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ねえ、ゲイル? 彼女とはどんな関係なの?

 ゲイルからの連絡があり、到着は七時の予定だと知らされた。兵士達は着々と出立の準備を進めてる。


 到着は基本待たないそうだ。馬車のまま追わせて合流してもらう方針で、進軍を優先するとの事。これをゲイルに伝えて、向こうでの周知を頼んだ。


「ランには、このまま従士になってもらいたいですわね」


「か、考えときます」


 楽しそうではあるんだけどね。僕、束縛されるの好かないから。無難な受け答えで濁させてもらった。


 今朝はホークさんも合流して来て、今は四人。僕とヒルダ様、リーフ、ホークさん。カインさん達三人は戦士ギルドの部隊に合流した。ちょっと残念。フレンド登録はしてるから雑談には参加させてもらってる。情報回すにも都合良いし。


 そうして出立の予定時刻、七時ちょうどを迎えて軍勢は動き出した。七百弱の兵力と、百程のプレイヤー達。計八百の戦力が北上を始める。


 ゲイル達は間に合わなかったけど、後から追い付いてくるはずだ。少しずつ人数は増える。最終的には千に届く見込み。


 ……高速馬車って、何人乗せて来るんだろ。ちょっと多くない? 十台無い計算なのに人数二百? 一台二十人以上? 結構大きいのかな。




 なんて思ってたら、ゲイルは案外早く合流して来た。少し遅れた程度で済んだね。


 水か何かの透き通った馬に跨がって、二人乗りで来たからびっくり。馬車を降りて乗り換えたらしい。


 自分の前に女性を一人乗せ、ご満悦で姿を現したのは紛う事無く彼だ。茶の短髪に目付きの悪い茶の瞳。精悍な顔立ちはにやりと笑みを浮かべる。ホークさんが着ていたのと同じ薄緑の軍服を着崩した装いで、僕を見つけるなり本当に指差して笑った。畜生。


 女性は少し吊り気味な目のお綺麗な方。水色の長い髪を三つ編みにして前へと垂らし、照れたような眼差しには銀の瞳。薄緑の軍服をきちっと身に纏い、ゲイルとは対照的に真面目そうな印象。尚、スタイルはとっても良いです。それとスカートではなくズボン。すらっとしてるからよく似合ってる。


「ぶははは! 本当に着てやがる! お前も懲りねーな!」


「うるさいんですよ! 仕方ないでしょ、コーディネートされちゃったんですから!」


「どーせ何も言わなかったんだろーが!」


「そうですけど何か!?」


 全くもう! 何も言わなきゃわかんないのにさ!


「ねえ、ゲイル? 彼女とはどんな関係なの?」


 おっと? 何やら目付きが鋭くなったよ?


「話しといたろ? ランだよ、ラン」


「え? でも、同い年の男性だって……」


「くっくっく……」


 笑ってないで説明しなよ、もう。


「えーと、ゲイルとは学生時代の同級生でして。ランと言います」


「レ、レジーナです、はじめまして……」


「何かしこまってんだよ。レジーナも適当で良いぞ適当で」


「まあ、適当で良いですけど。ゲイルに言われると腹が立ちますね!」


「別に構わねーんだろ? なら良いじゃねえか」


 悪びれない男だね、本当に!


「普通に話してもらえたら嬉しいので、気にせずお願いしますね」


「そ、そう? それじゃよろしくね、ランさん」


 握手をしようとして高さに差があったので、ひょいと少し跳んで浮いた。そんで握手。


 思ったんだけど、三人乗りさせてもらおっか。ゲイルの後ろに回って、肩に掴まって立ち乗り。うん、楽ちん。


「おう、大胆じゃねーか」


「もうばれちゃいましたからね。魔力操作解禁です」


「それもそうだが、そっちじゃねーよ」


「じゃあ、何です?」


 答えはレジーナさんがくれた。


「ランさん、スカート……」


「……あ」


 すぐに座った。後ろを睨んだら、何人も顔を背けてるし。


 どうにも無防備で駄目だね。あちらでは普段穿かないから全く習慣付かなくてついやっちゃうなあ。


 諦めてあちらでも穿くか、諦めてサービスするか。


『どちらにしろ諦めるのだな』


 だって、意識切り替えて穿き分けるなんて無理だもの。


『前者はまあ止めんが、やめておいた方が無難であろう』


 その心は?


