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今日は予定通り調査ですね?

 結局受付業務も勤務時間の半分くらいやらされた。おかしい、事務仕事だからと引き受けたはずなのに。


 まあ、あるあるな話なので気にするのはやめた。


 ここで仕事していて思ったのは、素材の買い取りがここ数日で大幅に増えてる事。魔物が活発化して増量中だとは聞いてたから特別不思議に感じてないんだけど、倍以上になってればやっぱり驚かされる。


 でもロランシルトみたいな戦争にはならない辺り、向こうに指揮官の出来る魔物がいないのかもしれない。それならそれで、ギルドとしては稼ぎ時になるから歓迎だろうね。


 受付業務もやらされてるから、素材買取の手続きや案内もやらされる。別館に買取の部署があって、そこで素材の査定と引き渡しを行ったら受付で支払うという流れだった。


 こちらの部署で支払わないのは、お金の保管場所を増やさないためらしい。増やすとそれだけ守る人員が多く必要になって、無駄になるからだそう。戦力の集中にも繋がるから一石二鳥だね。


 ちなみに素材売却の方は触れさせてもらえない。一応僕は戦士だし、差額でギルドがどれくらい儲けてるのか知られるような仕事は回さないよね。


 そんなこんなでノリアエントでの二日目は終了。今日はログアウトして、次のログインは明明後日になる。


「次は調査のつもりでいてね。そのように話は通しておくからさ」


「わかりました。ではまた、明明後日に」


 というわけで、宿の部屋でログアウト。







 さて、仕事から帰宅したら諸々済ませてログインだ。


 キリーさんの部屋を訪ねてみれば、そこで待っていてくれた。


「おはよー」


「おはようございます。今日は予定通り調査ですね?」


「うん。出発しても大丈夫?」


「はい、行きましょう。……あ、荷物預かりましょうか?」


 着替えや私物なんかはギルドに預けてあるそうなんだけど、調査に必要な物は持って行かないといけない。特に食料と水はかさばるし重い。それだけでも預かったら、彼女も楽になるはずだ。


「ありがと。助かるよ」


 受け取ったらインベントリに収納。軽くなった荷物に足取りも軽くして、僕達は宿を出発した。


 町の東側には城塞がある。兵士達が出入りするための門はあるけど、利用は出来ないとの事。なので南門から出て東へ向かうルートだ。門を出たら魔力操作による移動に切り替え、背の低い草原を駆け抜けて行く。東へ進めば進む程に草はまばらとなって、土地の荒れ具合が酷くなってる。


 そんな道中で幾度か魔物との戦闘も行った。大体階級二から三程度の魔物で、多いのはオークやリザードマン、ホブゴブリンなどの人型。各種武器は持ってるものの防具は貧弱もしくは無し。名前に何か付いてるわけでもない、普通の種類だ。僕の刀身を飛ばす攻撃でもよく効いて、大抵二発三発で倒れてくれる。


 弓矢や投げナイフなどの飛び道具を持った個体がちょっと厄介だけど、そんな魔物にはキリーさんが魔術を使ってくれた。


 彼女の魔術は土荊。長い棘の付いた土の蔦が巻き付いて、突き刺しながら拘束するというえぐい効果だ。そうしておいて、タフな相手なら魔導器のスタッフでぼこぼこに殴る戦闘スタイル。


 彼女のこのスタッフは『了』の文字にそっくり。縦線部分が伸びて全体の長さが百七十センチくらいと長い。上側で殴ればハンマーのような打撃攻撃、下側を振れば尖った部分が突き立つ刺突攻撃になる。でも杖の扱いで、魔力量の消費は抑えられるというのだから便利な魔導器だ。


「本当の打撃武器や刺突武器程には強くないからね。そうでないと困るって」


 打撃武器としては重量が、刺突武器としては刺さる長さが足りないらしい。刺突部分は確かに短く、刺し貫くより引っかける用途で使う程度のものに見えるし、彼女の言い分も納得かな。


 人型以外の魔物だと、この辺は牙の発達したファングハウンドとか……犬型って妙に多いね。クローとかニードルとかブラッドとか。他にもヘルハウンドやオルトロス、将来的にはケルベロスだって出て来るんだろうし、これで七種類だよ。組織立って動いたり出来て、単純に種として強いのかな。


 他には二本角の馬のバイコーンとかもいる。角を構えた突進と前足の踏み付けや後ろ足の蹴り上げなど、一撃もらうだけでも危険そうな攻撃ばかり。でも僕の刀身による弾幕で動きを阻害しておいてキリーさんが荊で束縛してしまえば、後はどうとでも料理出来てしまう。


 そうやって戦いながら草原を進み、やがて雑草程度しか生えない荒れ地に到着した。


「これはまた……すごい地形ですね」


「話には聞いてたけど、こんなに起伏が激しかったんだねえ」


 そこは同じ荒れ地でも、ロランシルトの北とは趣が全く異なっていた。一言で言うなら岩石砂漠。ただしその岩石部分が集合したような地形になってる。支離滅裂で複雑な構造は魔力感覚によって把握出来るけれど、ここを行くのは大変そうだ。


 こういう地形だから、キリーさんは僕を連れて来たわけか。話には聞いてたって言ってるし。魔力感覚さえあれば奇襲は避けられて、遭遇自体やり過ごせる。僕が上手く先導しなきゃいけないね。


「頼りにしてるよ、ランちゃん」


「頑張ります」


 ここからは戦闘は控えめにして、いち早く魔穴の調査が出来るようにしよう。


「でも、ここで一旦休憩にしようか。そろそろお昼だよね?」


 時計を確認するとまさにそうだった。身を隠せる場所を探して、そこで一休みだ。




 腰を落ち着けて食事しながら、一つ気になった事を聞いてみた。それは今回の調査についての事だ。


「ところで、調査ってこれまでにもしてるんですよね? 何故今回このタイミングで?」


「んー……。私の立場じゃ話せない事を含んでるから、そこだけは勘弁してね」


「もちろん構いませんよ」


「この調査、実は魔物とあまり関係が無いんだ」


「へ? そうなんですか?」


 これは意外なお話。活発化したから、その調査に来たんじゃないの?


「全く無いとは言わないけど、原因は別。支部長と領主様の間で話があってね、戦士ギルドでも調べて欲しいって頼まれたんだってさ」


「閣下が、ですか。何ででしょう?」


 従士に調べさせれば良かったんじゃない? もっと言えば、僕に話を持ちかければ良いはずだよね。ロランシルトの魔穴を閉じたのは僕なんだから。


 何か理由があるんだとは思う。でもそれが何なのかは、全くわからないね。


「何でだろーねー」


 すごい棒読み。知ってんのね。でも言えないと。了解でーす。


 さて、今回魔穴まで行くわけだけど。前みたく閉じには行けないかな。キリーさんを置いて行くなんて出来ないしさ。だからここには、また後で来よう。


 その方が僕だって知られないし、都合も良い。


 ロランシルトの時みたいに、上手く出来ると良いけど。




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  名前 ラン

  種族 ハーフエルフ

  性別 男性

  階級  三


  筋力  六

  敏捷 一四

  魔力 一八


 魔導器 属性剣

  魔術 魔力操作   魔力感覚


  技術 看破     軽業

     跳躍


  恩寵 旧神ナルラファリア


  ID 〇二六〇〇〇〇〇〇一

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