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【書籍化・コミカライズ2巻4/16発売】ハズレ姫は意外と愛されている?  作者: gacchi(がっち)


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46/194

46(ハイネス王子)

ココディア国の第三王子として生まれたが、

俺の見た目は王妃である母上の生家の色だった。

金髪に緑目、そして人形のように整った顔立ち。


兄上と姉上は国王である父上似だったため、俺だけ色が違った。

そのせいなのか母上は俺のことを一番可愛がってくれている。

第三王子ということもあり王子教育も厳しいものではなく、

制限されることも少なく王族なのに自由に生きてきた。


二年前に第一王子である兄上が王太子に指名され、

側妃が産んだ第二王子が王族に残ることが決められた。

王妃の子だけど第三王子の俺は王族には残れない。

婿入りできるような公爵家もなく、

名ばかりの公爵になるしかないのだと思っていた。


まぁ、それも遊んで暮らせるのだからいいかと思っていたのだが。


ある日、母上とイディア様とお茶をしてきた姉上が、

興奮した状態で俺の部屋に飛び込んできた。


「ハイネス、あなたユーギニスの国王になりなさい。」


「は?急に何言って?」


「イディア様がユーギニスに嫁いでいたの覚えているでしょ?

 ユーギニスの王太子の子は一人娘で、イディア様が産んだ王女だけなんですって。

 しかも、王太子は療養中で、陛下は高齢。

 その王女と結婚すればハイネスが国王になれるわ!」


「イディア様の娘?その王女と結婚すれば俺が国王になるの?」


「そうよ!こうなったら、早く婚約を申し込みましょう。

 お兄様に言ってくるわ!」


言うだけ言うと姉上は部屋から出て行った。

兄上のところに行くと言ってたな…婚約を申し込む?

…名ばかりの公爵になるしかないと思っていたけれど、俺が国王に?

そうだよ。同じ王妃から産まれた兄上がココディアの国王になれるのなら、

俺がユーギニスの国王になってもおかしくないよな。


そう思って喜んだのもつかの間、婚約の申し出は断られてしまった。

そのことに納得できなかった姉上は、俺に指輪を渡してこう言った。


「こうなったら、直接王女に会って婚約を申し込んできなさい。

 ハイネスの美貌があれば大丈夫だとおもうけど、

 むこうの王女もイディア様の娘。

 美しいだけでは選んでくれない可能性もあるわ。

 この指輪をあげるから持って行きなさい。」


姉上から渡されたのは魅了の指輪だった。

指輪をはめて、最初に話しかけた相手が対象になる。

対象を決められるのは一度だけ。つまり、一人にしか使えない貴重なものだ。


…他国の学園に通うのは気が進まないけれど、

国王になる国の学園を知るのは悪くないかもしれない。

こうして姉上に言われるまま、俺はユーギニスの学園に通うことになった。





いない。学園に通い始めて五日。

毎日探しているのに、ソフィア王女が見つからない。

銀髪碧眼で目立つはずなのに、それらしい令嬢に会えなかった。

学年が違うと授業時間がずれるせいか、休み時間に探しても無駄なようだった。


仕方なく、昼休憩が終わった後も食堂をうろついて探すことにした。

もうすぐ一学年も昼休憩が終わるころ。

今日もダメかとあきらめかけた時、銀髪の集団が個室から出てくるのが見えた。


五人中四人も銀髪。銀髪の男三人に囲まれるようにして歩く、銀髪の令嬢。

きっとあれがソフィア王女だ。

思ったよりも小さくて、大きな男性三人に囲まれているとよく見えない。

もう一人の令嬢は茶髪だから、学友か侍女だろう。


用意していた指輪を出し、集団に近づく。

もう少しで向こうがこちらに気が付くという距離になって指輪をはめる。


「もしかして、君がソフィア王女?」


その声で振り向いたソフィア王女は、イディア様にそっくりだった。

物静かであまり笑わないけれど美しく、人形令嬢とまで言われたイディア様。

そのイディア様と同じ、人形のように表情があまり見えない顔。

作ったような微笑みまでそっくりだった。


だが、あまりにも幼い。身長が小さいし、細い。

華奢というべきか、貧相というべきか、胸が無い。色気が感じられない。

いくら綺麗な王女だとしても、まったく色気が無いとは。

まだ一学年だし、これから成長するんだろうか。


もうすぐ昼休憩が終わる時間だったせいか、あまり話せなかった。

だけど、指輪の対象にすることはできたし、焦ることは無い。

何度か会っていれば、そのうち向こうから俺に会いに来るようになるだろう。


「ハイネス様、教室に戻りますか?」


「あー。今日はもうめんどくさいからいいや。帰ろう。」


「そうですか。どうですか、王女は気に入りましたか?」


小さいころから一緒にいる侍従だからあまり遠慮がない。

俺が不満そうな顔しているのをわかってて聞いているよな。


「…さすが叔母上の娘だけあって綺麗だが、ずいぶんと幼いな。

 俺としては胸があって肉付きが良いほうが好みなんだが…全く無いな。」

 

「ぷっ。胸はどうしようもないですね。

 まぁ、我慢してください。」


「我慢か…。」


美しい王女だったし、悪くは無いんだけどな。

さすがにあれだけ幼いと手を出しにくいというか。その気にならないというか…。


姉上には王女に手を出してしまえば婚約するしかなくなるとは言われたが。

指輪の力だけだと弱いから、そのうち効果がなくなってしまうらしい。

だから、学園にいられるうちに既成事実を作らなくてはいけない。


王宮に滞在できなかったのは誤算だったな。

どうにかして王女が離宮に来てくれるように仕向けなくては。




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