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モブキャラとして無難にやり過ごしたい  作者: 天原 重音
作戦と試練 西暦3147年10月後半

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翌日から出発するまでの数日間

 何時もよりも早めに眠ったからか、アラームが鳴るよりも早く、五時に起きてしまった。早くに起きてもやる事が無い。食堂に朝食も届いていない。

 アラームを解除し、服を着て身繕いをしたら食堂の厨房へ向かう。何故厨房なのかって? お菓子の材料の残量確認だ。調味料が置かれるようになってからは材料を全てここで保管するようにした。

 今月十日に月面基地へ移動し、昨日まで実にバタバタしていた。今日は十七日。時間感覚が狂う程に濃密な六日間だった。

 そして今朝は早くに起きてしまったので、気分転換を兼ねて簡単なお菓子を作る事にした。

 簡単と言っても、お菓子作りの工程は多い。ホットケーキを焼くだけなら、混ぜて焼くだけだ。

 冷蔵冷凍庫の中身を見ながら、何を作るか考える。ホットケーキミックス粉の残量は少なく、パウンドケーキを焼くには足りない。生クリームを見つけた。使いかけのジャムも残っている。

 何が作れるか考えて……ミルクレープを作る事にした。冷やす時間が必要なので、今から作れば昼には食べられるだろう。

 ミルクレープは焼いたクレープ生地をミルフィーユのように重ねて作るケーキのようなものだ。重ねる際に生クリームを塗り、果物を挟んだりもする。今回はクレープ生地の両面にジャムと生クリームを塗って作る。

 最初にホットケーキミックス粉と卵と牛乳を泡立て器で確りと混ぜる。終わったら冷蔵庫に仕舞う。こうする事で薄く焼き易くなる。

 次に生クリームを泡立て、使うまで冷蔵庫に仕舞う。

 その次に冷蔵庫から仕舞っていた生地を取り出してフライパンで焼く。クレープのように薄く丸く焼く。生地が無くなるまで焼き続け、焼いた生地は冷ます。

 最後に冷蔵庫から泡立てた生クリームと使うジャムを取り出し、冷ました生地に塗って重ねて行く。焼いて冷ました生地の枚数は三十枚。一ホールのミルクレープで大体九枚ぐらい使えば無くなる。余りの三枚はクレープにしよう。

 生クリーム(厚みを出す為にやや多めに塗る)とジャム(こっちは三枚ごとに塗る)を塗って重ねて、終わったらラップをして冷蔵庫に仕舞い冷やして終わり。余った生地は残りのジャムと生クリームを使ってロールクレープ風にする。これも冷蔵庫に仕舞い、使った道具を洗って片付ける。

 全部終わらせて食堂へ向かう。時刻は六時半を過ぎている。作業中に朝食が運び込まれている事には気づいていた。

 やや早いが久し振りに独りで朝食を食べる。洋食だった。

 静かな食堂で朝食を食べる。独りで食事を取る事には慣れているのに、やけに静かに感じる。

 八月以降、と言うかツクヨミに来てからの朝食は、ほぼ毎日、松永大佐と食べていた。昼食と夕食になると、飯島大佐や中佐コンビを含めた五人で食べていた。

 訓練学校時代は基本的に独りで食べていたが、何故か学年問わずに、男子が近くに来た。その時の会話内容は『アレが解らないから教えてくれ』か、『放課後のシミュレーター対決の申し込み』だった。

 他の女子からは睨まれたけど、態度を考えると向こうにも非が有る。

 教えて欲しいと話し掛けていながら、最終的に『態度が悪い』だの、『言い方がキツイ』だの言い出し、挙句の果てには『デートの申し込みをして断られてキレ出す』始末。何の為に声を掛けたんだよと言いたくなる有様だった。

 自分は男子一同に興味が無いから、言う事言って、聞かれた事に回答したら、即座に去っていた。牽制の嫌がらせを女子から受けない為の、必要な行為だ。

 でも一人だけ、男子の先輩(名前は憶えていない)が『どうしてすぐに去るの?』と聞いて来たな。素直に言ったら驚かれたっけ。そういや、一昨年卒業したあの先輩が、訓練機のリミッター解除のやり方を教えてくれたんだよね。卒業前に最後の対戦がしたいって言われて相手をして負かした。そうそう、勝ったら何か要求出来る対戦だったから、『卒業生じゃないと知らない事を教えて欲しい』と言って、リミッター解除のやり方を教えて貰った。

