聞きたくなかった!
道中、インベントリを確認した。そこには山程の素材と、魔石が一つ。
今回は『風盾の魔石』を手に入れた。赤壁とどちらが使い易いだろうね? 赤壁だと完全に防御専用だけど、風盾は見えない壁として使えない事も無さそう。使い方次第で面白い事が出来るのは風盾かな。
まあまだ魔道具作れないし、先の話だけど。
それとカインさん達からログアウトの挨拶が来て、ちょっとだけやり取りした。三人とも無事生き残れたようで、報奨金もたくさん受け取れたそうだ。素材もたっぷり手に入れられて、結構な稼ぎだと喜んでいた。またの再会を約束したところで三人はログアウト。
今回はあんまり絡めなかったから、また今度四人で遊びたいな。
リーフからも連絡が来た。いつの間にかいなくなってて残念だったとの事。何か用事があるそうで、明日の夜に会えないかと聞かれた。
魔穴の様子次第だけど、特に問題が無ければ真っ直ぐロランシルトに帰るつもりだ。その時には会えるはず。そんな返事をすれば、今夜のところはロランシルトでログアウトするからと返って来た。
僕は今日中に帰れるかな? 明日の夜になるかもね。
レジーナさんからはヒルダ様よりの伝言が来ていた。報奨を都合の良い時で構わないから受け取りに来て欲しいそうだ。感謝を添えて了解と返す。
レジーナさんとゲイルもロランシルトでログアウトするみたい。時間的にそこしか無いよね。魔穴の事はヒルダ様も気にしてるからと、報告を頼まれた。これは元々するつもりだし、気安く請け負っておく。そうすればレジーナさんも安心したようだ。
それから、ゲイルの事を少し話した。
「後、ね。ゲイルと一緒に戦ってくれてありがとう」
「どう致しまして、とは言いますけど、別に大した事じゃないですよ?」
「私はヒルダ様に付いてしまって、一緒に行けなかったから」
何か、妙な感じ。一緒にいるのが当たり前、みたいな。恋する女の子? でもゲイル、既婚者なんだけどな。
……待って。初めてレジーナさん見た時、馬に相乗りしてたよね。例えゲームの中の事でも、既婚者なのに他の女性とそんな事をするかな。ゲイルは、しないと思う。
でも、だとしたらレジーナさんって……。
「レジーナさんて、もしかしてゲイルの奥さんです?」
「……わかっちゃったの?」
思い返してみれば、結構二人とも露骨だったよね。何で今まで気付かなかったんだろ。
「多分、これでも鈍かったと思いますよ?」
「そ、そうなの……。別に隠してるわけじゃないから構わないのだけど、すぐに気付かれるのよね。そんなにわかり易いのかしら」
「ええ、とっても」
わからいでか! って、皆言うと思う。
「ちょっと、恥ずかしい……」
かーわーいーいー奥さんだねもう!
そっか、夫婦でASやってたのか。仲良さそうな夫婦だ。にやにやして来ちゃった。
「ずばり、ゲイルの良いところは!?」
「ええ? えっと……やっぱり、よく気遣ってくれるところ、かしら。……あ! ちょっとランさん! 何て事言わせるのよ!?」
「可愛い」
可愛い。
おっと、声にまで出ちゃった。音声入力は便利だけど、こういう時困るね。
「わ、私なんてそんな……」
どうしよう。レジーナさん、結構純朴っぽいぞ。美人だしスタイル良いし、素敵な奥さんじゃないのさ。
何かこう、からかいたくなるね。
「二人の出会いは!?」
「社内恋愛で……私から……」
おおっと、積極的。
ゲイルって実は女性嫌いだったんだよね。その原因は僕、と言うか僕に絡んでた女の子達なんだけども。だからゲイルからのアプローチじゃないとは思ってた。となると当然レジーナさんからになるわけだけど。
「女性嫌いのゲイルを見事射止めたわけですね!」
「やっぱり、ゲイルってそうだったの? 初めて会った時、実は第一印象最悪だったのよね。別に理不尽な事があったわけじゃないのだけど、目が酷く冷たくて……」
「んーと。理由はまあ、本人から聞いていただくのが一番かと。ただ、原因の半分は僕にあるので、とりあえずごめんなさい!」
「そうなの? それなら謝罪は受け取っておくわ。今度、それとなく話題にしてみようかしら」
後で怒られるビジョンが見えた。でもまあ、そういう話もきっと必要よ。特に最初の印象に関わる事だしね。その理由がわかってないと、冷たい視線の記憶が付き纏っちゃうしさ。それが後々爆弾に、なんてシャレにならないもの。
レジーナさんとは会ったばかりだけど、何だか可愛らしくて良さそうな人だ。ゲイルと二人、末永く幸せでいて欲しいね。その障害となるものは、僕も出来るだけ取り除いておきたい。でも、余計なお節介にならないよう気をつけないといけないか。煩わしいだけになっちゃうから。
……夫婦かあ。結婚願望はあるけど、諦めの境地にいるなあ。この容姿だし、そういう意味で女性に好かれた事って全然無いんだよ。ファリアが最初?
