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年の事はいーじゃないですかー

 日が暮れて……って言うと、変な感じだね。ソールが色を変えて茜色に染まり、世界がゆっくりと夕方から夜へと変わり始めた頃の事。


「……ヒルダ、ラン。来たよ」


「リーフ様!? 今までどちらへ!?」


「……話してない?」


「許可はいただいてませんので」


「リーフ様、それにラン? もしや……」


「……ランから聞いて、来た。聞かされてなかったら、多分素通りしてた」


「ああ、ラン! 感謝しますわ!」


 また抱き締められた。もう好きにして。


 しかしリーフは本当に早かったね。近くまで帰って来てたのかな。それなら、冒険は終わってたわけか。余裕で間に合ったし、良かったあ。


 何せリーフは滅茶苦茶強い。彼女がいるだけで勝った気になるね。


「……それで、わたしは?」


「戦いの時まではゆるりとお過ごし下さいまし。些事はわたくしに」


「……わかった」


 リーフはロビーの隅にある談話用のソファに腰掛ける。そこで過ごすつもりみたい。部屋に行くとかじゃないんだ?


 僕はと言えば、何故かヒルダ様に頼まれて書き物をしてる。内容は各部へ下した指示の内訳だ。これが気持ち悪くて、僕の手は僕の知らないはずの言語をさらさらと書き進めてる。よく考えたら、こちらとあちらとで言語は違うんだよね。なのに問題無く通じてるんだよ。言葉は話せるし、文字は読める。


 これはファリアによれば、この肉体の中にそのような仕組みが組み込まれてるという事らしい。ただし、耳で聞いていると思ってる言葉は日本語だし、自分が話してると思ってる言葉も日本語。けど実際にはこちらのマルカナス語を聞いてるし、話してる。


 口元をよく見ればわかるんだけど、ヒルダ様の口から聞こえる言葉と動きは合致してないんだ。


 こんなの全然気にしてなかったよ。


 ともあれ、そういう事なので問題無く書けてる。紙は植物性の物だね。羽ペンとインクは初めて使うから、最初は慣れなかった。幾らか書いたらまあ、大丈夫になったけどさ。


「ランの字は綺麗ですわね。読み易くてとてもよろしいですわ」


「照れますね……」


「照れた顔がまた……」


 うっとり見られると色気がすごくて困る。仕事、しようか。


 しばらくそうしていれば、諸々一段落したようで忙しさも収まる。そこでヒルダ様は夕食の時間にした。僕やリーフも一緒に食べる。


 今日もなかなかに豪勢。トマトとチーズと香草の前菜にビーフシチューと野菜たっぷりのパスタ。飲み物は今夜も赤ワイン。少し渋めで味わい深い。デザートはベイクドチーズケーキ。


 これまたどれも美味しくて、ワインも進む進む。


「今夜のワインは大人の味ですねえ。ふふ、美味しいですー」


「ランは好きなのですわね」


「大好きですよー? あちらだと酔い過ぎてしまうので、酔い過ぎないこちらは本当にありがたいですねえ」


「……え、酔ってる? ラン、成人?」


「ですよー。ゲイルと同い年でーす。あれ、リーフ様はゲイルを知ってましたっけ?」


「……知ってる。同い年?」


「ゲイルは確か三じ……」


「年の事はいーじゃないですかー」


「そ、そうですわね。……全っ然見えませんわ」


「……びっくり。年下だと思ってた」


 残念ながらリーフのば……おおっと!


 これ以上は秘密!


『隠せてないがの』


 いーの、触れないで! 悲しくなるから!







 さて、アルス内では翌日。一旦ログアウトして、お風呂入ってからまたログインした。


 のんびりしてたから、こちらは四時過ぎだ。カインさん達と一緒に借りた部屋でログアウトしたんだけど、酔ってたからかな。ベッド間違えたみたい。


「おはようございます、カインさん」


「……はよ」


 カインさんを下敷きにしてた。


 身体を起こして、カインさんの腰の辺りに座る。それから下りようとして。


「こういうアングル、憧れたり」


「いいから下りて!?」


 怒られちった。


 他の二人はまだみたい。部屋にはいないし、端末を確認してもログアウト状態。まあ、待ってなくても大丈夫だよね。


 カインさんと連れ立って、ロビーに向かう。そこのソファで現状をひとまず簡単に説明した。


「せ、戦争!? 何でそんな事になってんだよ!?」


「シュテンは囮だったみたいなんですよ。まんまとしてやられたんです、僕達」


「あれが囮って……」


「びっくりですよね」


 豪勢な囮だよ、全く。実際はどうなのか定かじゃないけどね。結果的にはそうなってしまった。見事にそれで終わりだと誰もが判断して、さらに先を調べず帰っちゃったわけだもの。だから同じ事だ。


 でも後でホークさんが向かって発見して、その知らせが届いて動き始められた。最悪の事態は避けられてるから、まあ良かったよね。


 それからアッシュさんとゲンゾウさんもログインして来て、揃ったところで詳細を話して聞かせる。


 シュテンが囮で本命は北の軍勢だった事、そこにある魔穴の事、戦力が集められてる事などなど。その他細かいところも話せば、素材が今なら高く売れると知って三人は売ったり依頼を達成したりに出かけて行った。


 あったね、オーガの角の依頼。僕は受けなかったし、もう売っちゃったからいいや。


 そうしていれば時間は過ぎて、リーフやヒルダ様も下りて来た。朝食の時間になれば三人も戻って来て、六人での朝食となる。


 マグヌス様はまだ寝てるらしいよ。あの人、朝に見た事無いね。





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  名前 ラン

  種族 ハーフエルフ

  性別 男性

  階級  三


  筋力  六

  敏捷 一四

  魔力 一八


 魔導器 属性剣

  魔術 魔力操作   魔力感覚


  技術 看破     軽業

     跳躍


  恩寵 旧神ナルラファリア


  ID 〇二六〇〇〇〇〇〇一

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