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感謝する!

3/14 ご指摘いただき、以下の記述を修正致しました


「お互いが知ってる限りの事を話し合った」

  ↓

「お互いの経緯を話し合う事にした」


 明らかに言葉間違ってたんですよね……。

 お騒がせしました。ご指摘感謝です!


 幾つかの棚に衣類が整理されて並ぶシンプルな店内に、おっとりとした高めの女性の声が聞こえていた。右奥にある開け放たれた扉から現れた女性のものだ。リーフと親しげに話す様子からその仲の良さが窺えて、口振りから会わせたがっていた人物が彼女であると察せられる。


 目を惹かれたのは真っ白な長い髪だ。太く緩い三つ編みにしているその髪はまるで光り輝いているようで、眩いと錯覚を引き起こしてしまう程の美しさだった。肌は健康的な色白。張り艶も血色も良く魅力的に見える。そして琥珀のような瞳。大きくて垂れ気味な形は僕に似ているけれど、可愛らしさよりも母性的なものを感じさせる。


 柔らかに微笑む美貌は色気よりも安心感があった。何もかもを包み込んで受け入れてしまうような大きな器が、寛容な在りようが見て取れるように思える。


 背は少し高いだろうか。スタイルはヒルダ様を思わせるようなグラマラス。身体の線が細い分、メリハリがより強調されて見えた。


 纏うのは濃い茶色のワンピースに白のエプロン。作業中だったのか、裁縫道具の類いを身に付けたままだ。それを外しつつ、こちらに気付いて琥珀の瞳で見つめて来る。


 そしてそんな彼女を僕の目がはっきり捉えた瞬間、頭の中に声が響いた。


『あれはまさか、フレーティアか!?』


「え、フレーティア様!?」


 あ、と思った時には声に出していた。不意討ち過ぎて、完全に油断してしまってた。


 女性は驚きにその目を大きく見開く。そして、にっこりと微笑んだ。


「何故その名前をご存知なのか、お聞きしてもよろしいでしょうか?」


 しまったなあ……。もう、無かった事には出来ない。とぼけたところで無駄だ。何かしら話はしなければならないね。


 問題はリーフの存在だ。彼女はこちらをじっと見つめてる。


 リーフはフレーティア様と知り合いだった。会わせたい人とは彼女で確定だろう。そして今、僕が名前を呼んでも微動だにしてない。フレーティア様の方を一切気にせず、僕の出方を見てる。彼女もこの女性がフレーティア様だと知ってるんだ。


 そう言えば、彼女は東を目指していた。あの魔峰が聳え立っている、東を。


 あの部屋にも行った? そして僕がそこから来た事に勘付いてた? だから会わせたいと考えた?


 という事は、僕とファリアに何らかの関係があるところまで突き止めてる? あの大広間を見ただけでそれと気付けるような何かを彼女は知ってる? だとすれば、その情報源はきっとフレーティア様だ。それならもう言い逃れようも無いのかもしれない。


 考えれば考える程、詰んでる事がわかるばかりだ。どうする? どうしたら良い?


『お主さえ良ければ、我が出よう』


 いっその事ってわけね。なるほど、それは話が早い。よくよく考えてみればフレーティア様と彼女と親しいリーフの二人だ。特別問題じゃないね。


 四神との繋がりが心配だけど見守るって話だし、まさか妹を売ってまた封印したり滅ぼそうとしたりなんて事はしないと思う。仮にそうだったとしても、ファリアを連れて逃げれば良い。あちらに帰って、二度とこちらには来ない。そういう手段を僕達は取れる。


 それに、せっかく姉妹の再会出来る時が来たんだ。止めようなんて僕には思えない。


 リーフには、知らせる。僕達の事を教える。フレーティア様と関わりがあるリーフは、僕と同じ境遇である可能性が高い。それならきっと悪いようにはしないはずだ。


 希望的観測とは言えるだろうね。でも、信じてみても悪くないと思う。第一彼女、良い子だしさ。


 ……よし。そうと決まれば、ファリア。


『感謝する!』


 僕の身体から飛び出すと、ファリアはそのままフレーティア様に抱き付いた。まさかここにいるだなんて思わなかったんだろう。さっきよりも大きく開かれた瞳がそれを物語っている。


