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こっちに来てたんだ?

 帰還出来なかった……。


 二人して捕まって、またギルドのお手伝い。魔穴を閉じたから戦士の数も減るはずだけど、それにはまだしばらくかかる。


 つまりまだまだここは忙しい。帰れるわけがなかったんだよね。


 今日は受付を主に頼まれた。案外好評みたいで……と言うか受付がわりと激務で、きついところに回された感じ。キリーさんがフォローしてくれるから何とかなってるけど、こんなど素人に任せて良いの?


 そうしてお客様を捌いてると二人組の戦士がやって来た。一人は長い金髪をポニーテールにまとめた、男女の判断が難しい美形。服装を見ると男性っぽい。優しげな朱色の瞳が印象的だ。もう一人は黒い短髪をオールバックにした、黒い瞳の長身な男性。愛想の良くない感じの、気怠げな表情。


 ただこの二人、何となく変だ。戦士らしくない気がする。


「いらっしゃいませ」


「やあ。素材の買い取りを頼んでも良いかな?」


「はい、承ります」


 とまあ、普通に対応したんだけど。


「あれ、リード? こっちに来てたんだ?」


「おや、キリーじゃないか。それは俺の台詞だと思うぞ?」


「あはは、そうかもね。私はお手伝い。この子と一緒にね」


 お知り合いらしい。


 話でもあるのか、別館へ向かう僕達にキリーさんも付いて来た。四人でぞろぞろ歩いて行く。


「もしかして昨日さ、魔穴に行ってた?」


「ああ、行ったな」


「やっぱり? 雷の音がしてたところに今リードを見たから、ぴんと来たよ」


「キリーもあそこにいたのか。珍しいじゃないか」


「調査を頼まれてね。いやもう、すごかったんだよ……」


「お前が調査? クロエやシロエの仕事だろ?」


「それがね、クロス。二人とも別件で来れなかったんだよ」


 ふむ。金髪さんがリードさん、黒髪さんがクロスさんね。覚えた。


「それで、何がすごかったんだ?」


「中に入ったんだよ」


「へえ……! だが、入ると言っても恐ろしく深いはずだ。どうやって入ったんだ?」


「入ったのは途中までだよ。十メートルくらいかな? 下りたところで、重力が壁の方に変わっててさ。そこからは壁を歩いて行けたんだよね」


「それはおかしな話だな……。聞いた事はあるか、クロス?」


「いや、無い。……しかし今の魔穴は、普段とは違う」


 おー、納得。確かにこれまでに誰も調べてないはずがなく、だとすればキリーさんが知らないわけもないんだった。


 それはどういう事かと言えば、魔物が大挙して出られる環境に魔穴の中は変化していたという事だよね。僕達は意図せずそれに乗じてたんだ。


「あ! そっか、そうだね……。クロス、鋭いじゃん。それ、報告に加えさせてもらっても良い?」


「構わない。それでその先は?」


「あれはね……とんでもなかったよね、ランちゃん」


「はい。壁と言う壁の全面に、黒い人族の顔がびっしりで……。正直肝を冷やしました」


「君も行ったのか」


「ランちゃんは従士兼戦士だよ」


「……何をさせてるんだ」


「捕まってしまいまして」


 そこで改めて、キリーさんが二人を紹介してくれた。二人は凄腕の戦士だそうで、普段はトリシアを拠点としつつランドバロウのあちこちで活躍してるとの事。


 ただ、問題もあるようで。


「二人とも方向音痴でさあ」


「え」


「ははは。今回も本当なら南に行くところだったんだ」


「早く向かわないとまずいのだが」


 お仕事で向かってるの? 本当にまずいじゃん。笑ってる場合じゃなくないかな、リードさん?


「馬車で行きなよ。お金、あるでしょ?」


「高速馬車か。あれは乗り心地が酷いからな……」


「我慢しろ」


 クロスさんはぶっきらぼうな感じだね。言葉が端的で、多くは語らない感じ。一方でリードさんは結構喋る。話し易いし表情豊か。親しみ易くて、男女問わずにもてそう。


 ……けど、何だろ? 既視感があるんだよなあ、この二人。何処かで会った? 記憶には無い。個性的ではあるし、会ってれば覚えてるはず。


 うーん……思い出せない。気持ち悪いなあもう。




 素材買い取りの間も三人は話を続けていた。近況報告と言うか雑談と言うか、そんな感じ。さぼってるようにしか見えないけど、キリーさん大丈夫なの?


 不思議と周囲の目は厳しくない。職員と戦士の間では、こういうやり取りが当たり前に行われてたりするのかな。お客とのコミュニケーションと取れなくもないか。情報収集の側面もあるかもしれない。


 そう考えてみると、これもお仕事の一環? なら大丈夫だね。


 査定が終わったら受付で支払いも済ませ、それで二人とはお別れだ。


「仕方ない、馬車で帰るか」


「その方が良いよ。南だからね、わかる?」


「向こうだろう? 大丈夫だ」


「そっちは北だよね? 何処が大丈夫なのさ……」


 おおう、べたな事を……。放っておけないようで、キリーさんが南の乗り場まで送ってから帰って来た。ギルドで受けた仕事で南に行かないといけないんだろうし、こういうサポートも必要になるわけか。職員も大変だ。


 休憩時間になったらねぎらっておこうっと。




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  名前 ラン

  種族 ハーフエルフ

  性別 男性

  階級  四


  筋力  六

  敏捷 一六

  魔力 二〇


 魔導器 強化属性剣

  魔術 魔力操作   魔力感覚


  技術 看破     識別

     軽業     跳躍


  恩寵 旧神ナルラファリア


  ID 〇二六〇〇〇〇〇〇一

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