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【書籍化・コミカライズ2巻4/16発売】ハズレ姫は意外と愛されている?  作者: gacchi(がっち)


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独立宣言がされたその日のうちにアンナは学園を除籍になり、

アーレンスへと送り返された。

学園の寮の荷物も女性騎士によってまとめられ、荷馬車で一緒に送られた。


最初は嫌がって抵抗していたアンナだが、

事情を知った侍女に説得され渋々といった感じでアーレンスへと戻ったらしい。


突然近衛騎士達によってアンナを送り届けられ、

同時に国王からの独立宣言を認める旨の書簡を手渡された辺境伯は、

最初は何のことだかわからず取り合わなかったらしい。

だが、それが本当のことだとわかると気を失って倒れてしまった。

まさか学園にいる娘が独立宣言をするとは思っていなかっただろう。


こうしてアーレンス辺境伯領は独立し、アーレンス国となった。


ある程度予想はしていたが、アーレンス国からの反応は早かった。

おそらくアンナが送り届けられてから、

それほど間を置かずに向こうを発ってきたのだろう。

アーレンス国の代表としてカイルの兄二人が王宮へと話し合いにやってきた。


二人はアーレンス国王の第一子と第二子ということになるので、

第一王子と第二王子という立場になる。


向こうが国王代理を送ってきたため、

話し合いはお祖父様ではなく私がすることになった。

国王代理を送られたのにこちらが国王では格が合わないからだ。


王太子室ではせまいため、会うのは本宮の応接室になった。

もうすでに二人が案内されている場に私たちも向かう。

部屋に入ると、二人はソファから立ち上がって深く礼をして待っている。


黒髪黒目、そして大柄で鍛えられた身体。

色は違うが、二人ともカイルと似ていて兄だというのがよくわかる。


どちらも頭を上げようとしない…あぁ、そういうこと。

でも、もう遅いのよね。


向かい側のソファに座ると、まだ頭を下げている二人に声をかけた。


「話し合いを始めましょう。

 お二人もどうぞ座ってください。」


頭をあげよ、ではなく、話し合いを始めましょう。

その意味をわかっているのか、二人はそのままソファへと座る。


「…ソフィア様、お初にお目にかかります。

 父の辺境伯の代理で参りました。

 長男のヘルマンと二男のクラウスと申します。

 辺境伯は子が産まれるまでは代替わりができません。

 そのため私とクラウスのどちらかが継ぐことになっていますが、

 子が産まれるまでは次の辺境伯が決まりません。

 ですので、どちらも辺境伯代理の立場として参りました。」


そういえばそんなことを夜会の時に聞いていた。

兄たちに子が産まれないと。

だからまだどちらが継ぐのか決まっていないから二人で来たと。


「初めまして。わたくしはソフィア・ユーギニス。

 ユーギニス国の王太子です。

 お二人は辺境伯の代理ではなく、アーレンス国国王の代理になります。

 そうでなければ、わたくしは話し合いの場につくことが難しくなります。」


そう、あくまでも国同士の話し合いだから私がここにいるのだ。

違うというのなら、このまま帰ってもらうしかない。



「あの、そのことなのですが!

 妹が失礼なことをして申し訳ありませんでした!!

 後妻の産んだ娘は分家に嫁がせるつもりでしたので、

 たいして教育もされませんでした。

 父も年の離れた後妻には甘く、わがままを許してしまっていて…。

 愚妹の発言は無かったことにしていただきたいのです。」


「それは無理ですわね。」


「どうしてですか!

 妹はまだ学園の一年生、十五歳になったばかりなのですよ!?」


「それは法で決められているからです。

 アーレンス国王が辺境伯だった時にユーギニス国王と契約を交わしています。

 アーレンスは遠いため王宮に来るのも時間がかかる。

 そのため十五歳以上の本家の者が王都に来るときは辺境伯代理として認めると。」


「…そ、それはそうなのですが…妹ですし…令嬢にそこまで…。」


「令嬢では話し合いにならないとなると、わたくしも同じことになります。

 わたくしも王太子とはいえ、成人前の学生には変わりありませんからね。」


「……。」


私は少なくとも十二歳から公的な書類の決裁をしてきている。

十五歳の学生だから権利が無いなどとは言わせない。


「…なんとかならないのでしょうか。

 アーレンスは元通りユーギニス国の辺境伯領として認めて欲しいだけで…。」


「それも無理です。」


「「え?」」


声をそろえて驚かれても。


「元から辺境伯領とは契約が終わっていました。

 そのままユーギニス国でいるのか、チュルニアに戻るのか、

 それとも独立するのかと検討していたはずです。

 王弟の子の領地として保護できるのは五十年だけです。

 それが終われば他の領地と同じ扱いになります。

 今後ユーギニス国に戻るとしても、公爵領と同じ扱いはできません。」


「…それは具体的にはどのように変わりますか?」


「例えば国境騎士団の派遣はしますが、魔獣討伐には参加しません。」


「え?」


「国境騎士団で魔獣を討伐した場合、それは国の物になります。」


「ええ!?」


「無償で王領の穀物を渡すことはできません。」


「はぁ!?」


「税金は今の二倍になります。」


「そんな!」


話すたびに顔色が悪くなっていく二人に、ため息をついてしまう。



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