第十九話 禁断の『X作品書籍化』の現状②
<< 続き >>
引き続き『X書籍化作品』の分析を行っていきたいと思います。
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<< X書籍化作品『作者人数』について >>
まず最初に『書籍化した作者の人数』について検証していきたいと思います。
書籍化を成し遂げたX作者は一体何人ぐらい存在するのでしょうか。みていきたいと思います。
□ 方法
今回、X書籍化出版作品紹介記事の冒頭で紹介されている作者マイページへのリンクからXIDを抽出し用いることにします。
このXIDはペンネームと違って作者固有のIDであるため他の作者と被ることがなく、出版作品紹介申請に必須な記載であるため欠損値もなく、全数把握が可能となっています。
また今回は作者ユニーク数だけではなく、出版巻数ごとに分けた集計を行っていきたいと思います。
□ 結果
※詳細
X作品書籍化を成し遂げた作者は2019年8月2日現在、合計253人いるということが分かりました。
出版巻数ごとの割合をみると、1出版に留まっている作者が最も多く188人(全体の47%)となっており『X作品書籍化作者のうち約半数は1出版に留まっている』というのが実態の様です。
※なお後述しますが、X作品を書籍化しても出版作品紹介申請を行っていないX作者も存在しますので、この数字は「X書籍化した作者は最低でも253人はいる」という風に捉えていただきたいと思います。
※またこの公式ブログの出版作品紹介記事にはコミックスの出版作品紹介も含まれますので、この集計にはコミックス版の数値も含まれています。
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<< サイトごとのX作品書籍化作者人数 >>
次にサイトごとに分けてみた場合の作者人数と出版巻数の割合をみていきたいと思います。
□ 結果
□ 考察
『ノクターンノベルズ』と『ムーンライトノベルズ』では割合にそれほど大きな差はなく、やはり1~3出版の作者が大部分を占めるようです。
ただ11出版以上している作者の割合を見ると、ムーンライトノベルズの方が割合が大きいことが分かります。このことから、ムーンライトノベルズではより作品を量産している職業的なX作者が多くいることがうかがえます。
一方『ミッドナイトノベルズ』では、出版作品紹介記事で確認できた作者全員が1出版に留まっているのが現状な様です。
(ただし、ミッドナイトノベルズは他のXサイトと比べてかなりサイトの規模が小さく、またサイトの設立年度が比較的最近であることも考慮する必要があります)
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<< 出版形態 >>
次に『出版形態』についてみていきたいと思います。
これは出版作品紹介記事における「書籍」「電子書籍」を分けて集計したものです。
近年では紙書籍での出版市場が縮小する一方、電子書籍の市場は伸びている*1といわれますが、X作品書籍化市場のおいてもその傾向はみられるのでしょうか。
□ 方法
今回はまず、出版作品紹介冒頭の説明文で『書籍』あるいは『電子書籍』として紹介されているものをそれぞれ分けて集計します。
※例
そしてさらに『書籍』として紹介されているもののうち『紹介記事本文中に”電子”』が含まれるものを集計したいと思います。
□ 結果
『書籍』として紹介されているもの 71%
(うち文中に『電子』の記載があるもの 20%)
『電子書籍』として紹介されているもの29%
□ 考察
全体としては『書籍』として紹介されているものの方が多いものの、文中の記載を含めると電子書籍と半々ぐらいの様です。
では次に年度別の推移についてもみていきたいと思います。
□ 結果
□ 考察
この数字を解釈するのはなかなか難しいです……。
なぜならこの数字をきちんと解釈するためには数字の背景にある出版業界の事情を考慮する必要があると考えられるためです。
(※なお筆者は素人です)
ですが表面上を無理やりなぞって解釈してみると、まず『書籍』記載のみの作品は2015~2017年にかけて一気に増加し、2018年に急減少していることが分かります。
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一方で『電子書籍』として紹介されている作品も2016年ごろから急激に増加したものの、その後の減少率はそれほど大きくなく、『書籍』として紹介され文中に『電子』を含むものを合わせると2018年以降は『書籍』記載のみのものを逆転していることが分かります。
このことからは、X作品書籍化においても、数としてみれば近年では『電子書籍』の方が多い割合となってきているということがうかがえます。
※なおこの数字はあくまでも出版作品紹介されている数なので「販売数」や「売上」については一切検討していないことにご注意ください。
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<< 今回のまとめ >>
今回はX作者人数を出版巻数別にみた割合やそれをサイトごとに分けてみた時の割合についてみていきました。
結果、どのXサイトにおいても最も多い割合を占めるのは『1出版』のみの作者であり、作品の書籍化という高いハードルを越えた先にも、更にもう一段高いハードルがあるのではないかという実態を垣間見ることが出来ました。
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また出版形態における『書籍・電子書籍』ごとの推移についてみてみると、紙から電子へのシフトはX作品書籍化においても進行しているというのが実態の様です。
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<< 次回以降予告 >>
・サイト別累計ランキングにおける書籍化分析
・出版社・レーベル別参入年度・出版巻数推移分析
・禁断の『BL』作品書籍化分析
など
♡乞うご期待♡
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ありありあり~2p5p5p
*1 2018年出版市場(紙+電子)を発表しました|公益社団法人 全国出版協会・出版科学研究所 https://www.ajpea.or.jp/information/20190125/index.html







