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秘密にしてもらえれば、それで構いません

 シュテンは、僕がヒルダ様やホークさんと何やかんやしてる間に倒れたらしい。こんな幕引き、あんまりだ。


 そして残念ながら階級成長無し。でも経験値は大きいはずだし、すぐに上がるよね。


 その後カインさんやゲンゾウさん、アッシュさんに僕を含めた四人が、最も功績があるとして館に案内される事となった。馬車に揺られてロランシルトへ戻り、そのまま館へと連れて行かれる。


 その間に、御者を兵士に任せたホークさんが事情聴取みたいな事を行う。事の詳細を知りたいらしい。人々を守る役目がある以上は当然だよね。他の三人も話す事に特別反対せず応じた。


 オーガを探して北に向かった事から始まり、なかなか見つからなかった事や見つけた後の黒い目の事、現れたシュテンやオーガの群れ、戦いの詳細、などなどを話せる範囲で説明。


 けど、困ったのは僕だ。三人がいなくなった後の事をどう話したものか。とは言え、隠すのにちょうど良い嘘をでっち上げる事は難しく、心苦しくもある。なのでここだけの話として聞いてもらった。


「実は、僕の魔術は魔力操作でして」


「そうじゃったのか? 何故わざわざ隠した?」


「事情はあったんだよね? 話しても大丈夫?」


「……あ。もしかしてランってさ、あの動画の?」


 あー、カインさんが見てたー。だから嫌だったんだー。


「動画? どんなの?」


「見るか? ってか、見せても良いのか、ラン?」


「ここだけ! ここだけの話にして下さいよ!?」


 というわけで、ホークさんやヒルダ様まで巻き込んで動画視聴開始。


「ほう。ぼやけておるが、確かにランじゃの」


「刃だけ飛んでる!? 格好良い!」


「放浪者の道具とは、このような事も出来るのですか。凄まじい……」


「リーフ様に見せていただいた事がありますわ。けれどラン、あなた全然仕掛けませんわね?」


「ああ、ヒルダ様。これ多分、魔力を剣に込めてる最中なんですよ。この動画の説明にそう書かれてました」


「それを魔力操作で行っているのですわね?」


 カインさん解説感謝。目の前で人に見られてる事実が思いの外堪えてて、ちょっと喋る気力が……。先の事を考えると恥ずかし過ぎるって。


「いやらしい犬だね。嬲り者にしてる」


「じゃがこれは、そうであったからこそ戦いが続いておるんじゃろう。この犬の魔物、恐ろしく強いぞい」


「オルトロスのユニークなんです。名前は凶爪のブーレイ。幸いこうして遊んでくれたので、特殊能力は見ずに済みました」


「ユニークかよ! よく一人で勝てたな!」


「ユニーク……。『変異体』の事だと聞いた事があります」


「変異体ですの!? それにオルトロスと言えば……」


「リーフ様のお話にございましたな。階級六の、恐るべき魔物と」


 ユニークの事、こちらでは変異体って呼ぶんだね。ブーレイは階級六だった。ユニークでも特別階級が上がるって事は無いのか。ほー。


 残念ながら強いという印象は、不憫さに上書きされちゃった。やっといて言うな? ごもっとも。


 そして動画は、問題の場面に差しかかる……。


「あ」


「うおお……これは酷いのう」


「ふむ……言葉に困りますな」


「ふっ……ふふふ……! これは人に見せられる姿ではありませんわね」


 だから嫌だったんだってば。何でウケてんのさ、ヒルダ様よ。


 そんなわけで視聴終了。


「ま、勝てば良いのじゃ」


「嬲り者にしてたしね。残当でしょ、残当」


「これアップロードしたのはランなのか?」


「いえ、友人がやってくれました。画像処理とかもしてくれまして。でも青い属性剣と魔力操作の組み合わせはばれるかもしれないと言われて、隠す事にしたんです」


「確かに、俺にばれたな。何かごめん」


 まあここで話すだけなら、動画見てもらったのも話が早くなって都合良かったかも。


「秘密にしてもらえれば、それで構いません」


 これは五人とも約束してくれたから、ほっと胸を撫で下ろす。


 シュテンには今の爆発でダメージを与えたと明かした。でも、これのやり方までは聞かれなかった。見られちゃったし、説明しても別に構わないんだけどね。


 事情聴取はそんなところで終わった。




 そう言えば、お二人はリーフ様の名前を出してた。話した方が良いのかな、東で会った事。でも、リーフ様は多分お忍びで冒険に出かけたんだよね。それをお二人に話しちゃうのは野暮ってものか。


 今は何処で、何をしてるんだろう?