ああそっか。老いなくなったから、ずっと一緒なんだね。
『ふふふ、我にしておけ。お主を必ずや幸せにしてやるぞ?』
その気になったらねー。
『むう、つれないのう』
でも、その方が燃えるって言うよね。
『それはあるやもしれんな。ならば我も、いつかは振り向かせてみせよう』
本気で落としにかかられると多分持たないから勘弁して。
レジーナさんとの会話に、横からゲイルまで加わって来た。
「誰と話してんのかと思ったら、お前かよ」
「僕ですよ。奥さんだと聞きましたよ」
「ばれちゃったわ」
「だろうな。だが、お前にしては早かったじゃねーか」
「鈍くて済みませんね!」
「その鈍さの陰で、一体何人の女が涙を呑んだか」
「え、マジてすか!? 初耳!」
「お前に惚れちまった男が一定数いたって話だが?」
「聞きたくなかった!」
「ランさんは、女より女の子っぽいものね。なのに無防備だから」
「思春期の少年達には、刺激が強過ぎたわけよ。脇で見てる分には笑えたぜ? こいつが男か女か、マジになってんのか悪乗りなのかわからねーレベルで議論してる奴らとかいてよ。腹筋が鍛えられたっつーの」
いや、止めようよ? 悪乗りしてたら無駄か。何やってんだか……。
男の子に告白される男の気持ち、語る?
「……制服は男子の物だったのよね?」
「あー……半々だったか?」
「月に十日はスカート穿かされてましたね、何故か」
「だ、誰に?」
「……大体母ですね」
「ええ……」
普通制服買う時ってさ、どちらか一方じゃない。両方買うんだよね。で、気紛れにズボンを隠す。時間が迫るから仕方なくスカートで行くでしょ? 校門で止められないの。普通に見えるから。さすがに顔覚えられてからは……まあ、止められなかったんだけどさ。
あれ、何でだったかな。ズボンとスカートどちらを穿いても良い、とかだったかな。でもそういうのって、女子のための校則のはずだよねえ?
「ちょっと見てみたかったって思うのは、やっぱり失礼かしら」
「今現在普通に女装してる奴捕まえて、失礼も何も無えだろ」
「そう言えば、僕は何で未だに女装なんてしてるんでしょう……?」
「知るかよ!」
「当たり前になり過ぎてない? 少し心配だわ……」
ちょっとこちらで過ごし過ぎてるのかもしれない。婦人物しか持ってないからさ。あちらならズボン穿けるから、少しは違うはずなんだ。
……一刻も早く戻りたくなって来た。駄目駄目、魔穴を確認するんだから!
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名前 ラン
種族 ハーフエルフ
性別 男性
階級 三
筋力 六
敏捷 一四
魔力 一八
魔導器 属性剣
魔術 魔力操作 魔力感覚
技術 看破 軽業
跳躍
恩寵 旧神ナルラファリア
ID 〇二六〇〇〇〇〇〇一
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