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罪に願いを 新世界の先駆者  作者: 綾司木あや寧
四章 魔剣使徒編
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月光世界(影) 8

「とぼけるなよ。

 お前達、大罪の悪魔の目的は、六大世界の核に異常を起こす事でアザトゥスを復活させるつもりなんだろ!」

「え……」


 対峙する彼の言葉の意味が理解できなかった。


「な、何の話です……?」

「まだ、とぼけるのかよ……まあ、いいさ、教えてやる。

 この六大世界と管理神ってのは、大昔、創造神が邪悪神の王を封印するために造ったカギみたいなもんなんだよ」

「カギ?」

「そうさ。 六大世界には、それぞれに神の領域とされる場所が存在し、それを管理しているのが管理神。

 元々は、何も無かった六大世界だったが、それでは悪魔や邪神連中に、ここにありますよと教えてやってるようなものだった。

 だから、そのカムフラージュとして、様々な世界を作り、溶け込ませるように神域を隠した」

「…………」


 邪悪神の王、それを封印するためのカギ、カムフラージュのために作られた世界。

 その全てがアタシの知識には無いものだった。


 アタシがこの月光世界を襲撃した当初の理由は、リバイアサンの助力、そして自らの、悪魔たちの存在意義を証明するため。 ただ、それだけだった。それなのに、、、


「ほ、本当に……知らなかったんです、そんなことになるなんて……」

「……まあ、いいや。 お前と争っていても埒が明かないしな」


 厨二病っぽい風貌の男性は剣を鞘へと納める。


「俺の名はガイム、ガイム・イシュー。

 ニルプス王国騎士団所属する騎士であり、オーディン様の任命により選ばれた魔剣の騎士だ」

「魔剣の……騎士……」

「魔剣といっても、邪悪な力や厄災をもたらす剣じゃなく、オーディン様が魔力を剣の形にして作り上げた剣のことだからな、悪い意味で考えるのはやめてくれ」

「あ、はい! もちろんです」

「それで?」

「……へ?」

「いや、普通の奴じゃ、好き好んで来ることが出来ないこの影の世界に、どうやって入り込んできたのかって聞いてるんですけど?」

「え、えっと……それが……アタシもよく分かんなくて……」

「こうしてこの世界に分かんないわけがない」

「だって、本当に…! …………あ」

「ん? どうしたんですか、お嬢さん?」

「あの、アタシ、あの時、誰かに呼ばれた気がしたんです」

「誰か……?」

「はい。

 多分、女の子だと思うんですけど……その声のする方に進んでいったら空間が歪みだして、そこから……」

「ふーん…………その声の主に心当たりは?」

「ありません……それで、この世界に来て、気がついたらレヴィさんがいて……それで――」

「ストップ、誰がいたって?」

「レヴィさんっていう女性ですよ、ガイムさんの仲間……ですよね?」

「知りませんね、俺の仲間にはそんな名前の奴はいないんで」

「そうなんですか……って、なんか口調変わってません?」

「客として受け入れた相手には敬語ぐらい使いますよ、普通」

「客……」


 さっきまで剣を向けていた人の発言とは思えない……。


「で、そのレヴィさん? っていう女の特徴は?」

「えっと、青くて長い綺麗な髪と青くて綺麗な目を……」

「別に容姿の綺麗か汚いかはどうでもいいんで、何か変わった部分があったかを思い出してもらえませんかね?

 つっかえねーなぁ……」


 ムッカぁ……! ボソッと言ったつもりでもこっちはガッツリしっかり聞こえてるんですけど!?


「…………あ、水属性と光属性の聖奥を使ってました」

「聖奥……間違いなく聖奥でしたか?」

「はい」

「発動の際に光の粒子を確認しましたか?」

「光の粒子……?」

「……え、まさか、知らないわけじゃないっすよね?」

「えっとぉ……エヘヘ……」

「はぁ〜……ホント使えないな、この悪魔モドキ」


 ……イラっ。


「聖奥はどんな属性を含んだものであっても、発動の際に必ず、光の粒子が使用者の体から放たれるんすよ。 お嬢さんも今、聖奥武装を使っているから光の粒子が溢れ出てるでしょ?」

「へっ? 聖奥武装?」

「聖奥の力を肉体の纏わせる事で身体能力を向上させる能力です。

 聖奥は放てば大量の魔力を消費しますが、武装として、体に纏わせる事で、無駄な魔力消費を抑えつつ、長時間の戦闘を行えるようにするという……オーディン様が編み出した画期的な能力なんすよ」

「へぇ〜……」

「へぇ…って、自分で使ってて気付かなかったんすか……」

「い、いやぁ……そもそもこの腕輪にそこまでの秘密があったとは思わなくて……」

「ああ、そっすかぁ。 ウチの王様がゴミを他人にくれてやるクソだと思っていただきありがとうございまーす」

「べ、別にそんな事は言ってないじゃないですか!」

「え、でも、さっきの言い方的に、どっかの国王様が旅の資金になりそうな金目の物をくれたみたいな心持ちですよね?」


 うっ……。


「……まあ、いいや。

 兎にも角にも、今は俺の仲間と合流した方が良いかもですね」

「仲間、さん?」

「あ、はい。 俺以外にも三人、魔剣を所有する騎士がいるんすよ」

「へぇ〜! どんな人たちなんですか?」

「団長、男。 副団長、女」


 うわぁ……説明、雑だなぁ……。


「そして、俺の後輩兼俺が命に変えても護らなくちゃならない奴、女。

 の、三人っすね」


 …!?


「え!えっ!え、えっ!? 命に変えても護らなくちゃ…!? それってつまり……」

「……さ、探しに行きますか」

「あ! ガイムさん、今、照れ隠しした!」

「この世界で油断してると、どこからか魔剣で顔面を貫かれるかもで危険ですよ」

「えっ!? そんなに危険……って、それ、ガイムさんがアタシに魔剣を向けてるからですよね!?」


 こうして、なんだかんだで仲良くなった(と思い込んでいる)アタシは、魔剣使いの騎士ガイムさんと一緒に、他の騎士の捜索にあたるのでした!


 ……なんか忘れてるような。

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