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お嬢様は悪役にはならない

 ねぇ、いったい貴方達は何を言っているの!!?

 彼女が私を貶めようとしていたですって?

 馬鹿なことはよしてちょうだい!

 先ほどから言っていることは全て状況証拠だけで物的証拠は何一つ無いじゃない!

 だいたい私は彼女と、公爵令嬢とはしゃべったこともないのよ!


 庇わなくてもいい?

 庇ってないわよ!本当に知らないのだから!

 許そうとするなんて慈悲深い?

 許すも何も彼女は私に何もしていないわ!

 だから、彼女のことは知らないと言っているのになんで私の話を聞かないのよ!!

 周りを見なさいよ!貴方達が勝手に盛り上がっているだけだとなんで分からないの?


 貴方達は私の話をいつも聞いてもくれない。

 嫌だというのに恥ずかがっていると言う。

 嫌だというのに意地を張るなと言う。

 嫌だというのに傍から離れないと言う。

 私の言葉はいつも無視される。


 もう…もういいわ。

 どうせ私はもういなくなるのだから。

 何を言っているのかですって?言葉の通りよ。私はこの学園からいなくなる。

 許さない?何が?誰が?

 別に許されなくてもいいわ。許さず嫌ってくれればいい。

 私の言葉を聞いてくれないどころか歪曲して受け取る貴方達のことなんて大っ嫌い!!


 …お兄様?

 ああ、ごめんなさい。

 私は最初から最後までお兄様に迷惑しかかけられなかった。

 お兄様はまだこの学園に残るというのに、また勝手なことをしてしまって…本当にごめんなさい。


 え、彼女のことについては調べがついているですって?

 お兄様は本当に抜け目が無いわね。私には一生できそうにないわ。

 彼らが色々言っていたけれど、結局私にはなにも実害がでていないのに、どういうことだったの?

 …ああ、やはり彼らの勘違いだったのね。

 ごめんなさい。私が謝るのはお門違いかもしれないけれど、公爵令嬢にはご迷惑をおかけしてしまいました。


 え、なぁにお兄様?まだ何かあるの?

 後ろ?後ろに何が………。え、何で。どうして彼が?!

 い、いえ。彼は私の事は知らないはず。

 どどどちら様かしら?私に何か用?


 髪飾りですって?これは私の侍女が用意してくれたものよ。

 新しいのが届いたからって。

 これは、貴方が、密かに会っていた、湖の君の為に、特注で作った、髪飾り、ですって?

 -っ同じような髪飾りなんてどこにでもあるでしょう!間違いよ!!

 間違いないというのなら、証拠でもあるというの!?

 せ、精霊様に頼んで私以外が身につけたら呪われるようになっているですって!!?

 私が身につけていたら守護に変わるから大丈夫ってそういう問題ではないのよ!

 精霊様になんてことをさせているの!

 精霊様は守護をつけるのは好きでも呪いをつけるのは嫌いなのよ!言ったでしょう!

 私のためなら嬉々としてしてくれたですって?

 だから、そういう問題じゃないのよ!

 私は貴方が精霊様を傷つけないと思ったから色々話したのよ。

 こんなことを精霊様に頼むだなんてすると思ってなかったから。

 それを、どうしてこんな!!


 落ち着いてじゃないわよ!

 せっかく精霊様の頼みごとも全て終わって、潔く戻ろうとしているのに。

 だから、落ち着けないってば!

 え、何よ。だから私は…私は…貴方のことなんて…湖のことなんて…あ…あれ?

 知らないとかもう言えないよねって…ああ…そんな、騙したの!?

 素直に怒る君も可愛いってなによぉ!

 だって、貴方は私の事を知らないはずで、何で、どうして。


 あ、ちょっと!この髪飾りどういうことよ!

 申し訳ありませんじゃなくて説明してちょうだい!!

 お嬢様に後悔をしてほしくありませんでした?

 後悔なんて…しない…わよ…。


 私は自分の意思で来たのだもの。

 私は自分の意思で戻るの。

 後悔なんて、後悔…なんて…もうしてるし、戻ってからもするに決まってるじゃないバカ!!


 悪役になろうと思って、嫌な人を装って、なんでか嫌な人たち惹きつけて。

 したくも無い苦労ばっかりで、この学園にいい思い出なんて出来ないと思っていたのに、彼に会ってしまった。

 この場所に未練なんてなかったのに。


 何よ…貴方なんて嫌いよ…精霊様に呪いなんてかけさせて、私を騙して。

 好きなんかじゃないわ。


 君が好きじゃなくても、僕は君を好きですって?

 …っ初めて顔を合わせたのに、よくそんな事言えるわねっ。

 どうせそれも私を騙すために言ってるだけでしょ。

 好きになったのは顔じゃなくて、君だから?

 や、やめてよ。

 ずるいじゃない。

 そんな、そんなこと言われたら……本当に、ばか。


 ねぇ、私この場所はあまり好きではないの。

 あの湖は好きだし、綺麗な場所があるのも分かってる。

 でも、精神的苦痛が多すぎるわ。

 だからお願い。

 私を騙した事を悪いと思っているのならきいてちょうだい。

 私が戻る場所でも、奨学生制度があるわ。

 推薦状が必要だけど、それは私の両親に頼んであげる。

 だからね、追いかけてきてちょうだい。


 湖では貴方が私を待っていてくれた。

 だから、今度は私が貴方を待つ。

 来て、くれる?

 返事を聞かせてくれるなら?

 もう…分かっているくせに。




 大好きよ。

ありがとうございました。


昼休みクオリティでお届けいたしましたこの話もこれにて完結です。

細かい設定は決めていないので、なんだかおかしな部分がありそうですがそこはさらっと見逃してくださると助かります。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

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