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何故他者の身体を、キリーさんの身体を動かせたんだろう?

 何故他者の身体を、キリーさんの身体を動かせたんだろう? ファリアに指摘されて、僕は部屋の中で立ち尽くす。


 許可があったって僕の魔力じゃないキリーさんの身体だ。動かせないはずなんだ。枕が動かせないのと同じで、魔力が物質という形態を持ってしまったら、それは物質であって魔力じゃない。自分の身体だけは例外的にエーテルという側面から動かせたけど……。


 え、何それじゃ……他人の身体も許可さえ取れれば動かせるのは正常な挙動? 枕が動かせないのは許可が得られないから?


 でも枕は魔力じゃなくてエーテル。動かせるのであれば許可なんて必要無いはず。けれど実際には動かない。


 どうなってんの?


『我にも理由がわからん。しかし例えば……お主はゲームの形でこちらに来ておる。そして端末の示すステータスとやらは、ゲームがそう認識したものを表しているのだろう』


 つまり?


『ゲームがお主の魔術を魔力操作として認識しているだけで、実際には違うものなのではないか?』


 そういう考え方か……。魔力操作じゃないから、理屈が違うってわけだね。


 でも、それならこれは何なんだろ?


『例えばの話だ。真実がそうなのか、と言うと我には自信が無い。事実これまでお主はお主の魔術を魔力操作として扱えておる。それ以外のものだとしても、想像すら難しい』


 魔力操作じゃないとしたら、最低でも魔力操作としても使える魔術って事か。『エーテル操作』……だったら多分物質も扱えてるはずだよね。じゃあ違うな。本当に、わかんないねこれ。


『うむ。現状は自身の魔力とそれによる物質及びエーテルそのもの、そして許可を得た魔力とそれによる物質をも扱える魔術であると考えるしかあるまい。酷く、都合の良い解釈だがのう』


 わかんない事をいつまでも考えてたって仕方ないからね。


 あー、でもさ。レジーナさんの魔導器から撃たれる矢を操作出来てた事を考えたら、身体を動かせるのは当然の結果だった? 魔導器だって、一時的にとは言え魔力を物質化させた物だ。あの時点で気付いててもおかしくなかったんだ。


 何か、ファリアの解釈で答えが出てる気がするな。


『しかしこれでは、何故エーテルそのものは扱えて物質化したエーテルは扱えぬのかが説明出来ん。二つは同じエーテルなのだ。物質化という違いしか無い。そこが分かれ目である事は明白なのだが、何故分かれ目となっているのかが謎のままだ』


 そうだねえ……。また例え話になっちゃうけど、『魔力』操作だから?


『どういう事なのだ?』


 魔力って、エーテルとは個人の権限の有る無ししか差が無いでしょ? それって魔力との違いがほとんど無いって事だよね。で、魔力は『魔法みたいな事を実現させる力』なわけで。


 この考え方だとエーテルそのものも含まれる。魔力とほとんど差の無い、創造のエネルギー。それがエーテルなんだから。


 つまり魔力操作って、この『魔法みたいな事を実現させる力』を操作出来るって事なんじゃないかなと。まあ、例え話なんだけどさ。


 それが拡大解釈されて魔力による物質も動かせてしまう結果を招いてる、とか?


『ほう……。エーテルについては、力の体を成している事が重要なのだな。物となってしまった枕などは、魔力操作の範疇から外れてしまうと』


 例え話でしかないけどね。だって拡大解釈って言ったって、魔力による物質を操作出来る仕組み自体は結局わかんないんだもの。


『それをやっているお主が言うのか』


 解釈が通じてはいても、理屈はあるはずだからね。それが判明してないんだから例え話にしかならないよ。


 さ、わかんない事をいつまでも考えてたって仕方ない。もう寝るよー。







 翌日は朝食の後、真っ直ぐ戦士ギルドへと向かった。部外者の僕は打ち合わせに参加出来ないから、ここでも受付前にある待合所で待機。二十分か三十分くらいらしいから、ふらっと時間潰しに出かけるよりは待つ事を選んだ。


 そうするとまあ、声がかかるかかる。パーティのお誘いや単純にナンパ、フレンド登録まで頼まれて、断るのに苦心させられた。出かけた方が良かったかな。


 おかげ様で時間はあっという間。キリーさんが戻って来た。


「私の連れに何してんのかな?」


 なんて言って、しつこい勧誘を追い払ってくれる。


「待たせてごめんね。今日は調査に行けないみたい」


「あら、そうですか」


「それで相談なんだけどさ。ランちゃんギルドの仕事手伝ってみない?」


 良いの、それ?


 待遇は良かった。護衛として支払われる報酬はそのままに、こちらのギルドから別に報酬がもらえる。内容は接客もあるけど、主に事務仕事。計算や素材の書類の仕事を回されるという話だ。それで銀貨一枚。セシルさんのお手伝いと同じ金額だね。


 それならばと引き受けた。


「ありがと。それじゃ、着替えよっか」


 更衣室に連れて行かれて、制服を渡された。上は人間の女性用で小さいサイズの方の白いワイシャツと、ジャケットじゃなくてベスト。でも下はハーフリングと言うエルフを小さくしたような種族用の物だった。


「何でですか」


「在庫、切らしてるみたい」


 嘘でしょ!? 上はあるのに下は無いとか、そんな事ってある!?


「シャツは数を多く入れてたりするんだけどね。白いと汚れが目立っちゃって、替えが多くないと困るからさ。ベストは衣替え前だからまだ予備があったね」


『そう言いながらしっかり着る辺り、お主も慣れたものよのう』


 実際慣れちゃってるからなあ……。


 インベントリから着替えちゃえばネクタイまでも一瞬だ。シャツとベストはサイズがほぼぴったり。でもスカートはぴっちりのミニスカ。酷い。靴は従士の革靴で良さそう。


 着替えて出て来たキリーさんが笑いを堪えてる。着せたのあなたでしょーが。


「ランちゃんやばい、女の子が大人っぽくなろうとしてる感じですごい可愛い」


「嬉しくない評価ですねえ……」


 駄目な奴じゃん。


 いっそ従士のスカートでも……って色合わないんだった。戦士ギルドのは藍色だ。


 もう色々諦めて、手を引かれるまま事務所に向かった。




 素足があまりに目立ってNG食らった。


「ズボンかタイツか穿きなさい!」


「じゃあタイツだね!」


 何故キリーさんが選ぶのか、コレガワカラナイ。


 尚、タイツは黒。プレイヤーにはこれもまた好評だったそうな。




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  名前 ラン

  種族 ハーフエルフ

  性別 男性

  階級  三


  筋力  六

  敏捷 一四

  魔力 一八


 魔導器 属性剣

  魔術 魔力操作   魔力感覚


  技術 看破     軽業

     跳躍


  恩寵 旧神ナルラファリア


  ID 〇二六〇〇〇〇〇〇一

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― 新着の感想 ―
[一言] やはりランの能力は特別なものだったみたいですね。 フレーティアの前に現れたリーフが生命の力である『気』の属性を持っていたように、 ナルラファリアの前に現れたランも恐らく魂の力を持っているんで…
[一言] ランちゃんの魔力操作は別物なのか… 領主様はわかってたのかな?
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