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第13章 ④ 触れられない心

第13章 ④ 触れられない心


まずは、パターンその1。

「あのぉ。今お時間大丈夫ですか?」


このパターンは無難だが、一番断られやすい様な気がする。何しろ街中でこの体のキャッチは大抵要らないインターネット契約やマルチ商法、危ないお仕事の勧誘に決まっているのだ。おそらく、チャラいホスト崩れの男か、眼鏡をかけた詐欺師のような人だろう。


次に、パターンその2。

「あのさぁ、人探しているんだけど、この子知っている?」


このパターンは初めに目的を告げることで、相手にその情報を知っているか、知っていないかで、その場をすぐにでも離れること出来ることが確証されている。


故に相手の不安な気持ちは少なくてすむ。更に写真を提示することで返信率は急上昇するに違いない。

しかし問題は、相手はまずこのパターンで疑うのはこの口調では借金取りではないかと疑われると言うことだ。


その場合は友達を思い、教えてくれない可能性は大いにありえる話だ。


(そもそも中学生を借金と誤認しないだろうとの指摘があろうことだろうが、このタイミングその事に気づけない中学生。それが中森翔という少年だ。故に回想録を深夜に読み返していたらよくよく考えたらおかしいよな。そしたらこのシーンカットするか。いや、でもカットすると収まり悪いし、どうしよっかなぁ。みたいな事を考えた結果、面倒だからこのままにしちゃえ!とかではないです!)


まず、人が人を探す時は大抵、親が心配してか、恋人が逃げた時、借金取りが所在確認のために人を探す。の3通りしかない。民間人が探す時はこれ以外には絶対に!例外なく!ありえない。なぜそんなに強気に言い切れるのか?と聞かれれば、自分はこう答える。


「何となくだ!それ以下でも以上でもない!直感より優れた考察は無く、あったとしても直感によって得た結果を理屈で後付けしているだけなのだ。」


以上牽強付会。


そう言われた貴方は考察の意味が「物事を明らかにするためによく調べて考えること。」であるにも関わらず直感に頼るのはもはや考察とは言えないのでは?との疑問を抱いた人もいるだろう。


しかし!あえて私は言いたい!日本語はムズイ!


だって「潮時」は「ある事をするための、ちょうどよい時期。好機。」のことなのだ。


イケイケのギャルが


「ウチ、彼ピと別れるかも。ウチら潮時かなぁ。」


と言った時、本来ならその言葉の背景には、「彼ピと別れるのは、ちょうど良い好機だよね。実は他のイケメンに告られたんだよねぇ、マジイケメンしか勝たん!」というような前向きな背景がなければおかしいのだぁぁ!


はぁ、はぁ、はぁ、はあ?


話がずれた、「時を戻そう!」


兎にも角にも、中学生の場合には親が心配してが無難だが、それなら学校に聞け!となるので、その返答には恋人パターンを用いる事が脳内で採用された。


最後にパターン3

「あのぉ。ここに行きたいんですけど。あ!ついでにこの人って知ってます?自分の従姉妹で、久しぶりに会うんですけど、イマイチ土地勘なくて迷ってしまって。」


嗚呼もういい、これ採用。もはやこれ以上の声掛けは存在しないと思う。ごちゃごちゃ前振りし過ぎて疲れたので、よって理由は述べない。


そうと決まれば、後はタイミングと、ナチュラル迷子を演じるまで。とりあえず、4人ほどの情報を頭に叩き込み、周辺をウロウロとする。


すると、学校探索から帰還したマルが右肩に乗ってくる。


「ひやぁ。疲れた、疲れた。カケルはちゃんと情報収集できそうか?」


「まぁ、とりあえず脳内シュミレーションは100回はやったから大丈夫。」


「うぇ。何そのモテない男子が告白のシュミレーションだけして、意中の女子にシュミレーションだけでも100回振られてそうな行動。引くわー。」


そう言って鼻白むマルだが、マルにはわからないだろう。男子がこんな所で異性に話しかけるのは明らかに不自然なのだ。それをやろうと言うのだから、それなりの準備は不可欠なのだ。


「うるさいなぁ。100回だめなら101回目やるよ!大丈夫。シュミレーションではバッチシ成功してるから。」


「おい、まさかお前生まれた時代詐欺ってないか?もしかしてBGMでチャゲアス流れてないよな?」


「何それ?ちょび髭?より髭男派だけど?」


「嘘だろ!せい!いぇす!だよ!」


こちらがポカンとしているとマルは「いや何かコイツないわー。」って勝手になってるが。こっちから言わせて貰えば、こっちは14年しか生きてない。故にそのチョビ髭やら口髭やらは知らないわけで。


やはり主に知っているのは現代のPOPsだ。懐メロは父さんの好きだった安全地帯。オフコースが良いところで、局所的にしか知らない。


「まあ、いいや。で?シュミレーションでの成功率は?」


「うーん、89%だな。」


「なんだよその微妙に失敗した回数は。ちなみにその11回は何で上手くいかなかったんだ?」


「3回は忙しくて断られ、6回は怪しくて断られた。」


「なんだそれ。どんな確率計算してんだ?んで?残りの2回は?」


「1回は土砂降りの雨で、みんな走って行ったので話を聞けず。もう1回は学校の先生に捕まって聞けなかった。」


「はぁ。どこにリアリティを求めてんだ?とりあえず、席の近いやつとか、わかったから、2年2組の写真出してくれ。」


マルに言われて、スマホのライブラリから2年2組辺りを表示する。


「で?ちなみにどなたですか?もちろん今日いる人なんでしょうね?」


「ああ、もちろん。まず、コイツだ。山田実。バスケ部で、同じ小学校出身。」


「ちょ、ちょい待ち。男子に話しかけるのか?」


「は?だって同じ小学校出身で同じクラスだろ?何か知っててもおかしくないだろ。」


「いやいや!男子に話しかけるシュミレーションしてない。」


驚きの表情の自分に対して、

無言で見つめてくるマルの顔は空いた口が塞がらないようだ。そんな風に見られても、こっちだって頭の片隅にもなかったのだ。


「いや、だって女子の情報収集だって言うから必然的に女子に聞くものだと‥」


自らの思い込みの存在に気づくことができたが、その時は少し遅かった。


既に100回試したパターンから男子に応用できないか、必死に思考回路をめぐらせる。


「はぁ‥まあいい。いざとなったら俺を相手に触る様に誘導しろ。それで情報を引き出す。それまで、少し休む。」


疲れからか、ぐったりとしたマルは実体化したまま、スルリと自分の腕の中に潜り込み、小休止する。


自分は公園のベンチに戻ってマルを抱き抱えて、午前の練習終わりを待つ事1時間。


男子でのシュミレーションも50回は超えたあたりだった。さっきまで晴れていた空が急激曇り出し、ポツポツと雨粒が落ちてくる。


傘を持たない自分達は、急いで、屋根付きの遊具に入る。


「おい。お前のシュミレーション通りになってないか?」


雨粒の音で起きたマルは伸びをして体を震わせる。


「いやぁ。確かに。予報じゃ降水確率20%くらいのはずなのになぁ。これじゃ聞き込みも難しいかも。」


天気模様を伺いつつも、聞き込みを続行できないかを模索していたところ、向こうから水色ジャージ姿の男性教師と思しき人がこちらにやってくる。


第13章 ④ 終わりました!


気になるところで分割です!そう分割です!一括払いは手数料もつかないし、金利もない。

にも関わらずなぜか人は分割するのです!リボ払いなんてのはもっての外のはずなのに…


すいません!関係ない事を書いてしまいました。


兎に角!次回お楽しみに!


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