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例の件の説明はお願い致します

 触発されたファリアに何とか抵抗してどうにか寝て、仕事に行って帰宅!


 諸々済ませたら二十時。ログインするとこちらは八時。ヒルダ様はもう起きてるのか、寝室にはいなかった。ほっとしたような少し残念なような。毒されて来てるかな……。


 借りた寝巻きを脱いでインベントリからシルクのワンピースを着た。髪をささっと整えたら部屋を出る。するとヒルダ様とホークさんがそこで寛いでいた。


「おはようございます」


 挨拶するとホークさんは普通に返してくれて、ヒルダ様は全身で迎えてくれる。正面からがばっと来てむぎゅっと。


 熱烈過ぎじゃありませんかね……。


「今日はドレスなんですね。素敵です」


 そう、今日のヒルダ様はドレスをお召しだった。真っ赤な生地をふんだんに使った豪奢な装いで、オフショルダーの肌色も眩しいお姿。胸の上側が大きく露出しているものだから、今まさにそこへ顔を突っ込まれてる。


 感触がー! 匂いがー! 目に映る全てがー!


「ふふふ……。今日はあなたがこちらへ来る日ですもの。是非一度、着飾ったところを見ていただきたかったのですわ」


 刺激が強過ぎて困惑中ですわ。


 ホークさんは僕が来たから、リーフ様の部屋に向かうそうだ。あちらで出迎えるつもりみたい。二人きりにするとか、どういうつもりですか!


 ところがわりと真面目なトーンで去り際に一言残して行く。


「ヒルダ様。例の件の説明はお願い致します」


「……わかってますわ」


 何さ? いきなり不穏なんだけど。




 話と言うのは、ゴラースティン家の事だった。


「ゴラースティンが昨日からこのマリシエントに滞在しているのですわ」


 どうやら縁談の話を通した時点でこちらへ出発していたらしく、昨日到着したと連絡が届いたのだとか。今は高級宿に滞在していて、こちらが整うのを待っているという。


 ちなみにバルディア様は到着してから文を寄越すなどあり得ないとお怒りで、一悶着は決定事項だった。反目し合っている貴族同士なものだから、そういったところへの気遣いに欠いちゃったんだろうね。


 ……わざとじゃない事を祈ってる。


「今はお父様が接見の場を整えていますけれど、衝突は避けられませんわね。そこでどのような成り行きとなるかは、最早神のみぞ知るところですわ」


 僕を抱き締めたまま、頭を撫でながら話す。話に集中するのが大変なので、そろそろ放していただけると……駄目? そっすか……。


「でも、そろそろ着替えないといけないのでは? そのまま会う事になっては……」


「ですわね。では、ラン。従者として、わたくしを着替えさせなさい」


「えー!?」


 まさかここまでが策略!? 何と怖ろしい……!




 ……色々見させられて、触らされました。とんでもないなこの人……。


 いつもお召しの制服は騎士としての物だそう。上着の左胸にあるポケットに小さな記章らしき物が付いてる。この制服で騎士だという事が、この記章でリーフ専属だという事がそれぞれわかるみたい。それで二つを合わせて、リーフの近衛騎士となるってわけ。


 記章はラペルピンみたいな形状だ。本体は銀のヒーターシールドに朱色の鷲、ピン先に付ける受けのモチーフは葉。細い鎖が二つを繋いでる。


 そんな説明を聞いたところで支度は完了。僕達は部屋を出てリーフの部屋へ向かった。







 到着した時には、もうメンバーは揃っていた。そこに艶々したヒルダ様とげっそりな僕が現れれば、何があったのかは言わなくてもわかるわけで。


「……お疲れ様」


「ランちゃん、大変だったみたいね……」


「良い夢、見れたかよ」


 どちらかと言えば、良い夢には違いないんだけどさ!


 心臓に負担がすごくて疲れるのよ……。何なのあの、あの……何? わかんない。


「話は隊長から聞いたぜ。それで、今は待ちか?」


「これはわたくしの問題ですから、本来であればリーフ様には出発していただくところなのですけれど……」


「……わたしが許可しなかったから。わたしがゴラースティンに言わなきゃ駄目」


 だよね。という事は、出発は遅れるのかな。


 ゲイルが少し焦った様子を見せたけど、端末を操作して落ち着きを取り戻した。大丈夫そう? 何か用事でもあったのかな?


 まあ、何も言わないんだから問題無くこちらを優先出来たんでしょ。




 場所を再びサロンに移し、今は待機してバルディア様からの連絡を待つ。ゲイルは窓から外を眺め、ホークさんは静かに佇みつつそっと周囲を警戒する様子、レジーナさんは甲斐甲斐しくリーフの世話を焼く。僕はもちろんヒルダ様の世話を、教わりつつ行った。


 そうして時間を潰していると、召使いさんがやって来る。


「失礼致します。旦那様がご足労願いたいと」


「……わかった」


 バルディア様だけじゃ話は終わらなかったか。ゴラースティン家がどんな主張をして来るのか、僕が気にしても仕方ない事だけど不安だ。


 案内されたのは昨日……じゃないのか、こちらだと。先日通された謁見の間。扉が開かれて見えたのは先日と似たような光景。けれど真ん中の真っ直ぐ敷かれた赤絨毯を境目にして、二つの勢力が睨み合うようだった。


 その中を僕達は真っ直ぐ進む。そして先日と同じ配置に立つ。リーフ様が座ると、彼らは視線を彼女に注いだ。一切顔色を変えず、態度にも何も出ず、彼女は無表情のまま受け止める。


 こういうところ、大物だよなあ。


 バルディア様はこちらから向かって左、対するゴラースティン家の面々は右だ。三十路少し手前という年頃の、体格の良い男性が一番前に立ってる。彼があちらの代表だろう。


 ヒルダ様がよく通る声で高らかに言う。


「リーフ様に名乗る事を許しますわ」


 男性は苦々しく表情を歪めそうになって、何とか堪えた。代わりに笑みを貼り付け、低い声で名乗る。


「ゴラースティン家当主ジグラード・ゴラースティンの次男、オーブルと申します。閣下の養女殿のお目にかかるのは、此度が初となりますな。今後ともよろしく願いたく存じます」


 ヒルダ様の表情がひくりと動き、そのルビーの瞳が剣呑に輝く。


「ならば従属する者としての礼を執りなさい」


 その言葉に、ゴラースティン家の人々はぎらりと目を光らせる、視線の先はヒルダ様。


 けれど彼らは従って、跪いて頭を垂れた。その下でどんな顔をしているのかは、僕達にはわからない。


 ……初っ端からぎすぎすのぎらぎらで、早くもお腹痛い。帰って良いですか……。




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  名前 ラン

  種族 ハーフエルフ

  性別 男性

  階級  三


  筋力  六

  敏捷 一四

  魔力 一八


 魔導器 属性剣

  魔術 魔力操作   魔力感覚


  技術 看破     軽業

     跳躍


  恩寵 旧神ナルラファリア


  ID 〇二六〇〇〇〇〇〇一

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