 今になって思い出すと、ナイス判断だったな。

 笑って『使う機会は無い』と言いながらも、先輩は教えてくれた。まさかその一年数ヶ月後に、実戦で使用するとは思ってもいなかった。本当に、どこで何が起きるか分からないね。

「何て名前だったかな……?」

 顔は思い出せるんだが、如何せん、名前が思い出せない。確かあの先輩は最高学年実技成績トップだった。そんな人にシミュレーターでの対戦とは言え勝ってしまったから大いに目立った。目立ってしまい、欠員が出ていたあのチームに入れられてしまった。

「誰の名前だ?」

「リミッター解除のやり方を……」

 背後から声が響いた。色々と思い出していた途中だった事も在り、反射的に答えるも、声の主に気づいて振り返る。そこには、松永大佐と飯島大佐がいた。

「おはようございます」

「おう、おはよう」

「ああ、おはよう。それで、リミッター解除のやり方が、何だって?」

 反応に困り挨拶したが、普通に返され、目を眇めた松永大佐から追及を受ける。その隣にいた飯島大佐は、松永大佐の様子を確認するなり朝食を取りに移動した。

 どうしようかと少し悩んだが、飯島大佐が戻って来てから、身の安全の為に正直に言った。そしたら、揃って『それで知っていたのか』と呆れられた。

「教官がいる目の前でしたが、駄目でしたか?」

「はっきりと、駄目って言いたいんだがなぁ」

「結果が結果だから、何とも言えん」

 確認すると、大佐コンビは揃ってため息を吐いた。自分が実戦に巻き込まれたあの日。リミッター解除をしないと色んな意味で危なかった。

『日本支部にとって良い結果を出しているんだが、裏事情を知ると何とも言えない』

 大佐コンビの言いたい事はこれだろう。

 一頻り嘆いてから、飯島大佐が尋ねて来た。松永大佐はキリが良いと判断したのか朝食をを取りに向かった。

「星崎。お前にやり方を教えた野郎の名前は憶えているか?」

「済みません。覚えていません。一昨年の卒業生で、首席卒業していました」

「名前ぐらいは憶えてやれよ。一昨年の卒業生で首席って事は、……沢城か?」

「もしや、あの先輩は飯島大佐の下に配属になったのですか?」

「ああ。該当する奴が一人いる。そう言えば、後輩で一度も勝てなかった奴がいたとか言っていたな。そうか。アレは星崎の事だったのか」

 成程なと、飯島大佐が一人で納得している間に松永大佐が戻って来た。

「飯島大佐。その該当者は他にも何か言っていたのですか?」

「言っていたが、そいつの同期の奴も色々と言っていた」

 松永大佐の疑問に飯島大佐は朝食を取りながら回答する。

 飯島大佐が言うには、『彗星のように現れた期待の大型新人』、『あいつが操縦すると、動きが三倍速く見える』、『背中に目を付けているのかってくらいに背後が取れない』、『射撃が滅茶苦茶正確過ぎて怖い』、『一瞬でも別の事に気を取られたら、あっと言う間に近づかれて負ける』、『一人だけ技術レベルが違う。アレで新入生? あり得ねぇ』などを言っていたそうだ。

  とりあえず、どこから突っ込みを入れようか?

