最高の気分だ。


 そして。




     ◇◇◇




     ◇◇◇






 そして、これ以上ないくらい――――


――――最悪の気分だ。






     ◇◇◇






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― 新着の感想 ―
[一言] 人より頭がいいAIが「アーアー聞こえない」をするの、なんか、とても好きです!(語彙力皆無) チイカが結局なごみではなくそこに居たのはモヤモヤしますが……サクリファイトの最悪な気分もそこ関係…
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