 そしてその瞳が、じわっと滲み始めた。


 姉妹の再会だね。何年越しになるんだろ、この二人の場合……。


「フレーティア!」


「そんな!? ファリアなのですか!? まさか、本当に!?」


「久しいのう、息災であったようだな……!」


「それは……それは私の言葉です! もう駄目だと……もう消滅してしまったのだと、私は諦めて……! ああ、よく……無事で……」


「このランのおかげで我はこの通りだ。お主をよく見せよ。この顔、この瞳、この髪だ。懐かしいのう……本当に、懐かしい」


「私だって同じです。二度と会えないと、このまま破壊の時まで一人なのだと……!」


 ああ、こういうの駄目。こっちまで泣けて来た。昔から涙腺弱くて、こういうシーンは涙無しには見られないんだよ……。


 二人は抱き合ったまま涙を流して、しばらくの時を過ごす。僕達はそばに佇んで、ただ静かに見守った。







「済まぬな、ラン。放ってしまったの。そしてリーフ。よくぞランと我を導いてくれた。礼を言わせてくれ」


「ありがとうございました、お二人とも。私からも深く感謝致します」


 ファリアはがばっとリーフを抱き締めて、すっとこちらに近付いて来たフレーティア様は、その豊かな胸に僕を埋めた。あまりの事と感触に言葉を無くしました、はい。


「そうでした。私の事はフレアとお呼び下さい。敬称も必要ありません。今の私はこの店の主人、フレア・ティーア。それ以上でも以下でもありませんから」


「もご、もごもご」


 了解でーす。


 すんごい柔らかさですんごい良い匂いで、色々やばい。なるべく早く解放してくんないかな。


 駄目になりそうだ……。







 ふう……。


 いや、解放されただけだし。深い意味なんて無いし。


 それから僕達は、お互いの経緯を話し合う事にした。こちらからはまずファリアがどういう状態にあったのか。これは僕がASを始めたところも含めて一から話した。次にはどうやって解放したのか。これはファリアが力説してくれた。


「こやつは己の魂すら傷付けてまで、我を救うてくれたのだ! 当然だがラン無くして今の我は無い! それ故に我は、ランとともに在る事を誓った! 何処へ行こうとも、何を為そうとも、常に寄り添うつもりだ!」


「素敵です、ファリア! 私もそれがよろしいと思います!」


「……熱血?」


「案外そうなんですよね……」


 恥ずかしいからその辺にしといて。


 それからの事はリーフも知ってる。彼女に助けられて、ロランシルトで戦いまくって、トリシアまで来て今に至る。まあこれまでの旅路についてはそんなものだ。


 でももう一つ、話さなきゃいけない事がある。


「実は、ファリアはあちらに付いて来れるんです」


「それは、どういう事でしょうか……?」


「……あちらって、日本?」


「ですよ」


「フレーティ……いや、フレアだったの。あちらはすごいぞ。鉄の塊が魔力も無しに空を飛ぶのだ!」


「本当ですか!? 塊と言うのは、どれくらいの大きさなのでしょう!?」


「詳しくはわからん。だが、並ぶと人が豆粒のような大きさだ!」


「何という事でしょう……! そのような技術があちらにはあるのですか!?」


 テンション高いね、お二人さんや。再会が余程嬉しかったんだろうなあ。微笑ましくてとても良い。


 ちなみに飛行機の映像はスマートフォンで見せた。テレビもパソコンも置いてないんだよね。テレビくらい買っても良いかな。ファリアが喜びそうだし。でもスマートフォンで充分だからな……。


 余計な買い物はしない主義。後が大変になるんだもの。


 ……話がすっごい逸れてた。


「……どうやって、日本に?」


「それが僕達もよくわかってないんです」


「うむ。ランの中に我が入ったままログアウトをすると、我もあちらに行けるのだ」


「……中に入る?」


「ファリア。それは、やはり?」


「我はその力だけ、残しておるからな」


「力を残してる? でも、全部四神に奪われたんじゃ……?」


「ふ、そこは我の機転よ。我は闇と精神の神と、生まれ出でてより名乗っておった。しかしお主は不思議に思わなかったか? 我には精神よりも精通しているものがあったであろう?」


 精神よりも? ……言われてみれば、確かに精神についてはあまり聞かされなかったかな。それよりはむしろ……魂の方が……。


 へ? まさか!?


「闇と、魂の……?」


「そうだ。それこそが、我の本当の権能。つまり四神には、この魂の権能だけは奪われておらん」


 それじゃ四神は、魂については一切関与出来ないって事?


「エーテルに作用する力は精神の権能だ。それさえあれば、あやつらが生命に力を授けてやる事は出来よう。闇と魂の領域は我がしっかり作り込んでおるから、転生の前処理も問題無かろう。だが、そこまでよ。まあ、それ以上の事には気付けぬと思うがのう」


 悪い顔で解説してるよ。


 つまり自分の権能を偽って、仮に何かあってもそれだけは残るようにしていたと? 狡猾と言うか悪辣と言うか……。まあでも、それが良い方に働いたね。


「そもそも私達は対になる姉妹。光と対になるのは闇、生命と対になるのは魂なのです。いつかは気付かれてしまうと考えていたのですけれど、案外そうはなりませんでしたね」


「神自らそう名乗っておるからの。人族にとっては、生命に対となるのは精神なのだ」


 精神の権能は魂の権能の一部に過ぎず、それは奪われてしまったけれど本来の権能は今も残っている。だから問題は無い。そういうわけだった。


 いや、良いけどさ。詐称じゃん!


 それはともかく。ファリアはこの魂の権能によって、僕にくっ付いてあちらに行けてるというわけか。うん、わからん。


 あちらとこちらを繋ぐパイプに僕がなってるって事? それとも……僕の魂がこちらに来てる?


 ……現状を考えると、後者の可能性が高過ぎるなあ。これは怖い……。




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  名前 ラン

  種族 ハーフエルフ

  性別 男性

  階級  三


  筋力  六

  敏捷 一四

  魔力 一八


 魔導器 属性剣

  魔術 魔力操作   魔力感覚


  技術 看破     軽業

     跳躍


  恩寵 旧神ナルラファリア


  ID 〇二六〇〇〇〇〇〇一

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