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レジーナさん、僕を受け入れてもらえます?

 魔力感覚に反応を捉えたのはマリシエントを出て宿場町を越えた頃、北側に深い森のある場所での事だった。時間にして三時間過ぎたくらい。次の町までもう少しというところで、それに気付いた。ホークさんも同じく気付いたようで、馬を巧みに操り始める。


 僕はと言えば馬車を飛び出し、屋根の上に乗った。そこで手早く腕輪を装着。


 既に次々矢が降り注いで来ていた。それを剣と風の盾で防ぐ。


「リーフ様、ヒルダ様、敵襲のために少々揺れます。済まないラン、対処出来るか?」


「やります!」


「ふ、良い返事だ」


「へっ、面白えじゃねえか」


 盾は魔力三点……魔道具の魔力にまで自分の階級で制限がかかるなんて! ともあれそれで作り出した。大きさは直径一メートル以上。それを魔力操作で操って、主に御者二人を守る。馬車に来る矢はあんまり無いけど、流れ弾的に来る事もある。それは刀身を飛ばしたり剣で払ったりして対処した。


 そうして僕が守っている間に馬車は街道を急ぐけれど、やっぱりと言うか当然と言うか塞がれている。丸太の尖らせた先がこちらに向く形のバリケードだ。


 街道から南に逸れてもそちらは草原。馬車では車輪が草を巻き込み、走れない事は無いかもしれないけれど大きく減速させられてしまう。その間に襲撃されるだろう。


「吹き飛ばしますか!」


「いや、面倒臭えしそのまんまで構わねえよ」


 僕なら魔力を圧縮した刀身で吹き飛ばせるんだけど、どうもゲイルはそれを考えていない様子だ。


「隊長、やっちまおうぜ」


「それも良いな。ならば、停めるぞ」


 要は叩きのめしてやりたいらしかった。好戦的な事で。


 ホークさんは苦笑しながら馬に減速させて、馬車をバリケードの前に停めた。そして二人で御者台から降りると、ホークさんは台に置いていた魔導器の長剣を引き抜き、ゲイルは大剣と鎧を出現させて武装する。


「お二人は中で。少々お時間をいただきます。レジーナ、ここは頼む。ランは守りを任せられるか?」


「はい!」


「よし。ではゲイル、我らで手早く掃討するぞ」


「おう」


 馬車の上から魔力感覚で敵の配置を確認する。森や草原から合わせて三十人強が姿を現していたけれど、まだ二十人程隠れてこちらを弓やクロスボウで狙っている。


 僕はそっちを片付けた方が良いかな? 教えるだけで大丈夫?


「えーと、森と草原にそれぞれ十ずつ射撃武器の伏兵がいます。お気をつけて」


「ありがとう。充分に注意しよう」


「便利な奴だな、お前は」


「でしょう?」


 兜で顔は見えないけど、目が笑ってた。


 この二人、随分と余裕なんだよなあ。それだけ自信があるんだろうね。


『お主がしっかり後方を守っておるからでもあると思うぞ。任せておけるならば、憂いなど無いからのう』


 それなら嬉しいし、光栄だね。


 姿を見せた三十人程は明らかに賊という風貌。でも何人か他と違う人物が混ざってるみたい。薄汚れた装いに乱れた髪、汚れた肌という如何にもな人達の中に、装いは似たようでも肌艶や血色、髪の色艶などの綺麗な人が数人いるんだ。


 これは怪しい。と言うか、タイミング的には一つしか考えられない。


『早速報復とやらに出たわけか。ま、足の付くような真似はしていないとは思うが』


 オーブルの仕業だよね、普通に考えて。


 僕達がロランシルトからトリシアに帰る途上にある事は、少し調べればわかる事。だとしたら、この道を通る事だってわかってたはずだ。計画は立て易かっただろうね。


 後は賊を雇ってここを張っていたってわけか。ご苦労な事だよ。


「貴様ら、わかっているな?」


「赤紫の女は捕縛、他は好きにしろ、だろ? 心配すんなよ」


「いちいち口に出すな、馬鹿者!」


「皆殺しにするんだ、構わねえだろうが」


 予想的中なのはまあ、わりとどうでもいいか。混ざってる人達と頭目っぽい一人の魔力が若干高めで気になる。魔術を使うかもしれない。これも伝えよっと。


「肌艶の良い人達と頭目は魔術を使う可能性があります」


「ほう。そんな事までわかるのか」


「魔力が若干高いんですよね」


「なるほど、気にかけておこう」


 ホークさんは北側、ゲイルが南側に立つ。矢は隠れてるからか今は止み、いつでも撃てる態勢で待ってる状態のようだ。刀身を放って倒せない事もないけど、全部は無理だしどうしようかな。


 そんな事を考えて身構えていると、レジーナさんが声をかけて来た。


「ねえ、ランちゃん。伏兵の場所はわかるのよね? クロスボウで狙えない?」


 彼女はクロスボウを軽く叩いて、僕に示す。普通に援護射撃でも充分だと思うんだけどねえ。


 ……あ、それ使えるかも。


「レジーナさん、僕を受け入れてもらえます?」


「え!?」


「もとい、僕の魔力操作の制御を受け付けてもらいたいだけですけど」


「言い方」


 ちょっと不機嫌な感じに唇を尖らす。何それ可愛い。


「わかったわ。受け入れてあげる」


 わーい、やった。……違う、そうじゃない。ちょっとどきっとしたのは内緒。


 レジーナさんには森側への対処を頼み、僕は草原側を担当しよう。刀身と矢では速度が違う。刀身だと見てから木々に隠れられてしまう。それでは当てられない。一方草原は遮蔽物が草だけだ。避けようと動かれても操作して当ててやれば良い。


「それで、私はどうすれば良いのかしら?」


「出来るだけ素早く撃って下さい。狙いは森に向いてさえいれば何とかします」


「何となく想像は付いたのだけど、すごい事しようとしてるわよね……」


「細かい指示が必要な時にはその都度言いますので、お願いしますね」


 要するに、撃ち出された矢を操作して当ててしまおうって話。魔導器のクロスボウの矢は当然魔力から作られてる。彼女の許可さえあれば魔力操作可能だ。これで手数が増やせる。


 僕達の準備は整った。賊達も武器を振りかざして襲いかかって来る。


 初めての対人戦が始まった。


 ……え、あ。そっか、これ対人戦だ。敵は全部こちらの、アルスの人達なんだよ。


 どうしよう、人殺しになる!?




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  名前 ラン

  種族 ハーフエルフ

  性別 男性

  階級  三


  筋力  六

  敏捷 一四

  魔力 一八


 魔導器 属性剣

  魔術 魔力操作   魔力感覚


  技術 看破     軽業

     跳躍


  恩寵 旧神ナルラファリア


  ID 〇二六〇〇〇〇〇〇一

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