『あちらでも見せびらかすのが精々だの』


 うん、わかった。諦めてサービスのつもりで……いや、それも無理だって! 結局今のまま、なるようになるしか無いのか……。


 とりあえず、三人乗りは楽で助かる。


「なあ、浮きっ放しなのか?」


「いえ、落ちてはいますよ。ゆっくりなので馬への負担はほぼ無いと思いますけど」


「そうなの? スピードが落ちないから不思議だったのよ」


「先に話しておけば良かったですね」


「ううん、大丈夫よ。ありがとね」


 馬の上から見渡すと、遠くが良く見えて楽しい。兵士達の隊列の中央にいるから、ぐるりと一面兵士達の頭だ。隣にはホークさんの馬に乗ったヒルダ様とリーフがいる。ホークさんは乗らずに馬を引いてて、前にリーフ後ろにヒルダ様。


 ……くっ付き過ぎてない? そーっと胸に手を伸ばそうとしてつねられてる。さすがヒルダ様。


 馬上の僕達はわりと緊張感が無いね。でも対照的に兵士達は強張った顔ばかりだ。無理も無い。これから戦争に行くんだから。もう何時間かしたら、殺し合いが始まる。


 そんな時に、リラックスなんて出来やしない。


『お主は大丈夫か?』


 ゲイルやヒルダ様のおかげで、マシではあるかな。ゲイルと馬鹿やって、ヒルダ様の痴態見て、気は紛れてる。


 それと、あまり考えないようにしてるかな。そう努めてないと、気分が落ち込みそうだから。


『無理に戦争など参加せんでも良かろうものを』


 ゲイルとかリーフはプレイヤーだし気にしないんだけど、ヒルダ様はこちらの人だからさ。戻らなかったら、きっときつい。


 それで激しく後悔するくらいなら、参加して戦った方が気楽かなって。


『気にはなっておるのだな、あの娘の事も』


 気になるかならないかで言ったら、そりゃそうだよ。僕を気に入ってくれてるし、好意を向けられたらやっぱり力貸したくなるでしょ。良い方だしね。


 この領地の貴族は、今のところ悪人を見てないなあ。領主様は会ってないけど話を聞くと良い方だし、ヒルダ様は言うに及ばない。マグヌスさんも第一印象が相当悪かっただけで、実際には良さそうな方だった。


 領主様が本国から連れて来て任せてる人材だから、悪い貴族はいないのかもね。


 魔物ばかりの大陸だから状況は厳しい。でもそれさえどうにか出来れば未来は明るい領地だ。本当に国家を樹立しちゃっても良いんじゃないかな。


 でもそれには、人口の問題が立ちはだかるんだね。魔物と混沌に奪われた魂を取り戻せない限り、頭打ちだから。


『魂を取り戻す、か。魔物に囚われている魂ならば可能だ。ただ倒せば良い。それで魂は解放される』


 そうなの? じゃあこの世界の人達が仮に目の前で殺されたとしても、すぐにその魔物を倒せば魂は助けられるんだ。


『だが、混沌に飲み込まれてしまった魂は取り戻せん。そのために、魔物をどれだけ倒そうと根本的な解決にはならんのだ』


 送られちゃったらアウトな事は変わらないからなあ。


 ……何か方法は無いかな。あちらの人間の僕が気にする事じゃないかもしれないけど、方法が見つかったらヒルダ様達は喜ぶよね。


『心当たりは無いのう。飲み込まれてしまった時点で、その魂は混沌の一部となるはずなのだ。そもそも混沌とは姿形のある存在ではない。掴んで引っ張り出す事も、切って分ける事も出来ぬ。それどころか、逆にお主が取り込まれてしまうやもしれん。そのような事は、我は看過出来ぬぞ』


 危なそうだ。しかもその時はファリアも一緒か……。それは嫌だな。


 まあ考えてもわかんない事だし、気にするだけ無駄なんだけどさ!





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  名前 ラン

  種族 ハーフエルフ

  性別 男性

  階級  三


  筋力  六

  敏捷 一四

  魔力 一八


 魔導器 属性剣

  魔術 魔力操作   魔力感覚


  技術 看破     軽業

     跳躍


  恩寵 旧神ナルラファリア


  ID 〇二六〇〇〇〇〇〇一

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