「そんな事を言っていたのですか」

「そうだ。そんな奴は居ねぇと聞いた時は笑い飛ばしたが、実際に見ると何とも言えねぇな。しかも、似たような事を言う奴が二年連続で出たんだぜ。どう反応すりゃいいんだよ」

「実物を見てから決めれば良いでしょう。それで、見た感想は何ですか?」

「この世にあり得ないって事は、存在しないんだな」

 飯島大佐。真顔で言わないで下さい。

「その通りだから何とも言えません」

 松永大佐までもが、真顔で言った。

 酷いなと思ったけど、ここで言葉の接ぎ穂が無くなってしまった。揃って無言で朝食を食べる。粗方食べ終えて、お代わりして、一息吐くと、時刻はそろそろ七時半になる。昨日のこの頃に、セタリアから通信が来たんだよなぁ。

 余計な事を思い出してしまう。フラグを立てた気がしたが、何も起きないので良しとしよう。

 朝食の皿を片付けて、食後のコーヒータイムになり、今日の予定についての話し合いになる。だがその前に、直訳されたデータの確認を行う。

「「……」」

 直訳された文章を見て、大佐コンビは動きを止めた。困惑の余り、揃って頭を抱え始めた。だから『注意して下さい』と言ったのだ。大佐コンビが再起動するまでの間、甘いコーヒーを飲んでから、日本支部のものだけ意訳を始める。

 文字を日本語表記に切り替えているからか、意訳を始めたら揃って再起動した。物凄い形相で文章を追い始めた。

「待て星崎。翻訳はそこまでだ」

「まだ初めの一枚しか、翻訳していませんが……」

 報告書の一枚目を翻訳し終えたところで、松永大佐から『待て』が入った。まだ『序の口領域の、最初の半歩にも満たない』んだが、止めても良いのだろうか。判断に困り飯島大佐を見る。

「う~ん。そうだな。……機密事項が混じっている可能性が高い。とりあえず、俺に見せろ」

「分かりました」

 腕を組んで少し考えた飯島大佐に、当初の予定通りの事を言われたので頷いた。見本となる意訳文章は一枚完成している。あとは頑張って貰おう。直訳文章と意訳文章を見比べる事が出来るように、大佐コンビの前に表示すると、同時に表情を険しくして文章を追い始めた。

 心の中で『頑張れ』とエールを送ってから、厨房へ向かいデザートのクレープを手に戻る。

 生クリームが程よく固まっている。ナイフとフォークを使ってロールクレープを食べる。大佐コンビは文章の比較に集中し過ぎていて、こちらに一切注意を払わない。自分がロールクレープを食べ終わる頃に、文章の比較が終わった。そのまま直訳についての議論が始まるのかと思ったが、松永大佐がこちらを見た。

