アジアの夜明け:餅つき大会
家族から借りたPCで小説を初投稿します
工場ではすでに大勢の人たちが集まっていた。臼と杵を30個、周囲の商店などから借りて、餅つきの準備をしていた。もち米も10俵以上購入して今回の餅つき大会に消費される分だ。
何せ、従業員とその家族を含めて1000人以上が参加する餅つきだ、みんなで楽しく過ごせる時間にしたいものだ。
工場に到着すると、私の姿を見つけた従業員が私のもとに駆け足でやってきて、新年の挨拶をしてきた。
「社長!!あけましておめでとうございます!!!」
「「「おめでとうございます!!!!」」」
あけましておめでとうございます!!の合唱だ、従業員が一斉に頭を下げて新年の挨拶を口々に語った。
従業員の姿を間近で見るが、皆、表情は明るく笑顔ではきはきしている。
信念というよりも、会社の経営が良い証拠だろう。
会社の経営が傾いていたり、上と下との関係がうまくいっていないと、雰囲気はかなり悪いものになってしまうからね。
一先ず新年の挨拶を工場に集まっている人達に向けて発した。
「皆さん、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。事故や怪我なく作業を行えるように、社長として善処していく所存でございます。それでは、そろそろ餅つき大会を始めようと思います!!皆さん、奮ってご参加ください
大釜の上においた蒸籠で蒸かしたもち米をたくさんの臼に分けてから従業員たちの餅つき大会が始まった。
もち米を蒸かしていると、米の甘さが湧き出したような蒸かす香が鼻の奥に入ってくる。
従業員たちは、大はしゃぎでもち米を杵で突いて、こねる。
あちこちで威勢のいい掛け声とともに、臼に入っている餅を杵で突くおとが掛け声や笑い声などがこだまする。
私も蒼龍と一緒に餅つき大会に参加する。
餅つき大会は今年から始まった行事である上に、私は餅つき大会をやるのが前世の小学生時代以来になる。
その時の懐かしい気分に浸っていると、蒼龍が杵を持って、私が餅をこねる役をやることになった。
餅をある程度こねてから餅つきが開始されるのだ。
蒼龍は緊張した様子で杵を持って臼の中に置かれた餅を突こうとしている。
「阿南殿…今から突きますね…行きますよーっ…えいっ!!!」
蒼龍のフルパワーで杵を臼に突いたら多分臼が真っ二つに両断されてるだろう。
なので、蒼龍はかなり加減して臼を突いた。
ベヂン!!!という音と共に、臼の中にあった餅がこれまた漫画のように杵にくっついて伸びていく。
水分が足りなかったのだろうか、水で濡れた手で杵にくっついた餅を剥がし、気を取り直してもう一度餅つきを始めた。
いい感じに臼に突いて今度は杵にくっつかずに済んだ。
私は掛け声をかけて餅にぬるま湯をつけてから餅をこねる。
蒼龍が杵で餅を突いて、私がこねる。
これを10分繰り返すると、立派な餅が出来上がった。
その餅を丸めて、餡子や黄粉を塗してようやく食べれるというわけだ。
二人で餅を手で掬って口の中に入れる。
私は餡子、蒼龍が黄粉だ。
餡子の甘味と餅の甘味が口の中に広がっていく、蒼龍も黄粉を塗した餅を美味しそうに頬張る。
こうして私は仕事始めを終えて、従業員たちと一緒に片付けをしてから帰路につく。
また、明日は休みで工場の操業は1月4日からになる。




