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川底に黒いものが見えた

 水の中を魔力操作で泳ぐ。軽い力でも身体を浮かせられるから、水中なら上方向にも余裕で動けるね。飛んでるみたいでとっても楽しい。


 ただ、ゴーグルは欲しかったね。目が痛い……!


 目を瞑ってても大丈夫だけど、せっかく泳いでるのに見られないのは面白くない。


『と言うても、既に暗いからのう』


 夜だからね。でもそれならそれで、剣で照らしながらの水中遊泳が出来る。また違った景色で楽しいと思うよ。


 仕方ないから慣れよう。ゴーグルが無くたって、見えないわけじゃないんだ。


 魔力操作で泳ぐから、手足を動かす必要が無い。楽々だね。しかも速い。これなら想定より早く見つけられるかも。


 そう考えて早くも一時間。ちっとも見つからない。身体もすっかり冷えて来ちゃって、一旦断念した。これはきつい。昼間じゃないと、これ以上は無理だ。


 そしたら今夜はログアウトせずにいてみようか。こちらでの明日、改めて探そう。


 ちなみに水から上がった後ペンダントをインベントリで見たら、『呼吸不要化のペンダント』に名前が変わってた。識別が無いから、間違った情報で付いた名前は間違ったままで反映されてたんだね……。






 宿に帰ると、やっぱり皆ログアウトしていた。


 一つの階層丸ごとを一組に使うこの宿の最上階が、僕達の宿泊先だ。居室にはホークさんが一人で寛いでいて、おかえりと迎えてくれる。ヒルダ様は部屋にいるみたいだ。確かリーフと同じ部屋にしてた。


 今日のリーフは付き合いの長くない、あまり頻繁に絡む事の無い僕から見ても楽しそうで、その様子がとっても可愛らしかった。微笑ましくて和む和む。


 表情は無いんだけど、動作とかに気持ちが表れてたね。あんな風に触って来るとか写真撮るとか、思わなかったもの。嬉しい傾向だ。


 僕からももっと絡んで良いのかな。地位のある子だから人前では難しいね。折りを見て少しずつ増やしてみよっと。


「早かったな」


「身体が冷えてしまいまして」


「夜間行うには無理があったか」


「なので今日はこのままこちらに残り、あちらには明日の夜戻ろうと思います」


「君がそれで大丈夫だと言うなら構わないが、無理はしないようにな。ひとまず湯を浴びて来ると良い。ここには浴室がある」


「本当ですか!?」


 さすが高級宿! 思えばこちらでお風呂に入った事はまだ無かったね。無い可能性も考えてたけど、こういうところならあるんだ。早速使わせてもらお。


 浴室は魔道具で湯を生み出すらしい。必要無いかもしれないがと話しながら、ホークさんが使い方を教えてくれた。と言ってもどれが魔道具なのかさえわかれば既に持ってる魔道具と同じだ。簡単に使える。


 湯を浴槽に張る蛇口は、『蛇口』だった。蛇の頭がセットしてあって、その口から湯が出る。デザインしたの、プレイヤーでしょ。


 シャワーもあって、こちらはいわゆるシャワーの形だ。ホースで壁に繋がれてる。これは足元に埋め込まれた魔道具があって、そこに足で触れながら使う。ホースは当然あちらとは違う素材で出来てる。何かの革だね。蛇っぽい?


 蛇口はともかく、シャワーは聞けて良かったかも。一瞬困ったと思う。それが魔道具だとはわかっても、何なのかまではわからないから。


 ホークさんが戻ったら、着てる物を全部インベントリに仕舞って裸に。全裸にはなれるみたいね。下着も脱げた。アレが無いから問題無い? 基準がわかんないな。女性は無理だったりしてね。


 湯の温度は四十度くらいかな。温かい……。僕はこれくらいがちょうど良い。石鹸もあるね。ありがたく使わせてもらおう。柄の無いボディブラシがあるから、これで洗えば良いのかな。毛が柔らかで心地良い。シャンプーは無いから、髪は石鹸で洗うしか無いか。