「星崎。今更の疑問だが、使用する電子機器の技術レベルの差を越えて、どうやってこちらに情報を送る予定だったんだ?」

「情報媒体の複製を作製して、情報を移す変換器が在りますので、情報の移動は可能です。記録媒体としては、メモリーカードになります」

「メモリーカードか。だったら問題は無いか」

「ただし、データ量が多いので時間が掛かります」

「月面基地に移動するまでに終了すれば問題は無い。メモリーカードで情報の受け渡しが可能なら、確認ついでに、直接佐久間支部長に渡した方が良いのかもしれないな」

 何故、昨日言わなかったんだ、とか言われなくて良かった。意訳を頼まれる可能性が在ったから、言い出せなかったんだよね。

 メモリーカードと表現したが、実物は細長いガラス状の金属板になる。

「直接渡すのは解るが、何を確認するんだ?」

 飯島大佐が引っ掛かりを覚えたところについて松永大佐に質問している。確認と言うのは昨日尋ねたアゲラタムについてだろう。

「八月下旬に、佐久間支部長が星崎に出した指示です。アゲラタムを一機、星崎の専用機にしても良いと、実に太っ腹な指示が在りました。覚えていますか?」

「……あー、アレか。今になって思い出すと、もうどうでも良さ気な指示になったな。松永は、支部長が覚えていると思うのか?」

「どうでしょうね。私も昨日星崎に聞かれるまで忘れていましたから、佐久間支部長は綺麗に忘れていそうです」

「綺麗にサッパリと、忘れていると思うぞ。指示は何で来たんだ?」

「メールで来ましたので、指示を出した証拠は残っています」

「支部長が地獄を見るパターンか。しかし星崎も、良く覚えていたな」

 これからやって来る支部長の未来に同情してから、飯島大佐はこちらを見た。

「昨日一日で色々と起きたので、どうしてこうなったのか考えていたら『おまけ』で思い出しただけです」

「おまけで思い出したのか」

「はい」

 首肯すると、飯島大佐は呆れた。

 呆れるような事かと思ったが、支部長の未来が大変になるから呆れたんだろうなと、適当に当たりを付けた。

「支部長の未来は変わらないから考えてもしょうがないな。星崎は大林にも同じものを渡すのか?」

「データを渡すのであれば同じものを渡します。大林少佐は見るだけと仰っていませんでしたか?」

「確かに、それっぽい事は言っていたな」

 記憶違いが在るのかと思い飯島大佐に尋ねた。けれども、回答は松永大佐から来た。

「データの保存先が多くて困る事は無い。バックアップデータとして、渡した方が良いだろう」

「バックアップか。それを考えると確かに渡した方が良いか。でも、支部長にだけは報告しろよ」

「それなら、佐久間支部長の目の前で直接渡せば良いでしょう」

「……そうだな」

 松永大佐の言い分を聞いて、飯島大佐は諦め顔になった。

 そして、このやり取りを最後に、一度隊長室へ移動する事になった。今更感が有るけど、情報の流出を防ぐ為には移動するしかない。移動先の隊長室で大佐コンビと改めて情報を確認する。

「感性の違いで片付けるか」

「それで良いでしょう。泣くのは佐久間支部長だけですし」

 頷き合う大佐コンビを見て、『い・い・の・か・よ?』と無性に突っ込みたくなった。仮に突っ込んだとしても、非常にイイ笑顔で『問題無い』と言い切られそうだ。

 無駄となりそうな突っ込みを控えて、ポケットからスマホを取り出し、端末から変換器を取り出して作業を始める。

 変換器を使う前に必要なのは、スマホのメモリーカードだ。変換器と称しているが、メモリーカードの構造を読み取らせて、地球産のパソコンでも読み取れる情報保存端末を作るので、『類似情報保存端末作製器』と表現した方が良いかもしれない。でもこの変換器を使わないと、作った情報保存端末に保存不可能と言う欠点が有る。

 そんな詳細を教える必要は無いので、黙々と作業を行う。試しに一つだけ作る事になったので、端末の作製に時間はさほど掛からない。ただ、複製する情報の量が多い為、少し時間が掛かる。

 作製と移動が完了するまでの間に、何やら話し合っている大佐コンビを放置して、自分はマルス・ドメスティカとターゲスに関する資料に目を通す。覚えている範囲の情報と照らし合わせながら資料を読み進めたが、戦闘時に見た改造以外に変更点は無い。

 続いて、ティスから貰ったデータに目を通す。外見が完全に変わり果てた五機の写真を見ると、セタリアの強欲さを感じてしまう。せめて面影だけでも残して欲しかったわ。装甲の色だけで思い出せとか無理だよ。特にクォーツは、色が白色から白銀色に変わっていたし。

 データに添付された写真を見て、自分が手掛けた時の五種類の機体のそれぞれの特徴を思い出す。


 高速戦闘を想定した白い機体のクォーツ。

 重武装による大火力攻撃を主体とした黒い機体のモリオン。

 拠点防衛用の堅牢な装甲を持つ黄色い機体のオウロベルデ。

 砲撃と射撃に特化した青い機体のホークスアイ。

 電子戦を含む数多の戦闘支援を想定した緑色の機体のクリソプレーズ。


 以上がこの五種類の特徴だ。全てオニキスの装備と戦闘データを基に多方向へ特化させた機体だ。オニキスは色々と想定して、大量の装備を搭載するしかなかった。オニキスの搭載装備を五種類に分類して、作り直したと言えば良いのかもしれない。

 とは言え、ね。

 セタリア指揮の下で色々と手を加えられてしまった。その結果、完成した性能がどうなっているのかは未知数となる。

 ルピナス帝国の技術を注ぎ込んで作り直したのなら、その完成度は高い筈だ。

 開発当初は『アゲラタムの換装ボディと装備一式』にする予定だった。自分が作った時の面影が残っていないのなら、換装ボディとしての特徴は無くなっている可能性が高い。フレームは無事だけど、色々と損傷している時の『修復時間短縮換装ボディ』として開発予算を貰ったのに。これでは、当初の目的が行方不明だな。

