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28話

「よし、攻略していこうか」


 そんな日の翌日、俺は一人でFランクダンジョンに来ていた。


 あの後将来の為にランクは上げておきたいと話をしたら、『あなたがランクを上げている隙に私はレベル上げをしておくから一人で行きなさい』と無事にもらえたのだ。


 そんなことはどうでも良いから強くなるわよとか言われそうなものだと思っていたけれど、世間体はちゃんと気にしてくれたらしい。


 まあ、3日でBランクまで上げろと言われたんですけどね。


「とりあえずこれの通り進めればいいのかな」


 俺は少し前に杏奈さんから支給されたスマートフォンでとあるブログを確認していた。


 その名も『Aランク昇格ガイド』。名前からはBランクの人がAランクに昇格する方法を紹介しているようにしか見えないが、FランクからBランクに上がるまでの部分も丁寧に説明してくれている。


「FランクとEランクは条件が同じで、自分と同じランク帯のダンジョンを5つ攻略することだね」


 基本的にFランクは1~10レベル、Eランクは10レベルから20レベルといったように一定のレベルが設定されているのに、何故かレベルの上昇=ランクアップという形にはなっていない。


 何故かダンジョン5つの攻略といったようにランクごとに設定された条件を満たしたときにランクが上がるという仕様になっている。


 ギルドも世間もレベル以外の要素は全く見ていないというのに、ランクアップだけはレベル以外の要素が求められる。


 理由は分からないけど、俺みたいにレベルだけは1で据え置きな人間にとっては非常に助かる話である。



「じゃあ急ごうか」


 いくら格下のダンジョンとは言っても、10個も攻略するとなれば結構な時間がかかるからね。


 というわけで俺はネット上に乗っていたダンジョンの地図情報を頼りに最下層まで全速力で走った。


 ボス部屋の前には誰もいなかったので、そのまま中に入る。


 すると、目の前に現れたのは木の見た目をしたモンスターであるトレントの一種のアイストレント。


 木なのに氷のように冷たく、火に対する耐性が異常に高い。


 そのため杏奈さんに出会った日、百貨店で買ったバーナーでは火を付けるどころかダメージを与えることすら難しい。


 しかもそこそこ大きい木ということもあり、物理防御力もしっかり高い。


 というわけで一般的な正攻法としては細い枝を一本一本折り続け、攻撃手段を完全に潰してからゆっくり本体を破壊するというものが紹介されている。




「えいっ」


 まあFランクダンジョンのボスだから普通にワンパンKOなんですけど。



 Fランクダンジョンを倒した証拠として素材を回収した後、Bランクダンジョンと同じように奥の部屋から脱出する。


 ちなみに初回に出ていたダンジョンボスにならないか、という提案は毎回出ているけれど当然断っている。何があるか分かったものじゃないし。


 同じ要領で他のFランクダンジョンにも潜り、ボスは全てワンパンで倒してきた。そのまま素材を近くの役所に提出し、見事Eランクとなった。



 その流れでEランクダンジョンもワンパンで全て終わらせて無事にその日のうちにDランクに上げて一日目を終えた。



 そして二日目。


「今日はDランクからCに上げないとね」


 サイトには好きなDランクダンジョン一つの攻略に加えて、国が指定するDランクダンジョン一つの攻略と書いてあった。


 好きなDランクダンジョン一つに関しては近場で済ませるとして、問題は国が指定するDランクダンジョンの方だ。


 国が指定しているだけあって、数が異常に少ないのだ。数は合計で47個。数的には全都道府県に1個ありそうな感じがするが、九州と北海道にやたらと偏っているのでダンジョンがあるのは大体20県程度。


 そして俺が住む県には指定されたダンジョンは無かった。


 というわけで現在俺は新幹線に乗って移動中だ。しかもグリーン席。


 別に普通席で良かったのだけど、杏奈さんに県外に行くという話をしたら福利厚生の一種だからとグリーン席を買われたのでありがたく乗らせていただいている。


 グリーン席は通常の席よりもかなり広く、落ち着いて座れる上にかなりふかふかだ。そして追加料金を支払わなければならない都合上、かなり空いているのも良い点だ。


 飛行機のファーストクラスじゃあるまいし、グリーン席も普通の席も大差ないだろうと思っていたけれど、結構差があるように感じた。


 これはえらい人たちが率先してグリーン席を選びたがるわけだ。


 俺も今後長距離の移動をすることがあったらグリーン席を買おうと思う。


 料金も普通席とか指定席の倍とかではなく、3割増しとかになるくらいだし。




 と快適な新幹線移動を堪能していると、あっという間に目的地の県に辿り着いた。


 そして駅から降りて、ダンジョンへ向かうバスに乗った。



「じゃあ先に普通の方に行こうかな」


 最初は目的地である国指定のダンジョンではなく、その近くに出来ているただのDランクダンジョンに潜ることに。


「予想はしていたけど、結構人多いね」


 国指定のダンジョンから一番近いダンジョンなだけあって、結構な人数がこのダンジョンに潜っていた。


 Cランクに昇格するまで周囲に移り住み、拠点にしている個人の探索者が結構多いのだろう。田舎なだけあって家賃もかなり安いしね。


「早く行って並ばないと」


 ダンジョン内に人が多いってことはボスに挑む人も同じように多いってことだ。こうしている間に並ぶ人が増えているかもしれない。


 というわけで昨日と同じように全速力で最下層まで走った。


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