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【書籍化・コミカライズ2巻4/16発売】ハズレ姫は意外と愛されている?  作者: gacchi(がっち)


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学園が始まってひと月。

エディ達の学年とは始業時間が違うため、昼食をとる時間も少しずれる。


昼休みに食堂に学生が集中してしまうのを防ぐために、

三学年が一時間の休憩になると、半分過ぎたところで二学年の休みになる。

三学年の休憩が終わる時に一学年が休憩に入るため、

昨年にハイネス王子と会わないようにできたのはこの時間差があるせいだ。


幸い一学年と二学年は休憩時間が半分重なっている。

午後の授業のために準備が必要な時は無理だが、

それ以外は時間ギリギリまで食堂の個室にいても大丈夫だ。


王宮に戻れば私は王太子の仕事があるし、

エディは王太子教育の教師が待ち構えている。

お互いに予定が詰まっているので、ゆっくり話せるのは学園にいる時くらいだった。


そのため週に何度かは待ち合わせて一緒に食事をすることにしていた。

授業が終わったら私たちが先に王族専用の個室に入り、

お茶を飲んでエディ達が来るのを待つ。

エディ達が来たら、全員で話しながら昼食を取っていた。


王族同士の会食にダグラスが馴染めるか心配していたが、

エディとアルノーはダグラスの知識の豊富さに驚き、

先輩として敬うことに決めたようでダグラス先輩と呼ぶ。

ダグラスは王族と護衛騎士から先輩と呼ばれて戸惑っていたが、

エディの人懐っこい笑顔とアルノーの裏表のない性格に自然と仲良くなっていった。



今日もいつものようにエディ達を待っていると、

外からバタバタと走ってくる音が聞こえる。

まるで何かに追われているかのような。


王族が二人も通うとなって、学園内に近衛騎士が配備されている。

誰かに追われるような状況になるとは考えにくいのだが…。


バタンと荒々しくドアが開くとエディが飛び込んで入ってきて、

その後ろからアルノーが部屋に入ってくる。

アルノーは外を確認してドアを閉めると大きく息を吐いた。


「…どうしたの?」


「はぁ、はぁ…追いかけられて…。」


「誰に追いかけられたの?大丈夫?」


本当にエディとアルノーが追われているとは思わなかった。

学園内で追われるようなことがあるとは想定してなかったのだけど、

いったい何があったのだろう。

アルノーに尋ねようとしたら、しっと静かにするように言われる。


外から誰かが走ってくる音が聞こえる。

その音が少しずつ近づいているように大きくなっていく。

まさか、まだ追いかけてきている?



「どっどうしよう。アルノー!まだ追いかけてくる!」


「嘘だろう…王族専用個室まで来る気かよ!」


焦っている二人に話を聞く時間は無さそうだった。


「エディ、アルノー。壁際に寄って、黙って立っていて。」


二人を壁際に追いやると、その手前に幻影で壁を作り出す。

エディとアルノーからは見えるけれど、こちらから向こう側は見えない。

動かないでいれば二人は隠れたままでいられる。


「二人を隠すように壁の幻影を作っているからそのままそこにいて。

 こっちからは見えないようにしたから。」


「う、うん。」


「見えなくても声は聞こえるから、二人とも静かにしていてね。」


二人を追いかけてきている者は本当にこの部屋に入ってくるだろうか。

もし入ってきたとしても、私とクリスとカイル。ルリとダグラスもいる。

王族専用の個室付近に近づくだけでも不敬だと言われても仕方ない

その上で王族に王配候補が二人、

二学年の首席と三席が同席している場に入ってくるようなものは…。

それだけ身分が高いものか、ただの礼儀知らずか…。


声をひそめて待ち構えているとカチャリと音がしてドアが開いた。

どんなものが来るのかと思っていたら、

覗き込むように顔を出したのは小柄な女の子だった。

まっすぐな黒髪に猫のように丸く目じりだけ上向きな黒目。

入ってきたのが可愛らしい令嬢だったのは意外だった。


「あら?エディ様がここに入ったように見えたのだけど。」


あぁ、この令嬢がエディを追いかけていたのに間違いないようだ。

ここが王族専用の個室なことに気が付いていないのかもしれない。

令嬢からは悪いことをしているような後ろめたさが無いように感じる。


「あなたは誰?一学年かしら?私たちに何か用でも?」


「いいえ。あなたたちに用はないわ。

 ちょっとエディ様を探していただけだから…。」


やっぱりここが王族専用の個室だと知らないのか。

上の学年を敬う気がないのかわからないけれど、

そっけなく答えた令嬢の動きが止まった。


どこを見ているのだろうと思ったら、クリスを見ている?

クリスの知り合い?の割にはクリスは興味無さそうな顔をしているけど…。


「ねぇ、この彼はあなたの護衛よね。すっごく綺麗。

 決めた!この護衛は私のものにするわ。」


「「「「「は?」」」」」



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