 貰ったデータを見る限りだと、アゲラタムの発展系のように扱われている。唯一の救いは、スペックが余り変わっていない事か。六月に戦ったクォーツは大将機として銀色にしていただけだった。

「星崎?」

「おいおい、唸ってどうしたんだ?」

 無意識に唸っていたらしい。話し合いを中止した大佐コンビに言われるまで気づかなかった。

「あ、すみません。外見が変わり果てていたので、開発当初のコンセプトが消えていると思っていただけです」

「そんなに変わっているのか?」

「面影が残っていません。アゲラタムの換装ボディと装備一式として開発したのに、完全に発展系として扱われています」

「こいつもアゲラタムが基になっているのか」

「様々なものの雛型になっていると聞いたが、本当に種類が多いな」

 松永大佐が感心している点の『種類が多い』と言うのは、ジユとターゲスの事を思い出しているのだろう。

 特にターゲスは、次の作戦で必ず指定数を撃墜しなければならない相手でもある。松永大佐に一声掛けてターゲスの資料を見せると、飯島大佐と一緒に食い入るように見つめた。けれど、そこまで大量に資料が在る訳では無いので、すぐに見終わった。

 ターゲスについて、気になる点の質問を幾つか受けて答えていると、端末の作成が完了した。変換機からガラス状の記録媒体を取り出す。

「これに移したデータが入っています。松永大佐のパソコンで確認しますか?」

「ふむ。支部長に渡す前に確認するか」

 そう言うなり、メモリーカードを受け取った松永大佐はパソコンへ向かった。飯島大佐もくっ付いて行った。確認が終わると、大佐コンビが直接支部長に持って行く事になり、揃って向かった。

 自分は、大佐コンビが確認中にやって来た大林少佐からの依頼で写真撮影をする事になったのでここに留まった。大林少佐に渡すメモリーカードを作るのは、大佐コンビが戻って来てからになった。



 この日から、月面基地に向かう日までの数日間は、非常に慌ただしかった。

 時間を見つけては操縦訓練を行い、可能な限りの書類仕事を行い、支部長には内緒でセタリアとティスにクレームのメール(返信受取拒否)を送り、大林少佐と定例会議に参加している女性陣達と写真撮影会をもう一度行い、猫又コスプレをする事になった自分の巻き添えで吸血鬼コスプレさせられそうになった松永大佐がキレたり、神崎少佐依頼で謎の朗読録音を行い、朗読内容を知った松永大佐がマジギレして顔を真っ赤にした井上中佐――松永大佐が井上中佐を連れて行ったのは、朗読内容の意味を教えて貰おうと、朗読内容を教えたら一緒に向かった――と一緒に憲兵部に乗り込んだり、松永大佐が意訳を求める支部長を泣かせたので宥めたり、佐藤大佐依頼で日持ちするお菓子を大量に作ったり、月面基地で知り合った二人ともう一度会う約束をメールでしたりと、イベントが多かった。

 月面基地に向かう前日の夕食には、ゲン担ぎでハムカツサンドを作って松永大佐と中佐コンビと飯島大佐と一緒に食べた。支部長への差し入れ分も作ったけど、何故か一条大将が食べていた。支部長は泣いていた。ちなみにハムカツのハムはセタリアからの差し入れ品の残りを使った。

 話は変わるが――自分がツクヨミに来てからは起きていないし、今まで知らされていなかった――八月以降も、他支部の軌道衛星基地では何度か襲撃を受けたらしい。

 日本支部が二ヶ月半も襲撃を受けなかったのは偶然では無く、軌道衛星基地が襲撃を受けるのは、三ヶ月に一度の頻度らしい。事実、ツクヨミが前回襲撃を受けたのは七月の下旬だった。

 そして、十年前の作戦中にも軌道衛星基地では襲撃を受けたらしい。

「俺はここでツクヨミを守る。後ろの事は気にせずに作戦に集中しろ」

 これが見送りに来た飯島大佐の言葉だ。共に作戦に参加する事は出来ないが、頼もしい言葉だった。

 松永大佐と一緒に『頼みます』と頭を下げてお願いした。

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