何で水着なんてあるんですかね!?
「ふふ、よく似合ってますわ」
新しい服を買う事にした。したんだけど……。
「何で水着なんてあるんですかね!?」
「放浪者の店だからな。まあ、作る奴の一人や二人はいるだろ」
このアーシルトにはプレイヤーがお店を出していて、色んな服を作っては並べてた。そして、ここには川がある。川があったら水遊びしたくなるのが人情と言うもの。
そんなわけで、水着が結構売れてるらしいよ……。
「お嬢ちゃん可愛いから、色々着て見せてくれたら安くするよ」
なんて言葉に踊らされ、数着を渡されるまま着替え続けてた。
そりゃもう撮影会ですよ。ゲイルは撮らないみたいだったけど、レジーナさんとリーフには撮りまくられた。店主さんも当然として、たまたま来てたお客のプレイヤーとかも。
しまいにはポーズまで要求されて、あまり変なのは即座に却下したけど色々やらされてしまった。小道具まで用意されて。君ら、暇だね?
まあおかげでお店は繁盛だったらしく、水着と衣服一セットずつ無料でいただけた。
コーディネートは店主さん。審査はヒルダ様とレジーナさん。嫌な予感しかしない。
大きめの襟が付いたノースリーブの白いブラウスを着て、腰には細い革のベルトを巻く事でくびれを強調。下に穿いたのは黒のミニスカート。ただし脇にざっくりとスリットがある。足には幅の広い黒のベルトのサンダル。少しヒールがあって、剥き出しになった脚がすらっと長く見えた。
やっぱり、セクシー系になっちゃうんだね。ヒルダ様のせいだね。
水着の方は、普段着る事も出来るような物を選んでくれた。上は短いキャミソール。ひらひらとして涼しげ。この上に服を着ても良いね。下はほっそいホットパンツみたいな形の物。これも使うなら下着か。色はどちらも鮮やかな青。僕の目に合わせてる。水を弾く素材で、濡れてもすぐに乾くらしい。
ヒルダ様はご満悦、レジーナさんは苦笑いだ。店主さん? 超ご機嫌よ。
「お気に召しましたでしょうか……」
「ええ。可愛らしいあなたが見られて、わたくしは大満足ですわ」
「ごめんね。私では止められなかったわ……」
暴走するヒルダ様を止められる人なんて、誰かいるのかな。
宿は高級な、豪華な場所が選ばれた。費用はヒルダ様の懐から出るそうなので安心だけど、小市民には緊張感漂うところだよ。
滞在予定は四泊。僕達のログインに合わせるから、どうしたってそうなる。
贅沢な夕食を堪能したところで、僕は出発だ。
「それじゃ、ちょっと行ってきますね」
「ランちゃん、タオル持った?」
「あ」
「それじゃこれ、使ってね」
レジーナさんてば本当、気遣いの人だね。感謝してお借りした。
僕が帰る頃には皆ログアウトしてるだろうから、今日はここでお別れ。また明日と挨拶して、一旦宿を離れる。
町中を新しい服でゆったり歩いた。宿は南側の高い辺りにあって、緩い坂の上から見る景色は風情があって格別だ。思わず写真を撮って……ふと今更ながらに思う。
端末ってさ、魔力反応あんのね……。
『本当に今更だのう!?』
いやあははは……。全く意識の外だったからかな? 今やっと思ったよ。これ、魔力があるんだ。もしかして、魔導器みたいなもの?
ともあれ、魔力操作してみる。すると普通に浮いた。これは楽だ。手で持ってなくても大丈夫になっちゃった。
ついでに端末の操作が出来るかやってみると、これも問題無く出来てしまった。手を使わずにインベントリもカメラも何もかも弄れる。そうして認識したから、だろうか。魔力感覚で端末の表示を判別出来る事に気付く。見なくてもわかるようになった。
どんどん便利になって行くね……。
まあ、便利なのは良い事だよ。ありがたく恩恵に与ろう。
アーシルトの中央に真っ直ぐ横たわる大通りを東に向かう。結構な数の人が行き交っていて賑やかだ。栄えてるんだね。
放浪者らしき人が多い。武装してる人もいれば、そうでない人もいる。
『思うたのだが、どうやって見分けておるのだ?』
放浪者? 顔立ちが日本人なんだよね。だから見分けられない事もない。さすがに絶対ではないけど。
『おお、なるほど。そのように見分けておったのか。それならば我もわかるぞ』
醤油顔だとか平たい顔だとか色々言い方はあるけど、こちらの人達とはやっぱり違うからね。さっぱりしてると言うか、凹凸に乏しいと言うか。
そう言えばファリアは、すっきりな顔立ちで日本人好みだね。
『そうなのかのう? 自分の顔を眺めた事などあまりなかったのでな、よくわからんが。フレーティアはこちらの者と同じような顔立ちであったな』
華やかな感じ?
『うむ。それに豊満でな。よくこう……』
あーはいはい。手を出してたのね。その頃からのどスケベか。むしろ生まれ付いてのどスケベなんじゃない?
『フレーティアがなかなか触り心地も抱き心地も良くてな。思えばあれが我の習性を決定付けたようなものではあるかの』
ほう……。いや、詳しくは話さないで良いからね!?
先手打っておかないと語り出しそうだからなあ。
『くっくっく。興味が無いわけではなかろうにのう』
もうその話はお終い! 何にもしてないのに顔が赤くなったら変に思われちゃうよ!
ハルバル橋に到着したら、階段を下りて川岸へ。ちらほら人がいて、バーベキュー的な事をしてたり浅いところで水遊びしていたりする。ほとんどプレイヤーだろうね。
水際で端末を出して水着に着替え、裸足でぱちゃぱちゃと音をさせつつ入った。ペンダントと、一応腕輪も装着したら準備は完了だ。こちらを見る幾つかの視線を感じながら、どんどん歩いて水に沈んで行く。
水面が首の高さまで来たところで、大きく息を吸い込む。必要無い事はわかってるんだけどさ、つい。
思い切って沈む。そしてそっと呼吸しようとして気付く。ヒルダ様、この魔道具は水中呼吸の魔道具じゃないです……。
『何!? 大丈夫なのか!?』
ああ、ごめんごめん。慌てさせちった。
これね、呼吸を不要にする魔道具だ。呼吸しなくても全く苦しくない。水中だけじゃなくて、他の場所でも使えるよ。呼吸するのが危険な場所とかさ。
『驚かすでない! 全く……。まあ、大丈夫ならば良い。効果に付いては、後で教えてやらぬとな』
そこは抜かり無く伝えようね。色々活用出来る魔道具だと思うからさ。
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名前 ラン
種族 ハーフエルフ
性別 男性
階級 三
筋力 六
敏捷 一四
魔力 一八
魔導器 属性剣
魔術 魔力操作 魔力感覚
技術 看破 軽業
跳躍
恩寵 旧神ナルラファリア
ID 〇二六〇〇〇〇〇〇一
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