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……わたしのスタート地点はここ

 今度はリーフとフレアの番だ。リーフは、やっぱり僕と同じような境遇だった。


「……わたしのスタート地点はここ」


「あの時は驚きました。突然現れましたから」


 僕と同じように、キャラクター作成からいきなりこの店へ放り込まれたらしい。そしてフレアに諸々の事情を話すと、近年現れている放浪者の事を思い出してくれた。そしてフレアが信用出来る知り合いから放浪者を紹介してもらい、やって来たのがゲイルだった。


 ゲイルとリーフが出会ったのは、こんな経緯だったんだね。


「……あの時も、びっくりした」


「ふふ、驚く事ばかりでしたね」


 ゲイルにはさすがに、フレアが何者なのかは話してないそうだ。知り合いと言うのもこのお店の常連さんで、戦士ギルドの職員さんらしい。もちろんその人も知らない。フレアはあくまで、フレア・ティーアとしてここにいるのだという。


 その流れで、フレアは自分のこれまでを話す。


「私は、眠りに就いていたのです。ファリアがあのように封じられてしまい、何をしようともしなかった事を後悔し、自責の念に駆られて……。壊されてはいましたが、この大陸に唯一残っていた神殿で眠ったのです。そうしたら騒がしくなりまして。誘われるように目を覚ますと、人に囲まれておりました。たくさんの人族が隣の大陸から渡って来て、開拓を始めていて、ここに住み着いて。それが私にはとても嬉しくて愛おしくて。その輪の中に加わりたく思ったのです。以来ここで、服飾品のお店を構えております」


「……父さんから聞いた事がある。このトリシアの土地には、崩れた神殿が一つだけ残ってたって。……その神殿には魔物が近付かなかった。だから父さん達は上陸出来て、町を築く事が出来た。……今もトリシアの西、港のそばにある」


 ほー、なるほどね。その神殿が魔物を寄せ付けなかったのは、やっぱりフレアが眠っていたから? となると、今この町がこうしてここにあるのはフレアのおかげ?


 聞いてみると、彼女は曖昧に微笑んだ。


「寄せ付けないと言っても、嫌がるという程度のものですが。その気になれば入って来る事は可能でしょう。神殿が無事だったのは、そこまでして入る価値が無かったからだと、私は考えております。既にこの大陸の生命のほとんどが死に絶え、混沌の領域によって大地と植物が緩やかに消えてゆくのを待つだけの段階でしたから」


 だからわざわざ嫌な感覚を我慢してまで、魔物は既に壊したはずの神殿を調べようとはしなかった? まあ、神殿が何なのかわかってなかった可能性もあるか。野生の本能が避けようとする場所なんだ。壊れてるんだから近付いたりはしないでしょ。


 でもそうなるとまた疑問が湧くね。崩れてはいたけれど、この神殿だけは残っていたんだ。何で? フレアが眠りに就く以前からその状態だったんだから、何故か残されてた事になる。その理由は何?


 これはフレアにもわからない事だった。


「目覚めてから、その事については考えました。神殿にも足を運びました。けれど何もわかっていません。今は四神を祭っているのですが、実は元々何を祭っていたのかもわからないのです。以前から私達姉妹以外の存在を神として崇める人々はおりました。もちろん存在していませんから、想像上の神です。その何れかだとは思うのですが、眠りに就く以前ならともかく今は建て直されておりますので……」


「……記録にも残ってない。多分雨とか風とかで風化した」


 要は、調べようが無いって事か。


 神殿については、ここまでだね。わからないし調べられない以上は、考えても意味の無い事だ。それに過去の事だし。


 神殿の残っていた理由が何であれ、祭られていた神が何であれ、今は関わりが無い。疑問には思うけど、まあ気にしなくても構わないでしょ。




 それからはファリアとフレアが昔話を始めてしまったので、僕とリーフは二人をそのままに微笑ましく見守った。リーフと一緒にお茶を淹れようと台所へ向かい、茶器を出して支度を整え、茶葉を入れたポットに魔道具で作る湯を注ぐ。茶葉を泳がせるようにしてしばしの待ちだ。


 手持ち無沙汰になったところで、不意に名前を呼ばれて振り向く。


「……メール、アドレスが知りたい」


「え!?」


 どきっとした。


 どうしたの? 僕のアドレスなんて、そんな良いものじゃないよ? と言うか女子高生からこういう事言われると……って、考え方がおじさん! ショック!


「構いませんけど、びっくりしました」


「……ごめん。人にこんな事言ったの、初めてで。……切り出し方が下手だったかも」


 どストレートに来たもんね。でも、リーフらしいかな。可愛らしく思えてつい、くすっと笑ってしまった。


 端末を操作して、彼女宛てにメールアドレスを書いたメッセージを送る。


「これが僕のアドレスです」


「……ありがとう。ログアウトしたら、メール送る」


 何か、気恥ずかしい。嬉しくて顔がにやけちゃうよ。それにちょっと、熱い。


 見ればリーフの方も少し顔が赤くなってた。珍しい。そしてこれが最高に可愛い。本当に、どうしちゃったんだろうね? 何だか親近感を持たれてるように思う。良い友達になれてるなら、これ以上の事は無い。そうだと良いな。


 さて、お茶もそろそろ程良い具合。トレイを持って、二人のところへ戻った。







 その日リーフはそのままフレアの家でログアウトした。ここは店舗兼工房兼自宅で、二階に彼女の部屋があるらしい。


 上がる前に、リーフは僕の制服を頼んでくれた。どうやら従士の制服はフレアが作っていたみたい。なので採寸さえしてしまえばすぐに取りかかれるそう。早速測り始めて、僕を見ながら作り始める。


「明日には出来上がります」


「寝ないんですか!?」


「私は元神ですよ? 眠る必要はございません」


 そんなわけで、ソファを借りて眠った翌朝。僕の制服が出来上がっていた。


 朝の挨拶もそこそこに着替えさせられ……着替えさせられ! 朝からひん剥かれた。


 そうして薄緑の制服を着せられて、姿見の前に立たされる。ワイシャツのような襟付きの白いシャツにベスト、詰め襟の上着はいずれもスリムで、上着の上から締めるベルトには細長いホルダーが付いてる。ここに魔導器の柄を入れると良いと、フレアが作ってくれた物だ。


 下は若干のスリットがあるややミニのスカート。ぴったりとしてるけど、スリットのおかげで動き難くはない。足首までの白い靴下に少しのヒールが付いた革製のパンプスを履かされて、アニメなどで見た女性軍人のような出立ちになった。


 でもね、おかしいよね。


「女性の従士もパンツスタイルでしたよね!?」


 レジーナさんはスカートじゃなかったんだよ! 何で僕はスカートなのさ!?


「私は、お似合いでない物をお渡ししない主義なのです」


 酷い主義もあったものだね……。


 あーあ、またゲイルに笑われるよ。わりと開き直ってるのを知ってるからって、遠慮しないからなあ。


 変に気を遣われるよりは気楽なんだけどさ。




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  名前 ラン

  種族 ハーフエルフ

  性別 男性

  階級  三


  筋力  六

  敏捷 一四

  魔力 一八


 魔導器 属性剣

  魔術 魔力操作   魔力感覚


  技術 看破     軽業

     跳躍


  恩寵 旧神ナルラファリア


  ID 〇二六〇〇〇〇〇〇一

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