 あー……。何か、誰かすごい勢いで向かって来てるぞ。誰なのかなんて、考えなくてもわかり切ってるね。あの人はもう……。


「戻りましたわね、ラン!」


「せめて隠して!?」


 騒がしいお風呂になった。




 浴室はすごく広くて、十人でも入れるくらい。当然浴槽もそんなサイズ。おかげでゆったり入れた……はずだったんだけどね。


 目のやり場に困り過ぎてちっとも気が休まらなかった。







 翌朝。ぐっすり、とは言えないけどそれなりに眠れて、睡眠の効果は実感出来てる。


 もしかしてあちらに戻って眠る必要は無いのかな?


『そうは思うがな。前例を知らぬ事だ。決めてかからずに様子は見た方が良いだろう』


 まあ、そうだよね。でもこちらで眠って効果があるなら、より多くの時間をこちらで過ごせる。日付が変わる頃に起きるよう眠らないといけないから、今日は十八時までにしとこうか。


 それまでに川の捜索を終わらせられなければ、諦めないといけない。その後は衛兵の皆さん次第だ。


 そんなわけで燦々と降り注ぐ暖かいソールの光を全身に浴びつつ入水。にゅうすい。死に戻らない方。当たり前だね。


 昨夜は魔力操作に頼り切って身体を動かさないのも悪かったから、今日は泳ぎながら捜索する。水の中が明るくて綺麗。日本の川は石が多い印象だけど、この川は土と砂が多いかな。水草はちらほらって程度。こうして見ると結構深くて、水深は十メートル以上のところもある。魚が結構豊富にいて、釣ったら確かに楽しそうだ。


 水質は透明で、目でも遠くが確認出来た。これなら魔力感覚だけに頼らず探せる。かなりの大きさだったそうだし、いるなら見えないわけないからね。


 ゆらゆらと漂うように泳ぎながら眺めて探す事二時間程。一旦休憩しようかなと考え始めたところで、奇妙なものを見つけた。


 川底に黒いものが見えた。何だろうと思って近付いてみれば、魔力感覚はそれが穴だと教えてくれる。結構な幅のある洞窟のようで、斜めに傾斜のある構造だ。それが多少曲がりながら魔力感覚の果てまで続いてる。追放の玄室から出る時の洞窟を思い出した。


 カメラを起動し、動画として僕の視界を撮影し始めた。剣を持って照らしながら進む。


 そうすると、魔力感覚で入口から五十メートル付近に大きな部屋の存在を確認した。尚更あそこみたいだけど、こちらの形状はもっとずっと洞窟的だ。部屋が結構広いようで、進んでみても先がわからない。とりあえずそこまで行ってみよう。


 部屋までは今のところ何の反応も無い。通路の幅は五メートルと少しあり、狭苦しさは感じずに済んでる。水は少し澱み始めてる気がした。ちょっと嫌だね。


 部屋まで辿り着くと、魔力感覚で先に把握していた事だけど広くて驚かされる。特に何もいないから真ん中まで行くけど、魔力感覚の範囲いっぱいいっぱいとほぼ同じ広さだ。


 この部屋の先には幾つもの通路が口を開いている。ここから枝分かれしてるみたい。近付いて覗いたり魔力感覚で先を調べてみるけど、どれも結構長くて先の事はわからなかった。ともあれ映像に残す意味で、一通りは眺めておいた。


 さて、どうしようか。例の魚は、ここから出て来たのかな? とりあえず一つ一つ潜って行ってみようか。


 順番を覚え易くしておきたいから、上から探る事にする。変な成り行きになって来たけど、これはこれで楽しいかもね。ここは一体何なんだろ?




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  名前 ラン

  種族 ハーフエルフ

  性別 男性

  階級  三


  筋力  六

  敏捷 一四

  魔力 一八


 魔導器 属性剣

  魔術 魔力操作   魔力感覚


  技術 看破     軽業

     跳躍


  恩寵 旧神ナルラファリア


  ID 〇二六〇〇〇〇〇〇一

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