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クリソプレーズの瞳 ~ルービンシュタイン公爵夫人は懺悔して夫と娘を愛したい!  作者: 星野 満


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18. 取り巻き令嬢のいじめ

2025/4/26 修正済


※ ※ ※ ※


エリザベスの暗雲は更に続く──。

彼女の取り巻きの高位貴族令嬢たちが、男爵令嬢1人を取り囲んだ光景に、たまたま王子とエドワードがでくわした。


『あなたね、確かこの前の茶会と同じドレスじゃなかったかしら』


『あの……』


『流石に男爵家でもそんな恥しらずではないわよねぇ』


『……もう一着あるのですが、今朝、弟がスープをこぼしてしまって着れなかったのですわ』


男爵令嬢はオドオドしながら声を震わせた。


『おっほほほほ!』

どっと大笑いする令嬢たち。


『あらまあ、おかわいそうに。2着しかドレスがないなんて、そんなお家で良く王室主催の茶会に来れますわね』

勝ち取ったような顔になる意地悪そうな令嬢。

他の取巻きたちも雀の様に連動していく。


『それにそのドレス流行遅れではなくて?』

『お母様のお古じゃないのかしら?』

『まさか〜ありえませんわ』

『お可哀そうに、おほほほ〜』


多勢に無勢で、身分の低い男爵令嬢をネチネチといじめているようだ。


『あ〜コホン!』

と、エドワードがわざとらしく大きく咳払いをした。


『ロバート殿下とエドワード様!』


さすがに彼女たちはロバート王子たちに気付いたのか、いじわる令嬢たちは、扇で顔を隠して『ごめんあそばせ』といってそそくさと退場した。


男爵令嬢は泣きはらした眼をしていた。


『お嬢様〜!』


すぐさま彼女の侍女だろうか、男爵令嬢に寄り添って慰めている……。


『またエリザベス嬢の取り巻き連中か……困ったものだ』


『ですが殿下、エリザベス嬢はあの輪の中には、いませんでしたよ』

エドワードがエリザベスを庇う。


『ふん、エドワード……お前は、エリザベス嬢には甘いからな、あいつら(令嬢たち)はいつも、エリザベスに群がっている取り巻き連中だよ、きっと裏で彼女らを操っているのさ!』


『お言葉ですが、エリザベス嬢はそんな陰湿ではないです。いじめるなら堂々と人前で派手にやるでしょう』


『あはは、エドワードそれは褒めてるとはいえん。そうだな、確かにエリザベス嬢はストレートにいじめるな。まあ俺にはどうでもいいことだが……』


──ふぅ、どうやらロバートは、何をしてもエリザベスがお嫌いなようだ。


エドワードは王子が彼女を毛嫌いしているのを内心、複雑だった。


『とにかく、俺はエリザベスを好かん、あいつが傲慢だから、取り巻き組も高慢女になるんだ。いくら地位が高くても、エリザベスは“緑の女神”とかちやほやされすぎだよ。美貌でも、もう少し謙虚な女でないとな。あれでは王妃はつとまらん!』

と苦々しげにいう。


『……しかしエリザベス嬢はたいそう聡明ですし、王女の風格は他のご令嬢と比較したらダントツですよ』


『エドワード、さっきからエリザベス嬢を庇ってばかりだな? なんだ、お前もエリザベスに惚れているのか?』


『え、何をおっしゃるのですか、殿下………エリザベス嬢は殿下に夢中ではないですか!』


エドワードは、王子の言葉に不意をつかれて真っ赤になって狼狽える。


『ははは、まあいい。俺は次期王太子になる身だ──美貌だけでは判断せんよ。妃選びは慎重にしないとな。まあ21歳の戴冠式までには、まだ時間はある。今すぐ慌てて探すこともあるまい──』


『それもそうですが、殿下。差し出がましいようですが、エリザベス嬢は、私にはいつも殿下の事ばかり聞いて来るのです。こちらが切なくなるほどに殿下をお慕いしているように思えます』


『へえ〜、お前にまで俺のことをあの令嬢が聞くとはな』


ロバートの蒼い瞳がギラリと妖しく光った。


『面白い、実に面白い。そこまで俺に惚れているとはな……わははは、そりゃあいい!』


突然大声で笑い出す。ロバートは何かを勝ち取ったように嘲笑した。


『ロバート殿下?』


エドワードはロバートの不遜な笑いに悪意を感じた。


『エドワード、俺は決してあの女には騙されんぞ!(小声になって)昔は見た目でコロッと騙されたがな……』


『え、今なんて?』

エドワードが聞き返した。


『いや、なんでもない。早く会議へ行こう。遅れてしまうではないか』

と、王子はそのまま早足に廊下を足早に歩いていく。


その後を遅れまいと、王子の後を追うエドワードだった。




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― 新着の感想 ―
ロバート悪いやつな気がしますね〜! それに比べてエドワードはなんて純粋なんだろう… ということは、ロバートとマリーがくっつくのは、似たもの同士という感じなのかな…?
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