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罪に願いを 新世界の先駆者  作者: 綾司木あや寧
四章 魔剣使徒編
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神殿に巣食う魔獣 2

 海の底に存在する神殿。

 内部には様々な形をした月が描かれ、弓を掲げる女性の像がそこかしこに並べられており、人工的な建造物であることを物語っていた。 そしてその海底神殿にて、、、


「デュっデュデュフ〜……」

「「…………」」


 マノとエナの二人は神殿内部で囚われた魔剣使徒、アリア・フィジュカ、イオ・ノウミークを救うべく土竜の魔獣と相対していた。


「覚悟するだーヨ……泣いて謝っても許さないだーヨ……」

「エナさん、あの魔獣から魔力は感じますか?」

「いや、感じられない。

 リバイアサン以下なのだろうが、あの二人が拘束されるほどの相手となると、かなり手強いはずだ」

「何をブッツブツ話してるだーヨ!

 ワシを無視するなら、こうだーヨ!!」


 土竜の魔獣は土の中を掘り進むかの如く、両手で空を搔きながらマノ達へと接近する。


「来るぞ…!」

「はい! って……」

「ぐおおおおおおおおおお!!」


 しかし、、、


「ぐおおおおおおおおおおどぅおりゃああああああああああ!!!」


 その移動距離は二秒間に一cm程度だった。


「……エナさん、あれも作戦なんですかね?」

「モグラが地中を掘り進める速度が一分で三十センチメートルと聞くが、単純な移動速度まで遅いというのは聞かないな。

 まあ、汗まみれになりながら進んでいるあたり、フザケているつもりは無いのだろうが……」

「ゼェ…………ゼェ…………。 このスーパーパーフェクトミラクルアルティメットクロウパワーで、おマンらを八つ裂きだーヨ!!!! 覚悟は――」

「聖奥解放」

「え」


 話の途中で飽きてきたマノが騎士の化身を顕現させる。


「ナイトオブ…」

「チョッ…!? ちょ、タン――」

「セイバー」


 騎士の化身が放った斬撃はモグラの魔獣を薙ぎ払い、海底神殿内部の壁に勢いよく打ち付けられる。


「ギュぅ〜〜……」


 その衝撃でモグラの魔獣は気を失い、目を回すのだった。


「容赦無いな……」

「効率重視です!

 さ、二人を神殿の中に避難させましょう。 なんか、あの真っ暗な空間に置きっぱなしにしているのは良くない気がします」

「うむ」


 拘束されたアリア、イオの両名を神殿の内部へと運び、拘束具を解く。

 二人は意識を失っているものの息はあり、目立った外傷も無かった。


「後はレヴィさんガイムさんと再開して、みんなでリバイアサンをやっつければ万事解決ですね!」

「…………」

「? エナさん?」


 気を失っているモグラの魔獣へと歩み寄るエナ。


「おい、モグラ」

「ギュぅ…ん? な、なんだーヨ……」

「リバイアサンの特徴を教えろ」


 意識の覚醒したモグラに魔剣の切っ先を向け、質問を投げかける。


「フンッ! ヤブから鉄パイプみてーな事言うなーヨ。

 大体、お前みたいなクソ男に言うわけないだーy…」

「ここにアリアとイオの下着がある」

「ぜひ言わせてもらうだーヨ!!」

「なぜそんな物をッッ!?」


 モグラは受け取った女性物の下着の匂いを嗅いだり、頬ずりし興奮している。


「このお花の香りはァ〜……間違いなくアリアたんやイオたんの香りだーヨ……デュデュフぅ……」

「うわぁ……」

「それで、リバイアサンとは一体どのような魔獣なのだ?」

「マジュウ〜?

 なぁーに言ってるだーヨ、悪魔自体は人型だーヨ」

「本当か?」

「信じられねぇなら、隣の姐さんと似たニオイのデカパイガキンチョに聞いてみるだーヨ」

「デカパ…!? アタシにはマノっていう名前があるんです!」

「マノだか、アホだか知らねぇけんど、体つきのわりに乳がデケェからそう呼んだだけだーヨ」

「(ボソッ)そんなんだから自分勝手な恋愛しか出来ないんですよ…」

「で、マノ。 どうなんだ?」

「あ、はい。

 悪魔は勿論、天使や神様も総じて人の形をしていますね」

「ふむ……。 では、モグラよ、次の質問だ」

「そ、その前にその剣戻してほしいだーヨ」

「断る。 第一、お前に選択権は無い」

「うう……分かっただーヨ……」

「で、リバイアサンはどんな姿をしているんですか?」

「えっとなぁ……

 髪はおっぱい近くまであってなぁ、背丈はそこにいるアホとかいうデカパイ……」

「マノですっッ!」

「どうでもいいだーヨ!そんなこと」

「落ち着けマノ。

 それで、背丈は?」

「だから、そこにいるメスガキよりも二寸ぐれぇはデカイだーヨ」

「マノ、君の身長は?」

「この姿では154センチです」

「とすると、160センチメートルか……」

「んでもって、明るめの青い髪だったな」

「!……」

「っ? どうした、マノ」

「えっ? あ、いや、その、えっと……」


 モグラの言葉に動揺を隠せないマノ。

 と、次の瞬間だった。


 ブブブブブ。


 羽を鳴らすような音が近くから聞こえてくる。


「なんだ、この音は……」

「わ、分かりません……でも……」

「?? な、なんダバァよ?」


 モグラの声に混じって羽音が聞こえてくる。


「!?!?!? アベぇ?ボカしぃバァぼ!?」

「お、おい…! 口から何かが――」


 エナの指摘よりも先に、その何かは自ら正体を現す。


 バチンッ!という音と共に、モグラの魔獣を内側から突き破ったのは細長い羽のついた虫だった。


 隙間無く詰め込まれていたのか、数千数万の虫が内側から飛び出てくる。


「エナさん、これって…!」

「うむ……リバイアサンが使役する最後の眷属」


「その通りだよ、団長さん。

 これは私がちょっと前に取り戻した眷属のトンボさん」

「!……この声」

「マノちゃん、ここまでガンバったね。

 でも、もうネタバラシしなきゃなのかー……」


 蜻蛉の羽音に混じり聞こえてきた声。 馴染みのあるその声にマノが息を呑む。


「お前がリバイアサンか」

「うふふ……そうだよ。

 私が七つの大罪が一つ、嫉妬を司る悪魔……リバイアサン」

「リバイアサンよ、お前はマノと顔見知りのようだな」

「うん、すごくなかよしなんだ。

 あ、団長さん? 名前をちゃんと呼んでくれるのは嬉しいけど、どうせならレヴィアタンとか、レヴィ…って呼んでほしいかも」

ご覧いただきありがとうございます。

次回は10月12日18時に投稿予定です。

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