 ……いや、今あちらは朝の五時過ぎか。寝てる寝てる。フレンド一覧見たってログアウト表示になってるじゃん。


 一方こちらは二十時過ぎ。すっかり夜も更けちゃったよ。


 今日中……この日曜の間にはトリシアに着けるはずだけど、一眠りしてからにしようかな。ご飯食べて家事もしなきゃだしね。







 ロランシルト砦の館に着いた僕達は、まず夕食をご馳走になった。砦の食事だから期待する程じゃない、なんてヒルダ様は仰ったけど、充分豪華でした。もちろん日本でお出かけして食べるようなリッチなお食事とは違う。でも豪華よ。


 野菜や燻製肉とチーズの前菜に具だくさんのスープ、分厚いお肉のステーキなどと小麦のパン。飲み物は香り豊かな赤ワイン。デザートには果物のタルトが出されて、もうお腹いっぱい。


 どれもこれも美味しくて大満足だった。


 一応マナーには気を遣いました、はい。僕がカインさんを、アッシュさんがゲンゾウさんを見て、ちょいちょい教えてあげた。あまり気にしないでも良いって仰ってくれたけどね、こういうのを知るのにちょうど良い機会だったから。


 まさかゲームでテーブルマナーを学ぶ事になるなんて、とカインさんは後でぼやいてたよ。でもいつか、覚えて良かったって思うよきっと。


 ……同僚の結婚式とかさあ、呼ばれると思わなかったんだよ。必死に覚えた。僕が恥ずかしいくらいなら別に良いけど、同僚に恥ずかしい思いさせたくはなかったから。あの時は気が気じゃなかったって。料理の味? 美味しかったんじゃないですかね。


 今日はとっても美味しかったですとも。


 そんでもって、報奨としてお金をもらった。絹の小袋に入ってるから、金額は後で見てみよう。そのままインベントリへ。


「……カインさん、ダ・メ」


「あ、いや……はは、失礼しました」


「今の……ぷくく……ダ・メ、だって……」


 いやつい。そんな笑わなくたって。


「俺、男相手になんでどきどきさせられてんのかな……」


 カインさんはカインさんで重傷になりつつある!? 控えなきゃ危ないかな。




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  名前 ラン

  種族 ハーフエルフ

  性別 男性

  階級  三


  筋力  六

  敏捷 一四

  魔力 一八


 魔導器 属性剣

  魔術 魔力操作   魔力感覚


  技術 看破     軽業

     跳躍


  恩寵 旧神ナルラファリア


  ID 〇二六〇〇〇〇〇〇一

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



ラン「階級上がんなかったんですけど」

ゲイル「ASのレベルアップは時間かかるぜ。しっかり経験値稼ぎを続けて階級一から二が一ヶ月、二から三が二ヶ月、三から四が三ヶ月。ここまでで半年だが、四から五がさらに半年だ」

ラン「長過ぎません!?」

ゲイル「階級よりも自分の腕を上達させる事に重点を置いた方が早く強くなれるぜ。そういう設計になってんだよ。まあ、そもそも狩りばっかするようなコンセプトで作ってねえってところもあるんだろうな」

ラン「他に出来る事もたくさんありそうですしね」

ゲイル「RPG的に言やあ、生産系の作業でも経験値は入るらしい。多くはねえって聞くがな」

ラン「ともあれ、階級四はまだまだ先って事ですね」

ゲイル「三までが早過ぎんだよなあ……。四も案外早いかもしれねえか?」


ラン「あ、もちろんですがこちらでの会話は作中には無いやり取りです。似たような話をする場面があるかもしれませんので、その際にはご容赦下さい」


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